反対はんたい)” の例文
旧字:反對
あたりまえならばあね王位おういをつぐのが順序じゅんじょでありますから、まち人民じんみんは、なんといって、反対はんたいすまいものでもなかったのであります。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんどは用吉君ようきちくんが、得意とくい相手あいてくびをしめにかかったが、反対はんたい自分じぶんくびをしめつけられ、ゆでだこのようになってしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかし奇妙きみょうなことには、重吉は目から鼻へけるほどの利口者りこうものでしたが、六兵衛は反対はんたいに何をやらせても、のろまで馬鹿ばかでした。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「おまえたちは、それぞれ反対はんたいのがわから森にはいっていくがよい。そのほうが、いっそうたしかにけものを見つけることができよう。」
空にはうすい雲がすっかりかかり、太陽たいようは白いかがみのようになって、雲と反対はんたいせました。風が出て来てられない草は一面いちめんなみを立てます。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これに反対はんたいしたる開化党は多く年長としたけたる士なりしが、其かしらにたちて事をなす学者二人ありて、皆陽明学者なりし、その一人は六郎が父なりき。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
花前になると、それが反対はんたいになって、近い左右前後さゆうぜんごはいつでも明瞭めいりょうであって、遠い前後や広い周囲しゅういはまるでくらやみである。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
これをきいて敦子あつこさまはべつ反対はんたいもしませんでしたが、さりとてまたほどおもいかえしてくれる模様もようえないのでした。
どこかで秀吉がつまずけかし、といのっているのに、その反対はんたいなうわさばかりが飛んできて、ここしばらくのあいだ、かれの心を楽しませぬのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だがね、うれしいどころか、反対はんたいすごくなりやしないから? 一とうだと二千円——ぼくの二年分の給料きふれう以上のお金がいきなり懷にびこんでくる……」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
反対はんたいに、ちいさなエチエンヌの清浄無垢せいじょうむくなことは、その薔薇ばらいろのふくらはぎに、後光ごこうのようにあらわれているでしょう。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
しかしまた腹立易はらだちッぽおとこで、だれ郵便局ゆうびんきょくもので、反対はんたいでもするとか、同意どういでもせぬとか、理屈りくつでもならべようものなら、真赤まっかになって、全身ぜんしんふるわして怒立おこりたち、らいのようなこえ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
弓杖ゆんづゑ炎天えんてんいはほいて、たまなす清水しみづをほとばしらせて、かわきあへぐ一ぐんすくつたとふのは、けだ名将めいしやうことだから、いま所謂いはゆる軍事衛生ぐんじゑいせい心得こゝろえて、悪水あくすゐきんじた反対はんたい意味いみ相違さうゐない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またその反対はんたいの例をしるせば、生麦事件なまむぎじけんにつき英人の挙動きょどう如何いかんというに、損害要求そんがいようきゅうのためとて軍艦を品川に乗入のりいれ、時間をかぎりて幕府に決答けっとううながしたるその時の意気込いきごみは非常ひじょうのものにして
MH反対はんたいかわみぎはしにゐたので、わたしはそのほうゆびさししめした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
でも、べつに反対はんたいする気にもなれませんでした。
「あのるのは、かわいそうだ。」といって、大人おとなたちにかって、同意どういもとめ、このることに反対はんたいしたでありましょう。
町はずれの空き地 (新字新仮名) / 小川未明(著)
漁師りょうしは、それでもまだ気がすすみませんでしたが、おかみさんに反対はんたいしようとも思いませんので、海へでかけていきました。
それでも肥料ひりょうの入れようやなんかまるでちがうんだから。いまならみんなはまるで反対はんたいにやってるんでないかと思う。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
青木さんはふと一人ごとのやうにさうつぶやいて、のき先にえるれた空をぢつと上げた。が、さういふ空さうの明るさとは反対はんたい氕持きもちめうくらしづんでつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「こうまいっては、嵯峨さがの方向とはまるで反対はんたいではないか。仁和寺にんなじへまいるのであるぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
良人おっとはしきりにうま鼻面はなづらでてやりながら『おまえもとうとう出世しゅっせして鈴懸すずかけになったか。イヤ結構けっこう結構けっこう! わしはもう呼名よびなについて反対はんたいはせんぞ……。』そうって、わたくしほうかえりみて
反対はんたいに、聖書せいしょのお話は大変たいへんよく知っています。ジャンセエニュ先生せんせい生徒せいとのうちでも、地上ちじょう楽園らくえんとノアの方舟はこぶねことをローズ・ブノワさんのように上手じょうずにお話しできる生徒せいとは一人もいません。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
とき上人しやうにんおびかぬ、勿論もちろん衣服きものがぬ、たまゝまるくなつて俯向形うつむきなりこしからすつぽりとはいつて、かた夜具やぐそでけるといてかしこまつた、様子やうす我々われ/\反対はんたいで、かほまくらをするのである。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ばか、てんは、一も、二も、十も、百も、もっと、もっとたかいのだよ。」と反対はんたいした子供こどもは、それをしてさけびました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
弟が森の反対はんたいがわからでてきますと、森のはいり口のところに一けんのうちがあって、そこでおおぜいの人たちが、おどったり、おさけをのんだりして、大さわぎをしていました。
ところが私は子供こどものとき母がちちがなくてにござけそだててもらったためにひどいアルコール中毒ちゅうどくなのであります。お酒をまないとものわすれるので丁度ちょうどみなさまの反対はんたいであります。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あなやとおももなく、猛火もうかぞくかくれた反対はんたい草叢くさむらうつってまいりました……。
それとは反対はんたい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先生せんせいが、あきになると、空気くうきむからちかえるのだといったよ。」と、いただきてんについていないと反対はんたいした子供こどもはいいました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょう命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたしの叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
お妃さまもそれをのこらずききましたが、といって、それに反対はんたいすることもできません。もっとも王さまは、お妃さまが心からすきでしたので、そんなことばには耳をもかそうとはしませんでした。
旅人たびびとは、それと反対はんたいやまについて、だんだんおくふかはいってゆきました。山々やまやまにはみかんが、まだなっているところもありました。
島の暮れ方の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方に電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色をえて、みんなの返事へんじをきいていました。たしかにみんなから反対はんたい約束やくそくをもらったらしいのでした。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いくか、んでいって、それがいといってかえってくることができるだろうか?」と、ビーがんが、むしろ、反対はんたい意見いけんをもらしました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
私もまた、丁度ちょうどその反対はんたいの方の、さびしい石原を合掌したまま進みました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おとうさんは、まだ、とおくへいこうとおっしゃったのだけれど、おまえたちが、くたびれるだろうとおもって、わたしが、反対はんたいしたんですよ。」
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一人ひとりがいうのに、かねをやって、もうこのむらにくるなといったら、もうこないかもしれんといった。すると一人ひとり反対はんたいして
つばめと乞食の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いけないわ。ちょうせんぶななんかれては金魚きんぎょをみんなってしまうじゃないの。」と、ときさんは反対はんたいしました。
「やはり、それがいい。」と、青木あおきも、小田おだも、賛成さんせいしました。六年生ねんせい二人ふたりは、反対はんたいしなかったが、だまっていました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまへいくときと、反対はんたいみちをいって、隣村となりむらにさしかかろうとするとうげつと、あたりに、をさえぎるなにものもなくて、見晴みはらしがひらけるのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
軍人ぐんじんにか、それはいい。おまえは、ひくいが、なかなか強情ごうじょうだから、いい軍人ぐんじんになれるだろう。」と親方おやかたは、達吉たつきち意見いけんに、反対はんたいしませんでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
だんだんがたつと、こんどは反対はんたいに、ひとりぼっちのおんなを、みんなして、悪口わるくちをいったり、わざと仲間なかまはずれにしたりして、おもしろがったのでした。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
こころ愉快ゆかいにする、たとえば、いままでしずんでいたものが、そのくと、陽気ようきになるということは、たしかに、いままでの音楽おんがくとは、反対はんたいのことでした。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また熱帯ねったい植物しょくぶつが、反対はんたいさむくにへくればれてしまうように、ぜいたくにれたひとは、すこしの貧乏びんぼうにもつことができないのとおなじなのです……。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとおり、たとえば、横暴おうぼう殿とのさまがあっても、まわりのものは、にらまれるのをおそれて反対はんたいしない。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
「また、おにかかります。」と、一ごんのこして、からすとは、反対はんたい方向ほうこうんでいってしまいました。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これと反対はんたいに、いもうとひめはますますうつくしくなりました。はなよりも、ほしよりも、この世界せかいられる、いかなるうつくしいものよりも、もっとうつくしくられたのであります。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一人ひとりがいうのに、ひどいめにわせたらどこかへいくだろうといった。すると、あるものは反対はんたいして
つばめと乞食の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたらしい器械きかい発明はつめいされたとか、あたらしい思想しそう流行りゅうこうするとか、また、戦争せんそうなどということがあって、さかえた職業しょくぎょうが、きゅう衰微すいびしたり、また反対はんたい衰微すいびしていたものが
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)