)” の例文
「いい子供こどもまれて、親木おやぎは、それで満足まんぞくして、れていくんですよ。人間にんげんも、かわりはありません。」と、はははいわれたのです。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
案ずるよりむが安い。さすがの竜之助もその心置きなき主人の気質がしのばれて、この時ばかりは涙のこぼれるほどうれしかった。
あんずるよりはむがやすいとはよく云ったものです。寝惚ねぼけた遠藤は、恐ろしい毒薬を飲み込んだことを少しも気附かないのでした。
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
揚子江ようすこうの水でをつかい、大江たいこう河童かっぱといわれたくらいな者で、水の中につかったままでも二タ晩や三晩は平気な男なのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わが子よ。お前をんだ、おろかなる父が、お前への愛情故に、かくのごとくなやみ苦しんだということを忘れてはなるまい。云々
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
それから皮の薄紅うすあかいのと白いのがありますね、薄紅いのは肉用鶏にくようけいんだので白いのは産卵鶏の産んだのですから白い方がはるかに上等です。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そのひろさ一尺あまり、ふかさ七八寸、長さ一丈あまり、数日にしてこれを作る。つくりをはれば女魚めなそのなかへを一つぶづゝむ。
(註一)母は伝吉をんだ翌年、病死してしまったと云うものもある。あるいはまた情夫じょうふの出来たために出奔してしまったと云うものもある。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
媒妁人ばいしやくにんたゞさけんでさわいだだけであつた。おしなもなくをんなんだ。それがおつぎであつた。季節きせつくれつまつたいそがしいときであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
獰惡だうあく野良猫のらねこ、おとなりのとり全滅ぜんめつさせたわるいヤツ、うちたひをさらつた盜癖とうへきのある畜生ちくせう、それがんだは、このやさしいうつくしいニヤンこうである。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
実界にのみ馳求する思想は、高遠なる思慕をまず、我恋愛道の、肉情を先にして真正の愛情を後にする所以、こゝに起因するところ少しとせず。
他界に対する観念 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
つきゆきはなおろいぬんだとては一句いつくつくねこさかなぬすんだとては一杯いつぱいなにかにつけて途方とはうもなくうれしがる事おかめが甘酒あまざけふとおなじ。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ゆめ五臟ござうのわづらひといひつたふれども正夢しやうむにして賢人けんじん聖人せいじん或は名僧めいそう知識ちしきの人をむは天竺てんぢく唐土もろこし我朝わがてうともにそのためすくなからずすで玄奘法師げんさうほふしは夢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
牛の前には赤飯を盛つた盆が供へられ、そのわきになみ/\と「ぶ湯」の水をたゝへた飼桶かひばをけが置いてあり、その水に灯かげがあかく映つてゐた。
土臺木つ葉旗本などが御大層に——家名を絶やさない爲、——云々うんぬんと勝手な理由をつけて、碌でもない子を幾腹いくはらませるなんざ僭上の沙汰だよ。
辰子はいはれなく、母が自分をんだわけも大方それと同じやうな事情からだらうと、思はないわけには行かなかつた。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
んで下すった礼を言うのに、ただ御機嫌うとさえ言えばいと、父から言いつかって、枕頭まくらもとに手をいて、其処そこへ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白君は先日玉のような子猫を四疋まれたのである。ところがそこのうちの書生が三日目にそいつを裏の池へ持って行って四疋ながら棄てて来たそうだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五六 上郷村の何某の家にても川童らしき物の子をみたることあり。たしかなる証とてはなけれど、身内みうち真赤まっかにして口大きく、まことにいやな子なりき。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その相手の女さえ来てくれると、それで準備は完了したのだ。さあオリオン星座附近で、新しい遊星を見付けて降下しよう。そこでお前は、幾人ものむのだ。
遊星植民説 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ラプンツェルは、そのおとこおんな双生児ふたごんで、この沙漠さばくなかに、かなしいおくってたのです。
そこでおまれになつた御子の名をアマツヒコヒコナギサタケウガヤフキアヘズの命と申し上げます。
このとりについて面白おもしろいことは、はとやかさゝぎ、栗鼠等りすなどつくつた、ふるにはひつてたまごむことです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
僕は、いままでに、一人も子供がないンで、どうしてもんでほしいと思ふンだ。おせいの問題も、長続きはしないし、家さへみつかれば、いまにも引越したい位だ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
自分じぶんかごつて、つなたかむねにひきあげさせて、つばめたまごむところをさぐるうちに、ふとひらたいものをつかみあてたので、うれしがつてかごおろ合圖あひずをしたところが
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
俺は俺だけのことをしたのであるけれどそれが全くくうに帰したとなると、俺の行為は結果をまない行為である。いや結果は産んだ。泥棒をして盗ませると云ふ結果だけは。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
私どもははじめ世の欲を去ってイエスを信じる時に、出てゆく悪鬼のために烈しく痙攣けいれんを起こさされ、大きなみの苦しみをしますが、信じた後にも何度か熱病にかかります。
頭脳の機関からくりが手早く働いてねうちのあるものをみ出せる友達を持ちたがった。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
とうさんはおうち裏木戸うらきどそとをさん/″\あそまはりまして、木戸きどのところまでかへつてますと、たか枳殼からたちうへはうたまごでもみつけようとしてるやうなおほきなくろ蝶々てふ/\つけました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
むかし、「う」のおかあさんが子供こどもとき近所きんじよ火事くわじがあつたんで、たべかけてゐたさかなを「うのみ」にしてにげだしたさうです。ほんとだかどうだかりません。うそだとおもつたら先生せんせいいてごらん。
足下きみ昨夜ゆうべはマブひめ(夢妖精)とおやったな! 彼奴あいつ妄想もうざうまする産婆さんばぢゃ、町年寄まちどしより指輪ゆびわひか瑪瑙玉めなうだまよりもちひさい姿すがたで、芥子粒けしつぶの一ぐんくるまひかせて、ねぶってゐる人間にんげん鼻柱はなばしら横切よこぎりをる。
むかし、雄略天皇ゆうりやくてんのう御時おんとき河内かはち安宿郡あすかべぐんひと田邊伯孫たなべはくそんといふひとがありまして、そのむすめ古市郡ふるいちぐんひとへかたづいてゐましたが、ちょうどあかちゃんをんだので、伯孫はくそんはおいはひにそのいへきました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
その年に、母は赤ん坊をんだ。私達は兄妹きょうだい五人となった。うまれた男の子を、子守りするために、私は学校を休む日が、まえより多くなった。ともすると一週間ぐらいぶっとおしに休むことがあった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
んじゃったんだって——だからあたいは地震っ子て呼ばれてらあ
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
いのちみて、神を仰ぎ見る時は、永生えいせいを生ずればなり。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
観劇は案じるよりもみやすかった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いつかみしと人知らぬ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あのんで
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鬼子おにことよべどとびんだるおたかとて今年ことし二八にはちのつぼみの花色はないろゆたかにしてにほひこまやかに天晴あつぱ當代たうだい小町こまち衣通そとほりひめと世間せけんさぬも道理だうりあらかぜあたりもせばあの柳腰やなぎごしなにとせんと仇口あだぐちにさへうはされて五十ごとう稻荷いなり縁日えんにち後姿うしろすがたのみもはいたるわかものは榮譽えいよ幸福かうふくうへやあらん卒業そつげふ試驗しけん優等證いうとうしようなんのものかは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あるところに、性質せいしつちがった姉妹きょうだいがありました。おなはははらからまれたとは、どうしてもかんがえることができなかったほどであります。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初の形勢では容易に中川君同胞きょうだいが承知しそうもなかったけれども案じるよりはむが安く、今では向うの方がかえって此方こっちより熱心だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
最勝寺さいしょうじの塔も忘れるであろう。ぶたのように子供をみつづけ——わたしは机の抽斗ひきだしの奥へばたりとこの文放古ふみほごほうりこんだ。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
……むなよ、ひそかに水にして、流産ながしてくれよ……と、泣いていいふくめ、江戸のやしきより水戸の三木仁兵衛みきにへえが家に身を預けられたものじゃ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしがきっと改心さして見せるから、まアそんなに心配しないがいいよ。なに世の中は案じるよりむが安いさ。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しな自分じぶん自分じぶんころしたのである。おしなは十九のくれにおつぎをんでからそのつぎとしにもまた姙娠にんしんした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なんでも二度目か三度目の奥様に違いないので、あの三郎様やお嬢様のみのお母さんではないのですね。
若いくせに早くから二人も子供をんだ男がいて、よく街の銭湯せんとうで会うと、やっと二つか三つになった赤ん坊を流し場にならべ、楽しそうに鼻唄はなうたをうたいながら
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
あんな可愛いお嬢さんにお育てなすったお手柄は、真砂町の夫人おくさんだけれど、……産んだのは私だよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここを以ちてそのみませる御子に名づけて、あま日高日子波限建鵜葺草葺合ひこひこなぎさたけうがやふきあへずの命とまをす。
その産はきわめて難産なりしが、或る者のいうには、馬槽うまふねに水をたたえその中にてまば安く産まるべしとのことにて、これを試みたれば果してその通りなりき。その子は手に水掻みずかきあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)