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徹
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とほ
ふりがな文庫
“
徹
(
とほ
)” の例文
こんな
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
るやうな感じの女が、どう間違つて伊丹屋の駒次郎などの思ひ者になつて居たことか、平次にはそれが不思議でなりません。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
天守
(
てんしゆ
)
の
下
(
した
)
へも
穴
(
あな
)
が
徹
(
とほ
)
つて、お
城
(
しろ
)
の
抜道
(
ぬけみち
)
ぢや
言
(
い
)
ふ
不思議
(
ふしぎ
)
な
沼
(
ぬま
)
での、……
私
(
わし
)
が
祖父殿
(
おんぢいどん
)
が
手細工
(
てざいく
)
の
船
(
ふね
)
で、
殿様
(
とのさま
)
の
妾
(
めかけ
)
を
焼
(
や
)
いたと
言
(
い
)
つけ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
逆手
(
さかて
)
に取直し胸の
邊
(
あた
)
りへ押當て
柄
(
つか
)
も
徹
(
とほ
)
れと
刺貫
(
さしつらぬ
)
き止めの一刀引拔ば爰に命は
消果
(
きえはて
)
ぬ
實
(
げ
)
に世に不運の者も有者哉夫十兵衞は兄長庵の爲に命を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、風は黒雲を巻き落いて、息もつかすまじいと吹きどよもす。雨も
川面
(
かはづら
)
を
射白
(
いしら
)
まいて、底にも
徹
(
とほ
)
らうずばかり降り注いだ。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夜が更けるに従つて秋めいた星
月夜
(
づきよ
)
となつたが、河筋を伝つて北から吹く風が
今日
(
けふ
)
俄
(
にはか
)
に取出した冬服を
徹
(
とほ
)
して寒い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
聖ピエトロの
伽藍
(
がらん
)
には中央なる大穹窿、左右の小穹窿、正面の
簷端
(
のきば
)
、悉く透き
徹
(
とほ
)
りたる紙もて製したる燈籠を懸け連ねたるが、その排置いと巧なれば
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「けどもネ、梅子さん、」と銀子は
容
(
かたち
)
を
改
(
あらた
)
めつ「
貴嬢
(
あなた
)
は
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
も独身主義を
遣
(
や
)
り
徹
(
とほ
)
さうと云ふ御決心なの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
總身
(
そうみ
)
が
寒
(
さむ
)
け
立
(
だ
)
って、
血管中
(
けっくわんぢゅう
)
に
沁
(
し
)
み
徹
(
とほ
)
る
怖
(
おそ
)
ろしさに、
命
(
いのち
)
の
熱
(
ねつ
)
も
凍結
(
こゞ
)
えさうな!
寧
(
いっ
)
そ
皆
(
みな
)
を
呼戻
(
よびもど
)
さうか?
乳母
(
うば
)
!……えゝ、
乳母
(
うば
)
が
何
(
なん
)
の
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つ?
怖
(
おそろ
)
しい
此
(
この
)
一
場
(
ば
)
は
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
其
(
その
)
我
(
わが
)
まゝの
徹
(
とほ
)
らぬ
事
(
こと
)
もあるまじきなれど、
愁
(
つ
)
らきは
養子
(
やうし
)
の
身分
(
みぶん
)
と
桂次
(
けいじ
)
はつく/″\
他人
(
たにん
)
の
自由
(
じゆう
)
を
羨
(
うら
)
やみて、これからの
行
(
ゆ
)
く
末
(
すゑ
)
をも
鎖
(
くさ
)
りにつながれたるやうに
考
(
かんが
)
へぬ。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
庖厨
(
はうちゆう
)
の膳棚の下へ逃げかくれしかば、公、御刀を棚下へさし入れて、へし付け給ふに手にも覚えず刃
徹
(
とほ
)
りて管内死してけり、是れに依つてかくは名づけ給ふとぞ——
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして林は虔十の居た時の通り雨が降ってはすき
徹
(
とほ
)
る冷たい
雫
(
しづく
)
をみじかい草にポタリポタリと落しお日さまが輝いては新らしい奇麗な空気をさはやかにはき出すのでした。
虔十公園林
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
独照は女を
庫裏
(
くり
)
に連れ込み、
湿
(
ぬ
)
れ
徹
(
とほ
)
つたその着物を脱がせて鼠色の自分の着物を
被
(
き
)
せてやつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この
囮
(
をとり
)
になる
鳥
(
とり
)
の
呼聲
(
よびごゑ
)
は、
春先
(
はるさき
)
から
稽古
(
けいこ
)
をした
聲
(
こゑ
)
ですから、
高
(
たか
)
い
空
(
そら
)
の
方
(
はう
)
までよく
徹
(
とほ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その淵も瀬に移るところは浅くなつてその底は透き
徹
(
とほ
)
るやうな砂であるから、
水遊
(
みづあそび
)
する
童幼
(
どうえう
)
は白い小石などを投げ入れて水中で目を明いてそれの
拾競
(
ひろひくら
)
をしたりするのであつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
たゞ単調に澄んでゐたものの
中
(
うち
)
に、色が幾通りも
出来
(
でき
)
てきた。
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
る
藍
(
あゐ
)
の
地
(
ぢ
)
が消える様に次第に
薄
(
うす
)
くなる。其上に白い雲が
鈍
(
にぶ
)
く
重
(
かさ
)
なりかゝる。
重
(
かさ
)
なつたものが溶けて
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
す。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
四壁沈々、澄み
徹
(
とほ
)
りたる
星夜
(
ほしよ
)
の空の如く、わが心一念の
翳
(
くもり
)
を
著
(
つ
)
けず、
冴
(
さ
)
えに冴えたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
月の光に
影
(
かげ
)
暗
(
くら
)
き、
杜
(
もり
)
の繁みを
徹
(
とほ
)
して、
微
(
かすか
)
に燈の
光
(
ひかり
)
見ゆるは、げに
古
(
ふ
)
りし庵室と覺しく、隣家とても有らざれば、
闃
(
げき
)
として死せるが如き夜陰の靜けさに、
振鈴
(
しんれい
)
の
響
(
ひゞき
)
さやかに聞ゆるは
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その
刹那
(
せつな
)
に Key-y-y-y と電車のカアブする音が、眉の間を刺し
徹
(
とほ
)
す。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
そこまで自分の意志を
徹
(
とほ
)
すことは出來ないのか? それは實行し得ることではないのか? 出來る! 出來る——もし私にその意志を
徹
(
とほ
)
す方法を探し出すだけの
敏活
(
びんくわつ
)
な頭さへあつたら
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
其都度、私は
左右
(
かにかく
)
と故障を拵へて一緒に遊ぶまいとする。母は
憐愍
(
あはれみ
)
の色と
悲哀
(
かなしみ
)
の影を眼一杯に湛へて、当惑気に私共の顔を等分に
瞰下
(
みおろ
)
すのであつたが、結局矢張私の
自由
(
わがまま
)
が
徹
(
とほ
)
つたものである。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼
(
かれ
)
は
髮
(
かみ
)
が
餘計
(
よけい
)
に
濕
(
うるほ
)
ひを
増
(
ま
)
して
悉皆
(
みんな
)
の
耳
(
みゝ
)
の
底
(
そこ
)
に
徹
(
とほ
)
る
程
(
ほど
)
呶鳴
(
どな
)
つて
見
(
み
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ひたおもて君が
直
(
すぐ
)
なる
言挙
(
ことあげ
)
は
聴
(
きき
)
いさぎよし心に
徹
(
とほ
)
る (加納子爵)
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
かくて浮ぶるわが「
宿世
(
すぐせ
)
」、瞳
徹
(
とほ
)
れる
手弱女
(
たをやめ
)
の
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
「今朝ツからどうもこれに酷い目に遇ひつゞけで……
加
(
おま
)
けに今日は馬車がおそろしく混んで、その中で始めから終ひまでこの通りで、もうさん/″\でござんした。」と云ひながら父親は「仙二郎、おとなしくしねエか。うちぢやねエんだぞ。」と叱つたが少しも父親の威厳は
徹
(
とほ
)
らず却つて仙二郎はワツと大声を
鞭撻
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
拔手
(
ぬきて
)
も見ず
柄
(
つか
)
も
徹
(
とほ
)
れと突立れば哀むべし天一は
其儘
(
そのまゝ
)
其處へ倒れ伏ぬ天忠は
仕遂
(
しすまし
)
たりと法衣を
脱捨
(
ぬぎすて
)
裾
(
すそ
)
をからげ
萬毒
(
ばんどく
)
の木の根を
掘
(
ほり
)
て天一が
死骸
(
しがい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「お縫ですよ、——
此方
(
こつち
)
がお萬よりぐつと綺麗だから變ぢやありませんか、——色白で上品で、
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
るやうな娘ですよ」
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鶯の如き
吭
(
のど
)
ありといふ、美しき外國婦人の夜を
徹
(
とほ
)
して護り居たるに、醫者は心を勞し給ふな、
本復
(
ほんぷく
)
疑なしといひきとぞといふ。我を伴ひ來し男の云はく。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その我ままの
徹
(
とほ
)
らぬ事もあるまじきなれど、
愁
(
つ
)
らきは養子の身分と桂次はつくづく他人の自由を
羨
(
うら
)
やみて、これからの行く末をも鎖りにつながれたるやうに考へぬ。
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
高朗の気
骨
(
ほね
)
に
徹
(
とほ
)
り清幽の情肉に浸む
朝
(
あした
)
の趣こそ比ぶるに物なけれ、今しも
仰
(
あふい
)
で彼の天成の
大画
(
たいぐわ
)
に
双眸
(
さふぼう
)
を放ち、
俯
(
ふ
)
して此の自然の妙詩に
隻耳
(
せきじ
)
を傾け、
樹
(
こ
)
の
間
(
ま
)
をくぐり芝生を
辿
(
たど
)
り
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
このくらゐの
雨
(
あめ
)
は、
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
笠
(
がさ
)
に
及
(
およ
)
ぶものかと、
半纏
(
はんてん
)
ばかりの
頬被
(
ほゝかぶり
)
で、
釣棹
(
つりざを
)
を、
刺
(
さ
)
いて
見
(
み
)
しよ、と
腰
(
こし
)
にきめた
村男
(
むらをとこ
)
が、
山笹
(
やまざさ
)
に
七八尾
(
しちはつぴき
)
、
銀色
(
ぎんいろ
)
の
岩魚
(
いはな
)
を
徹
(
とほ
)
したのを、
得意顏
(
したりがほ
)
にぶら
下
(
さ
)
げつゝ
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あらゆる物の形を
徹
(
とほ
)
してその心を見、その心の上に物の調和を味はふことに馴れてゐる利休の眼は、最初にちらとこの肩衝を見た時から、この茶入の持つ心持がどうも気に入らなかつた。
利休と遠州
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今年も、もう空に、透き
徹
(
とほ
)
った秋の粉が一面散り渡るやうになりました。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一つゐる葭切のこゑはすがすがし広間
徹
(
とほ
)
りて
家裏
(
やうら
)
に響けり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
透影
(
すいかげ
)
にして浮び
添
(
そ
)
ひ映り
徹
(
とほ
)
りぬ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
も
徹
(
とほ
)
す
桑
(
くは
)
の
弓
(
ゆみ
)
張裂
(
はりさく
)
胸
(
むね
)
を
押鎭
(
おししづ
)
め打果さでや置べきかと
裾
(
すそ
)
短
(
みじ
)
かに
支度
(
したく
)
を爲し既に一刀
佩
(
たば
)
さんて
出行
(
でかけ
)
んとする其の
折柄
(
をりから
)
後ろの
襖
(
ふすま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あまりのことに、口をきく者もなく、平次の言葉は、靜かですが、地獄の判官の宣告のやうに、よく
徹
(
とほ
)
ります。
銭形平次捕物控:260 女臼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あれが頭の子でなくばと
鳶人足
(
とびにんそく
)
が女房の
蔭口
(
かげぐち
)
に聞えぬ、心一ぱいに我がままを
徹
(
とほ
)
して身に合はぬ
巾
(
はば
)
をも広げしが、
表町
(
おもてまち
)
に田中屋の
正太郎
(
しようたらう
)
とて歳は我れに三つ劣れど
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
筋骨逞ましき男六人
艣
(
ろ
)
を
搖
(
うごか
)
せり。畫にしても見まほしき美少年一人
柁
(
かぢ
)
の傍に
蹲
(
うづくま
)
りたるが、名を問へばアルフオンソオと答ふ。水は緑いろにして
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
り、
硝子
(
ガラス
)
もて張りたる如し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
最
(
もつと
)
も
身体
(
からだ
)
を
蓋
(
ふた
)
に
為
(
し
)
て
畚
(
びく
)
の
魚
(
さかな
)
を
抱
(
だ
)
いてゞも
居
(
ゐ
)
れば、
如何
(
いか
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
に
業通
(
ごふつう
)
が
有
(
あ
)
つても、まさかに
骨
(
ほね
)
を
徹
(
とほ
)
しては
抜
(
ぬ
)
くまい、と
一心
(
いつしん
)
に
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
れば、
沼
(
ぬま
)
の
真中
(
まんなか
)
へひら/\と
火
(
ひ
)
を
燃
(
もや
)
す、はあ、
変
(
へん
)
だわ
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軍医は切り取つた心の臓を
洋盃
(
コツプ
)
のなかに入れて、
卓子
(
テーブル
)
の上においた。多くの軍人の血と、多くの美人の涙にも、平気で堪へる事の出来た心の臓は、
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
つた
硝子
(
がらす
)
の底で蛙のやうに
顫
(
ふる
)
へてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
貴女
(
あなた
)
の御一身は
私
(
わたくし
)
が御引き受け致しました、御安心なさい』と仰しやつた御一言が、
森
(
しん
)
と骨にまで
浸
(
し
)
み
徹
(
とほ
)
りましてネ、有り難いのやら、嬉しいのやら、訳なしに涙が
湧
(
わ
)
き出るぢやありませんか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
天
(
てん
)
の路ひとすぢ
徹
(
とほ
)
り遥かなり今飛ぶべきはこの航路のみ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
直ぐ樣川向うの百姓家へ行つて、
窶
(
やつ
)
れ果て乍らも、
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
るやうに美しいお夏を救ひ出した時、念のために物置を見ると、何處から盜み溜めたか、
菅笠
(
すげがさ
)
が十八。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一切
(
いつさい
)
衆生
(
しゆうじやう
)
すて
物
(
もの
)
に、
我
(
わが
)
まヽらしき
境界
(
きやうがい
)
こヽろには
涙
(
なみだ
)
を
呑
(
の
)
みて、
憂
(
う
)
しや
廿歳
(
はたち
)
のいたづら
臥
(
ぶし
)
、一
念
(
ねん
)
かたまりて
動
(
うご
)
かざりけるが、
岩
(
いは
)
をも
徹
(
とほ
)
す
情
(
なさけ
)
の
矢
(
や
)
の
根
(
ね
)
に
敏
(
さとし
)
がこと
身
(
み
)
にしみ
初
(
そめ
)
て
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
み冬づく西湖の
鱸
(
すずき
)
よく冷えて釣られたりけり
徹
(
とほ
)
る
気先
(
きさき
)
に
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と
入道
(
にふだう
)
が
耳
(
みゝ
)
を
貫
(
つらぬ
)
いて、
骨髄
(
こつずゐ
)
に
徹
(
とほ
)
る
事
(
こと
)
を、
一言
(
ひとこと
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
人間が賢こくて、諸藝にも達し、人に物を言はせない女だけに、その淋しさ苦しさは骨身に
徹
(
とほ
)
つたことだらう。時々人前で裸體にならうとしたのも、その病氣の一つだ。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
過ぎし故郷を
出立
(
しゆつたつ
)
の当時ないて姉をば送りしこと夢のやうに思はれて、今日この頃の全盛に父母への孝養うらやましく、お職を
徹
(
とほ
)
す姉が身の、
憂
(
う
)
いの
愁
(
つ
)
らいの数も知らねば
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
兵士
(
つはもの
)
はうやまひあつし
竹刀
(
しなひ
)
とりお前にとうと聲
徹
(
とほ
)
り撃つ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
唯
(
たゞ
)
亂暴
(
らんぼう
)
一
途
(
づ
)
に
品川
(
しながは
)
へも
足
(
あし
)
は
向
(
む
)
くれど
騷
(
さわ
)
ぎは
其座
(
そのざ
)
限
(
ぎ
)
り、
夜中
(
よなか
)
に
車
(
くるま
)
を
飛
(
と
)
ばして
車町
(
くるまゝち
)
の
破落戸
(
ごろ
)
がもとをたゝき
起
(
おこ
)
し、それ
酒
(
さけ
)
かへ
肴
(
さかな
)
と、
紙入
(
かみい
)
れの
底
(
そこ
)
をはたきて
無理
(
むり
)
を
徹
(
とほ
)
すが
道樂
(
だうらく
)
なりけり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
徹
常用漢字
中学
部首:⼻
15画
“徹”を含む語句
透徹
貫徹
徹宵
徹夜
夜徹
澄徹
徹頭徹尾
徹底
一徹
徹底的
見徹
虎徹
大悟徹底
冷徹
押徹
石徹白
一徹者
途徹
徹書記
明徹
...