百姓ひやくしやう)” の例文
かききなお百姓ひやくしやう子供こどもあをかきましたが、つてべてたびしぶさうなかほをして、べかけのをてゝしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
馬士まごもどるのか小荷駄こにだとほるか、今朝けさ一人ひとり百姓ひやくしやうわかれてからときつたはわづかぢやが、三ねんも五ねん同一おんなじものをいふ人間にんげんとはなかへだてた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれは一ぱん百姓ひやくしやうがすることはなくてはらないので、ことには副食物ふくしよくぶつとして必要ひつえうなので茄子なす南瓜たうなす胡瓜きうりやさういふもの一通ひととほりはつくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ぼく子供心こどもごころにも此樣子このやうす不審ふしんおもつたといふは、其男そのをとこ衣服みなりから風采ふうさいから擧動きよどうまでが、一見いつけん百姓ひやくしやうです、純然じゆんぜんたる水呑百姓みづのみひやくしやうといふ體裁ていさいです
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さめ仁義じんぎをもつてたみ百姓ひやくしやうをしたがへ道におちたるをひろはず戸さゝぬ御代とせんとなりまことにしゆんといへども聖人せいじんの御代には庭上ていじやうつゞみを出しおき舜帝しゆんていみつから其罪そのつみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
同船どうせんゆるす、みんなれ。』と、天滿與力てんまよりきふねからきおろされた百姓ひやくしやう町人ちやうにんむれむかつてこゑをかけた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
御馳走ごちそうなんぞるとチン/\するわ——わたし、よくはらないけど——それは百姓ひやくしやういぬで、大變たいへんやくつんですッて、一ぴきゑんよ!それがみんねずみころすんですッて——ナニ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
あゝはえますれどれで中々なか/\苦勞人くらうにんといふに、れはまあ幾歳いくつのとし其戀そのこひ出來できてかと奧樣おくさまおつしやれば、てゝ御覽ごらんあそばせ先方むかう村長そんちやういもと此方こちら水計みづばかりめしあがるお百姓ひやくしやうくもにかけはし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さてこゝに一人ひとり百姓ひやくしやうさん
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
とうさんのおうちにも出入でいりのお百姓ひやくしやうがありまして、おもちをつくとか、おちやをつくるとかいふには、屹度きつと手傳てつだひにれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貧乏びんばふ百姓ひやくしやうはいつでもつちにくつゝいて食料しよくれうることにばかり腐心ふしんしてるにもかゝはらず、作物さくもつたはらになればすで大部分だいぶぶん彼等かれら所有しよいうではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(どッこいしよ、)と暢気のんきなかけごゑで、ながれいしうへ飛々とび/″\つたはつてたのは、呉座ござ尻当しりあてをした、なんにもつけない天秤棒てんびんぼう片手かたてかついだ百姓ひやくしやうぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこ學校がくかうたて決心けつしんかれこゝろわいたのです、諸君しよくんかれ決心けつしんあま露骨むきだしで、單純たんじゆんなことをわらはれるかもれませんが、しかし元來ぐわんらい教育けういくのない一個いつこ百姓ひやくしやうです
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
玄竹げんちくたかこゑおどろいて、百姓ひやくしやう町人ちやうにんれまでが、後退あとずさりするのを、玄竹げんちくやさしくやつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
相手あひてなれば御大身をおそれ時の奉行もさばきかねてあつかひを入てすますといへどもあつかくづうつたへ出る事たび/\なり然るにこの度大岡越前守山田奉行やまだぶぎやうと成て來りしかば百姓ひやくしやうども又々境論さかひろんを願ひ出づるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
にとられて百姓ひやくしやう
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
馬籠まごめむらはづれまでますと、そのたうげうへたかいところにもたがやしたはたけがありました。そこにも伯父をぢさんにこゑけるお百姓ひやくしやうがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貧乏びんばう百姓ひやくしやう落葉おちばでも青草あをぐさでも、他人ひと熊手くまでかまつたあともとめる。さうしてせてつちさらほねまでむやうなことをしてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
よめはおつやつて、同國どうこくいちみや百姓ひやくしやう喜兵衞きへゑむすめで、あに元太郎もとたらうこれ女房にようばうたばがみで、かぶつてはるけれども、色白いろじろ眉容きりやううつくしいだけに身體からだよわい。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大島小學校おほしませうがくかういまむら經濟けいざい維持ゐぢしてますが、しかしむら經濟けいざい首腦しゆなう池上權藏いけがみごんざうですから、學校がくかう保護者ほごしや依然いぜんとしてむかし覺悟かくごまできめた百姓ひやくしやう權藏ごんざうであります。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
百姓ひやくしやうれ、町人ちやうにんれ、同船どうせんゆるす。』と、手招てまねきした。天滿與力てんまよりきがすご/\とふねからるのに、ざまアろとはぬばかりの樣子やうすれちがつて、百姓ひやくしやう町人ちやうにんはどや/\とふねつてた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
この百姓ひやくしやうはそのまで
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
かつしやい、孤家ひとつや婦人をんなといふは、もとな、これもわしにはなにかのえんがあつた、あのおそろし魔処ましよはいらうといふ岐道そばみちみづあふれた往来わうらいで、百姓ひやくしやうをしへて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
湯原ゆがはら温泉宿をんせんやど中西屋なかにしや女中ぢよちゆうである! いまぼくふでつてうち女中ぢよちゆうである! 田舍ゐなか百姓ひやくしやうむすめである! 小田原をだはら大都會だいとくわい心得こゝろえ田舍娘ゐなかむすめ! このむすめぼくつたのは昨年さくねんなつ
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かゝ風聞ふうぶんきこえなば、一家中いつかちうふにおよばず、領分内りやうぶんない百姓ひやくしやうまでみななんぢかんがみて、飼鳥かひどり遊戲あそび自然しぜんむべし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれどとほまはしにしたところによると、田之浦たのうらもの倅夫婦せがれふうふ百姓ひやくしやうをしてなりの生活くらしをしてるが、その夫婦ふうふのしうちがくはぬとつて十何年なんねんまへから一人ひとり此處こゝんでるらしい
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
父親ちゝおや合點がてん母親はゝおや承知しようちで、向島むかうじま花見はなみかへりが夜櫻見物よざくらけんぶつつて、おいらんが、初會惚しよくわいぼれ、と寸法すんぱふるのであるが、耕地かうち二十石にじつこく百姓ひやくしやう次男じなんではうはかない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上總國かづさのくに上野郡かうづけぐん田地でんぢ二十石にじつこくばかりをたがやす、源五右衞げんごゑ百姓ひやくしやう次男じなんで、小助こすけふのがあつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところへ、荷車にぐるまが一だい前方むかうから押寄おしよせるがごとくにうごいて、たのは頬被ほゝかぶりをした百姓ひやくしやうである。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あまつさ野町のまち野田寺町のだでらまち地黄煎口ぢくわうぜんぐちあるひ鶴來往來つるぎわうらいより、野菜やさい擔荷になひて百姓ひやくしやう八百物市やほものいちおもむもの前後疾走ぜんごしつそう相望あひのぞみて、氣競きほひ懸聲かけごゑいさましく、御物見下おものみしたとほること、絡繹らくえきとしてるがごとし。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)