道具だうぐ)” の例文
「さうなんでさ、わたしや蜀黍もろこし打棄うつちやときまでつとおもつてたらえねえんでさ、私等家わたしらぢのおとつつあは道具だうぐつちとひどおこんですから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見捨みすてたと云かどがあるゆゑ道具だうぐ衣類いるゐは云までもなく百兩の持參金ぢさんきんはとても返す氣遣きづかひなしと思ふゆゑそれそんをしてもかまはぬが何分なにぶん離縁状りえんじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
細々こま/″\しい臺所だいどころ道具だうぐやうなものはまでもあるまい、ふるいのでければとふので、小人數こにんず必要ひつえうだけ一通ひととほそろえておくつてた。其上そのうへ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つり道具だうぐげて、友伯父ともをぢさんたち一緒いつしよ胡桃くるみえる谷間たにあひ出掛でかけますと、何時いつでもとうさんはさかなられてしまふか
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
番甲 これにをりまする老僧らうそう、またころされましたるロミオのしもべにんいづれもはかあばきまするに屈竟くっきゃう道具だうぐをばたづさへてをりまする。
ならんだぜんは、土地とち由緒ゆゐしよと、奧行おくゆきをものがたる。突張つツぱるとはづれさうなたなから飛出とびだした道具だうぐでない。くらからあらはれたうつはらしい。御馳走ごちそうは——
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
にぶる時はたくはへたるをもつてみづからぐ。此道具だうぐけものかはを以てさやとなす。此者ら春にもかぎらず冬より山に入るをりもあり。
『イヤそれだれだつて道具だうぐります。如何いく上手じやうずでも道具だうぐわるいと十ぴきれるところは五ひきれません。』
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おゝそれからう、コレ伊丹いたみなにみな此所これい。伊「へい/\。登「かみこれだけのお道具だうぐ何日いつにかお集めになつたのだ。伊「へえー、これなんまうすもので。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
時としてはぼうほんを以て毛拔き樣の道具だうぐを作り、之を用ゐて石片の周縁をつまきし事も有りしならん
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
れてたく何處どこへでもれてけ、うち道具だうぐなにらぬ、うなりともしろとて寐轉ねころびしまゝ振向ふりむかんともせぬに、なんうち道具だうぐくせ勝手かつてにしろもないもの
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ああ、ほんとにさうだわ。いく道具だうぐ立派りつぱだつたつて、こんなうちぢやあね……」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
器械きかいや、道具だうぐなどはなにもなく外科用げくわよう刄物はものが二つあるけで體温器たいをんきすらいのである。浴盤よくばんには馬鈴薯じやがたらいも投込なげこんであるやうな始末しまつ代診だいしん會計くわいけい洗濯女せんたくをんなは、患者くわんじやかすめてなんともおもはぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
先刻せんこくあめらせるにつきても、俺達わしたちだい一に神界しんかいのおゆるしをけたのはそこじゃ。おおきな仕事しごとになればなるほど、ますますおくふかくなる。俺達わしたちわばかみひととの中間ちゅうかんひとつのきた道具だうぐじゃ……。
うですか。隨分道具だうぐあつかひされてゐるんですからね。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『これは道具だうぐで‥‥』
鍛冶かぢとき仕事しごとつかへてたが、それでもういふ職業しよくげふくべからざる道具だうぐといふと何處どこでもさういふれいすみやかこしらへてくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
よばれ白子屋家内を檢査あらため清三郎をとらへ來れと下知せられしかば同心馳行はせゆき檢査あらためしに清三郎は逐電ちくでんせし樣子なれど道具だうぐうち斯樣の品ありしと其品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さあ、みんなかへれ。してたれ宿屋やどやつて、わたし大鞄おほかばん脊負しよつてもらはう。——なかにすべて仕事しごと必要ひつえう道具だうぐがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大きな体躯なりをしてながら、道具だうぐちつともおぼえやアしねえ、親の恩を忘れちやアまんぞ。弥
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
熊の穴居こもりたる所をみつくれ目幟めじるしをのこして小屋にかへり、一れんの力をあはせてこれをる。その道具だうぐの長さ四尺斗りの手槍てやりあるひ山刀やまがたな薙刀なぎなたのごとくに作りたるもの、銕炮てつはう山刀をのるゐ也。
石器とは石を以てつくりたる道具だうぐ總稱そうせうなるが、其中にて刄のきたる分、即ち石製の利器の事は、打製類だせいるゐ磨製類ませいるゐも大畧記しおはりたるを以て、是より刄物はものならざる石器の事を述ぶ可し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
なにしろとうさんのむらにはつり道具だうぐ一つみせもなかつたものですから、釣竿つりざをさきにつけるいとでもなんでもみんな友伯父ともをぢさんがぢいやに手傳てつだつてもらつてつくりました。いとくりむしからりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
でう座敷ざしきに六まい屏風びやうぶたてゝ、おまくらもとには桐胴きりどう火鉢ひばちにお煎茶せんちや道具だうぐ烟草盆たばこぼん紫檀したんにて朱羅宇しゆらう烟管きせるそのさま可笑をかしく、まくらぶとんの派手摸樣はでもやうよりまくらふさくれなひもつねこのみの大方おほかたあらはれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いやア、ばくちの道具だうぐですよ。日本にほんのまア花合はなあはせですかね。」
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なにしろ道具だうぐい。』とはれたのでぼくおもはず噴飯ふきだし
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
與吉よきちひとんだおしなそば熟睡じゆくすゐしてた。卯平うへいあへずおしなむねあはせてやつた。さうしてはた道具だうぐひとつである蒲團ふとんせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
半分はんぶんいはせずうしろより只一刀に切殺し此方へ入來いりきたるにぞお菊はお竹が聲におどろ迯出にげいださんとするに間合まあひなければ屏風びやうぶかげへ隱れ戰慄ふるへたりし中曲者くせものは手ぢかに在しお菊が道具だうぐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
茶もなにもやつた事のねえやつが、へんひねつたことをつたり、不茶人ふちやじん偽物にせものかざつて置くのを見て、これはにせでございますともへんから、あゝ結構けつこうなお道具だうぐだとめなければならん
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
箪笥たんす長持ながもちはもとよりるべきいゑならねど、長火鉢ながひばちのかげもく、今戸燒いまどやきの四かくなるをおななりはこれて、これがそも/\此家このいへ道具だうぐらしきものけば米櫃こめびつきよし、さりとはかなしきなりゆき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
道具だうぐつて出掛でかけることも、女房にようばう薄々うす/\つてたのである。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『それじア道具だうぐるのだ、ハ、ハ、……』
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
誠にどうもお仕立したてまうし、お落着おちつきのある流石さすが松花堂しようくわだうはまた別でございます、あゝ結構けつこう御品おしなで、斯様かやうなお道具だうぐ拝見はいけんいたすのは私共わたくしども修業しゆげふ相成あひなりますとつて、卑下ひげするんだ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
こしにつけて道具だうぐそろふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)