おき)” の例文
百樹もゝき曰、唐土もろこしにも弘智こうちたる事あり。唐の世の僧義存ぎそんぼつしてのちしかばね函中はこのなかおき、毎月其でしこれをいだし爪髪つめかみのびたるを剪薙はさみきるをつねとす。
今晩こんばんやど連參つれまゐれと申されければ幸藏はおせん與惣次に向ひ願の趣きお取上に相成あひなりたれば今宵おとまり御本陣迄ごほんぢんまでまかり出よとおき乘輿のりもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
るもつもるも風情ふぜいかな、未開紅みかいこううめ姿すがたつぼみゆきはらはむと、おき炬燵ごたつより素足すあしにして、化粧けはひたる柴垣しばがきに、には下駄げたつまさばく。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かねて申合せ候一儀大半成就致し候え共、絹と木綿の綾は取悪とりにくき物ゆえ今晩の内に引裂き、其の代りに此の文を取落しおき候えば
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それと同時に奥津は沖津の意であるから、古代には水葬のみで土葬はなかったと云う説もあるが、これはおきつと解するのが正当ゆえ賛成されぬ。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
予は従来筆記ひっきおきたる小冊を刊行かんこうし、これを菊窓偶筆きくそうぐうひつと名づけ世におおやけにせんと欲し先生に示したれば、先生これを社員しゃいんそれ等の事に通暁つうぎょうせる者に命じ
矢は如何なる物のうちに入れおききしかつまびらかならざれど、獸皮じゆうひ或は木質もくしつを以て作りたる一種の矢筒やづつりしは疑無うたがいなからん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
此時三四郎はからになつた弁当のをりちから一杯に窓から放り出した。女の窓と三四郎の窓は一軒おきの隣であつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其時そのときはじめてたとかつて人橋ひとばしかけてやい/\ともらひたがる、御身分おみぶんがらにも釣合つりあひませぬし、此方こちらはまだつからの子供こどもなに稽古事けいこごと仕込しこんではおきませず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こは父君存生ぞんしょうの頃よりつねに二、三百の金はかしおきたる人なる上、しかも商法手広く表をうる人にさへあれば、はじめてのこととて無情なさけなくはよもとかゝりしなり。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
道々みち/\おきゆん、心ある者や、心づくものや、肝揃きもそろて拝め、肝留きもとめて拝め、高札よ/\立てやうれ/\
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
ああもしも、青木大佐の魂が、紅玉島要塞司令官ハリガン中将の、『かきおき』を見たら、きっと、にっこりとわらって、心安らかに墓場に、眠ることができるだろう。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
その日も蒸暑むしあつかつた。すべてに公平なお天道様てんとうさまは、禅坊主が来たからといつて、つておきの風を御馳走する程の慈悲も見せなかつた。皆はえりくつろげて扇をばたばたさせた。
当時は手早く女は男の公債証書を吾名わがなにして取りおき、男は女の親を人質ひとじちにして僕使めしつかうよし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それはおまへを高慢にしようためではない、余り気を落さないために話して聞かせておき升。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
幕府にも感服せず藩に対しての身の成行なりゆき、心のおきどころは右の通りで、さて江戸に来て居る中に幕府にやとわれて、後にはいよ/\幕府の家来になって仕舞しまえとうので、高百五十俵
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
何でも夕飯の仕度したくに豆腐屋のラッパが街にきこえ始まる頃、伊藤の買ってくれた小さいブリキの洗面器に、二分芯にぶしんおきランプと、五、六枚の古新聞と三十そこそこの粉石鹸の袋とを
あれ等には、まあ、臆病がらせておおき。わたくしは悲しくはあるがこわくはない。
まだつけたままの机の上のおき電燈の光によって、一目でその場の様子が分った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
写字机ビュウロオおき戸棚の間にあった三稜剣エペが壁の隅のほうへ寄り、前列にならんでいたジャヴァの土壺つちつぼがすこしばかりうしろへひきさげられ、そのかわり、今までは横側しか見えなかった油絵が
右門くわだてノ儀ハ、兵学雑談、あるいハ堂上方ノ儀、その外恐入候不敬ノ雑談申散もうしちらし候ハ、其方共申立もうしたてヨリ相知レ候、大弐ハ死罪、右門儀ハ獄門まかり成、御仕おき相立候ニ付、不届ナガラうったえ人ノ事故此処ヲ以テ
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大きな机の上におき洋灯ランプがあつて、そのそばの棚にグルグル巻きにした描きさしの絵があつた。先生は夫れを一枚一枚とりだしては筆を加へられた。ふ左の手を懐中にしてサツサツと筆を動かされる。
写生帖の思ひ出 (新字旧仮名) / 上村松園(著)
この命題めいだいもとに見るにまかせ聞くにまかせ、かつは思ふにまかせて過現来くわげんらいを問はず、われぞかずかくの歌のごと其時々そのとき/″\筆次第ふでしだい郵便いうびんはがきをもつ申上候間まうしあげさふらふあひだねがはくは其儘そのまゝ紙面しめんの一ぐう御列おんならおき被下度候くだされたくさふらふ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
百樹もゝき曰、唐土もろこしにも弘智こうちたる事あり。唐の世の僧義存ぎそんぼつしてのちしかばね函中はこのなかおき、毎月其でしこれをいだし爪髪つめかみのびたるを剪薙はさみきるをつねとす。
殘しおき力に思ふ妻に別れし事なれば餘所よそ見目みるめ可哀いぢらしく哀れと云ふも餘りあり斯くてあるべき事ならねばそれ相應さうおう野邊のべの送りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
てめえ馬を引いて先方むこうへ往って、三藏を此処こゝ迄乗せて連れて来たら、何か急に用が出来たと云って、馬をおきぱなして逃げてしまってくれねえか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御覧のとおり、花を売りますものでござんす。二日置き、三日おきに参って、お山の花を頂いては、里へ持って出てあきないます、ちょう唯今ただいま種々いろいろ花盛はなざかり
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あんまり冥利めうりがよくあるまいとへば御親切ごしんせつありがたう、御異見ごゐけんうけたまはおきましてわたしはどうもんなやつむしかないから、ゑんとあきらめてくださいと人事ひとごとのやうにいへば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おのれじじいめ、えせ物知ものしりの恋の講釈、いとし女房をお辰めお辰めと呼捨よびすて片腹痛しとにらみながら、其事そのことの返辞はせず、昨日頼みおき胡粉ごふん出来て居るかと刷毛はけ諸共もろとも引𢪸ひきもぐように受取り
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ遺憾いかんなるは脇屋わきや某が屠腹とふくを命ぜられたる事を聞き、かかる暴政ぼうせいの下にありては何時いついかなる嫌疑けんぎをうけて首をられんも知れずと思い、その時筐中きょうちゅうおきたる書類しょるい大抵たいてい焼捨やきすてました
化物のするように、構わずに、させておおきなさい。6515
ひさしのもとにゆかありて浅き箱やうのものに白くかくなる物をおきたるは、遠目とほめにこれ石花菜ところてんを売ならん、口にはのぼらずとおもひながらも
お手蔓があるならば、どうか御推挙を願いたい、此の儀は權六にも頼んでおきましたが、御重役の尊公定めしお交際つきあいもお広いことゝ心得ますから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「新吉原江戸町二丁目丁字屋半藏抱遊女ふみ事丁山 とみ事小夜衣 其方共主人へ右之通り申渡しおき候間心得こゝろえとして聞置きけおく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かの玉をこめおき香花こうげを備え、守護神は八竜並居なみいたり、その外悪魚わにの口、のがれがたしやわが命、さすが恩愛の故郷ふるさとのかたぞ恋しき、あの浪のあなたにぞ……
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さりとは無作法ぶさはうおきつぎといふがものか、れは小笠原をがさはらか、何流なにりうぞといふに、お力流りきりうとてきく左法さはうたゝみさけのまする流氣りうぎもあれば、大平おほびらふたであほらする流氣りうぎもあり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夜は針箱の底深くおさめてまくら近くおきながら幾度いくたびか又あけて見てようやねむる事、何の為とはわたくしも知らず、殊更其日叔父おじ非道ひどう勿体もったいなき悪口ばかり、是もわたくしゆえ思わぬ不快を耳に入れ玉うと一一いちいち胸先むなさきに痛く
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
打ち遣っておおきなさい。あれに手を出すと災難です。
ひさしのもとにゆかありて浅き箱やうのものに白くかくなる物をおきたるは、遠目とほめにこれ石花菜ところてんを売ならん、口にはのぼらずとおもひながらも
汝は馬をおきぱなしてなり引張ってなり逃げてしまいねえ、そうして百両金があったら其の内一割とか二割とか汝に礼をしようから、おれの仲間にならねえか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此奴こいつふんどしにするため、野良猫の三毛を退治たいじて、二月越ふたつきごし内証ないしょで、ものおきで皮をしたそうである。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なにかはことごとしてとがめだてなどなさんやは、金村かなむらつまちて、はづかしきことなからずはとおぼせども、さしおきがたき沙汰さたとにかくにかしましく、したしきともなどうちつれての勸告くわんこく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幾尋いくひろともなき深淵ふかきふちの上にこのたなをつりておき一条ひとすぢなはいのちをつなぎとめてそのわざをなす事、おそろしともおもはざるは此事になれたるゆゑなるべし。
老女も中々の才物ではございますが、女だけに遂に大藏の弁舌に説附ときつけられました。此の説附けました事は猥褻わいせつわたりますから、唯説附けたと致しておきましょう。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昼は昼で、笛やら、太鼓やら、踊の稽古けいこ手習てならいも一日おきで、ほっという間もなかったのである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
晝前ひるまへのうちにかならずかならず支度したくはしておきまするとて、首尾しゆびよく受合うけあひておみなかへりぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くだんの石をのきそとなほおき、朝飯などしたゝめて彼の石を見んとするに石なし、いかにせし事やらんとさま/″\にたづねもとむれども行方しれずとなん。
三尺帯を締めまして、少し頭痛がする事もあると見えて鉢巻もしては居るが、禿頭で時々すべっては輪のなりで抜けますから手でめておきますが、たがの様でございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
く先々の庄屋のものおき、村はずれの辻堂などを仮の住居すまいとして、昼は村の註文を集めて仕事をする、傍ら夜は村里の人々に時々の流行唄はやりうた浪花節なにわぶしなどをも唄って聞かせる。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はやくお這入はいりといふに太吉たきちさきてゝ源七げんしち元氣げんきなくぬつとあがる、おやおまへさんおかへりか、今日けふんなにあつかつたでせう、さだめてかへりがはやからうとおもうて行水ぎやうずゐかしておきました
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)