塘堤どて)” の例文
と、肩幅広く、塘堤どてぶちへあらはれた。立女形たておやまが出たから、心得たのであらう、船頭め、かんてらのを、其の胸のあたりへ突出つきだした。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
町の方から、がや/\と、おんなまじりの四五人の声が、浮いた跫音あしおととともに塘堤どてをつたつて、風のとまつた影燈籠かげどうろうのやうに近づいて
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
町を流るゝ大川おおかわの、しも小橋こばしを、もつと此処ここは下流に成る。やがてかたへ落ちる川口かわぐちで、の田つゞきの小流こながれとのあいだには、一寸ちょっと高くきずいた塘堤どてがあるが、初夜しょや過ぎて町は遠し、村もしずまつた。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)