鎧の挿話よろいのそうわ
五人力と称ばれてゐる無頼漢の大川九郎が今日はまた大酒を呑んで、店で暴れてゐる——と悲しさうな顔で居酒屋の娘が、私の家に逃げて来た夕暮時に、恰度私の家では土用干の品々を片附けてゐたところで、そして私は戯れに鎧を着、鉄の兜を被つて、ふざけてゐた …