はい)” の例文
従って、オランダ流の医術、本草ほんぞう、物産、究理の学問に志ある者を初め、好事こうずの旗本富商のはいまでが、毎日のように押しかけていた。
蘭学事始 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「わ、わがはいは、せ、折角せっかくここまで持ってきた戦車に、生前、一度は、の、乗ってみたいのだ。そ、その地底戦車というやつに……」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また上士のはいは昔日の門閥を本位に定めて今日の同権を事変と視做みなし、おのずからまた下士にむかって貸すところあるごとく思うものなれば
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
滔々とうとうたる青年はいが処世の門出に多く身を誤まり、借金の淵に沈み、安身立命の地を得ないのも過半は外見張り主義に原因しています。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
お役を勤めて、ごおんを報じるなどは、栄達を求める微禄びろくはいに任せておけばよろしいのだと思うが、ご貴殿のお考えは、どうありましょう
無惨やな (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ここにおいてわがはいは日々の心得こころえ尋常じんじょう平生へいぜい自戒じかいをつづりて、自己の記憶きおくを新たにするとともに同志の人々の考えにきょうしたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「あたりまえだ。貴様にだって神経も耳もあるだろうによ。お連れしたわがはいのお客にだって相すまん。女だろ、あの泣き声は」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかして楡木川ゆぼくせん客死かくし高煦こうこう焦死しょうし、数たると数たらざるとは、道衍袁珙えんこうはいもとより知らざるところにして、たゞ天これを知ることあらん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
僕のような有徳うとくの君子は貧乏だし、彼らのような愚劣なはいは、人を苦しめるために金銭を使っているし、困った世の中だなあ。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
己れ炊事をみずからするの覚悟なくばの豪壮なる壮士のはいのいかで賤業せんぎょううべなわん、私利私欲をててこそ、鬼神きしんをも服従せしむべきなりけれ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
わがはいはこれについて一げんべんじてきたい。年紀ねんき時間じかんはか基準きじゆん問題もんだいである。これは國號こくがう姓名せいめいなどの固有名こゆうめい問題もんだいとは全然ぜん/″\意味いみちがふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
自殺を弁護せるモンテェニュのごときは予が畏友いゆう一人いちにんなり。ただ予は自殺せざりし厭世えんせい主義者、——ショオペンハウエルのはいとは交際せず。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と。すですること(二九)はいをはりて、(三〇)田忌でんきひとたびたずしてふたたつ。つひわうの千きんたり。ここおい孫子そんし威王ゐわうすすむ。
オーケストラが日本一、そうして、小生しょうせいの私のはいぼくが、エヘン、日本一のいい男の一寸法師、チョンチョンチョン。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
世はチャレス第二世の柔弱淫縦腐敗の世となり、バトラル、ドライデン、クラレンドンのごとき狐狸こりはい寵遇を受け
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
これ等のすこしく失へる者は喜び、彼等の多く失へるはいは憂ひ、又まれには全く失はざりし人の楽めるも、皆内には齷齪あくそくとして、てるはけじ、虧けるは盈たんと
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すなわち彼等の目的もくてき時機じきに投じて恩威おんいならほどこし、くまでも自国の利益りえきらんとしたるその中には、公使始めこれに附随ふずいする一類いちるいはいにも種々の人物じんぶつありて
一、俳句の古調を擬する者あれば「古し」「焼直しなり」などとて宗匠はい擯斥ひんせきすめり。何ぞ知らん自己が新奇として喜ぶ所の者尽く天保てんぽう以後の焼直しに過ぎず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
誰某たれそれはいが、行詰ゆきづまつたてに、はくをつけにくのと、おなじだとおもはれると、大変たいへん間違まちがひなんだ。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
たとい余がこれを誓うもあるいはまたはツァー〔皇帝陛下〕その人のこれを誓うもこれを信ずるをやめよ。わがはいはヘラートを取るのやむべからざるの必要を感ず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
僕は僕の配達区域に麻布本村町あざぶほんむらちやうの含まれてることを感謝するよ、僕だツて雨の夜、雪の夜、みぞれ降る風の夜などは疳癪かんしやくも起るサ、華族だの富豪だのツて愚妄ぐまう奸悪かんあくはい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
れば平日ひごろまでに臆病おくびやうならざるはいも、船出ふなでさいかく縁起えんぎいはひ、御幣ごへいかつぐもおほかり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
実際この一件は、決してノズドゥリョフはいに打ち明けるべき性質のものではなかったのだ……。
為永春水はいでさえが貞操や家庭の団欒だんらんの教師を保護色とした時代に、馬琴ともあるものがただの浮浪生活を描いたのでは少なくも愛読者たる士君子に対して申訳が立たないから
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
三、四はいあり。地にむしろして鼾睡かんすいす。かたわらに西瓜あり。劈開へきかいして未だ食わず。張また指さして盗としてとらう。はたしてしかり。ある人その術を叩く。張がいわく、厠に入るに草を用う。
和田先生は持てん八十てんだが、五十前後の年はいの方にはめづらしい奇麗きれいな、こまかなりをされる。しかも、ややいんするといへるほどのねつ心家で、連夜れんやほとんど出せきかされた事がなかつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
遮莫さもあらばあれ、わがルーソー、ボルテイアのはいに欺かれ了らず、又た新聞紙々面大の小天地に翺翔かうしやうして、局促たる政治界の傀儡子くわいらいしとなりをはることもなく、おの夙昔しゆくせきの不平は転じて限りなき満足となり
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
海賊かいぞくども如何いかにして探知たんちするものかはらぬがそのねらさだめるふねは、つねだいとう貴重きちやう貨物くわぶつ搭載とうさいしてふねかぎかわりに、滅多めつたそのかたちあらはさぬためと、いま一つにはこの海賊かいぞくはい何時いつころよりか
わがはいは英雄を崇拝する、わが輩は英雄たらんとしつつある。わが輩は諸君が英雄たることを望む、小説や音楽や芝居やさらにもっとも下劣なる活動写真を見るようなやつは到底とうてい英雄にはなれない。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
課長の方は(誰が赤見沢博士を病院から出したんだろうか、わがはいの許可を得もしないで……。何奴どいつが出したか、しからんやつどもだ)
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでわがはいに命ぜられ、両者の円満なる和解をはかり、文武官心をひとつに、一そう民治の実績を上げしめよ、との仰せつけ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
方今、我が国に外国の交易始り、外国人の内、あるいは不正のはいありて、我が国を貧にし我が国民を愚にし、自己の利をいとなまんとする者多し。
中津留別の書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ゆえにわがはいは外部に表れた男伊達だての行為よりも、むしろこの行為を生み出した任侠にんきょうの心持がしいのである。すなわち
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
太平の天地だと安心して、拱手きょうしゅして成功をこいねがはいは、行くべき道につまずいて非業ひごうに死したる失敗のよりも、人間の価値ははるかに乏しいのである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わがはいのこの所見しよけんたいして、或人あるひとはこれを學究がくきう過敏くわびんなる迂論うろんであるとへうし、齒牙しがにかくるにらぬ些細ささい問題もんだいだといつたが、自分じぶんにはさうかんがへられぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
今のいわゆる紳士はいが車夫に費す金銭を食物に廻したらば中流社会の人でも毎日上等の家庭料理が食べられます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
遮莫さもあらばあれ斎藤緑雨さいとうりよくうかの縦横の才を蔵しながら、句は遂に沿門※黒えんもんさくこくはい軒輊けんちなかりしこそ不思議なれ。(二月四日)
栄光の王は神の右に坐するありて、ソクラット、保羅パウロ、コロンウェルのはい数知れぬほど御位みくらいの周囲に坐するあり、荊棘いばらかんむりを頂きながら十字に登りし耶蘇基督いえすきりすと
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
孫子そんし(二四)其馬足そのばそくはなは相遠あひとほからずうま(二五)上中下じやうちうげはいるをる。ここおい孫子そんし田忌でんきつていはく、『きみただ重射ちようせきせよ。しんきみをしてたしめん』
当時とうじ幕府の進歩派小栗上野介おぐりこうずけのすけはいのごときは仏蘭西フランスに結びその力をりて以て幕府統一のまつりごとをなさんとほっし、薩長さっちょうは英国にりてこれにこうたがい掎角きかくいきおいをなせり。
織田信長が今川を亡ぼし、佐〻木、浅井、朝倉をやりつけて、三好、松永のはいを料理し、上洛して、将軍をたすけ、禁闕きんけつに参った際は、天下皆鬼神の如くにこれを畏敬した。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すで寛保年中くわんぽねんちう一時いちじきうすくはむため、老職らうしよくはい才覺さいかくにて、徳川氏とくがはしより金子きんす一萬兩いちまんりやう借用しやくようありしほどなれば、幼君えうくん御心おんこゝろなやませたまひ、なんとか家政かせい改革かいかくしてくにはしら建直たてなほさむ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妾は当時の川上が性行せいこう諒知りょうちし居たるを以て、まさかに新駒しんこま家橘かきつはいに引幕を贈ると同一にはらるることもあるまじとて、その事をうべないしに、この事を聞きたる同地の有志家連は
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「ハヽヽヽ、君の様に悲観ばかりするものぢや無いサ、天下の富を集めて剛造はいの腹をこやすと思へばこそしやくさはるが、之を梅子と云ふ女神めがみ御前おんまへに献げるともや、何も怒るに足らんぢや無いか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼は貨殖の一端としてひそかに高利の貸元を営みけるなり。千、二千、三千、五千、乃至ないし一万の巨額をも容易に支出する大資本主たるをて、高利貸の大口を引受くるはいのここに便たよらんとせざるはあらず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「さあ、はやく覆面をとってください。しかし帆村探偵よ。この覆面の下にあるはいの素顔を見て、腰をぬかさぬように!」
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かつて魏の書庫に住んでいささか兵書のはしをかじった鼠官そかんはいが、今日、戦冠をいただいてこの陣前に舌長したながの弁をふるうなど笑止に耐えぬ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下士のはいようやく産を立てて衣食のうれいまぬかるる者多し。すでに衣食を得て寸暇すんかあれば、上士の教育をうらやまざるを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あなたのように高等教育を受けて世の中へ出たての人はとかく雷獣はい食物くいものにしたがるものですから、そのへんはよく御注意なさらないといけません。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
く「口の人だ」「口ばかりの人だ」といって、言行不一致のはいあざけることがあるが、しかし、その「口ばかりの人」にして、もし言うところのものが
ソクラテス (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)