我等われら)” の例文
なにとなく薄淋うすさびしくなつたなみおもながめながら、むねかゞみくと、今度こんど航海かうかいはじめから、不運ふうんかみ我等われら跟尾つきまとつてつたやうだ。
御用ごようおもむきにあらず、其方達そのはうたちかねぞんずるごと豆州づしう御勝手許おかつてもと不如意ふによいにつき、此度このたび御改革ごかいかく相成あひな奉行ぶぎやう我等われら相談さうだんうへにて、もくなんぢ申付まをしつくるぞ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただ武門のならいとして一死もって二百五十年の恩にむくいるのみ、総督もし生を欲せば出でて降参せよ、我等われらは我等の武士道にたおれんのみとて憤戦ふんせんとどまらず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
出し居るにぞ八五郎は此所へ出來り我等われらが上んと云ながら引立ひきたてんとすれ共同人にもうごかねば八五郎は大いにきも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我等われら今度こんど下向候処げこうそろところ其方そのほうたい不束之筋有之ふつつかのすじこれあり馬附之荷物積所うまつけのにもつつみしょ出来申候しゅったいもうしそろつき逸々はやばや談志之旨だんしのむね尤之次第もっとものしだいおおきに及迷惑申候めいわくをおよぼしもうしそろよっ御本陣衆ごほんじんしゅうもって詫入わびいり酒代さかて差出申候さしだしもうしそろ仍而件如よってくだんのごとし
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
りくはうると、いつしかふねみなと目近まぢかすゝんで、桑港さうかう町々まち/\はついはなさきえる。我等われらとまるべきフェアモント・ホテルはたかをかうへつてる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
我等われら學校がくかう何時いつかはまこと詩人しゞんづることあらん。そのときまでは矢張やはり『ろ』で十分じふゞんかと存候ぞんじさふらふ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この一章を草せしのち図らず森先生の「旧劇の未来」と題する論文(雑誌『我等われら』四月号所載)を読みぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
吉兵衛を打ち殺したく思うももっともながら、もはや返らぬ事に殺生せっしょうするは、かえって菊之助が菩提ぼだいのため悪し、吉兵衛もあさましや我等われらへの奉公と思いてしたるべけれども
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
んなことかんがしたときには、仕方しかたいので——しかし、三千ねんぜん石器時代せききじだい住民じうみんは、今日こんにちまでも生存せいそんして我等われらかたる——とつたやうこと思浮おもひうかべて、しひなみだまぎらすのである。
片手かたてわざにもなつより手足てあしいろどりて、新年着はるぎ支度したくもこれをばてぞかし、南無なむ大鳥大明神おほとりだいめうじんひとにさへ大福だいふくをあたへたまへば製造せいぞうもとの我等われら萬倍まんばい利益りゑきをとひとごとにふめれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我等われらこのたび仰を受けたるは茶事に御用に立つべき珍らしき品を求むるほか他事なし、これが主命なれば、身命にけても果さでは相成らず、貴殿が香木に大金を出す事不相応なりと思されそろ
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
……幽暗ほのくら路次ろじ黄昏たそがれいろは、いま其処そことほごとに、我等われら最初さいしよ握手あくしゆの、如何いか幸福かうふくなりしかをかた申候まをしそろ貴女きぢよわすたまはざるべし、其時そのとき我等われら秘密ひみつてらせるたゞ一つの軒燈けんとうひかりを……
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
苦桃太郎にがもゝたらう不審ふしんおこし、我等われら神通力じんつうりきもつてかく飛行ひぎやうしなが
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
左樣さやうわたくしきみ確信くわくしんします、きみ我等われら同志どうしとして、永久えいきゆう秘密ひみつまもこと約束やくそくたまはゞ、誠心せいしんより三度みたびてんちかはれよ。
なすに右門の申やう我等われら同職どうしよくうちにて有徳うとくなるは肥前ひぜんなり此者を引入ひきいれなば金子の調達てうだつも致すべし此儀如何あらんと申ければ彌次六も大いによろこ早々さう/\夫となくかの肥前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いや、さまでに憂慮きづかひあるな、きみ御戲おたはむれさふらはむ、我等われらおとりなしまをすべし」といふ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同勢どうせいにんつてると、それは我等われらあひだすで名高なだかき、嶺千鳥窪みねちどりくぼ遺跡ゐせきである。
くるなら學校がくかうからものつくつたのでなければ、とても『ろ』の一語いちご我等われらかんずるやうなもの出來できないぞ、如何どうだろう?』と兒玉こだまいたのに二人ふたり異議いぎなく贊成さんせい
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
郵便爲替いうびんかはせにて證書面しようしよめんのとほりおおくり申候へども、りずば上杉うへすぎさまにて御立おたてかへをねがひ、諸事しよじ清潔きれいにして御歸おかへりなさるべく、かねゆへぢをおきなされては金庫きんこばんをいたす我等われらが申わけなく候
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のぞみの光我等われらを導く美しき小山のかたに。
我等われら兩人りようにん目指めざすコロンボにも、また櫻木海軍大佐等さくらぎかいぐんたいさら再會さいくわいすべきはづ橄欖島かんらんたうにも左迄さまではとほくない印度洋インドやうちうであつたことと。
其方そのはう懷妊くわいにんの由我等血筋に相違是なしもし男子なんし出生しゆつしやうに於ては時節を以て呼出すべし女子たらば其方の勝手に致すべし後日證據の爲め我等われらに添大切に致し候短刀たんたう相添あひそへつかはし置者也依て如件
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし時間じかんればうごかぬわけにいかない人車鐵道じんしやてつだうさへをはれば最早もうゐたも同樣どうやうそれちからはこはひると中等ちゆうとう我等われら二人ふたりぎりひろいのは難有ありがたいが二時間半じかんはん無言むごんぎやうおそるとおもつてると
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
到底とてもこれに相續そうぞく石油藏せきゆぐられるやうなもの身代しんだいけふりとりてのこ我等われらなにとせん、あとの兄弟けうだい不憫ふびん母親はゝおやちゝ讒言ざんげん絶間たえまなく、さりとて此放蕩子これ養子やうしにと申うくひと此世このよにはあるまじ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東京とうきやうにも歌人うたよみ大家先生たいかせんせい澤山たくさんあれど我等われらのやうに先生せんせい薫陶くんたう大島小學校おほしませうがくかうもんまなさふらふものならで、我等われら精神感情せいしんかんじやう唱歌しやうかうたいだるものるべきや、はなは覺束おぼつかなく存候ぞんじさふらふ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
家藏持參いへくらぢさん業平男なりひらをとこたまかほ我等われらづれに勿體もつたいなしお退きなされよたくもなしとつれなしやうしろむきにくらしきことかぎならべられても口惜くちをしきはそれならずけぬこゝろにあらはれぬむねうらめしく君樣きみさまこそは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
するどはらつておたかどのことばばかりはうれしけれど眞實まことやらなにやらこゝろまで芳之助よしのすけあやにくたず父御てゝごこゝろ大方おほかたれてあり甲斐性かひしよなしのいやになりてえんちどがさに計略三昧けいりやくざんまいかゝりし我等われらわなのうちのけもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)