名人めいじん)” の例文
名人めいじんうらなしゃは、もはやこのまちにはいませんでした。たびからたびへ、わたどりのようにあるうらなしゃは、どこへかいってしまったのです。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
などゝいふから、益々ます/\国王こくわう得意とくいになられまして、天下てんかひろしといへども、乃公おれほどの名人めいじんはあるまい、と思つておいでになりました。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
むらの人たちもこまりきって、みやこだかい大工だいく名人めいじんんでて、こんどこそけっしてながれない、丈夫じょうぶはしをかけてもらうことにしました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
名人めいじんとか上手じょうずとか評判ひょうばんされているだけに、坊主ぼうずぶ十七八の弟子でしほかは、ねこぴきもいない、たった二人ふたりくらしであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
このひとは、日本につぽん敍景じよけいうたの、まづはじめての名人めいじんといつてもさしつかへのないひとで、こののち次第しだいに、かうした方面ほうめんにすぐれたひとます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
この匡衡まさひら漢文かんぶんや、ほう至極しごく名人めいじんであつたが、そのうへうたもこのとほり、うまくんだとかたつたへたそうです。
六ばんめの妖女は、どんな楽器がっきにも、名人めいじんの名をおとりになりますように、といいました。いよいよおしまいに、おばあさんの妖女の番になりました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
前足まへあしめたり、かほあらつたりしてゐるの——つてれば可愛かあいいものよ——鼠捕ねずみとりの名人めいじんだわ——オヤ、御免ごめんよ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いよいよ第一日の一ばん試合しあいは、太子流たいしりゅう強弓ごうきゅうをひく氏家十左衛門うじいえじゅうざえもんと、大和流やまとりゅう軟弓なんきゅうをとっての名人めいじん長谷川監物はせがわけんもつとの射術しゃじゅつくらべで口火くちびを切ることになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この法師は、だれひとり身よりもなく、また、ひどく貧乏びんぼうでした。いかに、びわの名人めいじんとはいえ、そのころは、まだそれでくらしをたてるわけにはいきませんでした。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ぐとおつしやれば是非ぜひなけれど、下手へた出來できなばかへりて姉樣ねえさまわらはれ、若樣わかさままけものなり、うなされ、はゆるゆると後日ごにちことになし、吾助ごすけよりもうた名人めいじんにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「へっへっへ、そんなことは心えていますよ。やつをころしてしまうようなへまはやりませんよ。足をねらいますよ。おれは足をねらう名人めいじんなんだよ。さあ、かんぬきをはずしなさい」
「おまえはいまにきっと名人めいじんになれる。おれが先生にたのんでやる。」
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
山門に限らず仏語ぶつごには漢音の用語多し。さてこの句のあたいを論ぜんに、もとより余韻ある句にあらねど一句のしまりてたるみなき処名人めいじんの作たるに相違なく、た冬至の句としては上乗の部に入るべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「ええ。やめることは名人めいじんですよ。三越も二月か三月でやめました」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
おじいさんは、このあたりでは、だれ一人ひとり、「うみおうさま」といえば、らぬものはないほど、船乗ふなのりの名人めいじんでありました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このころにも、このお二方ふたかたりまいて、名人めいじんといつてよい人々ひと/″\だいぶんゐるのですが、そのおはなしは、只今たゞいまいたしません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ところがよほど見分みわけにくいうまえて、名高なだかいばくろうの名人めいじんでも、やはりくびをかしげてかんがむばかりでした。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
鼠捕ねずみとりの名人めいじんだわ!あァうだ、とりけるところせてあげたいのね!それこそたまちやんはれをるがはやいか、ぐに小鳥ことりなどはつてべてしまつてよ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
名人めいじん由斎ゆうさいに、こころうちちあけて、三年前ねんまえ中村座なかむらざた、八百お七の舞台姿ぶたいすがたをそのままの、生人形いきにんぎょうたのんだ半年前はんとしまえから、おせんはきょうか明日あすかと、出来できあが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
吾助ごすけ上手じやうずなれどうたはうなほ名人めいじんゆゑ、これを御覽ごらんれさへすれば、ぼくつと吾助ごすけひたり、てばぼく小刀ないふぼくのにて、姉樣ねえさまのごむ人形にんぎやうはお約束やくそくゆゑいたゞくのなり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
盲目めくらへびじず——人もあろうに戒刀かいとう名人めいじん龍太郎りゅうたろうと、血色塗ちいろぬりのやりをとって向こうところてきなき小文治のまえに立って、泥棒どろぼうよばわり、うでまくりは、にくむべきうちもない滑稽こっけいごとである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひめさまは、このなかに、自分じぶんほど、よいこえのものはないとおもっていられました。また、自分じぶんほど音楽おんがく名人めいじんはないとかんがえていられました。
町のお姫さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしはかういふことの自由じゆう出來できるのが名人めいじんだとおもはれたのですが、いまではかへって、文學ぶんがくあぢはうへ足手纏あしてまとひとして、けねばならぬことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
大工だいくはせっかく見込みこまれてたのまれたので、うんといってけてはみたものの、いよいよそのてみて、さすがの名人めいじんも、あっといっておどろきました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おやなればめるではけれど細工さいくまこと名人めいじんふてもひと御座ござんした、なれども名人めいじんだとて上手じやうづだとて私等わたしらうちのやうにうまれついたはにもなること出來できないので御座ござんせう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
石投いしなげの名人めいじん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みんなは、陶器とうきについて、見分みわけるだけの鑑識かんしきはなかったけれど、そういわれてのぞきますと、さすがに名人めいじんさくだというこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるとき清原武則きよはらたけのりというこれもゆみ名人めいじん名高なだかかった人が、義家よしいえのほんとうの弓勢ゆんぜいりたがって、丈夫じょうぶよろい三重みかさねまで木の上にかけて、義家よしいえさせました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
利助りすけというような名人めいじんがあったのに、どうしていままでられなかったろう。」と、陶器とうき愛好家あいこうか一人ひとりがいいますと
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
八幡太郎はちまんたろうゆみ名人めいじんでしたけれど、人並ひとなみとちがったつよゆみくということはなかったのですが、為朝ためともせいたかさが七しゃくもあって、ちからつよい上に、うで人並ひとなみよりなが
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるのこと、沖合おきあいで、汽船きせん衝突しょうとつして、一そうはしずみ、ついに行方不明ゆくえふめいのものが、八にんあったそうだ。あのひとは、うみへくぐる名人めいじんだってな。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
元々もともと武芸ぶげい家柄いえがらである上に、まれ弓矢ゆみや名人めいじんで、その上和歌わかみちにも心得こころえがあって、礼儀作法れいぎさほうのいやしくない、いわば文武ぶんぶ達人たつじんという評判ひょうばんたかい人だったのです。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「そうですか、そんなら、わたしも、あなたといっしょにいって、その口笛くちぶえ名人めいじんについて、めずらしいとり研究けんきゅうをいたします。」と、先生せんせいがいいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のち清明せいめいせいをかえて、阿倍あべ晴明せいめいといった名高なだかうらないの名人めいじんはこの童子どうじのことです。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うみおうさま」と、おじいさんが、みんなからいわれたということをくと、あには、どうかして自分じぶん船乗ふなのりの名人めいじんになりたいものだとかんがえたのです。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道満どうまんはそのときまで日本にっぽん一の学者がくしゃで、天文てんもんうらないの名人めいじんという評判ひょうばんでしたが、こんどは天子てんしさまの御病気ごびょうきなおすことができないで、その手柄てがら子供こどもられてしまったのですから
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるたけおは、おとなりのおじさんと、りにいきました。おじさんは、りの名人めいじんでした。いつも、どこかのかわでたくさんさかなってこられました。
花かごとたいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
天子様てんしさまのおそばにつかえて、天文てんもんうらないでは日本にっぽん一の名人めいじんという評判ひょうばんだったのをさいわい、あるとき悪右衛門あくうえもん道満どうまんたのんで、てもらいますと、奥方おくがた病気びょうきはただのくすりではなおらない
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ああ、あの名人めいじんのおじいさんはくなりましたよ。まぐれもので、自分じぶんつくった人形にんぎょうにさえ、ききらいをつけたひとですが……もうあのみせはありません。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふ、ふ、ふ、おまえ、いくら名人めいじんでも、大工だいくにゃあこのはしはかからないぞ。」
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「いくら、名人めいじんましても、ほんとうにわかるひとがなければ、られずにしまうのでございましょうね。」
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なるほどそのみち名高なだか名人めいじんたちのすることは、さすがにちがったものだ。」
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
くまさんが、ふえ名人めいじんであることは、むらひとらぬものはありません。子供こどもたちは、だまって、くまさんのふえおときながら、おきほうをながめていました。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
忠明ただあきらという名人めいじん医者いしゃ来合きあわせていました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おじさん、このひとは、ふえ名人めいじんですよ。」と、一人ひとり子供こどもが、くまさんのことを、旅人たびびと紹介しょうかいしました。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほんとうにこまどりは、うそをいうことの名人めいじんです。あなたは、いままで、それをしんじていたのですか。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼく殺生せっしょうはきらいだ。もし、おじさんが、ほんとうに名人めいじんなら、このおかめどんぐりをっておせよ。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、正直しょうじきな「とり老人ろうじん」として、このまち付近ふきんには評判ひょうばんされました。このひとの、とり象眼ぞうがんは、きゅうに、名人めいじん技術ぎじゅつだとうわさされるにいたりました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのおとこは、まったく人間にんげんともおもわれなかった早業はやわざ名人めいじんで、また、さるのように、すばしこくうえのぼることもできれば、またかぜのように、すこしのすきまがあれば
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)