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突出
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つきだ
ふりがな文庫
“
突出
(
つきだ
)” の例文
と、肩幅広く、
塘堤
(
どて
)
ぶちへ
顕
(
あら
)
はれた。
立女形
(
たておやま
)
が出たから、心得たのであらう、船頭め、かんてらの
灯
(
ひ
)
を、其の胸のあたりへ
突出
(
つきだ
)
した。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほほう、結構な皿や、亭主、お前とこはほんまに偉いもんやな。鴻池家で宝のやうに大事がつとる物を
突出
(
つきだ
)
しに使ふのやよつてな。」
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また鼻から出たにしたところで、鼻先から一尺四、五寸も前へ
突出
(
つきだ
)
した
食指
(
ひとさしゆび
)
の上へ、豆粒程の
大
(
おおき
)
さだけポタリと落ちる道理はないのだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
小夜衣
(
さよぎぬ
)
と改めしか是も
突出
(
つきだ
)
し其日より評判
最
(
もつ
)
とも
宜
(
よか
)
りければ日夜の客
絶間
(
たえま
)
なく
全盛
(
ぜんせい
)
一方ならざりけり茲に神田三河町に
質
(
しち
)
兩替渡世を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
停れ
(
ストップ
)
——」太い
低音
(
バス
)
で叫んだのは、髪の縮れた、仁王のような安南人だ。右手を
突出
(
つきだ
)
し、ピストルの銃口を二人の胸に向けた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
▼ もっと見る
「むゝ。」と
膨
(
ふく
)
れ氣味の
坊
(
ぼ
)
ツちやまといふ
見
(
みえ
)
で、
不承不精
(
ふしやうぶしやう
)
突出
(
つきだ
)
された
品
(
しな
)
を受取ツて、
楊子
(
やうじ
)
をふくみながら中窓の
閾
(
しきゐ
)
に腰を掛ける。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
白いものが二本、斜に煙突の口から、空に向って
突出
(
つきだ
)
している、オヤ、変だぞ。あの先で折曲っている恰好は、確かに、確かに
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
政「親方そう泥坊をぶん殴って、
憖
(
なまじ
)
いに殺しては
却
(
かえ
)
って係り合になりますから、ふん縛って
突出
(
つきだ
)
したら宜しゅうございましょう」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
藍碧の海をへだてて長く
突出
(
つきだ
)
した緑色の岬の端には、眼の醒めるような一群の白堊館が、折からの日差しに
明々
(
あかあか
)
と映えあがる。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
奥村氏の家は青銅
色
(
いろ
)
に塗られしものにて、
突出
(
つきだ
)
されたる
楼上
(
ろうじやう
)
の
間
(
ま
)
の
八方
(
はつぱう
)
は支那
簾
(
すだれ
)
に囲はれ、一
間
(
けん
)
二
間
(
けん
)
それの掲げられたるより
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
生腥
(
なまぐさ
)
い臭いにいよいよ鼻をムクムクさして、お客のお膳であろうと一向お関いなしに顔を
突出
(
つきだ
)
し、傍若無人にお先きへ失敬しようとする時は
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ぐっと
伸
(
の
)
ばした
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
手先
(
てさき
)
へ、
春重
(
はるしげ
)
は
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
を
突出
(
つきだ
)
したが、さて
暫
(
しばら
)
くすると、
再
(
ふたた
)
び
取
(
と
)
っておのが
額
(
ひたい
)
へ
押
(
お
)
し
当
(
あ
)
てた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
然
(
さ
)
うして
龕燈
(
がんどう
)
を
持
(
も
)
つ
手
(
て
)
を
横穴
(
よこあな
)
に
突出
(
つきだ
)
して、
内部
(
ないぶ
)
を
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
やうとしたが、
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
の
當
(
あた
)
る
部分
(
ぶぶん
)
は、
白氣
(
はくき
)
濛々
(
もう/\
)
として
物凄
(
ものすご
)
く、
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
少
(
すこ
)
しも
分
(
わか
)
らぬ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
こうして村松金之助は、若い女達の体臭にむせて、お酒に酔っ払ったように、フラフラと木戸の外へ
突出
(
つきだ
)
されました。
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
門の左の端を
眼障
(
めざわり
)
にならないように、
斜
(
はす
)
に切って行って、上になるほど幅を広く屋根まで
突出
(
つきだ
)
しているのが何となく古風である。鎌倉時代とも思われる。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし昭青年がちょっとでも言葉に
詰
(
つ
)
まったら、いたく打ちのめし、引き
括
(
くく
)
って女と一緒に寺門
監督
(
かんとく
)
の上司へ
突出
(
つきだ
)
そうと、手ぐすね引いて
睨
(
ね
)
めつけています。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
頬冠りした主人の久さんは、例の厚い下唇を
突出
(
つきだ
)
したまゝ、吾不関焉と云う顔をして、コト/\
藁
(
わら
)
を打って居る。婆さんや唖の
巳代吉
(
みよきち
)
は本家へ帰ったとか。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
春信の描く処の男子は
尽
(
ことごと
)
く前髪ある美少年にして、女子は必ず長大なる一枚の
櫛
(
くし
)
をさしたる
島田
(
しまだ
)
あるひは
笄髷
(
こうがいまげ
)
に結び、
差髱
(
さしたぼ
)
長く
後
(
うしろ
)
に
突出
(
つきだ
)
したる妙齢のものたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
両手をまたその前に
突出
(
つきだ
)
して泳ぐような恰好をしながら歩こうとしたのですが、何しろひきがひどいので、足を上げることも前にやることも思うようには出来ません。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
或物
(
あるもの
)
を窓の外へ
推出
(
おしだ
)
し
突出
(
つきだ
)
すような身のこなし、それが済むと
忽
(
たちま
)
ち身を
捻向
(
ねじむ
)
けて私の顔をジロリ、睨まれたが最期、私はおぼえず
悚然
(
ぞっ
)
として
最初
(
はじめ
)
の勇気も
何処
(
どこ
)
へやら
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
アンドレイ、エヒミチは
體裁惡
(
きまりわる
)
く
思
(
おも
)
ひながら、
聖像
(
せいざう
)
に
接吻
(
せつぷん
)
した。ミハイル、アウエリヤヌヰチは
唇
(
くちびる
)
を
突出
(
つきだ
)
して、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
りながら、
又
(
また
)
も
小聲
(
こゞゑ
)
で
祈祷
(
きたう
)
して
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
してゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
仕方
(
しかた
)
なく
片方
(
かたはう
)
の
肘
(
ひぢ
)
は
戸
(
と
)
に
凭
(
もた
)
れ、
片方
(
かたはう
)
の
腕
(
うで
)
は
頭
(
あたま
)
の
下
(
した
)
へ
敷
(
し
)
いて
横
(
よこ
)
になりましたが、それでも
尚
(
な
)
ほ
寸々
(
ずん/″\
)
伸
(
の
)
びて
行
(
い
)
つて、一
番
(
ばん
)
終
(
しまひ
)
には、
愛
(
あい
)
ちやんは
片腕
(
かたうで
)
を
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
に
突出
(
つきだ
)
し
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そこで自分は出来るだけ遠くから、また
尻尾
(
しっぽ
)
の方からばかり、いるかいないかを見ようとしたのであった。風の吹く日には尻尾は必ず風下の方へ向いた巣の外へ
突出
(
つきだ
)
していた。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
縁
(
ゑん
)
があるか
未
(
いま
)
だに
折
(
おり
)
ふし
何
(
なん
)
の
彼
(
か
)
のといつて、
今
(
いま
)
も
下坐敷
(
したざしき
)
へ
來
(
き
)
たのでござんせう、
何
(
なに
)
も
今
(
いま
)
さら
突出
(
つきだ
)
すといふ
譯
(
わけ
)
ではないけれど
逢
(
あ
)
つては
色々
(
いろ/\
)
面倒
(
めんどう
)
な
事
(
こと
)
もあり、
寄
(
よ
)
らず
障
(
さわ
)
らず
歸
(
かへ
)
した
方
(
はう
)
が
好
(
い
)
いのでござんす
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ロミオは
其時
(
そのとき
)
聲
(
こゑ
)
高
(
たか
)
く「お
待
(
ま
)
ちゃれ、
兩氏
(
かた/″\
)
!
退
(
ひ
)
いた/\!」といふより
速
(
はや
)
く
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
いて、その
怖
(
おそ
)
ろしい
切先
(
きっさき
)
をば、
叩伏
(
たゝきふ
)
せ/\、二
人
(
にん
)
が
間
(
あひだ
)
に
割
(
わ
)
って
入
(
い
)
る、
腕
(
かひな
)
の
下
(
した
)
よりチッバルトが
突出
(
つきだ
)
しましたる
毒刃
(
どくじん
)
に
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
乾物屋の子は目をまあるくして、おどけた顔を
突出
(
つきだ
)
した。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「ほほう、結構な皿や、亭主、お前とこはほんまに偉いもんやな。鴻池家で宝のやうに大事がつとる物を
突出
(
つきだ
)
しに使ふのやよつてな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
其
(
その
)
眼
(
め
)
が
怪
(
あや
)
しい、
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
ではよく
眩惑
(
ごまか
)
されます、
貴下
(
あなた
)
は
屹度
(
きつと
)
流星
(
りうせい
)
の
飛
(
と
)
ぶのでも
見
(
み
)
たのでせう。』とビール
樽
(
だる
)
のやうな
腹
(
はら
)
を
突出
(
つきだ
)
して
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
トタンに
向
(
むか
)
うざまに
突出
(
つきだ
)
して
腰
(
こし
)
を
浮
(
う
)
かした、
鋸
(
のこぎり
)
の
音
(
おと
)
につれて、
又
(
また
)
時雨
(
しぐれ
)
のやうな
微
(
かすか
)
な
響
(
ひゞき
)
が、
寂寞
(
せきばく
)
とした
巨材
(
きよざい
)
の
一方
(
いつぱう
)
から
聞
(
きこ
)
えた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お房は、
點首
(
うなづ
)
いたまま、土間を下りるか下りぬに、ガラリ格子戸を
啓
(
あ
)
け、顏だけ
突出
(
つきだ
)
して大きな聲で花屋を呼ぶ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この大河内家の客座敷から横手に見える
羽目板
(
はめいた
)
が
目触
(
めざわ
)
りだというので、椿岳は工風をして
廂
(
ひさし
)
を少し
突出
(
つきだ
)
して、羽目板へ
直接
(
じか
)
にパノラマ風に天人の画を描いた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
若い
衆
(
しう
)
がどれと
云
(
い
)
つて
行
(
い
)
つて見ると、どうも
先刻
(
さつき
)
店
(
みせ
)
へ
来
(
き
)
て、
番頭
(
ばんとう
)
さんと
争
(
あらそ
)
ひをして
突出
(
つきだ
)
された
田舎者
(
ゐなかもの
)
に
似
(
に
)
てゐますといふから、どれと
云
(
い
)
つて
番頭
(
ばんとう
)
が
行
(
い
)
つて見ると
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
選
(
えら
)
び突出しの
仕着
(
しきせ
)
より茶屋々々の
暖簾
(
のれん
)
に至る迄も花々敷吉原中
大評判
(
おほひやうばん
)
故
(
ゆゑ
)
突出
(
つきだ
)
しの日より
晝夜
(
ちうや
)
の
客
(
きやく
)
絶
(
たえ
)
る間なく如何なる老人
醜
(
みにく
)
き男にても
麁末
(
そまつ
)
に扱はざれば人々皆
先
(
さき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その大きな高い白帆のかげに折々眺望を
遮
(
さえぎ
)
られる
深川
(
ふかがわ
)
の岸辺には、思切って海の方へ
突出
(
つきだ
)
して建てた
大新地
(
おおしんち
)
小新地
(
こしんち
)
の楼閣に早くも
燦
(
きらめ
)
き
初
(
そ
)
める
燈火
(
ともしび
)
の光と湧起る
絃歌
(
げんか
)
の声。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
裸に剥いて縛っておくれ、鳥居様遊興のお座敷から、縄付きにして
突出
(
つきだ
)
して貰えば、私は本望だよ
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
アンドレイ、エヒミチは
体裁悪
(
きまりわる
)
く
思
(
おも
)
いながら、
聖像
(
せいぞう
)
に
接吻
(
せっぷん
)
した。ミハイル、アウエリヤヌイチは
唇
(
くちびる
)
を
突出
(
つきだ
)
して、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
りながら、またも
小声
(
こごえ
)
で
祈祷
(
きとう
)
して
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
している。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
是公の家の屋根から
突出
(
つきだ
)
した細長い塔が、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の大空の一部分を黒く染抜いて、大連の
初秋
(
はつあき
)
が、内地では見る事のできない深い色の奥に、数えるほどの星を
輝
(
きら
)
つかせていた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ポアッソニエの
大通
(
グランブールヴァル
)
はもう
五色
(
ごしき
)
の光の
槍襖
(
やりぶすま
)
を八方から
突出
(
つきだ
)
していた。しかしそれに
刺
(
さ
)
され、あるいはそれを
除
(
よ
)
けて行く往来の人はまだ
篩
(
ふるい
)
にかけられていなかった。ゴミが多かった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
をいって
顎
(
あご
)
を
突出
(
つきだ
)
した
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
顔
(
かお
)
は、
道化方
(
どうけかた
)
の
松島茂平次
(
まつしまもへいじ
)
をそのままであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「腕を、拳固がまえの
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、二の腕の見えるまで、ぬっと象の鼻のように私の目のさきへ
突出
(
つきだ
)
した事があるんだからね。」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『それ
此
(
この
)
拳骨
(
げんこつ
)
でも
喰
(
くら
)
へ。』と
大膽
(
だいたん
)
にも
鐵拳
(
てつけん
)
を
車外
(
しやぐわい
)
に
突出
(
つきだ
)
し、
猛獸
(
まうじう
)
怒
(
いか
)
つて
飛付
(
とびつ
)
いて
來
(
く
)
る
途端
(
とたん
)
ヒヨイと
其
(
その
)
手
(
て
)
を
引込
(
ひきこ
)
まして
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私
(
わたし
)
を
突出
(
つきだ
)
しやアがッてって恐ろしく
怒
(
おこ
)
って、
私
(
わし
)
に薪割を
打付
(
ぶッつ
)
けるといったが、お前が這入れば大変だった
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
水にて洗ひ落せば這は如何に弟九郎兵衞なりしかば
座中
(
ざちう
)
の人々
惘
(
あき
)
れ
果
(
はて
)
て
皆
(
みな
)
脱々
(
ぬけ/\
)
に歸りける
組頭
(
くみがしら
)
の兩人は
據
(
よんど
)
ころなく跡に
殘
(
のこ
)
りて兄九郎右衞門は
相良
(
さがら
)
へ
突出
(
つきだ
)
すと云うを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
よくよく
生命冥加
(
いのちみょうが
)
な
尼
(
あまっ
)
ちょだと、
自暴酒
(
やけざけ
)
をあおって、ひょろひょろしながら帰って来たのは、いつぞや新橋から手切を貰って
突出
(
つきだ
)
された晩、お君に出会った石原の河岸通。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夢心地の中村新八郎を誘って、不浄門から外へ
突出
(
つきだ
)
し、静かに元の部屋へ引返して行くのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
而
(
さう
)
して
其考
(
そのかんが
)
へは
唯
(
たゞ
)
一
瞬間
(
しゆんかん
)
にして
消
(
き
)
えた。
昨日
(
きのふ
)
讀
(
よ
)
んだ
書中
(
しよちゆう
)
の
美
(
うつく
)
しい
鹿
(
しか
)
の
群
(
むれ
)
が、
自分
(
じぶん
)
の
側
(
そば
)
を
通
(
とほ
)
つて
行
(
い
)
つたやうに
彼
(
かれ
)
には
見
(
み
)
えた。
此度
(
こんど
)
は
農婦
(
ひやくしやうをんな
)
が
手
(
て
)
に
書留
(
かきとめ
)
の
郵便
(
いうびん
)
を
持
(
も
)
つて、
其
(
そ
)
れを
自分
(
じぶん
)
に
突出
(
つきだ
)
した。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
青く
凝
(
こご
)
って
澄
(
す
)
んだ東北特有の初夏の空の下に町家は
黝
(
くろず
)
んで、
不揃
(
ふぞろ
)
いに
並
(
なら
)
んでいた。
廂
(
ひさし
)
を長く
突出
(
つきだ
)
した低いがっしりした二階家では窓から
座敷
(
ざしき
)
に積まれているらしい
繭
(
まゆ
)
の山の
尖
(
さき
)
が白く
覗
(
のぞ
)
かれた。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すると
春重
(
はるしげ
)
は、きょろりと
辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまわ
)
してから、
俄
(
にわか
)
に
首
(
くび
)
だけ
前
(
まえ
)
へ
突出
(
つきだ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「病気つて、どんな?」掬汀氏は
頤
(
あご
)
を
突出
(
つきだ
)
した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
苔
(
こけ
)
の生えた
桶
(
おけ
)
の中から、
豆腐
(
とうふ
)
を
半挺
(
はんちょう
)
、
皺手
(
しわで
)
に白く積んで、そりゃそりゃと、
頬辺
(
ほっぺた
)
の
処
(
ところ
)
へ
突出
(
つきだ
)
してくれたですが、どうしてこれが食べられますか。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“突出”の意味
《名詞》
突 出(とっしゅつ)
ある部分だけ高く、または長く出ること。
他のものより目立っていること。
(出典:Wiktionary)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“突出”で始まる語句
突出部