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憎
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にく
ふりがな文庫
“
憎
(
にく
)” の例文
世界の
何人
(
なんぴと
)
にも認められている事実を、自分の意地から反駁している相手のばかばかしさを、
憎
(
にく
)
むよりもむしろ
憫
(
あわれ
)
む方が多くなった。
ゼラール中尉
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
土部
(
つちべ
)
、
浜川
(
はまかわ
)
、横山——
憎
(
にく
)
らしや、三郎兵衛、憎らしや、
広海屋
(
ひろうみや
)
——生き果てて、早う見たい
冥路
(
よみじ
)
の花の山。なれど、死ねぬ、死ねぬ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
追かけて
撲
(
ぶ
)
ちのめそうか、と思ったが、やっと
堪
(
こら
)
えた。彼は此後仙さんを
憎
(
にく
)
んだ。其後一二度来たきり、此二三年は
頓斗
(
とんと
)
姿
(
すがた
)
を見せぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
憎
(
にく
)
いいたずら
子
(
こ
)
を
針
(
はり
)
で
刺
(
さ
)
してやりたいと
思
(
おも
)
いましたが、どこへ
逃
(
に
)
げたか、その
子供
(
こども
)
らの、
影
(
かげ
)
も、
形
(
かたち
)
もあたりには
見
(
み
)
えませんでした。
はちとばらの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
つい
此
(
こ
)
のお
酒
(
さけ
)
と
言
(
い
)
ひますものが、
得
(
え
)
て
其
(
そ
)
の
素直
(
すなほ
)
に
内
(
うち
)
へお
歸
(
かへ
)
りになり
憎
(
にく
)
いものでござりまして、
二次會
(
にじくわい
)
とか
何
(
なん
)
とか
申
(
まを
)
しますんで、えへゝ
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
こうしてせっかく
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れかけた
狐
(
きつね
)
を
横合
(
よこあ
)
いから
取
(
と
)
られてしまったのですから、
悪右衛門
(
あくうえもん
)
はくやしがって、やたらに
保名
(
やすな
)
を
憎
(
にく
)
みました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「そして低脳ぶりを
発揮
(
はっき
)
しろとおっしゃるんでしょう」そういって風間光枝は、横眼をつかって、さも
憎
(
にく
)
らしげに帆村をじろりと見た。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
結局
(
けつきよく
)
麻雀界
(
マアジヤンかい
)
から
抹殺
(
まつさつ
)
されるに
到
(
いた
)
つたなどは
甚
(
はなは
)
だ
殷鑑
(
ゐんかん
)
遠
(
とほ
)
からざるものとして、その
心根
(
こゝろね
)
の
哀
(
あは
)
れさ、
僕
(
ぼく
)
は
敢
(
あ
)
へて
憎
(
にく
)
む
氣
(
き
)
にさへならない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
成経 父は宗盛をひどく
憎
(
にく
)
んでいました。
法皇
(
ほうおう
)
は父にその位を与えたいと思っていられるのに、あの
清盛
(
きよもり
)
がそれを
妨
(
さまた
)
げましたから。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
『
良人
(
おっと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
眼
(
め
)
の
前
(
まえ
)
で
打死
(
うちじに
)
したではないか……
憎
(
にく
)
いのはあの
北條
(
ほうじょう
)
……
縦令
(
たとえ
)
何事
(
なにごと
)
があろうとも、
今更
(
いまさら
)
おめおめと
親許
(
おやもと
)
などに……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
濺
(
そゝ
)
ぐ涙に哀れを
籠
(
こ
)
めても、飽くまで世を背に見たる我子の決心、左衞門
今
(
いま
)
は夢とも上氣とも思はれず、
愛
(
いと
)
しと思ふほど
彌増
(
いやま
)
す
憎
(
にく
)
さ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「ハハア、それがウインクてんだな。新式の——」と
補欠
(
サブ
)
の佐藤が、
憎
(
にく
)
らしく、お
節介
(
せっかい
)
な口を出すと、皆がどッとふきだしました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
知らざるにあらずしかるにいかにも忠義らしく装いながら主人の体をもって歯を冷やすとは大それた
横着者
(
おうちゃくもの
)
かなその心底
憎
(
にく
)
さも憎しと。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
憎んでも憎み足りない私であつても八年の間
良人
(
をつと
)
と呼んだのだから、憎んでも
憎
(
にく
)
み
甲斐
(
がひ
)
なく、悪口言つて言ひ甲斐もないことなのである。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼
(
かれ
)
は
遠
(
とほ
)
く
畑
(
はたけ
)
に
出
(
で
)
て
土
(
つち
)
に
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
ゐ
)
る
其
(
その
)
憎
(
にく
)
むべき
害蟲
(
がいちう
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して
其
(
その
)
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
體
(
からだ
)
をひしぎ
潰
(
つぶ
)
して
遣
(
や
)
る
丈
(
だけ
)
の
餘裕
(
よゆう
)
を
身體
(
からだ
)
にも
心
(
こゝろ
)
にも
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
半左衞門は大いに
憎
(
にく
)
く思ひ
否々
(
いな/\
)
其口上は
幾度
(
いくたび
)
申すも同じ事なり決して申譯には相成ず
猶
(
なほ
)
追々呼出すべしと云るゝ時手代の者立ませいと聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なぜといえば、
家康
(
いえやす
)
の心のうちには、いよいよ
邪計
(
じゃけい
)
の
萌
(
きざ
)
しがみえる。——
武田
(
たけだ
)
の
残党
(
ざんとう
)
を
憎
(
にく
)
むことが、いぜんよりもはなはだしい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口
(
くち
)
に
出
(
だ
)
して
私
(
わたし
)
が
我子
(
わがこ
)
が
可愛
(
かあい
)
いといふ
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
したら、
嘸
(
さぞ
)
皆樣
(
みなさま
)
は
大笑
(
おほわら
)
ひを
遊
(
あそ
)
ばしましやう、それは
何方
(
どなた
)
だからとて
我子
(
わがこ
)
の
憎
(
にく
)
いはありませぬもの
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
又
(
また
)
なんじら
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
のために
凡
(
すべ
)
ての
人
(
ひと
)
に
憎
(
にく
)
まれん。されど
終
(
おわり
)
まで
耐
(
た
)
え
忍
(
しの
)
ぶものは
救
(
すく
)
わるべし。この
町
(
まち
)
にて、
責
(
せ
)
めらるる
時
(
とき
)
は、かの
町
(
まち
)
に
逃
(
のが
)
れよ。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は、
虱
(
しらみ
)
となじみが
深
(
ふか
)
かつたゝめに、なんでもなく、かういふ
歌
(
うた
)
を
作
(
つく
)
つてゐます。そして
汚
(
きたな
)
らしいあの
昆蟲
(
こんちゆう
)
を
憎
(
にく
)
んでばかりもゐません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
西洋歴史にていうならクロムエルのごときは、彼を
憎
(
にく
)
む人の言が世に伝わり、いかにも悪党なるかのごとく、数百年間英国の歴史を
汚
(
けが
)
した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
形態的
(
けいたいてき
)
には
蜂
(
はち
)
の子やまた
蚕
(
かいこ
)
とも、それほどひどくちがって特別に
先験的
(
せんけんてき
)
に
憎
(
にく
)
むべく、いやしむべき
素質
(
そしつ
)
を
具備
(
ぐび
)
しているわけではないのである。
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それが林太郎には
憎
(
にく
)
らしくて憎らしくてなりませんでした。それにまたおかあさんをわけもなくいじめるのですから、たまらなかったのです。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
あの
方
(
かた
)
が何年間かのあなたの心を
蓄
(
たくは
)
へた
行李
(
かうり
)
を
開
(
あ
)
けて人に見せ、焼き尽しもした程
憎
(
にく
)
みを見せながらそのあなたの弟や妹に
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其
(
そ
)
の
愛
(
あい
)
する
所
(
ところ
)
((ノ人))を
論
(
ろん
)
ずれば
則
(
すなは
)
ち
以
(
もつ
)
て
(七五)
資
(
し
)
を
借
(
か
)
るとせられ、
其
(
そ
)
の
憎
(
にく
)
む
所
(
ところ
)
((ノ人))を
論
(
ろん
)
ずれば、
則
(
すなは
)
ち
以
(
もつ
)
て
己
(
おのれ
)
を
嘗
(
こころ
)
むとせらる。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はたゞ眼を
円
(
まる
)
くしてお
糸
(
いと
)
の顔を見るばかりである。いつもと変りのない元気のいゝはしやぎ切つた
様子
(
やうす
)
がこの場合
寧
(
むし
)
ろ
憎
(
にく
)
らしく思はれた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
集中、「憎し」という語のあるものは、「憎くもあらめ」の例があり、「
憎
(
にく
)
くあらなくに」、「
憎
(
にく
)
からなくに」の例もある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
知人
(
しりびと
)
に
遇
(
あ
)
ひでもすると、
青
(
あを
)
くなり、
赤
(
あか
)
くなりして、
那麼
(
あんな
)
弱者共
(
よわいものども
)
を
殺
(
ころ
)
すなどと、
是程
(
これほど
)
憎
(
にく
)
むべき
罪惡
(
ざいあく
)
は
無
(
な
)
いなど、
云
(
い
)
つてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
……おら、あんなあなに
騙
(
だま
)
かされたんだイ。知らない内にいつの間にか殺しちまったんだイ。……おら、毛虫が
憎
(
にく
)
らしくも何ともなかったんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
おゝ、
御坊
(
ごばう
)
、をしへて
下
(
くだ
)
され、
此
(
この
)
肉體
(
にくたい
)
の
何
(
ど
)
のあたりに、
予
(
わし
)
の
醜穢
(
けがらは
)
しい
名
(
な
)
は
宿
(
やど
)
ってゐるぞ? さ、をしへて
下
(
くだ
)
され、
其
(
その
)
憎
(
にく
)
い
居所
(
ゐどころ
)
を
切裂
(
霧さ
)
いてくれう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
今迄は手をかされることを
憎
(
にく
)
んで來たけれど——以後は手を取られることをもう憎みはしないと思ふ。私は自分の手を召使に取らせるのは嫌だ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それはあの四十年近くもこの村に住んでいるレエノルズ博士が村中の者からずっと
憎
(
にく
)
まれ通しであると言うことだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
会議の時に
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
をぐりつかせて、おれを
睨
(
にら
)
めた時は
憎
(
にく
)
い奴だと思ったが、あとで考えると、それも赤シャツのねちねちした
猫撫声
(
ねこなでごえ
)
よりはましだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藍微塵
(
あいみじん
)
の
素袷
(
すあわせ
)
に
算盤玉
(
そろばんだま
)
の三
尺
(
じゃく
)
は、
見
(
み
)
るから
堅気
(
かたぎ
)
の
着付
(
きつけ
)
ではなく、
殊
(
こと
)
に
取
(
と
)
った
頬冠
(
ほおかむ
)
りの
手拭
(
てぬぐい
)
を、
鷲掴
(
わしづか
)
みにしたかたちには、
憎
(
にく
)
いまでの
落着
(
おちつき
)
があった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
飛衛の方では、また、危機を
脱
(
だっ
)
し得た
安堵
(
あんど
)
と己が
伎倆
(
ぎりょう
)
についての満足とが、敵に対する
憎
(
にく
)
しみをすっかり忘れさせた。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「冗談、冗談じゃ無いよお駒さん、相沢の旦那は気が弱かったんだ、
唯
(
ただ
)
それだけの事だよ、自分の口から、お前に切れてくれとは言い
憎
(
にく
)
かったんだ」
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
王 なぜ? わたしはあなたを殺した所が、王女にはいよいよ
憎
(
にく
)
まれるだけだ。あなたにはそれがわからないのか?
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「僕らは彗星に
欺
(
だま
)
されたのです。彗星は王さまへさえ
偽
(
うそ
)
をついたのです。本当に
憎
(
にく
)
いやつではありませんか。」
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『皆、耶蘇がさせるのです。耶蘇が皆悪くするのです。耶蘇、日本の敵です』と、至るところで彼は耶蘇教を
罵
(
ののし
)
り、その宣教師を
仇敵
(
きゅうてき
)
のごとく
憎
(
にく
)
んでいる。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
俊男は其の
怜
(
さか
)
しい頭が氣に
適
(
く
)
はぬ。また見たところ
柔和
(
にうわ
)
らしいのにも似ず、
案外
(
あんぐわい
)
理屈
(
りくつ
)
ツぽいのと
根性
(
こんじやう
)
ツ
骨
(
ぽね
)
の太いのが
憎
(
にく
)
い。で、ギロリ、其の横顏を
睨
(
にら
)
め付けて
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
(私はいまもその
銃
(
じゅう
)
を記念として大事にしている)
両眼
(
りょうがん
)
は
憎
(
にく
)
しみといかりに青く
燃
(
も
)
え、私をにらんで底うなりを発したとき、私の乗馬は
震
(
ふる
)
えてあとずさりした。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
二里あまり
隔
(
へだて
)
たる村より十九歳の
娵
(
よめ
)
をむかへしに、
容姿
(
すがた
)
憎
(
にく
)
からず
生質
(
うまれつき
)
柔従
(
やはらか
)
にて、
糸織
(
いとはた
)
の
伎
(
わざ
)
にも
怜利
(
かしこ
)
ければ
舅
(
しうと
)
姑
(
しうとめ
)
も
可愛
(
かあい
)
がり、
夫婦
(
ふうふ
)
の中も
睦
(
むつまし
)
く
家内
(
かない
)
可祝
(
めでたく
)
春をむかへ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
曰く「
憎
(
にく
)
こい奴でございます、(中略)何時私が御主人の頭を
打
(
にや
)
しました(中略)これははや
金子
(
けんす
)
まで」
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
憎
(
にく
)
いにはあくまで憎いであろうが、一つはこの女の性質が
残忍
(
ざんにん
)
なせいでもあろうか、またあるいは多くの男に接したりなんぞして自然の法則を
蔑視
(
べっし
)
した
婦人等
(
おんなたち
)
は
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼はクリストフが
悲
(
かな
)
しがってるのに気がついて、
抱
(
だ
)
いてやろうとした。しかしクリストフは
怒
(
おこ
)
って横を向いた。そして彼は
幾日
(
いくにち
)
も
不機嫌
(
ふきげん
)
だった。
小父
(
おじ
)
を
憎
(
にく
)
んでいた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
真の勝利は、相手を
憎
(
にく
)
み、がむしゃらに相手に組みつくだけでは、決して得られるものではない。自分みずからを
充実
(
じゅうじつ
)
させることのみが、それを決定的にするのだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
白状すべきことがないから白状しないのを、それを剛情我慢と
憎
(
にく
)
まれて、よけいに
苛
(
いじ
)
められるものですから、米友は意地になって役人をてこずらせてしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何か赤い火花のようなものが、眼のなかでくるくる回りだし、恐ろしさと
憎
(
にく
)
さとで、頭の毛がもずもずうごめいた。……足音は、まっすぐわたしの方へ進んで来る。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
そうかい、おまえさん、橋を渡って
河岸
(
かし
)
を歩いて帰りなさるかい。今日は天気が宜いから
曳舟
(
ひきぶね
)
から岸壁の環へ洗濯
紐
(
ひも
)
を一ぱい張ってあるから歩き
憎
(
にく
)
いよ。は は は。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
天皇はそのために、宮中の玉飾りの
細工人
(
さいくにん
)
たちまでお
憎
(
にく
)
みになって、それらの人々が
知行
(
ちぎょう
)
にいただいていた土地を、いきなり残らず取りあげておしまいになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
憎
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“憎”を含む語句
憎悪
生憎
愛憎
可憎
心憎
面憎
憎々
小憎
相憎
憎惡
合憎
憎気
憎體
居憎
憎怨
憎体
小面憎
生憎様
憎態
言憎
...