野菜やさい)” の例文
井戸は小屋をかけかはやは雪中其物をになはしむべきそなへをなす。雪中には一てん野菜やさいもなければ家内かない人数にんずにしたがひて、雪中の食料しよくれうたくはふ。
やまがたといひして、土地とち樣子ようすからその性質せいしつべて、そこに青々あを/\した野菜やさいいろを、印象深いんしようぶかくつかんで、しめしてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それが、日数ひかずがたつにつれて、それらの野菜やさいは、ふとったり、また、まるまるとえたり、大粒おおつぶみのったりしましたからね。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんでもいい味のもので、じゃがいもと、ちょうせんあざみと、それからいろいろの野菜やさいをいっしょにした味がするのであった。
お魚が出ると丸ごとけろりとたべました。野菜やさいが出ると手をふところに入れたまましただけ出してべろりとなめてしまいます。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
船の所蔵品をしらべると、ビスケット、ハム、ちょうづめ、コーンビーフ、魚のかんづめ、野菜やさい等、倹約けんやくすれば二ヵ月分はある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
蕎麦そばもこの頃はめました、かゆ野菜やさい少しばかり、牛乳ぎゅうにゅう二合ほどつとめてみます、すべて営養上えいようじょう嗜好しこうはありませんと。
茶呑茶碗ちやのみぢやわんひとつ/\にかれて、何處どこからかそなへられたいも牛蒡ごばう人參にんじん野菜やさい煮〆にしめ重箱ぢゆうばこまゝかれた。其處そこにはぜんだいなにもなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この夫婦ふうふのうちのうしろがわには、小さなまどがありました。その窓からは、にも美しい花や野菜やさいのいっぱいうわっている、きれいなにわが見えました。
食は野菜やさいのみ、魚とては此辺の渓川たにがわにて捕らるるいわなというものの外、なにもなし。飯のそえものに野菜よといえば、砂糖さとうもて来たまいしかと問う。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
けれども先生せんせい其家そのいへかこ幾畝いくせかの空地くうちみづからたがやして菜園さいゑんとし種々しゆ/″\野菜やさいゑてます。また五六羽ごろつぱにはとりふて、一もちゆるだけのたまごつてます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
第九 食物しよくもつ衣服いふくごと分限ぶんげんによるは勿論もちろんなれど、肉食にくしよくあざらけくあたらしきしな野菜やさいわかやわらかなるしなえらぶべし。よく烹熟にたきして、五穀ごこくまじくらふをよしとすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
ぢいやはやまへもりにくしはたけへも野菜やさいをつくりにつて、なんでもよくつてましたから
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
野菜やさいのサンドウィッチ 秋付録 パン料理五十種の「第二十九 野菜サンドイッチ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
家畜かちく野菜やさいをもたらしてくる者、あるいは労力の奉仕を申しこむ若者もあり、なかにはしおらしくも、まずしい一家がよろこびのもちをついて献納けんのうするなど、人情の真美と歓喜かんきのこえは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまつさ野町のまち野田寺町のだでらまち地黄煎口ぢくわうぜんぐちあるひ鶴來往來つるぎわうらいより、野菜やさい擔荷になひて百姓ひやくしやう八百物市やほものいちおもむもの前後疾走ぜんごしつそう相望あひのぞみて、氣競きほひ懸聲かけごゑいさましく、御物見下おものみしたとほること、絡繹らくえきとしてるがごとし。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夕方ゆうがたになると、保名やすなはたけからいてあたらしい野菜やさいや、仕事しごと合間あいまもりった小鳥ことりをぶらげてかえってますと、くず子供こどもいてにっこりわらいながら出てて、おっとむかえました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるは不治ふぢの患者のとこした野菜やさいを切る看護の尼か。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いちご野菜やさい
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
四月にいたれば田圃たはたの雪もまだらにきえて、去年秋の彼岸ひがんまきたる野菜やさいのるゐ雪の下にもえいで、梅は盛をすぐし桃桜は夏を春とす。
こうおつはたけへゆき、おつはときどきこうはたけへきて、たがいに野菜やさい穀類こくるいびたのをながめあって、ほめあったのであります。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからはぼくにうちで留守番るすばんさせて、このスープの見張みはりを言いつけた。毎朝出て行くまえに肉と野菜やさいをなべに入れて、ふたにじょうをかってしまう。
さらに家のうしろには、ニワトリやアヒルのいる小さなにわもありましたし、いろんな野菜やさいや、くだものの木のうわっている、ちょっとした畑もありました。
夏季かきいそがしいさうして野菜やさい缺乏けつばふしたときには彼等かれら唯一ゆゐいつ副食物ふくしよくぶつしほむやうな漬物つけものかぎられてるので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
翫具おもちやしくなりますと、とうさんはうら竹籔たけやぶたけや、麥畠むぎばたけしてある麥藁むぎわらや、それからぢいやが野菜やさいはたけはうからつて茄子なすだの南瓜たうなすだのゝなかへよくさがしにきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
野菜やさいのオムレツ 冬付録 病人の食物調理法の「第百四十 野菜入オムレツ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
砂糖がどんどんできる、酒もできる、ただたりないのは野菜やさいだけである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「さよう。くりやわらびや野菜やさいです。」
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
四月にいたれば田圃たはたの雪もまだらにきえて、去年秋の彼岸ひがんまきたる野菜やさいのるゐ雪の下にもえいで、梅は盛をすぐし桃桜は夏を春とす。
二郎じろうは、まえはたけにまいた、いろいろの野菜やさい種子たねが、あめったあとで、かわいらしい黒土くろつちおもてしたのをました。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
妹はたきをするたきぎや、野菜やさいがわりにつかう草葉くさばをさがしてきたり、おなべを火にかけたりしました。
それからまたわたしのだいじにしていた畑の一部には、だれかにもらっためずらしい野菜やさいを植えている。それは村でほとんど知っている者のない『きくいも』というものであった。
野菜やさいサンドウィッチ 秋 第二百十三 旅の弁当
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
野菜やさいをつくって生きていたのだ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かゝる雪中なれども夏のまうけまきたる野菜やさいのるゐも雪の下にもえいでゝ、その用をなす㕝おそきとはやきのたがひはあれども暖国だんこくにかはる㕝なし。
いまも、陣々じんじんとして、あたまうえかぜなかに、たんぼの野菜やさいしろうらかえすのである、そして、やつれたははなみだぐんだかおかぶのでありました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
この夫婦ふうふうち後方うしろには、ちいさなまどがあって、そのむこうに、うつくしいはな野菜やさいを一めんつくった、きれいなにわがみえるが、にわ周囲まわりにはたかへい建廻たてまわされているばかりでなく、その持主もちぬし
あくる朝早く、かれのむすこが野菜やさいや花を持って市場へ出かけようとするときに、かれらはわたしたちがいっしょにしもの上にかたまって、すこしばかりのわらをかぶってねむっていたのを見つけた。
かゝる雪中なれども夏のまうけまきたる野菜やさいのるゐも雪の下にもえいでゝ、その用をなす㕝おそきとはやきのたがひはあれども暖国だんこくにかはる㕝なし。
あきになってれた野菜やさいは、みんなじょうできでありましたが、そのなかにも、大根だいこんは、ことによくできたのであります。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それからお食事は。肉はなんにいたしましょう。野菜やさいは……」
ほかのいろいろな野菜やさいおおきくなりましたが、いつしかきゅうりのつるは、その垣根かきねにいっぱいにはいまわって、青々あおあおとした、あつみのある、そして
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それはおどくのことだ、さっそくいってあげましょう。」と、いって、やまのおばさんは、おおきなざるのなかあたらしい野菜やさいめずらしい果物くだものをたくさんれて
海のおばあさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうは、自分じぶんあせなみだがかかり、またたましい宿やどっている、それらの野菜やさいを、そのまますぐにくるまんでまちりにゆくには、なんとなくしのびませんでした。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえは、達者たっしゃでよかった。もうこめや、野菜やさいがなくなった時分じぶんだのに、かえらないものだから、病気びょうきでもしているのではないかと、心配しんぱいしながらやってきた。」
あちらにはまちがあって、屋根やねつよひかりにかがやいています。こちらには、青々あおあおとした田圃たんぼがあって、野菜やさいはなが、しろ黄色きいろに、いているのがられました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、こうした野菜やさいや、穀物こくもつというものは、かならずしも勤勉きんべん土地とちにばかりよるものでありません。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
信吉しんきちは、学校がっこうからかえると、野菜やさいみずをやったり、むし駆除くじょしたりして、農村のうそん繁忙期はんぼうきには、よくうち手助てだすけをしたのですが、今年ことしは、晩霜ばんそうのために、山間さんかん地方ちほう
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ははが、野菜やさいまちりにいく手助てだすけをしたり、にわとり世話せわをしたりして、ははちからとなっていました。
一粒の真珠 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとりしょんぼりとして、太郎たろういえまえっていましたが、はたけには去年きょねんのこした野菜やさいなどが、あたらしく緑色みどりいろをふきましたので、それをながらほそみちあるいていました。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)