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ひやくしやう
ふりがな文庫
“
農夫
(
ひやくしやう
)” の例文
暫くすると、激しい靴音がして独逸兵が
扉
(
と
)
を跳ね飛ばすやうな勢で入つて来た。
農夫
(
ひやくしやう
)
は両手の
掌面
(
てのひら
)
に
填
(
は
)
めてゐた顔を怠儀さうにあげた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
薪とりにいでし四十九日目の
待夜
(
たいや
)
也とていとなみたる
仏㕝
(
ぶつじ
)
も
俄
(
にはか
)
にめでたき
酒宴
(
さかもり
)
となりしと
仔細
(
こまか
)
に
語
(
かた
)
りしは、九右エ門といひし
小間居
(
こまゐ
)
の
農夫
(
ひやくしやう
)
也き。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
吉野は、濡れに濡れて
呼吸
(
いき
)
も絶えたらしい新坊の体を、無造作に
抱擁
(
だきかか
)
へて川原に引返した。其処へ、騒ぎを聞いて
通行
(
とほりすがり
)
の
農夫
(
ひやくしやう
)
が一人、提灯を携げて下りて来た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
呟
(
こぼ
)
した事があつた。そして相手の
農夫
(
ひやくしやう
)
が値上げの張本人であるかのやうに
凝
(
じつ
)
とその顔を見つめた。顔は焼栗のやうに日に
焦
(
や
)
けてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
同じ話がまた、前夜其場に行合せた
農夫
(
ひやくしやう
)
が、
午頃
(
ひるごろ
)
何かの用で小川家の台所に来た時、
稍
(
やや
)
詳しく家中の耳に伝へられた。
成年者
(
としより
)
達は心から吉野の義気に感じた様に、それに就いて語つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
「でも、お
前
(
めえ
)
様、小麦が高くなつたのは、小麦自身が高くなつた訳ぢやござりましねえだよ。」
農夫
(
ひやくしやう
)
は言ひ訳がましく口を切つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其家
(
そこ
)
にも、
此家
(
ここ
)
にも、怖し気な
面構
(
つらがまへ
)
をした
農夫
(
ひやくしやう
)
や、アイヌ系統によくある、鼻の低い、眼の濁つた、
青脹
(
あをぶく
)
れた女などが門口に出て、落着の無い不格好な腰付をして、往還の
上下
(
かみしも
)
を眺めてゐるが
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
折角柔かい乳房を持ちながら、男のやうな硬い考へ方をする
婦人
(
をんな
)
がある。正直な
農夫
(
ひやくしやう
)
め、そんなのを見たら、どんなに言ふだらう。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『そンだ、
其
(
その
)
方
(
はう
)
が好うがンす。』と
農夫
(
ひやくしやう
)
も口を添へる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ある時この婦人がマサチウセツツの
某市
(
なにがしまち
)
へ旅をした事があつた。途中で道を迷つて
甚
(
ひど
)
く当惑してゐるところへ、
農夫
(
ひやくしやう
)
が一人通りかゝつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あゝ、おつ
魂消
(
たまげ
)
た。」
農夫
(
ひやくしやう
)
は眼をこすり/\言つた。「
俺
(
おら
)
はあ、何にも知んねえだよ。お
前
(
めえ
)
様のやうな
女子
(
あまつこ
)
みたいな男初めて見ただからの。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ブライアン氏は
農夫
(
ひやくしやう
)
の
律義
(
りちぎ
)
さうな言葉を聞いて、にこ/\しい/\手を出した。
農夫
(
ひやくしやう
)
は嬉しさうにそれを握つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
流石に
農夫
(
ひやくしやう
)
の考へだけあつて一寸面白い。だが、
廉
(
やす
)
い玉蜀黍も一度に七本も食つちや馬が怒るかも知れない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ブライアン氏はそこで一
場
(
ぢやう
)
の演説をした。そしてすつかり
好
(
い
)
い気持になつて、自分の椅子へ着くと、
聴衆
(
きゝて
)
のなかから
農夫
(
ひやくしやう
)
らしい人の
好
(
よ
)
ささうな顔をした男が一人出て来た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“農夫”の意味
《名詞》
農 夫(のうふ)
(時代がかった表現)農業をする人。農民、百姓。
(出典:Wiktionary)
農
常用漢字
小3
部首:⾠
13画
夫
常用漢字
小4
部首:⼤
4画
“農夫”で始まる語句
農夫爺
農夫室
農夫長
農夫読
農夫達