殘念ざんねん)” の例文
新字:残念
こと浮沈室ふちんしつ機關室きくわんしつとはこのていもつと主要しゆえうなる部分ぶゞんではあるが、此事このこといては殘念ざんねんながらわたくしちかひたいして一言いちごん明言めいげんすること出來できぬ。
さうして愛情あいじやう結果けつくわが、ひんのためにくづされて、ながうちとらへること出來できなくなつたのを殘念ざんねんがつた。御米およねはひたすらいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さてさういふさる人間にんげんとの中間ちゆうかんのものゝほね今日こんにちまでにいかほど發見はつけんされたかといふに、殘念ざんねんながら中々なか/\おもふようにてまゐりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
殘念ざんねんでならぬので、自分じぶん持場もちばを一生懸命しやうけんめいつたけれど、なにない。幻子げんし大成功だいせいかう引替ひきかへて大失敗だいしつぱいくわつぼう茫然ばうぜんとしてしまつた。
大船おほふなはつしてしまへば最早もう國府津こふづくのをほか途中とちゆうなにることは出來できないとおもふと、淺間あさましいことには殘念ざんねんたまらない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
れは自分じぶんが二十年以上ねんいじやう勤務つとめてゐたのに、れにたいして養老金やうらうきんも、一時金じきんれぬことで、かれれをおもふと殘念ざんねんつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
殘念ざんねんに存じいかりの餘り打捨うちすてんと思ひつめたる事由迄ことがらまで委細ゐさいに申立たり又久兵衞は己れが惡巧わるだくみを押隱おしかく是非々々ぜひ/\百兩の云懸いひがかりを通して文右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分じぶんいへうまれた子供こどもでもなく、むかしやまつけたのをやしなつただけのことでありますから、氣持きもちも世間せけん普通ふつうひととはちがつてをりますので、殘念ざんねんではございますが……
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「それ、あたまあぶないわ。」「合點がつてんだ。」といふしたから、コツン。おほゝゝほ。「あゝ殘念ざんねんだ、後姿うしろすがただ。いや、えりあししろい。」といふところを、シヤンに振向ふりむかれて、南無三寶なむさんばう
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とりにがしては殘念ざんねんであらうとひとうれひを串談じようだんおもふものもあり、諸説しよせつみだれて取止とりとめたることなけれど、うらみなが人魂ひとだまなにかしらずすぢひかもののおてらやまといふ小高こだかところより
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とりかへしのつかない殘念ざんねんなことをしたやうにおもはれて、ならなかつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
これはてんまで殘念ざんねんながら眞實ほんたうらしい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
春枝夫人はるえふじんいた心配しんぱいして『あまりに御身おんみかろんじたまふな。』と明眸めいぼうつゆびての諫言いさめごとわたくしじつ殘念ざんねんであつたが其儘そのまゝおもとゞまつた。
現在げんざいわがくににある博物館はくぶつかんはそのすうすくないばかりでなく、殘念ざんねんながら世界せかいしてすぐれた博物館はくぶつかんとはまをすことが出來できません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたくしなに貴方あなた自分じぶん信仰しんかうむかはせやうと權利けんり主張しゆちやうはせんのです。』院長ゐんちやう自分じぶんわかつていので、さも殘念ざんねんふやうに。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
平常いつもやういぬがゐるとかつたんですがね。生憎あいにく病氣びやうきなので、四五日前にちまへ病院びやうゐんれて仕舞しまつたもんですから」と主人しゆじん殘念ざんねんがつた。宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
殘念ざんねんながら、博士はかせ講演かうえん拜聽はいちやうするをなかつたので、博士はかせ瓢箪山ひやうたんやまおよ新發見しんはつけん横穴よこあなつひて、如何どういふせつ發表はつぺうされたか、らぬが
承まはりしに馬喰町人殺は別人べつじんなる由全く彦兵衞の所業しよげふに非ず然るを家主八右衞門熟々よく/\たゞしも仕つらず御所刑と致候段殘念ざんねんぞんじ小腕こうでながらも敵討を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『まア貴下あなたあれがえないの。アゝ最早もうえなくなつた。』と老婦人らうふじん殘念ざんねんさうに舌打したうちをした。義母おつかさん一寸ちよつ其方そのはうたばかり此時このとき自分じぶんおもつた義母おつかさんよりか老婦人らうふじんはう幸福しあはせだと。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
愚鈍ぐどんではあるが子供こどもときかられといふ不出來ふでかしもかつたをおもふとなに殘念ざんねんのやうにもあつて、まこと親馬鹿おやばかといふのであらうが平癒なほらぬほどならねとまでもあきらめがつきかねるもので
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
殘念ざんねんことでござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
左樣さやう殘念ざんねんながら、西班牙イスパニヤや、亞弗利加アフリカはう今度こんど斷念だんねんしました。』と、わたくしがキツパリとこたへると、かれはポンとひざたゝいて
えゝ、生甲斐いきがひ生活せいくわつだ、如何いかにも殘念ざんねんことだ、苦痛くつう生活せいくわつがオペラにあるやうな、アポテオズでをはるのではなく、これがあゝをはるのだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ずんと切落きりおとせば掃部はたまらず尻居しりゐどうたふれつゝヤア殘念ざんねんうらめしやだまし討とは卑怯ひけふ未練みれん是重四郎殿何者か我があし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして、そのまへ千年間せんねんかんぐらゐも石器時代せつきじだいであつたかとおもはれますけれども、そのへんのことになると、殘念ざんねんながら年數ねんすうあきらかにすることが出來できません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
みちちかきにあり、かへつてこれとほきにもとむといふ言葉ことばがあるが實際じつさいです。ついはなさきにあるのですけれども、うしてもきません」と宜道ぎだうはさも殘念ざんねんさうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
母親はヽおやわかれにかなしきことつくしてはらわたもみるほどきにきしが今日けふおもひはれともかはりて、親切しんせつ勿体もつたいなし、殘念ざんねんなどヽいふ感念かんねん右往左往うわうざわうむねなかまわしてなになにやらゆめ心地こヽち
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心配しんぱいしないでまじなひでもしてつがいさとなぐさめるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんとちがつてわたしには技倆うでいからね、一人ひとりでもにがしては殘念ざんねんさ、わたしのやうなうんるいものにはまじなひなにきはしない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
づからなる名譽めいよはあれど、こひ本尊ほんぞんあればわきだちにれるなく、一しんおもひみてはありむかしのさとしならで、可惜あたら廿四の勉強べんきやうざかりを此体このていたらく殘念ざんねんともおもはねばこそ、甚之助じんのすけ追從つゐしようしあるきて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大言たいげんきしむかしこゝろはづかしさよれがこのんで牛馬ぎうばかはりに油汗あぶらあせながし塵埃ぢんあいなかめぐるものぞ仕樣しやう模樣もやうきはてたればこそはじ外聞ぐわいぶんもなひまぜにからめててたのつまり無念むねん殘念ざんねん饅頭笠まんぢうがさのうちにつゝみてまゐりませうとこゑびくすゝめるこゝろいらぬとばかりもぎだうにひとそれはまだしもなりうるさいは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)