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ひやくしやう
彼は一
般の
百姓がすることは
仕なくては
成らないので、
殊には
副食物として
必要なので
茄子や
南瓜や
胡瓜やさういふ
物も
一通りは
作つた。
僕は
子供心にも
此樣子を
見て
不審に
思つたといふは、
其男の
衣服から
風采から
擧動までが、
一見百姓です、
純然たる
水呑百姓といふ
體裁です
吉野は、濡れに濡れて
呼吸も絶えたらしい新坊の体を、無造作に
抱擁へて川原に引返した。其処へ、騒ぎを聞いて
通行の
農夫が一人、提灯を携げて下りて来た。
と
呟した事があつた。そして相手の
農夫が値上げの張本人であるかのやうに
凝とその顔を見つめた。顔は焼栗のやうに日に
焦けてゐた。