餘計よけい)” の例文
新字:余計
しか今日こんにちところでは病院びやうゐんは、たしか資力ちから以上いじやう贅澤ぜいたくつてゐるので、餘計よけい建物たてもの餘計よけいやくなどで隨分ずゐぶん費用ひようおほつかつてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勘次かんじ開墾かいこん手間賃てまちん比較的ひかくてき餘計よけいあたへられるかはりにはくぬぎは一つもはこばないはずであつた。彼等かれら伴侶なかまはさういふことをもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼女かのぢよ恐怖きようふは、いままでそこにおもいたらなかつたといふことのために、餘計よけいおほきくかげのばしてくやうであつた。彼女かのぢよあらたなるくゐおぼえた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
んだらう、……何を買つて來たんだらう。隱すから餘計よけい見たいやうな氣がするな。……ほんとに何を買つて來たの。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたしはいつのまにかのコスモポリタンになつて、同郷人どうきやうじんとよりも、他國人たこくじんと、餘計よけい交際かうさいするやうになつてゐた。
「溶けたツて、此方こつちの眼じアあるまいし、餘計よけいなおせつかいだわ。」と輕く投出すやうに謂ツた。かと思ふと海酸漿うみほゝづきを鳴らす音がする。後はまた寂然ひつそりする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
光線くわうせんるべく餘計よけいれるやうあかるくこしらへた部屋へや二側ふたがはに、手術用しゆじゆつよう椅子いす四臺よだいほどゑて、しろ胸掛むねかけをかけた受持うけもちをとこが、一人ひとりづゝ別々べつ/\療治れうぢをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
餘計よけいわるくなつてたまるもんか、このせつ心持こゝろもち快方いゝはうだつていふけれど、え、魚氣さかなつけはねえぢやあ、身體からだよわるつていふのに、父爺ちやんはね、なまぐさいものにやはしもつけねえで
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此外このほかはゞわづか一二寸程いちにすんほど地割ぢわれが開閉かいへいしたことをしるしたものはないでもないが、それも餘計よけいはない。一例いちれいげるならば、西暦せいれき千八百三十五年せんはつぴやくさんじゆうごねん南米なんべいチリ地震ぢしんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
今後こんご外國ぐわいこくから餘計よけいものへば、それだけ日本にほん保有ほいうして金貨きんくわもつ外國ぐわいこくはらふことになる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そして若し私がそんな感情をあらはしたなら、あの方はそれが御自身に不要な餘計よけいものであることや、私には不似合な餘計ものだといふことを、私に感じさせになるでせう。
今更いまさらこれをあらためて苗字めうじさきにしのちにするにもおよばない。餘計よけいことであるといふひともあるが、わがはいはさうはおもはない。あやまちてあらたむるにはゞかるなかれとは先哲せんてつ名訓めいくんである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
わたしわる御座ござりましたゆるしてゆるしてとむねいてくるしさうにもだゆれば、雪子ゆきこなに餘計よけいことかんがへてはりませぬよ、それがおまへ病氣びやうきなのだから、學校がくかうはなもありはしない
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
肉のやぶる程に打たゝきければ彌十は是に堪兼たへかねアツとさけんで泣出しアヽ御ゆるくだされよ何事もみなつゝまず申上ます/\と詫けるに然らば白状すべしとせめとゞめ猶強情にちんずれば餘計よけいいたいめを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「もう/\が可愛かあいこゑですつて。それにつぽなんか餘計よけいなものよ。」
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
イワーノウナはなんだかうれしくてたまらなくなつたとえて一週間前いつしうかんぜん大喧嘩おほげんくわしたことわすれちまつてア………フ………をんで咖啡こうひいなんぞを馳走ちそうしながらしきりにいろんな餘計よけいけちやア亭主ていしゆ自慢じまんをする
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
小豆飯あづきめしはどれも/\こめけてないのでくすんでさうしてはらけた小豆あづきいて餘計よけい粘氣ねばりけのないぼろ/\なめしになつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うつゝぜめとかまをすのに、どら、ねうばち太鼓たいこ一齊いちどきたゝくより、かねばかりですから、餘計よけい脈々みやく/\ひゞいて、とほつて、くるしさつたら、に三注射ちうしやはりされます
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まへのやうななまぐさのお世話せわにはうならぬほどに餘計よけい女郎じよらうよばはりいてもらひましよ、ことがあらばかげのくす/\ならで此處こゝでおひなされ、お相手あいてには何時いつでもつてせまする
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうして各人かくじん正當せいたうをはりであるとするなれば、なんため人々ひと/″\邪魔じやまをするのか。かりにある商人しやうにんとか、ある官吏くわんりとかゞ、五ねんねん餘計よけい生延いきのびたとしてところで、れがなんになるか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これ餘計よけいものへば内地ないちからきんく、外國ぐわいこく餘計よけいものれば外國ぐわいこくからきん這入はひつて日本にほん通貨つうくわえる、さうして景氣けいき恢復くわいふくする、ふことはすなは金本位きんほんゐ當然たうぜん結果けつくわである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
つぽが餘計よけいなものなら、くちばしなんかも餘計よけいなものよ。」
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
とめ候ひし處かへつて私し親子おやこ難儀なんぎの體を見兼餘計よけいぜに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
卯平うへいはそれととも乾燥かんさうした肌膚はだ餘計よけいれて寒冷かんれいほねてつしたかとおもふとにはか自由じいううしなつてたやうに自覺じかくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……つりにはつても、めつたにあけたことのないをとこだから、餘計よけいけてかへりをつのに。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
餘計よけい世話せわかんでもい。』益〻ます/\荒々あら/\しくなる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
取次とりつはゝことばたず儀右衞門ぎゑもん冷笑あざわらつてかんともせずさりとは口賢くちがしこくさま/″\のことがいへたものかな父親てゝおや薫陶しこまれては其筈そのはずことながらもう其手そのてりはせぬぞよ餘計よけいくち風引かぜひかさんよりはや歸宅きたくくさるゝがさゝうなものまことおもひてくものは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けつして御心遣ひなく何時まで緩々ゆる/\と御逗留とうりう成れまし然ながら斯樣申せば何とも失禮しつれい千萬せんばんなれども永々なが/\の御逗留とうりうと云ことには御良人おつれあひの御病氣にて御物入おんものいり莫大ばくだいならん縱令たとへ餘計よけい御貯おんたくはへ有とも斯して在れなば追々おひ/\のこり少なになり旅先たびさきは別て心細こゝろぼそくも思ふものなり金銀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
虎口ここうのがれたる顏色かほつきの、うだ、北八きたはち恐入おそれいつたか。餘計よけいくちくもんぢやないよ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うしたんだね、また餘計よけいわるくなつたの。」と親切しんせつにもやさしくまゆひそめていた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うらぼん餘計よけいにしみてこえるのと、さもしいけれども、おなじであらう。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)