)” の例文
旧字:
しかるには、特殊の偏光装置へんこうそうちを使って、これを着色して認めることに成功した。その装置については、別項の論文に詳解しておいた。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
読みて大尉たいゐ壮行さうかうわれともにするの感あり、此日このひよりのちことにして、此日このひ只一人たゞひとりうれしくて、ボンヤリとなり、社員にもせず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
これは意志いしぢゃ、おもんじておくりゃらば、顏色がんしょくうるはしうし、そのむづかしいかほめておくりゃれ。祝宴最中いはひもなか不似合ふにあひぢゃわい。
答らるゝに伊豆守殿點頭うなづかれ成程當節たうせつは越前を名奉行と人々うはさを致すやに聞及べりされは越前はきらひなり兎角に我意がい振舞ふるまひ多く人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全体、政治の術……は学問とは言わぬ、術というが、政治の術はすべて国民の政治的心理の上に、人の心の上に働く術である。
政治趣味の涵養 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
今後をしてさらにこの日を親しましめるであろう。予は永久に毎月この日をもってこの一室に諸友の来遊を待つことと定めた。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
いやなんぢりたれば、餘人よじんにてはらず、獻立こんだて如何樣いかやうにてもし、およなんぢこゝろにてこれならばしとおもはばそれにてきなり
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太古、禹王うおうが、「一につ」といったが、後の学者はこの言を評して、「君子この小心なかるべからず」といっている。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
東晋の咸康かんこう年中に、州の刺史毛宝ししもうほうしゅの城を守っていると、その部下の或る軍士が武昌ぶしょういちへ行って、一頭の白い亀を売っているのを見た。
人はその年その年の分別才覚があってこそよきものを、十八歳にして四十歳の分別あるとは、のとらざるところである。
旧作 (新字新仮名) / 上村松園(著)
「只今、が申したような順序をふめば、いずれおかみより、何らかのお沙汰があるに違いない。天下の大事、よも、お捨ておきになる筈はない」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
答 少なくともは欲せざるあたわず。しかれども予の邂逅かいこうしたる日本の一詩人のごときは死後の名声を軽蔑けいべつしいたり。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
は今備後びんごともより松山へ渡る汽船の甲板の上で意気込んで居る。何の意気込だ。夏目先生の『坊つちやん』の遺蹟を探らうとしての意気込みだ。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
その挙止きょし活溌かっぱつにして少しも病後びょうご疲労ひろうてい見えざれば、、心の内に先生の健康けんこう全くきゅうふくしたりとひそかに喜びたり。
少年の頃は東両国、回向院えこういん前にてもこのつるし多く売りをりしが、その頃のものと形はさのみ変りなけれど、彩色は段々悪くなり、面白味うせたり。
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
未だ寓目ぐうもくせずと雖も、けだ藻鑑そうかんの道を説く也。珙と忠徹と、ともに明史方伎伝ほうぎでんに見ゆ。珙の燕王にまみゆるや、ひげ長じてへそぎなば宝位に登らんという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
娘は茶をついでにすすめる。年は二十はたちばかりと見えた。紅蓮ぐれんの花びらをとかして彩色したように顔が美しい。
河口湖 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
これよりうちに還るまで、揚々之を見せびらかして、提げ歩きしが、の釣を始めて以来、凡そ此時ほど、大得意のことなく、今之を想ふも全身肉躍り血湧く思ひあり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
去る頃此滝の石を取よせし人ありて見るに、常の石にあらず全躰ぜんたい鐘乳しようにうなり、木の葉など石中にふくむすなはち石なり。雲林石譜うんりんせきふにいふ鐘乳しようにう転化てんくわして石になるならん云云。
はこれにたいしてまつた反對はんたい意見いけんをもつてゐる。いまこゝろみにこれをべて批評ひへうひたいとおも
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
アヽ華族くわぞくいへうまれたが、如何いか太平たいへい御代みよとはまうせども、手をそでにして遊んでつてはまぬ、えわが先祖せんぞ千軍萬馬せんぐんばんばなか往来わうらいいたし、きみ御馬前ごばぜんにて血烟ちけむり
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
死せばなんじ必ず太史とならん。太史とならばわが論著せんと欲するところを忘るるなかれ」といい、これこそ己に対する孝の最大なものだとて、なんじそれおもえやと繰返したとき
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
どうもは不人情な男だ。人間の子は生れて三年たってやっと父母の懐をはなれる。だから、三年間父母の喪に服するのは天下の定例になっている。いったいは三年間の父母の愛を
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
染め去年築地河岸海軍原に於て人殺ひとごろしのありしことを作り設け之れに探偵の事項を附会して著作せし小説なり本書を読むに始めに探偵談を設けてそれより犯罪の事柄に移りお紺と云う一婦人を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
として冬、川をわたるがごとく、ゆうとして四隣をおそるるがごとく、げんとしてそれ客のごとく、かんとしてこおりのまさにけんとするがごとく、とんとしてそれぼくのごとく、こうとしてそれ谷のごとく
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
玄白とは初代玄白よくであらうか。玄白は初め子がなかつたので、建部たてべ伯元勤はくげんきんを養つて嗣とした。其後一児を挙げたのが立卿予りつけいよである。むすめの事は伝に見えない。きんとのぢよの事も亦同じである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
横臥よこふしぬ。心こそ、鳩酢草はとかたばみ
夏の日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
なんぢおとにもきつらん、白山はくさん狩倉かりくらに、大熊おほくま撲殺うちころした黒坂備中くろさかびつちうはういま自分じぶんちからためさん、いざふれなんぢ力競ちからくらべをしてやうか。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いやは語らぬ、戦争は大嫌いだ。内輪喧嘩うちわげんかは大嫌いだ。今はそんな世の中ではない。これから学問して国を文明にする。
領主 つね足下おぬしをばたゞしいそうしんじてをったわ。……ロミオのしもべ何處いずこにをる? れは此儀このぎたいしてなんまうすぞ?
やはらげ相摸殿よくうけたまはられよ徳川は本性ほんせいゆゑ名乘申すまたあふひも予が定紋ぢやうもんなる故用ゆるまでなり何の不審ふしんか有べきとのことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はこの皮肉なる現実主義に多少の同情を有するものなり。唯唯作者の論理的頭脳づなうは残念にも余り雋鋭しゆんえいならず。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一台の車にわが子ふたりを乗せは後からついてゆく。妹が大きいから後から見ると、どちらが姉か妹かわからぬ。ふたりはしきりに頭を動かして話をする。
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
然りと雖もなおおもえらく、逸田叟いつでんそうの脚色はにして後わずかに奇なり、造物爺々やや施為しいは真にしてかつ更に奇なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
だんこくを移して、いとまを告げて去らんとすれば、先生なおしばしと引留ひきとめられしが、やがて玄関げんかんまで送り出られたるぞ、あにらんや、これ一生いっしょう永訣えいけつならんとは。
==は江戸に着いて、お千絵どのの居所いどころを求めつつあり。また予をたずねんとする者は、下谷したや月寺げつじ普化宗ふけしゅう関東支配所にて問われなば知れん==。としてある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去る頃此滝の石を取よせし人ありて見るに、常の石にあらず全躰ぜんたい鐘乳しようにうなり、木の葉など石中にふくむすなはち石なり。雲林石譜うんりんせきふにいふ鐘乳しようにう転化てんくわして石になるならん云云。
あるいは親の命日めいにち、あるいは自分になにか特別の意味のある日、退しりぞいてははたして青年時代の理想に近づきつつありや、あるいは逆戻ぎゃくもどりせぬかと深くかえりみるのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ふねよりふねわたりて、其祝意そのしゆくいをうけらるゝは、当時そのかみ源廷尉げんていゐ宛然えんぜんなり、にくうごきて横川氏よこかわしとも千島ちしまかばやとまでくるひたり、ふね大尉たいゐ萬歳ばんざい歓呼くわんこのうちにいかりげて
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
はかねて学界に予告して置いた赤外線テレヴィジョン装置の組立てを、ほど完成した。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
槍先やりさき功名こうみやうよつ長年ながねん大禄たいろく頂戴ちやうだいしてつたが、これから追々おひ/\なかひらけてるにしたがつて時勢じせい段々だん/\変化へんくわしてまゐるから、なにに一のうそなへたいと考へて、人知ひとしれず医学いがくを研究したよ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なるほど、一おう理屈りくつはあるやうであるが、ところ全然ぜん/\これにことなる。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
鳩酢草はとかたばみも、一日ひとひ
夏の日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
平生へいぜいよくつかへくれ、しきこととてさらし、此度このたびとりすゝめしも、おもうての眞心まごころなるを、なにとてあだにおもふべき。じつうれしくおもひしぞよ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爾後じごふたゝ公安こうあんみだるにおいては汝等なんぢらいのちいぞよ。今日こんにち者共ものどもみな立退たちされ、カピューレットはしたがまゐれ。
ある機会で、しもに掲げる二つの手紙を手に入れた。一つは本年二月中旬、もう一つは三月上旬、——警察署長の許へ、郵税先払さきばらいで送られたものである。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
聞及びしゆゑ家來に召抱めしかゝへたく遙々はる/″\此處まで參りしなりいさゝかの金子などに心をかける事なく隨身ずゐしんなすべしおつては五萬石以上に取立て大名にしつかはすべしまよひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はつくづくと、こんな土地に住まねばならぬ我が運命を悲しまない訳にゆかなかった。同時に我れながらさもしい卑屈な感想の湧き起るのを禁じ得なかった。
大雨の前日 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
氏はただちにそれを逓与わたして、わたしはこれはらない、と云いながら、見つけたものが有るのか、ちょっと歩きぬけて、百姓家ひゃくしょうや背戸せど雑樹籬ぞうきがきのところへ行った。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雲根志うんこんし灵異れいいの部に曰、隣家となり壮勇さうゆうの者あり儀兵衛といふ。或時田上谷たがみだにといふ山中にゆき夜更よふけかへるに、むかうなる山の澗底たにそこより青く光りにじの如くのぼりてすゑはそらまじはる。