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昔
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むか
ふりがな文庫
“
昔
(
むか
)” の例文
昔
(
むか
)
し来た時とはまるで見当が違う。
晩餐
(
ばんさん
)
を済まして、湯に
入
(
い
)
って、
室
(
へや
)
へ帰って茶を飲んでいると、
小女
(
こおんな
)
が来て
床
(
とこ
)
を
延
(
の
)
べよかと
云
(
い
)
う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔
(
むか
)
しより長い戦争には戦場で討死する人よりも病気で死ぬ人が多いとしてあります。病気で死ぬのは
犬死
(
いぬじに
)
で何の役に立ちません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
僕の生国は今日の
巌手
(
いわて
)
県、昔の南部藩であるが、国隣りに津軽藩があった。南部と津軽とは、
昔
(
むか
)
しからあたかも犬猫のように仲が悪かった。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
其黄金機会ツていふ
様
(
やう
)
なことはお金のたんとある人か、さうでなければ、
昔
(
むか
)
しの人か、さうでなければ書物に
書
(
かい
)
てある、マア日本で
正成
(
マサシゲ
)
とか
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
凸凹
(
でこぼこ
)
や泡のないものを選びたいのです、
昔
(
むか
)
しのものは、
殆
(
ほと
)
んど紙の如く薄いのを
有
(
もち
)
いています、なかなか味のあるものです。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
今
(
いま
)
の
身分
(
みぶん
)
で
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した
處
(
ところ
)
が
何
(
なん
)
となりまする、
先
(
さき
)
は
賣物買物
(
うりものかひもの
)
お
金
(
かね
)
さへ
出來
(
でき
)
たら
昔
(
むか
)
しのやうに
可愛
(
かわひ
)
がつても
呉
(
く
)
れませう、
表
(
おもて
)
を
通
(
とほ
)
つて
見
(
み
)
ても
知
(
し
)
れる
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吉原へ
勤
(
つと
)
め奉公に
遣
(
やら
)
れたとは扨も/\
悼
(
いた
)
はしき事如何に
昔
(
むか
)
しの恩あればとて夫程までに御夫婦が御
心盡
(
こゝろづく
)
しを
成
(
なさ
)
れしものを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
俺は
昔
(
むか
)
しお万の
覆
(
こぼ
)
した油を
甞
(
な
)
アめて了つた太郎どんの犬さ。其俺の身の上
咄
(
ばな
)
しが聞きたいと。四つ足の俺に咄して聞かせるやうな履歴があるもんか。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
父親の手紙は、いつも同じようであったが、お島の身のうえについて、立っているらしい
碌
(
ろく
)
でもない
噂
(
うわさ
)
が、
昔
(
むか
)
し
気質
(
かたぎ
)
の
老人
(
としより
)
を怒らせている事は、その
文言
(
もんごん
)
でも受取れた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昔
(
むか
)
し洋人はじめて
印度
(
インド
)
に航する者あり。王に
謂
(
いい
)
て曰く、臣が国、
冬日
(
とうじつ
)
あり、水
凍結
(
とうけつ
)
して
晶
(
しょう
)
のごとく、鏡のごとく、堅きこと石のごとしと。王
己
(
おのれ
)
を
詐
(
いつわ
)
るとなしてこれを殺せり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
此方
(
こっち
)
は
和蘭
(
オランダ
)
から
昔
(
むか
)
し輸入したゲベルを持て居ると云うような、日本国中千種万様の兵備では、政府に
於
(
おい
)
てイザ事と
云
(
いっ
)
ても戦争が出来そうにもしない、ソレよりかその金を納むるが
宜
(
よ
)
い
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見合
(
みあ
)
いでございますか……それは
矢張
(
やは
)
り
見合
(
みあ
)
いもいたしました。
良人
(
おっと
)
の
方
(
ほう
)
から
実家
(
さと
)
へ
訪
(
たず
)
ねてまいったように
記憶
(
きおく
)
して
居
(
お
)
ります。
今
(
いま
)
も
昔
(
むか
)
も
同
(
おな
)
じこと、
私
(
わたくし
)
は
両親
(
りょうしん
)
から
召
(
よ
)
ばれて
挨拶
(
あいさつ
)
に
出
(
で
)
たのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
三四郎は又、野々宮君の先生で、
昔
(
むか
)
し正門内で馬に苦しめられた人の
話
(
はなし
)
を思ひ出して、或はそれが広田先生ではなからうかと考へ出した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
白身も黄身も共に半熟にならなければ真誠の半熟といわれんが
昔
(
むか
)
しから温泉で
湯煮
(
ゆで
)
るとその半熟が出来る事は人が知っていた。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
思
(
おも
)
ふに
男心
(
をとこごゝろ
)
の
頼
(
たの
)
みがたさよ
我
(
わ
)
れ
周旋
(
とりもち
)
する
身
(
み
)
として
事
(
こと
)
整
(
とゝの
)
ふは
嬉
(
うれ
)
しけれど
優子
(
いうこ
)
どのゝ
心
(
こゝろ
)
宜
(
よ
)
く
見
(
み
)
えたり三
郎
(
らう
)
喜
(
よろ
)
こびしと
傳
(
つた
)
へ
給
(
たま
)
へとは
餘
(
あま
)
りといへど
昔
(
むか
)
しを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔
(
むか
)
しは女の顔でも形でもを
如何
(
いか
)
にも理想的に描きたがったものだ、西洋ではモナリザの顔が理想的美人だとかいう話しだが、なるほど美しく気高いには違いないが
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
銀行の取引実務とか手形交換の実習とか云ふものなら
昔
(
むか
)
しの商法講習所位のものを置けば沢山だ。経済学や法律学なら大学で、教へてゐる、私立の専門学校もある。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
送る我等なれば最早此上は
何共
(
なんとも
)
仕方
(
しかた
)
なしと云けるを三吉
額
(
ひたひ
)
を
押
(
おさ
)
へ夫は道理の事ながら我等
何程
(
なにほど
)
稼
(
かせ
)
ぎても不運にして斯の體と相成ども今一度商賣に取付度
何卒
(
なにとぞ
)
昔
(
むか
)
しの好みを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
汽車の通って行く平野のどこを眺めても、
昔
(
むか
)
しの記憶は浮ばなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
おまへかうして
釣度
(
つりたい
)
とつて、モウ
釣
(
つり
)
やしますまい、
誰
(
だれ
)
も
真似
(
まね
)
の
出来
(
でき
)
ないことを武ちやんが一人おしなのだわ、
昔
(
むか
)
しから、子供の鼻を食べようとしたさかなの話しはない様だ、聞いたことがないから
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
「食べたり食べなかったりよ。わざわざ買うのは
億劫
(
おっくう
)
だし、そうかって
宅
(
うち
)
に何かあっても、
昔
(
むか
)
しのように
旨
(
おい
)
しくないのね、もう」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無論
(
むろん
)
千葉
(
ちば
)
さんの
方
(
はう
)
からさとあるに、おやあの
無骨
(
ぶこつ
)
さんがとて
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
すに、
奧樣
(
おくさま
)
苦笑
(
にがわら
)
ひして
可憐
(
かわい
)
さうに
失敗
(
しくじり
)
の
昔
(
むか
)
し
話
(
ばな
)
しを
探
(
さぐ
)
り
出
(
だ
)
したのかと
仰
(
おつ
)
しやれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
遅くなんねいようにわしが早く早くと
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てたから疾っくの
昔
(
むか
)
し家を出たのに、迎いさあ行かねいであの子と狂っているだもの。今あんちゅうた。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
交
(
かは
)
して別かれしにあらずや然るに
此間
(
このあひだ
)
も六兩三分と言金子を譯なく
合力
(
がふりよく
)
し間もなく其形にて又々
參
(
まゐ
)
らるゝ事餘りなる仕方なり
昔
(
むか
)
しとは違ひ今は
眞面目
(
まじめ
)
に日々の
利潤
(
りじゆん
)
を以て其日を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
昔
(
むか
)
しの旦那だと思って、
余
(
あんま
)
り見えをするなよ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あるいは例の消極的修養に必要な道具かも知れない。
昔
(
むか
)
し或る学者が何とかいう智識を
訪
(
と
)
うたら、
和尚
(
おしょう
)
両肌を抜いで
甎
(
かわら
)
を
磨
(
ま
)
しておられた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
のお
力
(
りき
)
は
土方
(
どかた
)
の
手傳
(
てつだ
)
ひを
情夫
(
まぶ
)
に
持
(
も
)
つなどゝ
考違
(
かんちが
)
へをされてもならない、
夫
(
それ
)
は
昔
(
むか
)
しの
夢
(
ゆめ
)
がたりさ、
何
(
なん
)
の
今
(
いま
)
は
忘
(
わす
)
れて
仕舞
(
しまつ
)
て
源
(
げん
)
とも七とも
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
されぬ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
牛乳を沢山飲ませなければならんという場合に
昔
(
むか
)
し風の老人は牛乳なんぞ見るのもイヤだという人があります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
赤松の間に二三段の
紅
(
こう
)
を綴った
紅葉
(
こうよう
)
は
昔
(
むか
)
しの夢のごとく散ってつくばいに近く代る代る
花弁
(
はなびら
)
をこぼした
紅白
(
こうはく
)
の
山茶花
(
さざんか
)
も残りなく落ち尽した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
言
(
い
)
はぬ
浮世
(
うきよ
)
の
樣々
(
さま/″\
)
には
如何
(
いか
)
なることや
潜
(
ひそ
)
むらん、
今
(
いま
)
は
昔
(
むか
)
しの
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
、
我
(
わ
)
が
戀
(
こひ
)
ならぬ
懺悔物
(
ざんげもの
)
がたり、
聞
(
き
)
くも
悲
(
かな
)
しき
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
あり、
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
ふけて
身
(
み
)
にしむ
風
(
かぜ
)
に
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
長崎辺では
昔
(
むか
)
しから豚の生肉に毒があるといって決して
直
(
す
)
ぐ煮たものは食べない。西洋料理でも大概一度
湯煮
(
ゆで
)
てから使う。豚の生肉には例の寄生虫が沢山いる。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
昔
(
むか
)
し「影
参差
(
しんし
)
松三本の月夜かな」と
咏
(
うた
)
ったのは、あるいはこの松の事ではなかったろうかと考えつつ、私はまた家に帰った。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あきれたものだのと
笑
(
わら
)
つてお
前
(
まへ
)
などは
其我
(
そのわが
)
まゝが
通
(
とほ
)
るから
豪勢
(
ごうせい
)
さ、
此身
(
このみ
)
になつては
仕方
(
しかた
)
がないと
團扇
(
うちは
)
を
取
(
と
)
つて
足元
(
あしもと
)
をあふぎながら、
昔
(
むか
)
しは
花
(
はな
)
よの
言
(
い
)
ひなし
可笑
(
をか
)
しく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
腐りかかって匂いの付いたバターを
昔
(
むか
)
し風の婦人に食べさせて
懲
(
こ
)
りさせたり、臭いヘットで揚げたものを出したりすると西洋料理は一度で降参だという人が出来ます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
三本の松はいまだに
好
(
い
)
い
恰好
(
かっこう
)
で残っているかしらん。鉄灯籠はもう壊れたに相違ない。春の草は、
昔
(
むか
)
し、しゃがんだ人を覚えているだろうか。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔
(
むか
)
しの
通
(
とほ
)
りでなくとも
田中屋
(
たなかや
)
の
看板
(
かんばん
)
をかけると
樂
(
たの
)
しみにして
居
(
ゐ
)
るよ、
他處
(
よそ
)
の
人
(
ひと
)
は
祖母
(
おばあ
)
さんを
吝
(
けち
)
だと
言
(
い
)
ふけれど、
己
(
お
)
れの
爲
(
ため
)
に
儉約
(
つましく
)
して
呉
(
く
)
れるのだから
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
でならない
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔
(
むか
)
しから猪に毒のある事は知っていたので日本料理でも猪へは毒消しというものを何か加えます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「何だって構やしません。
昔
(
むか
)
しヴェニスを支配した人間の名ですよ。何代つづいたものですかね。その御殿が今でもヴェニスに残ってるんです」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
廣
(
ひろ
)
うなれば
次第
(
しだい
)
に
御器量
(
ごきりよう
)
まし
給
(
たま
)
ふ、
今宵
(
こよひ
)
小梅
(
こうめ
)
が三
味
(
み
)
に
合
(
あは
)
せて
勸進帳
(
くわんじんちやう
)
の一くさり、
悋氣
(
りんき
)
では
無
(
な
)
けれど
彼
(
か
)
れほどの
御修業
(
ごしゆげう
)
つみしも
知
(
し
)
らで、
何時
(
いつ
)
も
昔
(
むか
)
しの
貴郎
(
あなた
)
とおもひ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔
(
むか
)
し
風
(
ふう
)
の台所へ
往
(
い
)
って御覧なさい、古びた
青銅鍋
(
からかねなべ
)
だの
粗製
(
そせい
)
の
琺瑯鍋
(
ほうろうなべ
)
だのあるいは
銅
(
あかがね
)
の鍋だの
真鍮鍋
(
しんちゅうなべ
)
なんぞを使っていますが西洋は大概国法を以てあんな鍋の使用を厳禁しています。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼は例刻の五時がとうの
昔
(
むか
)
しに過ぎたのに、妙な
酔興
(
すいきょう
)
を起して、やはり同じ所にぶらついていた自分を仕合せだと思った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
摘
(
つみ
)
あらそひし
昔
(
むか
)
しは
何
(
なん
)
の
苦
(
く
)
か
有
(
あ
)
りし
野河
(
のがは
)
の
岸
(
きし
)
に
菊
(
きく
)
の
花
(
はな
)
手折
(
たをる
)
とて
流
(
なが
)
れ
一筋
(
ひとすじ
)
かち
渡
(
わた
)
りし
給
(
たま
)
ふ
時
(
とき
)
我
(
われ
)
はるかに
歳下
(
としした
)
の
身
(
み
)
のコマシヤクレにも
君
(
きみ
)
さまの
袂
(
たもと
)
ぬれるとて
袖襻
(
そでだすき
)
かけて
參
(
まゐ
)
らせしを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
肝臓肥大は鶏に最も多いものでその肉を食べるのに
差支
(
さしつかえ
)
はありませんけれどもあの肝臓を食べると害になります。しかるに
昔
(
むか
)
し
風
(
ふう
)
の
食物通
(
くいものつう
)
は
鶏肝
(
けいかん
)
といって大層肝臓の料理を
悦
(
よろこ
)
んだものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
母は約束だから迷惑しても構わない、また迷惑するはずがないと主張して、
昔
(
むか
)
し田口が父の世話になったり
厄介
(
やっかい
)
になったりした例を数え挙げた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今夜
(
こんや
)
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れるとは
夢
(
ゆめ
)
の
樣
(
やう
)
な、ほんに
心
(
こゝろ
)
が
屆
(
とゞ
)
いたのであらう、
自宅
(
うち
)
で
甘
(
うま
)
い
物
(
もの
)
はいくらも
喰
(
た
)
べやうけれど
親
(
おや
)
のこしらいたは
又
(
また
)
別物
(
べつもの
)
、
奧樣氣
(
おくさまぎ
)
を
取
(
とり
)
すてゝ
今夜
(
こんや
)
は
昔
(
むか
)
しのお
關
(
せき
)
になつて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔
(
むか
)
しある人当時有名な禅師に向って、どうしたら悟れましょうと聞いたら、猫が鼠を
覘
(
ねら
)
うようにさしゃれと答えたそうだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
燈火
(
ともしび
)
の
下
(
もと
)
に
書物
(
しよもつ
)
を
開
(
ひ
)
らき、
膝
(
ひざ
)
に
抱
(
いだ
)
きて
畫
(
ゑ
)
を
見
(
み
)
せ、これは
何時何時
(
いつ/\
)
の
昔
(
むか
)
し
何處
(
どこ
)
の
國
(
くに
)
に、
甚樣
(
じんさま
)
のやうな
剛
(
つよ
)
き
人
(
ひと
)
ありて、
其時代
(
そのとき
)
の
帝
(
みかど
)
に
背
(
そむ
)
きし
賊
(
ぞく
)
を
討
(
う
)
ち、
大功
(
たいこう
)
をなして
此畫
(
このゑ
)
は
引上
(
ひきあげ
)
の
處
(
ところ
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔
(
むか
)
し鎌倉の宗演和尚に参して
父母未生以前
(
ふもみしょういぜん
)
本来の面目はなんだと聞かれてがんと参ったぎりまだ本来の面目に
御目
(
おめ
)
に
懸
(
かか
)
った事のない門外漢である。
高浜虚子著『鶏頭』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも
其筈
(
そのはず
)
昔
(
むか
)
しをくれば
系圖
(
けいづ
)
の
卷
(
まき
)
のこと
長
(
なが
)
けれど、
徳川
(
とくがは
)
の
流
(
なが
)
れ
末
(
すゑ
)
つかた
波
(
なみ
)
まだ
立
(
た
)
たぬ
江戸時代
(
えどじだい
)
に、
御用
(
ごよう
)
お
側
(
そば
)
お
取次
(
とりつぎ
)
と
長銘
(
ながめい
)
うつて、
席
(
せき
)
を八
萬
(
まん
)
騎
(
ぎ
)
の
上坐
(
じやうざ
)
に
占
(
し
)
めし
青柳右京
(
あをやぎうきやう
)
が
三世
(
さんぜ
)
の
孫
(
まご
)
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
近江
(
おうみ
)
の空を深く色どるこの森の、動かねば、その
上
(
かみ
)
の幹と、その上の枝が、
幾重
(
いくえ
)
幾里に
連
(
つら
)
なりて、
昔
(
むか
)
しながらの
翠
(
みど
)
りを年ごとに黒く畳むと見える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔
常用漢字
小3
部首:⽇
8画
“昔”を含む語句
疇昔
往昔
昔日
昔語
古昔
今昔
昔者
昔話
昔時
昔噺
今昔物語
在昔
昔人
其昔
昔馴染
大昔
一昔
昔年
昔代
昔譚
...