“口火”の読み方と例文
読み方割合
くちび100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いよいよ第一日の一ばん試合しあいは、太子流たいしりゅう強弓ごうきゅうをひく氏家十左衛門うじいえじゅうざえもんと、大和流やまとりゅう軟弓なんきゅうをとっての名人めいじん長谷川監物はせがわけんもつとの射術しゃじゅつくらべで口火くちびを切ることになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久し振りで二十両の大金を受け取った六十六部は、その晩すぐに服装みなりをこしらえて吉原へ遊びに行った。それが口火くちびになって彼の殊勝らしい性根はだんだんに溶けてしまった。
半七捕物帳:19 お照の父 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一人口火くちびを切つたからたまらない。練馬大根ねりまだいこんと言ふ、おかめとわめく。雲の内侍ないじと呼ぶ、あめしよぼを踊れ、と怒鳴どなる。水の輪の拡がり、嵐の狂ふ如く、聞くも堪へない讒謗ざんぼう罵詈ばりいかずちの如くどっく。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)