面倒めんだう)” の例文
わたくし元來ぐわんらい膝栗毛的ひざくりげてき旅行りよかうであるから、なに面倒めんだうはない、手提革包てさげかばん一個ひとつ船室キヤビンなか投込なげこんだまゝ春枝夫人等はるえふじんら船室キヤビンおとづれた。
しそれになん意味いみいとすれば』とつて王樣わうさまは、『それは面倒めんだうくさくなくてい、何事なにごとかをらうとしないでむから。 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しからば如何いかなる種類しゆるゐ食物しよくもつ適當てきたうであるかと具體的ぐたいてき實際問題じつさいもんだいになると、その解決かいけつはなは面倒めんだうになる。熱國ねつこく寒國かんこくではしよく適否てきひちがふ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
後藤はとゞ否々いや/\打擲ちやうちやくなしてもし打處が惡く殺しもなさば死人に口無却つて面倒めんだうなり先々拙者の連こそ幸ひ某しにまかすべし面白き計らひあり命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
くなあ、おつうはよきこと面倒めんだうんな、をんなうだからいゝのさな、やくつかんな」女房にようばう一人ひとりがいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けれども、それ以上いじやうは、おとうと將來しやうらい學資がくしついても、また自分じぶん叔父をぢたのんで、留守中るすちゆうはらつてもらつた地所ぢしよ家作かさくいても、くちるのがつい面倒めんだうになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すこやすんで其後そののちらず、いま御免ごめんなさりませとことはりをふてやるに、れでいのか、おこりはしないか、やかましくなれば面倒めんだうであらうと結城ゆふきこゝろづけるを
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その面倒めんだうくさいものをとつてしまつて、薄葉うすえふの銀色の包裝紙を取り上げると、たゞもう叫びだした——
内證ないしよ情婦いろのことを、おきせんとふ。たしか近松ちかまつ心中しんぢうもののなにかに、おきせんとて言葉ことばありたり。どの淨瑠璃じやうるりかしらべたけれど、おきせんもいのに面倒めんだうなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まいつゞきにしたつて封書ふうしよおなことで三せんだ。たまに三まいつゞきにすることもあるが、状袋じやうぶくろれたり、切手きつてつたりする面倒めんだうがないだけでも、一せんりん値打ねうちはあるからな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
生來せいらい貴方あなた怠惰者なまけもので、嚴格げんかく人間にんげん其故それゆゑ貴方あなたんでも自分じぶん面倒めんだうでないやう、はたらかなくともむやうとばか心掛こゝろがけてゐる、事業じげふ代診だいしんや、其他そのたのやくざものにまか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なはですか? なは盜人ぬすびと難有ありがたさに、何時いつへいえるかわかりませんから、ちやんとこしにつけてゐたのです。勿論もちろんこゑさせないためにも、たけ落葉おちば頬張ほほばらせれば、ほか面倒めんだうはありません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
素問そもん靈樞れいすうでもむやうな醫者いしやさがしてめてゐたのではなく、近所きんじよんでゐてぶのに面倒めんだうのない醫者いしやかつてゐたのだから、ろくなくすりませてもらふことが出來できなかつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
アダムの二本棒にほんぼう意地いぢきたなさのつまぐひさへずば開闢かいびやく以来いらい五千ねん今日こんにちまで人間にんげん楽園パラダイス居候ゐさふらふをしてゐられべきにとンだとばちりはたらいてふといふ面倒めんだうしやうじ〻はさて迷惑めいわく千万せんばんの事ならずや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
それであいちやんは、なぐさみに雛菊ひなぎく花環はなわつくつてやうとしましたが、面倒めんだうおもひをしてそれをさがしたりんだりして勘定かんぢやうふだらうかと
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
れからはあ、わしも爺樣ぢいさまこと面倒めんだうべとおもふんでがすがね、いまツからでもお内儀かみさん間合まにやあねえこたありあんすめえね」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聞及び給ひ御家來におほせらるゝやう兼々かね/″\江戸表にもうはさありし天一坊とやら此度このたび下向と相見えたり此所にて出會ては面倒めんだうなり何卒行逢ゆきあはぬ樣にしたしと思召御近習きんじゆ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たまに世間話せけんばなしついでとして、ありや一體いつたいなにをしてゐるひとぐらゐきもするが、それよりさきは、をしへてもら努力どりよくさへすのが面倒めんだうだつた。御米およねにもこれとおなかたむきがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いや、よしんばそれ眞個ほんたう難破信號なんぱしんがうであつたにしろ、此樣こんな平穩おだやか海上かいじやう難破なんぱするやうなふねまつた我等われ/\海員かいゐん仲間以外なかまはづれです、なに面倒めんだう救助きうじよおもむ義務ぎむいのです。
うちからさをなんぞ……はりいとしのばしてはなかつたが——それは女房にようばうしきり殺生せつしやうめるところから、つい面倒めんだうさに、近所きんじよ車屋くるまや床屋とこやなどにあづけていて、そこから内證ないしよう支度したくして
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うで思案しあんにもあたはず、しほれかへる甚之助じんのすけ人目ひとめ遠慮ゑんりよなきをうらやみて、こヽろそらになれどつち箒木はヽき面倒めんだうさ、此身このみりしもゆゑかは、つれなき令孃ひめ振舞ふるまひ其理由そのわけぐれず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
※等あねら大層たえそなことつたつて、老人としより面倒めんだうたゝへめえ」勘次かんじはぶつ/\と獨語どくごした。おつたのみゝにもかすかにそれがきこえた。おつたはきつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つとむる者の心得は萬事かくの如し此事我々のうへにある時は自然しぜん面倒めんだうなりとて他人ひとの物にても錠前ぢやうまへたゝあけよなど云事なしとも云難いひがたかりにも錠前ぢやうまへを破るは關所せきしよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御米およね、あのことはないよ。どうもふのが面倒めんだういやになつた」とひ出《》した。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
英雄えいゆうは、面倒めんだうくさい座席ざせきになどかたづくのでない。自動車じどうしや免許取めんきよとりだから、運転手台うんてんしゆだいへ、ポイとあがると、「いそげ。」——背中せなかを一つ引撲ひつぱたいきほひだから、いや、運転手うんてんしゆばしたこと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こと面倒めんだうおもはゞ、昔話むかしばなし海賊船かいぞくせん戰術せんじゆつ其儘そのまゝに、するど船首せんしゆ眞一文字まいちもんじ此方こなた突進とつしんきたつて、に/\劍戟けんげき振翳ふりかざせる異形ゐげう海賊かいぞくども亂雲らんうんごと甲板かんぱん飛込とびこんでるかもれぬ。
二階にかいあがらせては面倒めんだう、とふのが、うして人參にんじんところられると、都合つがふわるいので、金子かねわたさぬわけにかぬぢや。……は、は、大目おほめやれさ。」と仰向あふむけに椅子いする。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)