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塘堤
と、肩幅広く、
塘堤ぶちへ
顕はれた。
立女形が出たから、心得たのであらう、船頭め、かんてらの
灯を、其の胸のあたりへ
突出した。
町の方から、がや/\と、
婦まじりの四五人の声が、浮いた
跫音とともに
塘堤をつたつて、風の
留つた
影燈籠のやうに近づいて
町を流るゝ
大川の、
下の
小橋を、もつと
此処は下流に成る。やがて
潟へ落ちる
川口で、
此の田つゞきの
小流との
間には、
一寸高く
築いた
塘堤があるが、
初夜過ぎて町は遠し、村も
静つた。