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かたはら
ふりがな文庫
“
傍
(
かたはら
)” の例文
七三
君は賢弟と南
面
(
おもて
)
の
間
(
ま
)
に
弈
(
えき
)
して遊ばせ給ふ。
掃守
(
かもり
)
傍
(
かたはら
)
に侍りて
七四
菓
(
このみ
)
を
啗
(
くら
)
ふ。文四がもて来し
大魚
(
まな
)
を見て、人々大いに
感
(
め
)
でさせ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
傍
(
かたはら
)
なるバルザツク忽ちその語を
遮
(
さへぎ
)
つて云ひけるは、「君の我等に伍せんとするこそ
烏滸
(
をこ
)
がましけれ。我等は近代文芸の
将帥
(
しやうすゐ
)
なるを」
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
甲越の決戦を観望して、「
傍
(
かたはら
)
毒龍有り、
其蹷
(
つまづく
)
を待つ」の感があつた北條氏康は、元亀二年に歿し、こゝに均衡勢力の一端は破れた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
福田氏の抄本を見るに、「十月」の
傍
(
かたはら
)
に「原書のまま」と註してある。按ずるに福田氏も亦此「十」字に疑を
挾
(
さしはさ
)
んでゐるらしい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
既にその顔を
見了
(
みをは
)
れば、何ばかりの
楽
(
たのしみ
)
のあらぬ家庭は、彼をして火無き
煖炉
(
ストオブ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
処
(
をら
)
しむるなり。彼の凍えて
出
(
い
)
でざること無し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
テルモンド市の
傍
(
かたはら
)
を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
世話好
(
せわずき
)
なのが、
二人
(
ふたり
)
立
(
た
)
つて、
此
(
これ
)
を
傍
(
かたはら
)
の
壁
(
かべ
)
へ
懸
(
か
)
けると、
燕
(
つばめ
)
でも
雁
(
がん
)
でもなかつた。
圖
(
づ
)
する
處
(
ところ
)
は
樓臺亭館
(
ろうだいていくわん
)
、
重疊
(
ちようでふ
)
として
緩
(
ゆる
)
く
𢌞
(
めぐ
)
る、
御殿造
(
ごてんづく
)
りの
極彩色
(
ごくさいしき
)
。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゞ絵解きが持つてゐる琵琶によつて、やはり琵琶法師の系統で、其は民間の祈祷をしつゝ歩いた者が、
傍
(
かたはら
)
、琵琶法師をもしてゐたのであらう。
お伽草子の一考察
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰、
余
(
よ
)
北越に遊びて牧之老人が家に在し時、老人
家僕
(
かぼく
)
に
命
(
めい
)
じて雪を
漕
(
こぐ
)
形状
(
すがた
)
を見せらる、京水
傍
(
かたはら
)
にありて此図を
写
(
うつせ
)
り。
穿物
(
はくもの
)
は、○
橇
(
かんじき
)
○
縋
(
すかり
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
傍
(
かたはら
)
には第二の巣を営みありき。呼ばれて答ふる第二の猿の声は直ちに聞えたり。余は同時に二疋の猿を殺すことを得べきを思ひて喜びゐたり。
猿
(新字旧仮名)
/
ジュール・クラルテ
(著)
かれは
何方
(
どちら
)
かと言へば狭い一室の
卓
(
テイブル
)
の
傍
(
かたはら
)
にある椅子に腰を
下
(
おろ
)
して、さう大した明るいとは言へない光線の
下
(
もと
)
に、
寝床
(
ベツト
)
の上に敷かれた白いシイトや
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
思はず
傍
(
かたはら
)
を顧るに派手なる浴衣着たる若者あり。われと同じき思ひにて茫然と役人衆の後姿を見送れる
体
(
てい
)
なり。われ其の男に向ひて
独言
(
ひとりごと
)
のやうに
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
密語
(
ひそめき
)
の声は
漸々
(
だんだん
)
高まつた。中には声に出して何やら笑ふのもある。と、孝子は草履の音を忍ばせて健の
傍
(
かたはら
)
に寄つて来た。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
醉つた時にはおきまりで、
傍
(
かたはら
)
に人無きが如き我儘を極める蟒は、外の客には目もくれずに、三田の前に坐つて、直ぐさまコツプ酒をあふりつけた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
元々此の短歌なるものは、生活の
傍
(
かたはら
)
に生じた芸術といふ感じの強いものであつて、短歌が、一人の人間の全生命となるといふ風のものではなかつた。
新短歌に就いて
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
吾等
(
われら
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つて、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
と
私
(
わたくし
)
との
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めたが、
左迄
(
さまで
)
驚
(
おどろ
)
く
色
(
いろ
)
がない、
目禮
(
もくれい
)
をもつて
傍
(
かたはら
)
の
倚子
(
ゐす
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ち
掛
(
か
)
け、
鼻髯
(
びぜん
)
を
捻
(
ひね
)
つて
靜
(
しづ
)
かに
此方
(
こなた
)
に
向直
(
むきなを
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
わが歩みは檜の日かげより丘のはづれの小亭へ、その
傍
(
かたはら
)
の径を下りて睡蓮科の生ひ
涵
(
ひた
)
れる小さき池のほとりへゆく。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何所迄
(
どこまで
)
も
恰当
(
こうとう
)
な
拵
(
こしらへ
)
、
傍
(
かたはら
)
の
戸棚
(
とだな
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けると
棚
(
たな
)
が
吊
(
つ
)
つてあつて、ズーツと
口分
(
くちわけ
)
を
致
(
いた
)
して
世辞
(
せじ
)
の機械が並んで
居
(
ゐ
)
る。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
といふのは、親切な牛飼は、牛の
傍
(
かたはら
)
を腕を組んで歩いてゐるばかりで、牛の手綱を持つてゐるのは、十二、三にしか見えない男の子供だつたからである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
哲は学校の風呂敷を店火鉢の
傍
(
かたはら
)
で結んで居た。お末は甲斐々々しくそれを手伝つてやつて居た。暫くしてから
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
畫題
(
ぐわだい
)
は『
自然
(
しぜん
)
の
心
(
こゝろ
)
』と謂ツて、ちらし
髪
(
がみ
)
の
素裸
(
すつぱだか
)
の
若
(
わか
)
い
婦
(
をんな
)
が、
新緑
(
しんりよく
)
の
雑木林
(
ざふきばやし
)
に
圍
(
かこ
)
はれた
泉
(
いづみ
)
の
傍
(
かたはら
)
に立ツて、自分の
影
(
かげ
)
の
水面
(
すゐめん
)
に映ツてゐるのを
瞶
(
みまも
)
ツてゐるところだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
黒檀
(
こくたん
)
の森茂げきこの世の
涯
(
はて
)
の老国より来て、彼は長久の座を吾等の
傍
(
かたはら
)
に占めつ、教へて曰く『寂滅為楽』。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
『
愚老
(
ぐらう
)
にお
話
(
はなし
)
とは、どういふ
儀
(
ぎ
)
でござりますか。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
盃
(
さかづき
)
を
傍
(
かたはら
)
に
置
(
お
)
いて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
氣色
(
けしき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
われは只だ衆のなすところに
傚
(
なら
)
ひて、共に拍手したるのみ。
少女
(
をとめ
)
は又輕快なる舞の曲を彈じ出せり。
男客
(
をとこきやく
)
の三人四人は、急に
傍
(
かたはら
)
なる婦人を
誘
(
いざな
)
ひて舞ひはじめたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
卯平
(
うへい
)
も
患者
(
くわんじや
)
の一
人
(
にん
)
でさうしてお
品
(
しな
)
の
家
(
いへ
)
に
惱
(
なや
)
んで
居
(
ゐ
)
た。お
品
(
しな
)
の
母
(
はゝ
)
の
懇切
(
こんせつ
)
な
介抱
(
かいはう
)
から
彼
(
かれ
)
は
救
(
すく
)
はれた。
彼
(
かれ
)
はどうしても
瀕死
(
ひんし
)
の
女房
(
にようばう
)
の
傍
(
かたはら
)
に
病躯
(
びやうく
)
を
運
(
はこ
)
ぶことが
出來
(
でき
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼の僧は春が來れば茫然として開いて散る花を眺め、夏が來れば烈しい
日光
(
ひかげ
)
に
眼
(
まなこ
)
を閉ぢ、冬が來れば暖爐の
傍
(
かたはら
)
から暗い日の過ぎ行くのを悲し氣に見送るのであらう。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
僕は最初の日に、手足の驚くほど細い、たゞ
無暗
(
むやみ
)
と泣いてゐる赤ん坊を母親の
傍
(
かたはら
)
に見て、第一にあゝ大変だと思つたからだ。こんなに弱々しくてどんなものだらう。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
傍
(
かたはら
)
に来合せた巡査に日本の汽船が碇泊して居るかと聞いたら、
一昨日
(
をととひ
)
常陸丸が出て
仕舞
(
しま
)
つたと語つて
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
九郎はまだ私の装束に気づかず、
傍
(
かたはら
)
の酒徳利をつかむと同時に、いきなり私の頭をポカリと叩いた。——音だけは聞えたが、私は徳利が頭に触れたのも感じなかつた。
鎧の挿話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その右の
傍
(
かたはら
)
に藤森淳三(その頃の新進評論家、今は日本画の評論家)が一人しよんぼり立つてゐた。
思ひ出すままに:「文藝春秋」と菊池と
(新字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
此遺書を発見する人は、小生が之を認め候時、
傍
(
かたはら
)
の室にて妻の安眠し居たりしことを承知せられ度候。良心に責めらるる如き人は
斯
(
かく
)
の如く安眠することはあらじと存じ候。
アンドレアス・タアマイエルが遺書
(新字旧仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
吹落
(
ふきおと
)
しければ思はず兩人は
顏
(
かほ
)
見合
(
みあはせ
)
ける此時兵助聲をかけ汝は山口六郎右衞門ならずや
我
(
わが
)
斯
(
かく
)
零落
(
れいらく
)
せしも皆汝が
仕業
(
しわざ
)
ぞと
傍
(
かたはら
)
にある
竿竹
(
さをだけ
)
を
把
(
とつ
)
て突て掛る六郎右衞門も
心得
(
こゝろえ
)
たりと身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
且
(
か
)
つ
傍
(
かたはら
)
に直下数丈の
瀑布
(
ばくふ
)
ありて
幅
(
はば
)
も
頗
(
すこぶ
)
る
広
(
ひろ
)
し其地の
幽
(
いう
)
にして其景の
奇
(
き
)
なる、真に
好仙境
(
こうせんきよう
)
と謂つべし、
因
(
ちなみ
)
に云ふ此文珠岩は
皆
(
みな
)
花崗岩
(
みがけいわ
)
より
成
(
な
)
りて、雨水の
為
(
た
)
め
斯
(
か
)
くは
水蝕
(
すゐいつ
)
したるなり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ところがわたしがさう気が附いた時には、もう二人はわたしの掛けたベンチの
傍
(
かたはら
)
を通り過ぎて、わたしに背を向けて歩いてゐます。実は、兄いさん、わたし今少しで口笛を吹く所でした。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
その
間
(
あひだ
)
彼女
(
かのぢよ
)
は、
無産者
(
むさんしや
)
××
同盟
(
どうめい
)
の
支部
(
しぶ
)
で
働
(
はたら
)
く
傍
(
かたはら
)
、あるデパート
專屬
(
せんぞく
)
の
刺繍
(
ししう
)
工場
(
こうぢやう
)
に
通
(
かよ
)
つて
生活
(
せいくわつ
)
を
支
(
さゝ
)
へた。そのうち、三・一五
事件
(
じけん
)
として
有名
(
いうめい
)
な、
日本
(
にほん
)
×××
員
(
ゐん
)
の
全國的
(
ぜんこくてき
)
の
大檢擧
(
だいけんきよ
)
が
行
(
おこな
)
はれた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
十一月
中旬
(
なかば
)
の夜は既に
更
(
ふ
)
け行きぬれど、梅子は
未
(
いま
)
だ枕にも
就
(
つ
)
かざるなり、乳母なる老婆は
傍
(
かたはら
)
近く座を占めて、我が
頭
(
かしら
)
にも似たらん火鉢の
白灰
(
はひ
)
かきならしつゝ、梅子を
怨
(
うら
)
みつかき
口説
(
くど
)
きつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
戀
(
こひ
)
しかるべき
物
(
もの
)
をと
今
(
いま
)
も
戀
(
こひ
)
しく、
寐
(
ね
)
ぬ
夜
(
よ
)
の
床
(
とこ
)
に
物
(
もの
)
おもふ
令孃
(
ひめ
)
、
甚之助
(
じんのすけ
)
の
暫時
(
しばし
)
も
傍
(
かたはら
)
はなれず、
今宵
(
こよひ
)
も
此處
(
こヽ
)
に
寐
(
ね
)
んと
言
(
い
)
ひしを、
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
の
邪魔
(
じやま
)
なればと
母君
(
はヽぎみ
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
して、
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
かれしあとの
猶
(
なほ
)
さら
淋
(
さび
)
しく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
われは
己
(
おのれ
)
が
生涯
(
しやうがい
)
のあまり
清
(
きよ
)
くない
事
(
こと
)
を
心得
(
こゝろえ
)
てゐる、
路
(
みち
)
の
傍
(
かたはら
)
の
菩提樹下
(
ぼだいじゆか
)
に
誘惑
(
いうわく
)
に
負
(
ま
)
けた
事
(
こと
)
も
知
(
し
)
つてゐる。
偶
(
たま/\
)
われに
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
ませる
会友
(
くわいいう
)
たちの、よく
承知
(
しようち
)
してゐる
如
(
ごと
)
く、さういふ
物
(
もの
)
は
滅多
(
めつた
)
に
咽喉
(
のど
)
を
通
(
とほ
)
らない。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
井の
傍
(
かたはら
)
なる壁に
基督
(
きりすと
)
サマリヤの
婦人
(
をんな
)
に語り玉ふ小さき画額を掲ぐ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
二十錢の
代價
(
だいか
)
で
再
(
ふたゝ
)
び
君
(
きみ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
還
(
かへつ
)
て來ること
受合
(
うけあひ
)
だと言ふ。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
若き友ひとり
傍
(
かたはら
)
に来つつ居りこの友もつひに
病
(
やまひ
)
を持てり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その水陣の
傍
(
かたはら
)
に我れ安んじて、さまよひき。 260
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
強い石の
傍
(
かたはら
)
の弱々しいスミレのやうに
小熊秀雄全集-04:詩集(3)小熊秀雄詩集1
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
傍
(
かたはら
)
より遠ざけ給はで
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
江木
鰐水
(
がくすゐ
)
は頼山陽を状したが、山陽が歿した時
傍
(
かたはら
)
にあつたものでは無い。それゆゑわたくしは傍にあつたものの
言
(
こと
)
を聞かむことを欲する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
互に歩み寄りて一間ばかりに
近
(
ちかづ
)
けば、貫一は静緒に向ひて
慇懃
(
いんぎん
)
に礼するを、宮は
傍
(
かたはら
)
に
能
(
あた
)
ふ限は身を
窄
(
すぼ
)
めて
密
(
ひそか
)
に
流盻
(
ながしめ
)
を凝したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
第一は宣伝を目的としたものと、第二に文芸を造る
傍
(
かたはら
)
宣伝するものとがある。第二の部類にはシヨオの作など
這入
(
はい
)
ると思ふ。
プロレタリア文学論
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
言
(
い
)
ひかけて、ぐつとつまると、
白
(
しろ
)
のづぼん、おなじ
胴衣
(
どうぎ
)
、
身
(
み
)
のたけ
此
(
これ
)
にかなつて
風采
(
ふうさい
)
の
揚
(
あ
)
がつた、
社
(
しや
)
を
代表
(
だいへう
)
の
高信
(
たかのぶ
)
さん、
傍
(
かたはら
)
より
進
(
すゝ
)
み
出
(
い
)
でゝ
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、青年の言葉を、噛しめてゐる中に、美奈子は
傍
(
かたはら
)
の渓間へでも突落されたやうな烈しい打撃を感ぜずにはゐられなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰、
余
(
よ
)
北越に遊びて牧之老人が家に在し時、老人
家僕
(
かぼく
)
に
命
(
めい
)
じて雪を
漕
(
こぐ
)
形状
(
すがた
)
を見せらる、京水
傍
(
かたはら
)
にありて此図を
写
(
うつせ
)
り。
穿物
(
はくもの
)
は、○
橇
(
かんじき
)
○
縋
(
すかり
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
傍
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“傍”を含む語句
近傍
路傍
傍若無人
傍人
傍観
其傍
片傍
傍目
傍輩
傍聞
傍題
傍眼
両傍
傍岡
直傍
傍見
御傍
傍聴
傍視
傍々
...