)” の例文
勝家かついえ愚将ぐしょうではない、ましてや分別もじゅうぶんな年ごろ。のとうぜんに、やり場のない怒気どきが、うめきとなって口からもれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頼みざる段不埓ふらちの至りなるが併し理左衞門天下の政事も大小名の家の政事せいじに二ツは是なく其方は長門守家にては此越前守同樣の役儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば我々年少なりといえども、二十年前の君のよわいにひとし。我々の挙動、軽躁なりというも、二十年前の君に比すれば、深く譴責けんせきを蒙るのなし。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
自己の希望がものの符合ふごうすればよいが、なかなかそううまくゆくことがすくないから、結局感情にられてすことは、そむくこととなりやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
恥を言わねばが聞こえぬというから、私はを聞かせる為に敢て耻を言うが、ポチは全く私の第二の命であった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しかれども陰陽和合して人をなすゆゑ、男に無用の両乳りやうちゝありて女の陰にかたどり、女に不要ふよう陰舌いんぜつありて男にかたどる。気中に活動はたらく万物ばんぶつもるる事なし。
決心の理由 事の行きがかりの当然……なさねばならぬはずの事でもなかなか決心のつかぬことが多いもので
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これはるから、打石斧だせきふおほあつめられたのである。玉川沿岸たまがはえんがんには打石斧だせきふおほい。其處そこ何處どこくのにもたくちか都合つがふい。
なほ化物ばけものに一の必要條件ひつえうぜうけんは、文化ぶんくわ程度ていど非常ひぜう密接みつせつ關係くわんけいいうすることである。化物ばけもの想像さうざうすることにあらずしてぜうである。はしると化物ばけもの發達はつたつしない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
天守てんしゆ主人あるじは、御身おみ内儀ないぎ美艶あでやかいろ懸想けさうしたのぢや。もない、ごふちから掴取つかみとつて、ねやちか幽閉おしこめた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
縦令たとひ親父の名を汚す役に立ずと云はれても、なんでもはぢを忍んで主君の玉体を見届けるがちやうずるかと存じ候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そがなかには家をするの良妻もあるべく、わざに励むの良工もあるべし、恋のもつれに乱れ髪の少女をとめもあらむ、逆想にりて世を忘れたる小ハムレットもあらむ。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
死の後は即ち生の前なり、生の前は即ち死の後なり。而て吾が性の性たる所以は、つねに死生の外に在り、吾れ何ぞ畏れん。夫れ晝夜は一なり、幽明いうめいは一理なり。
それもくつからはをかしいが、かんがへればなんでもないところに、わづかな興味きようみおこしたにすぎません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
また耶蘇ヤソの宗徒たる者は、明かにろん正しく、かつ事勢やむを得ざるにあらざれば、あえて凶器をろうせずと云えることあり。これ吾輩のいまだ信ぜざるところなり。
するとトライチケの主張は独乙統一前には生存上有効でもあり必要でもあり合的でもあつて、今の独乙には無効で不必要で不合理なものかも知れないといふことに帰着する。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それで王子の方では、皆さんどんな考だったか。よもやお前にがあるとは言うまいよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
幸運こううん悲運ひうんのけじめは勿論もちろんあるとしても、つ者がつにはかならず當ぜん由がある。蹴落けおとされて憐憫れんびんつ如き心かけなら、はじめから如何なる勝負せうふにもたゝかひにも出る資格しかくはないわけだ。
相手かまわず問わずがたりの勢込いきおいこんでまくしかけ、「如何いかに兄がほんが読めるからって、村会議員そんかいぎいんだからって、信者だって、に二つは無いからね、わたしは云ってやりましたのサ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
読巧者よみごうしゃの人これを見て逗子の地形東に山あり西に海ありその彼方より月のいづなし。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
無から有を生ずる無し。既に限りある収入を以て限りなき政務を遂行せざるべからざる以上、よく事物の軽重緩急をはかって、徐々に国力の発展を期するより外にみちは無いのである。
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
此方こつちらうが先方さきるからうが喧嘩けんくわ相手あひてるといふことい、謝罪わび謝罪わび途方とほうやつだと我子わがこしかりつけて、長吉ちようきちがもとへあやまりにられること必定ひつぢやうなれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「やい、話せるぞ」と、力いっぱい背中をたたきながら大声に笑いたかった。「おめえもやっぱり、弱いほう、のある方へ味方しようてえのかい。江戸っ子だ。嬉しい江戸っ子だ……」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あの子を私の花嫁さまの邪魔にならないやうにけてしまふことですか。さもなければあんまりきつく踏みつけられるかも知れませんね。その提議にも一がある。確かにさうですよ。
実に夢幻泡沫でじつなきものと云って、実はまことに無いものじゃ、世の人は此のらんによって諸々もろ/\貪慾執心どんよくしゅうしんが深くなって名聞利養みょうもんりように心をいらってむさぼらんとする、是らは只今生こんじょうの事のみをおもんぱか
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
之を用ゐしは男子だんしならん。そは此所にべたる如き面貌の土偶は乳房ちぶさの部の膨れ方はなはだすくなきを以てさつすべし。光線反射の眼に害有る男女なんによに從つて差有るのし。女子は如何いかにして眼を保護ほごせしや。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
未だ日本の地に着かざるなし、毒竜ここは鬼ヶ島を去ること若干里いくばく
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
すぐに自ら白状したるも之が為に非ざるか、ありまゝを言立たりとて不運に不運の重なりし事なれば信ぜらるゝ筈は無く却ッて人を殺せし上裁判官をまであざむく者と認められて二重の恥をさらなれば
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
多年来たねんらい西洋の書をこうじて多少に得たるところのその知見ちけんも、今や始めて実物じつぶつに接して、おおい平生へいぜい思想しそう齟齬そごするものあり、また正しく符合ふごうするものもありて、これをようするに今度の航海は
世の中には理外りがいというものがないとも限らないのだ。
幽霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
勘平もの当然に服して、そのまま黙ってひかえていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
我言わがことききて城内に歸れ、このことに當る。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
まつたくもなくなるんです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
を知る心深ければ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「ウム、一あるな、ではじつを申さねばなるまい、まことは昨夜その伊賀者いがもの潜入せんにゅうを知ったのはかの源次郎げんじろうが働きじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見定めへんおうじて事をはからはんこそ十全のさくと云べしとつくして申ければ皆一同に此議に同ず道理もつともの事とて評議は此に決定したりさらいそぎ大坂へ旅館りよくわん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もない。はじめからひとつまつかつてものをふ、悪魔あくま所業しわざぢや、無理むり無躰むたい法外ほふぐわい沙汰さたおもへ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔譯〕周子しうしせいしゆとす、こゝろ本體ほんたいを守るを謂ふなり。※説づせつに、「よく無し故にせい」と自註じちゆうす、程伯氏ていはくしこれに因つて天よくせつ有り。叔子しゆくしけいする工夫くふうも亦こゝに在り。
直諫とはあやまちをいいあらわし、をすぐにのべて、是非ぜひをまげず、つよくいさむるなり。かくのごとくなれば聞く人おそれて従う。孔子こうしの法語のげんとのたまうこれなり。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
くつっぽくいへば、和歌山わかやま遠江とほたふみまでのあひだに、たびごろもがわゝけるといふほどのこともあるまいし、また早春そうしゆんたのが晩春ばんしゆんになつたといふほどのこともありますまい。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
を以てする時はお内義ないぎさまいつもお内義さまでは陰中いんちゆうに陽をいだかずして天理てんりかなはず、をり/\はをつとかはりて理屈りくつをいはざれば家内かないおさまらず、さればとて理屈りくつすぎ牝鳥めんどりときをつくれば
しかるに今の天下の形勢は枝葉しえふんでゐる。民の疲弊ひへいきはまつてゐる。草妨礙くさばうがいあらば、またよろしくるべしである。天下のために残賊ざんぞくを除かんではならぬと云ふのだ。そこで其残賊だがな。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
をつけて答へよといふ。遺佚いいつ答へてこの車坂は二つありやといふ。陶々子とうとうしがいやこの坂ばかりにて一ぢやといふ。遺佚がいふ車二つあらばまはるべし、一つならばまはらぬはずよといふ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何だかかんがえに落ちていっこうつまらなくなった。こんな中学程度の観想かんそうを練りにわざわざ、鏡が池まで来はせぬ。たもとから煙草たばこを出して、寸燐マッチをシュッとる。手応てごたえはあったが火は見えない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此の苦痛を助かりたいと、始めて其の時に驚いて助からんと思っても、それはても何の甲斐もない事じゃ、此のを知らずして破戒無慚むざん邪見じゃけん放逸ほういつの者を人中じんちゅうの鬼畜といって、鬼の畜生という事じゃ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ら、いま日本につぽんかざるなし、毒龍どくりようこゝ鬼个島おにがしま
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いかに信玄公しんげんこうのお孫であろうと、兵法をやぶって勝つというはありませぬ。なにごとも時節がだいじです。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひる終日ひねもす兵術へいじゆつしうし、よる燈下とうか先哲せんてつとして、治亂ちらん興廢こうはいかうずるなど、すこぶいにしへ賢主けんしゆふうあり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔譯〕賢者はぼつするにのぞみ、まさに然るべきを見て、以てぶんと爲し、死をおそるゝをぢて、死をやすんずるをこひねがふ、故に神氣しんきみだれず。又遺訓いくんあり、以てちやうそびやかすに足る。
しかしそれも、けっしてくつらしくはてをらずに、このほがらかな調子ちようしに、たまのようにつゝまれて、たゞつきひかりに、およかりれつうごかされた氣分きぶんとして、むねれてます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)