横切よこぎ)” の例文
新見付しんみつけると、むかふからたり、此方こつちからつたりする電車がになりしたので、ほり横切よこぎつて、招魂社のよこから番町へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれらは、電車道でんしゃみち横切よこぎって、みどりがたくさんはいる、しずかな、せみのごえのする、すずしいみちいそいだのであります。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それ以来いらい二人ふたり夕方ゆうがた、しばしば一しょに散歩さんぽかけた。だまって歩いて、河に沿っていったり、野を横切よこぎったりした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
王子わうじ街道かいだう横切よこぎつて、いよ/\深大寺じんだいじちかつたのが、午後ごゞの五ぎ。夕立ゆふだちでもるか、そらは一ぱいくもつてた。
と、五六けん手前てまへからしかり付けた。唖者をし子等こらは人の気勢けはひおどろいて、手に手にあか死人花しびとばなを持つたまヽはたけ横切よこぎつて、半町も無い鹿しヽたにの盲唖院へ駆けて帰つた
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
其時そのときくるま真中まんなかに、案山子かゝしれつはしにかゝつた。……おと横切よこぎつて、たけあしを、蹌踉よろめくくせに、小賢こざかしくも案山子かゝし同勢どうぜい橋板はしいたを、どゞろ/\とゞろとらす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丁度ちやうど福鼠ふくねずみ法廷ほふてい横切よこぎつたときに、女王樣ぢよわうさま廷丁てい/\一人ひとりに、『この以前まへ音樂會おんがくくわいの、演奏者えんそうしや名簿めいぼつてまゐれ』とあふせられました、これをいてあはれな帽子屋ばうしやは、ふるをのゝいて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このしま出發しゆつぱつしたらもうしめたものだ、一時間いちじかん百海里ひやくかいり前後ぜんご大速力だいそくりよくは、印度洋インドやう横切よこぎり、支那海シナかいぎ、なつかしき日本海につぽんかい波上はじやうより、あほいで芙蓉ふえうみねはいすることとほことではあるまい。
足下きみ昨夜ゆうべはマブひめ(夢妖精)とおやったな! 彼奴あいつ妄想もうざうまする産婆さんばぢゃ、町年寄まちどしより指輪ゆびわひか瑪瑙玉めなうだまよりもちひさい姿すがたで、芥子粒けしつぶの一ぐんくるまひかせて、ねぶってゐる人間にんげん鼻柱はなばしら横切よこぎりをる。
つぎにんおもてとほいろながうみながめた。まつみきからやに空氣くうきつた。ふゆみじかそら赤裸々せきらゝ横切よこぎつて大人おとなしく西にしちた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうど、この屋根やねから、うら横切よこぎって、あちらの倉庫そうこ屋根やねへ、電燈線でんとうせんがつづいているのを発見はっけんしました。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真中に一棟ひとむね、小さき屋根の、あたか朝凪あさなぎの海に難破船のおもかげのやう、つ破れ且つ傾いて見ゆるのは、広野ひろのを、久しい以前汽車が横切よこぎつた、時分じぶん停車場ステエション名残なごりである。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
吾等われら兩人りやうにんせたる輕氣球けいきゝゆうは、印度洋インドやう天空てんくう横切よこぎつて、きたへ/\と二千哩にせんマイル以上いじやうも、櫻木大佐等さくらぎたいさらいへからはなれたとおもはるゝころはるか/\のてん一角いつかくに、くもか、けぶりのやうに、大陸たいりくかげみとめられた。
そして、ひろ野原のはら横切よこぎり、あるときは、やまいただきえて、ついに、なつのはじめのころには、はるかに、あおい、あおい、北海ほっかいえる地方ちほうたっしたのでした。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
トタンに、背後うしろからわたし身體からだ横切よこぎつたのはれいのもので、其女そのをんなあしまへ𢌞まはつて、さきにえた。啊呀あなやといふうち引摺込ひきずりこまれさうになつたので、はツとするとまへたふれた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それで、比較的ひととほらない、閑静な曙町あけぼのちやうを、一廻ひとまはり散歩しやうぢやいかと女をいざなつて見た。所が相手は案外にも応じなかつた。一直線に生垣いけがきあひだ横切よこぎつて、大通おほどほりへた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こうへい二人ふたりは、それにたいして、こたえるであろうとおもったのに、おとなく、ふねをこいで、前方ぜんぽう横切よこぎったかとおもうと、その姿すがたは、けむりのごとくえてしまったのです。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若旦那わかだんなばれて、苦笑にがわらひする小六ころくかほると、ひとしくこゑしてわらした。小六ころくはるらしい空氣くうきうちからた。さうして一ちやうほどさむさを横切よこぎつて、またはるらしい電燈でんとうもとすわつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
與吉よきち仕事場しごとば小屋こやはひると、れいごとく、そのまゝ材木ざいもくまへひざまづいて、のこぎりけたとき配達夫はいたつふは、此處こゝまへ横切よこぎつて、なゝめに、なみられてながるゝやうな足取あしどりで、はしつた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ピリッピリッとふえりました。このときとおもって、二人ふたりがあちらへみち横切よこぎっていきかかると
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
三四郎は東京へてから何遍此小川の向側をあるいて、何遍此方こちら側をあるいたか善く覚えてゐる。美禰子の立つてゐる所は、此小川が、丁度谷中やなかの町を横切よこぎつて根津へ抜ける石橋のそばである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
翌日よくじつあめ晴間はれまうみく、箱根はこねのあなたに、砂道すなみち横切よこぎりて、用水ようすゐのちよろ/\とかにわたところあり。あめ嵩増かさまながれたるを、平家へいけ落人おちうどすさまじきたきあやまりけるなり。りてづく、また夜雨よさめたき
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ばんは、くびかたむけてかんがえていましたが、やがて、ながれをまっすぐにあちらへ横切よこぎってゆきました。ながれには、さんらんとして、さざなみがあめれた夕空ゆうぞらしたしょうじました。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、たかくろのシルクハットをかぶって、くろ燕尾服えんびふくて、黒塗くろぬりの馬車ばしゃった皇子おうじまぼろしかんで、あちらの地平線ちへいせん横切よこぎるのが、ありありとえるのでありました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんのいったことが、おおかみにわかったものかと、不思議ふしぎおもいながら、なるたけおおかみのそばをさけて、や、はたけなか横切よこぎりながら、あるいていきましたが、そのあいだきた気持きもちもなく