何度なんど)” の例文
「うるさいだ。何度なんどんでもだまっていてやろう。」と、おばあさんは、くちなかでいって、らんかおをしてぜに勘定かんじょうしていました。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
何度なんど何度なんど雄鷄おんどりえだのぼりまして、そこからばうとしましたが、そのたびはねをばた/″\させてりてしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
落城後らくじょうごわたくしがあの諸磯もろいそ海辺うみべ佗住居わびずまいをして時分じぶんなどは、何度なんど何度なんどおとずれてて、なにかとわたくしちからをつけてくれました。
宗助そうすけ夜具やぐかぶつたまゝ、ひとりかたくなつてねむつてゐた。かれこのくらなかで、坂井さかゐからいたはなし何度なんどとなく反覆はんぷくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「はつ‥‥」と、田中たなかはあわてて路上ろじやう腹這はらばひになつてばした。が、はなかなかとどかなかつた。手先てさき銃身じうしんとが何度なんど空間くうかん交錯かうさくつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
井戸いどるおかねはだいたいできたのですが、いざとなって地主じぬしが、そこに井戸いどることをしょうちしてくれないので、何度なんどたのみにたのでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
……お妙は、喬之助に会って以来、日に何度なんどとなく自分に向ってその問いを発して来たのだが、心のどこを叩いても、この答えは見つからなかった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あのひところしてください。わたしはあのひときてゐては、あなたと一しよにはゐられません。」——つまくるつたやうに、何度なんどもかうさけてた。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あるむらなかに、大きな川がながれていました。その川はたいへんながれがつよくてはやくて、むかしから代々だいだいむらの人が何度なんどはしをかけても、すぐながされてしまいます。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
クリストフはこれまで何度なんども、それらのよるの声を聞いていた。しかしまだこんなふうに聞いたことはなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
併し代々だい/″\学者で法談はふだん上手じやうず和上わじやうが来て住職に成り、とし何度なんどか諸国を巡回して、法談でめた布施ふせを持帰つては、其れで生活くらしを立て、御堂みだう庫裡くりの普請をもる。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
ロミオ 信仰しんかうかたこのまなこに、かりにも其樣そのやう不信心ふしんじんおこるならば、なみだほのほともかはりをれ! 何度なんどおぼれてもにをらぬこの明透すきとほ異端げだうめ、うそうたとが火刑ひあぶりにせられをれ! なんぢゃ
わたくししやべこと下手へただから、わからなかつたら、何度なんどでも聽返きゝかへしてください。』とれい口調くちよう
林太郎は日がくれるまで、何度なんどとなくその丘へきてみましたが、やっぱりだめでした。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
けれどもあのヱヴェレストの頂上てうじやうだけは、見上みあげたゞけでもくらんで、何度なんどもそこまでんでようとしては、半分はんぶんもゆかないうちに、つかれてしまつたラランはゾグゾクしながら
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
ごくからかへつて見ると石がない、雲飛うんぴは妻をのゝしち、いかりいかり、くるひにくるひ、つひ自殺じさつしようとして何度なんど妻子さいし發見はつけんされては自殺することも出來できず、懊惱あうなう煩悶はんもんして居ると、一夜
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いままで注意ちういせずに何度なんども/\あるいて其路そのみちから、三千ねんぜん遺物ゐぶつ幾個いくことなく發見はつけんするので、んだか金剛石こんがうせきがゴロ/\足下あしもところがつてやう氣持きもちまでして、うれしくてたまらなかつた。
何度なんどでもけふは何日なんちときくまでにわれけたりと伯父ののらする
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
何度なんど私はそれ等の破片を、朝毎に
鳥料理:A Parody (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
かんしゃくまぎれにてつぼうげて、そとあばしてやろうと、何度なんどとなく、そのおりの鉄棒てつぼうびついたかしれません。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いや、何度なんどまえたのみにきても、わしは井戸いどらせん。しゃっくりがもうあと一にちつづくと、わしがぬそうだが、んでもそいつはゆるさぬ。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
岩屋いわや修行中しゅぎょうちゅうだれかの臨終りんじゅう出会であったことがあるか、とのおたずねでございますか。——それは何度なんど何度なんどもあります。
懇意こんいわか青年せいねん心易立こゝろやすだてはな遠慮ゑんりよのない題目だいもくは、是迄これまで二人ふたりあひだ何度なんどとなく交換かうくわんされたにもかゝはらず、安井やすゐはこゝへて、息詰いきづまつたごとくにえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
平生へいぜいからお人好ひとよしで、愚圖ぐづで、低能ていのうかれは、もともとだらしのないをとこだつたが、いままつた正體しやうたいうしなつてゐた。かれ何度なんどわたしかたたふれかゝつたかれなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
家の人たちは何度なんども、雑貨屋ざっかや小間物屋こまものやなどの小さな店をってやって、そこにおちつくようにすすめたことがあった。しかしかれこしをすえることが出来なかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
はつ子供こどもは、袖子そでこまえで、こんな言葉ことばをかわしていた。子供こどもからびかけられるたびに、おはつは「まあ、可愛かわいい」という様子ようすをして、おなじことを何度なんど何度なんどかえした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すぐ阿蘇忠国あそのただくに案内者あんないしゃにして、わずかな味方みかたへいれたなり、九州きゅうしゅうしろというしろかたっぱしからめぐりあるいて、十三のとしはるから十五のとしあきまで、大戦おおいくさだけでも二十何度なんど
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さうして、この門の上へ持つて來て、いぬのやうにてられてしまふばかりである。えらばないとすれば——下人の考へは、何度なんども同じ道を低徊した揚句あげくに、やつとこの局所へ逢着はうちやくした。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
義母おつかさん大師樣だいしさま何度なんどまゐりになりました。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
何度なんど私はそれの破片を、朝ごと
鳥料理 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そのわたくし幾度いくどとなくこの竜宮街道りゅうぐうかいどうとおりましたが、何度なんどとおってても心地ごこちのよいのはこの街道かいどうなのでございます。
そういって、わたどりったのでした。こういうようなことが、これまでに何度なんどあったでしょう。二おなわたどりで、たずねてくれたものはなかったのです。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
学生生活程気楽なものはないと文句もんく何度なんどかへされた。三四郎は此文句もんくを聞くたびに、自分の寿命もわづか二三年のあひだなのか知らんと、盆槍ぼんやり考へ始めた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それからつるつる、つるつる、何度なんど何度なんどもすべりながら、それでも強情ごうじょうに一けんばかりのぼりましたが、とうとう一息ひといきにつるりとすべって、ずしんとびたにころげちました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そしてまた何度なんどわたしみちそとへよろけさうとするかれおさへてやつたかれなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
盜人ぬすびとつまごめにすると、其處そここしおろしたまま、いろいろつまなぐさした。おれは勿論もちろんくちけない。からだすぎしばられてゐる。が、おれはそのあひだに、何度なんどつまくばせをした。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何度なんども/\も名前なまへばれて、やうやくその生徒せいと正氣しやうきかへつたことがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と、何度なんどもつぶやいたのでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
何度なんどですか。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けれども、これ不安ふあんこれからさき何度なんどでも、色々いろ/\程度ていどおいて、かへさなければまないやうむしらせが何處どこかにあつた。それをかへさせるのはてんことであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おじいさん!」と、子供こどもたちは、いいおともだちをつけたように、口々くちぐちに、何度なんどおな言葉ことばをくりかえして、熱心ねっしん仕事しごとをしているおじいさんの注意ちゅういをひこうとしたのであります。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでも、二郎じろうは、何度なんどとなくふでで、そのうえをこすってきました。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)