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慰
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なぐさ
ふりがな文庫
“
慰
(
なぐさ
)” の例文
「うむ、そういうものかな、はははは、いや、大きにそうであろう。おれは何も、あれを一時の
慰
(
なぐさ
)
み物にするというのではないのだ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ロレ いや、
其
(
その
)
語
(
ことば
)
の
鋭鋒
(
きっさき
)
を
防
(
ふせ
)
ぐ
甲胄
(
よろひ
)
を
與
(
おま
)
さう。
逆境
(
ぎゃくきゃう
)
の
甘
(
あま
)
い
乳
(
ちゝ
)
ぢゃと
謂
(
い
)
ふ
哲學
(
てつがく
)
こそは
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
の
慰
(
なぐさ
)
め
草
(
ぐさ
)
ぢゃ、よしや
追放
(
つゐはう
)
の
身
(
み
)
とならうと。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
天晴
(
あつぱ
)
れ
一芸
(
いちげい
)
のある
効
(
かひ
)
に、
其
(
そ
)
の
術
(
わざ
)
を
以
(
もつ
)
て
妻
(
つま
)
を
償
(
あがな
)
へ!
魔神
(
まじん
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
楽
(
たの
)
しますものゝ、
美女
(
びじよ
)
に
代
(
か
)
へて
然
(
しか
)
るべきなら
立処
(
たちどころ
)
に
返
(
かへ
)
し
得
(
え
)
さする。——
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
須利耶さまがお従弟さまに
仰
(
お
)
っしゃるには、お前もさような
慰
(
なぐさ
)
みの
殺生
(
せっしょう
)
を、もういい
加減
(
かげん
)
やめたらどうだと、
斯
(
こ
)
うでございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自ら不良少女と
名乘
(
なの
)
ることによつて
僅
(
わず
)
かに
慰
(
なぐさ
)
んでゐる心の
底
(
そこ
)
に、
良心
(
りやうしん
)
と
貞操
(
ていさう
)
とを大切にいたわつているのを、人々は(
殊
(
こと
)
に
男子
(
だんし
)
に
於
(
おい
)
て)
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
▼ もっと見る
園長邸を訪ねた帆村は
心痛
(
しんつう
)
している夫人を
慰
(
なぐさ
)
め、
遺留
(
いりゅう
)
の上衣を丹念に調べてから何か手帖に書き止めると、
外
(
ほか
)
に園長の写真を一葉借り
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
心なき里人も世に痛はしく思ひて、色々の物など送りて
慰
(
なぐさ
)
むる
中
(
うち
)
、かの上﨟は
思
(
おもひ
)
重
(
おも
)
りてや、
病
(
や
)
みつきて程も
經
(
へ
)
ず返らぬ人となりぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ほんの一時の
慰
(
なぐさ
)
み物として、妾をそそのかしているのだと、このように思っていられるからであろうか? いやいやそんなはずはない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それをぼつぼつと摘まんで食べたのは、客などのきたときのただの
慰
(
なぐさ
)
みであって、
飢
(
うえ
)
を
凌
(
しの
)
ぐというのは始めからの目的でなかった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かく悲しく思いつづけつつ、われはなお茫然としておりたれど、一点の光だにわれを
慰
(
なぐさ
)
むるものもあらぬに、
詮方
(
せんかた
)
なくてやがていねたり。
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
その側から、
慰
(
なぐさ
)
め兼ねておろ/\して居るのは、『小父さん』と言はれる、故人と
眤懇
(
じつこん
)
の浪人者、跡部滿十郎といふ四十男です。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、そんな悔いさえ交じって、
可惜
(
あたら
)
、棒に振った生涯が、腹が立って、
堪
(
たま
)
らない。——しかし自分だけは、多少はやりかけた、と
慰
(
なぐさ
)
めた。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またその時予が
妻
(
さい
)
に
向
(
むかっ
)
て、今日福沢諭吉は
大丸
(
だいまる
)
ほどの
身代
(
しんだい
)
に成りたれば、いつにても予が宅に来て数日
逗留
(
とうりゅう
)
し、意を
慰
(
なぐさ
)
め給うべしとなり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
頼光
(
らいこう
)
は
娘
(
むすめ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めて、
教
(
おし
)
えられたとおり行きますと、なるほど大きないかめしい
鉄
(
てつ
)
の
門
(
もん
)
が
向
(
む
)
こうに
見
(
み
)
えて、
黒鬼
(
くろおに
)
と
赤鬼
(
あかおに
)
が
番
(
ばん
)
をしていました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それで、
時々
(
とき/″\
)
お手
紙
(
がみ
)
やお
歌
(
うた
)
をお
送
(
おく
)
りになると、それにはいち/\お
返事
(
へんじ
)
をさし
上
(
あ
)
げますので、やう/\お
心
(
こゝろ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めておいでになりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
忘
(
わす
)
れはせまじ餘り
情
(
なさけ
)
なき
仕方
(
しかた
)
なりと利兵衞を
恨
(
うら
)
みけるが吉三郎は
素
(
もと
)
より
孝心
(
かうしん
)
深
(
ふか
)
ければ母を
慰
(
なぐさ
)
め利兵衞殿斯の如く
約束
(
やくそく
)
を
變
(
へん
)
じ
音信
(
おとづれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それで
愛
(
あい
)
ちやんは、
慰
(
なぐさ
)
みに
雛菊
(
ひなぎく
)
で
花環
(
はなわ
)
を
造
(
つく
)
つて
見
(
み
)
やうとしましたが、
面倒
(
めんだう
)
な
思
(
おも
)
ひをしてそれを
探
(
さが
)
したり
摘
(
つ
)
んだりして
勘定
(
かんぢやう
)
に
合
(
あ
)
ふだらうかと
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
しかしその
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされた
夕刊
(
ゆふかん
)
の
紙面
(
しめん
)
を
見渡
(
みわた
)
しても、やはり
私
(
わたくし
)
の
憂鬱
(
いううつ
)
を
慰
(
なぐさ
)
むべく
世間
(
せけん
)
は
餘
(
あま
)
りに
平凡
(
へいぼん
)
な
出來事
(
できごと
)
ばかりで
持
(
も
)
ち
切
(
き
)
つてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ここはお国を何百里」と日ねもす
廻
(
めぐ
)
る木馬の
外
(
ほか
)
に、吹きなれたラッパの外に、もう一つ、彼を
慰
(
なぐさ
)
めるものが、待っていさえしたのである。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『
然
(
しか
)
らば、
天下
(
てんか
)
二
品
(
ひん
)
なんだ。まア
好
(
い
)
いです』と
余
(
よ
)
は
慰
(
なぐさ
)
めたが、
或
(
あるひ
)
は
又
(
また
)
兒島氏
(
こじまし
)
や
大瀧氏
(
おほたきし
)
の
處
(
ところ
)
にも、
天下
(
てんか
)
一
品
(
ぴん
)
が
屆
(
とゞ
)
いて
居
(
ゐ
)
はせぬか?
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
が、すすり
泣
(
な
)
きはじめた
奧
(
おく
)
さんの
肩
(
かた
)
に
手
(
て
)
をかけると、また心をとり
直
(
なほ
)
しながら、力
強
(
つよ
)
く、
慰
(
なぐさ
)
めるやうにその耳元にささやいた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
憎
(
にく
)
んでくれ。あなたがたは仲よく
慰
(
なぐさ
)
め合って暮らしてくれ。わしはそれを望む。わしはそれをねたんではならない。(
慟哭
(
どうこく
)
す)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
学生2 (
慰
(
なぐさ
)
めるように)第一、
橘
(
たちばな
)
先生がいけないんだよ。……いくらなんでも葵祭の翌日に試験をするなんて、あんまり非常識すぎるよ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「ほんによな、
痛
(
いた
)
かつぺえなそりや、そんでもおつかあが
居
(
ゐ
)
ねえから
働
(
はたら
)
かなくつちやなんねえな」
女房
(
にようばう
)
は
慰
(
なぐさ
)
めるやうにいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
僕はつねに失望する人を
慰
(
なぐさ
)
めんとするとき、あるいは
自
(
みずか
)
ら失望し
落胆
(
らくたん
)
せんとするとき、みずから励まして、「マア十年待て」といっている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
勧めて無理な勉強をさして、
此様
(
こん
)
な事になってしまって、まことに
済
(
す
)
みません、と
詫
(
わ
)
ぶる外に彼等は
慰
(
なぐさ
)
めの言を知らなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
夫
(
それ
)
から大病中
徒然
(
つれづれ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めるため繪(繪といふ名はちと
分
(
ぶん
)
に過ぎるから、繪のやうなものと云つた方が適切ですが)
其
(
その
)
繪を描いて遊んでゐると
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何物にも
慰
(
なぐさ
)
まなかった小さな心が、
縹渺
(
ひょうびょう
)
とした海の単調へ溶けるように同化してしまうのを感じて、
爽
(
さわ
)
やかな
眩暈
(
めまい
)
を覚えた。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
中川「先方の人物次第で病中の
慰
(
なぐさ
)
みになるような高潔の書籍とかあるいは西洋風に美しい花なぞを持って行くのが一番だね。 ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
二人はぶるぶるふるえながら、しっかりと
抱
(
だ
)
き合って、子供らしい言葉で
互
(
たが
)
いに
慰
(
なぐさ
)
め合うよりしかたがありませんでした。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
これは
只
(
ただ
)
の
慰
(
なぐさ
)
めの
言葉
(
ことば
)
よりも
幾分
(
いくぶん
)
かききめがあったようで、
母
(
はは
)
はそれからめっきりと
楽
(
らく
)
になって、
間
(
ま
)
もなく
気息
(
いき
)
を
引
(
ひ
)
きとったのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
けれど、
病気
(
びょうき
)
であったなら、
母
(
はは
)
も、
祖母
(
そぼ
)
も、かならず
口
(
くち
)
をそろえて、「おおかわいそうに。」といって、
帰
(
かえ
)
った
自分
(
じぶん
)
を
慰
(
なぐさ
)
めてくれるにちがいない。
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こんな
出鱈目
(
でたらめ
)
な色刷でも
無聊
(
ぶりょう
)
な壁を
慰
(
なぐさ
)
めるものだ。灯が
柔
(
やわらか
)
いせいか、濡れているように海の色などは青々と眼にしみた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
客窓の
徒然
(
つれづれ
)
を
慰
(
なぐさ
)
むるよすがにもと眼にあたりしままジグビー、グランドを、
文魁堂
(
ぶんかいどう
)
とやら云える
舗
(
みせ
)
にて
購
(
こ
)
うて帰りぬ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この時の事勢においてこれを
抑制
(
よくせい
)
すること
能
(
あた
)
わず、ついに
姑息
(
こそく
)
の
策
(
さく
)
に
出
(
い
)
で、その執政を
黜
(
しりぞ
)
けて一時の人心を
慰
(
なぐさ
)
めたり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あんなに
大勢
(
おほぜい
)
女のゐる中で、どうして自分は一人も自分を
慰
(
なぐさ
)
めてくれる相手に
邂逅
(
めぐりあ
)
はないのであらう。
誰
(
た
)
れでもいゝ。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
北海道の人里はなれた植民地に咲く福寿草は、そこに
孤独
(
こどく
)
な生活を送る人々の心を、どんなに
慰
(
なぐさ
)
めることでしょう。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
気のいい老父は、よかれ
悪
(
あし
)
かれ三人の父親である耕吉の、泣いて弁解めいたことを言ってるのに哀れを
催
(
もよお
)
して、しまいにはこう
慰
(
なぐさ
)
めるようにも言った。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
えゝどうも
今日
(
こんにち
)
は何もお
慰
(
なぐさ
)
みもなく、お叱りを受けるかは存じませんが、亭主が深川の芸者を呼び置きましたと申すことで、
一寸
(
ちょっと
)
お酌を取りましても
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、その苦しさも、ハワイの素晴しい自然が、すぐ
慰
(
なぐさ
)
めてくれ、甘いものとする。そう考えるほど、ぼくは自分のなかだけで、恋情を育てていたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
『
何
(
なに
)
、
左樣
(
さう
)
でない、
此
(
この
)
獸
(
じう
)
は
泥土
(
どろ
)
と、
松脂
(
まつやに
)
とで、
毛皮
(
けがわ
)
を
鐵
(
てつ
)
のやうに
固
(
かた
)
めて
居
(
を
)
るのだから、
小銃
(
せうじう
)
の
彈丸
(
たま
)
位
(
ぐらい
)
では
容易
(
ようゐ
)
に
貫
(
つらぬ
)
く
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
ないのさ。』と
私
(
わたくし
)
は
慰
(
なぐさ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
詫
(
わび
)
るやうに
慰
(
なぐさ
)
められて、
夫
(
それ
)
でもと
椀白
(
わんぱく
)
も
言
(
い
)
へず、しくしく
泣
(
な
)
きに
平常
(
つね
)
の
元氣
(
げんき
)
なくなりて、
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
姿
(
すがた
)
可憐
(
いぢら
)
し。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
なん
)
となれば、
無智
(
むち
)
には
幾分
(
いくぶん
)
か、
意識
(
いしき
)
と
意旨
(
いし
)
とがある。が、
作用
(
さよう
)
には
何
(
なに
)
もない。
死
(
し
)
に
対
(
たい
)
して
恐怖
(
きょうふ
)
を
抱
(
いだ
)
く
臆病者
(
おくびょうもの
)
は、
左
(
さ
)
のことを
以
(
もっ
)
て
自分
(
じぶん
)
を
慰
(
なぐさ
)
めることが
出来
(
でき
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お前はまるで、この宇宙のあらゆる財宝を、ひとり
占
(
じ
)
めにしているかのようだ。
憂愁
(
ゆうしゅう
)
でさえ、お前にとっては
慰
(
なぐさ
)
めだ。
悲哀
(
ひあい
)
でさえ、お前には似つかわしい。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
芸者が来ると、蝶子はしかし、ありったけの芸を出し切って一座を
浚
(
さら
)
い、土地の芸者から「
大阪
(
おおさか
)
の芸者衆にはかなわんわ」と言われて、わずかに心が
慰
(
なぐさ
)
まった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
すると
急
(
きゅう
)
に
生徒監
(
せいとかん
)
はシューラにやさしくなって、
頭
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でたり、
慰
(
なぐさ
)
めたり、
服
(
ふく
)
を着るのを手伝ったりした。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
この二人を見ることだけで、この二人の世話をしてあげることだけで、私の心はやっと
慰
(
なぐさ
)
められていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
見ると、いつのまにか
矢車草
(
やぐまるそう
)
の森の精がうしろに立っていました。それでも王子は帰ろうとされませんでした。けれど千草姫は、むりに王子を
慰
(
なぐさ
)
めて帰らせました。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして、ちょうどいまわたしにほほえみかけているのと同じように、
箱船
(
はこぶね
)
の上にほほえみかけて、やがて花
咲
(
さ
)
き出ようとする新しい世界の
慰
(
なぐさ
)
めをもたらしたのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
動かしたのなら有難いけれども多分
一場
(
いちじょう
)
の笑い草にしてやろうという
慰
(
なぐさ
)
み半分のいたずらであるとしか思えなかったしそれに人前で聴かせるほどの自信もなかった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
慰
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“慰”を含む語句
慰藉
慰撫
御慰
慰藉料
慰安
安慰
言慰
慰楽
慰問
慰労
腹慰
慰草
慰樂
手慰
弔慰
慰藉金
心慰
慰斗
慰藉者
慰物
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