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一晩
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ひとばん
ふりがな文庫
“
一晩
(
ひとばん
)” の例文
一晩
(
ひとばん
)
、
其
(
そ
)
のお
醫師
(
いしや
)
の
離座敷
(
はなれざしき
)
のやうな
處
(
ところ
)
に
泊
(
と
)
められますと、
翌朝
(
あけのあさ
)
、
咽喉
(
のど
)
へも
通
(
とほ
)
りません
朝御飯
(
あさごはん
)
が
濟
(
す
)
みました。
間
(
ま
)
もなくでございましたの。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
道子
(
みちこ
)
は
一晩
(
ひとばん
)
稼
(
かせ
)
げば
最低
(
さいてい
)
千
(
せん
)
五六
百円
(
ぴやくゑん
)
になる
身体
(
からだ
)
。
墓石
(
ぼせき
)
の
代金
(
だいきん
)
くらい
更
(
さら
)
に
驚
(
おどろ
)
くところではない。
冬
(
ふゆ
)
の
外套
(
ぐわいたう
)
を
買
(
か
)
ふよりも
訳
(
わけ
)
はない
話
(
はなし
)
だと
思
(
おも
)
つた。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
「それはあいにくでございました。
主人
(
しゅじん
)
はものいみでございまして、
今晩
(
こんばん
)
一晩
(
ひとばん
)
立
(
た
)
つまでは、どなたにもお
会
(
あ
)
いになりません。」
羅生門
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
時も時とて
飯料
(
はんりょう
)
の麦をきらしたので、水車に持て行って
一晩
(
ひとばん
)
寝
(
ね
)
ずの番をして
搗
(
つ
)
いて来ねばならぬ。最早甲州の
繭買
(
まゆかい
)
が甲州街道に入り込んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
父親
(
ちちおや
)
は、
無理
(
むり
)
に
今夜
(
こんや
)
あひるを
殺
(
ころ
)
すとはいいませんでした。せめて、
一晩
(
ひとばん
)
は、
子供
(
こども
)
の
自由
(
じゆう
)
にさせておいてやろうと
思
(
おも
)
いました。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
庭
(
にわ
)
の
若草
(
わかくさ
)
の
芽
(
め
)
も
一晩
(
ひとばん
)
のうちに
伸
(
の
)
びるような
暖
(
あたた
)
かい
春
(
はる
)
の
宵
(
よい
)
ながらに
悲
(
かな
)
しい
思
(
おも
)
いは、ちょうどそのままのように
袖子
(
そでこ
)
の
小
(
ちい
)
さな
胸
(
むね
)
をなやましくした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
損「なりますとも、
一晩
(
ひとばん
)
四布
(
よの
)
が五銭に、
三布布団
(
みのぶとん
)
が三銭、
〆
(
しめ
)
八銭、
三八
(
さんぱ
)
二円
四十銭
(
しじっせん
)
が二ヶ月で四円八十銭に成りますわねえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「三年まえです。ぼくは
一晩
(
ひとばん
)
寒い中でねました。いっしょにいた親方はこごえて死にましたし、ぼくは肺炎になりました」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「一つ
皮肉
(
ひにく
)
に、せんだって使者にまじってきた、
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
をたずねて、
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
と
)
めてくれと
申
(
もう
)
しこんで見ようじゃないか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
途中
(
とちゆう
)
へ
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
とま
)
つたといふやうなことをいつて
勘次
(
かんじ
)
が
心
(
こゝろ
)
忙
(
せは
)
しく
聞
(
き
)
く
迄
(
まで
)
は
理由
(
わけ
)
をいはなかつた。
勘次
(
かんじ
)
は
漸
(
やうや
)
くお
品
(
しな
)
に
頼
(
たの
)
まれて
來
(
き
)
たのだといふことを
知
(
し
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
とうとうしまいに、ガンたちは、
教会
(
きょうかい
)
のあとの、草の
生
(
は
)
えた
床
(
ゆか
)
の上におりて、そこで、
一晩
(
ひとばん
)
をすごすことにしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
たつた
一晩
(
ひとばん
)
の事ではあるし、病院へ
泊
(
とま
)
るか、
泊
(
とま
)
らないか、まだ
分
(
わか
)
らない
先
(
さき
)
から、関係もない人に、迷惑を掛けるのは我儘過ぎて、強ひてとは云ひかねるが
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一晩
(
ひとばん
)
のうちに、ふじのつるで、着物からはかまから、くつからくつ下まで織ったり、こしらえたりした上に、やはり同じふじのつるで
弓
(
ゆみ
)
をこしらえてくれました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「うん、わしはゆうべ
一晩
(
ひとばん
)
ねむらなかった。けれども
今朝
(
けさ
)
わしのからだは
水晶
(
すいしょう
)
のようにさわやかだ。どうだろう、天気は」王さまは
帳
(
とばり
)
を出てまっすぐに立たれました。
四又の百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
なんとかかんとか鋸楽師を
苛
(
いじ
)
めて寝かさなかった。おいぼれは
一晩
(
ひとばん
)
中こごんで肝臓を
庇
(
かば
)
っていた。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
北国
筋
(
すじ
)
の或る大都会などは、ことに
迷子
(
まいご
)
というものが多かった。二十年ほど前までは、冬になると
一晩
(
ひとばん
)
としていわゆる
鉦
(
かね
)
太鼓
(
たいこ
)
の音を聞かぬ晩はないくらいであったという。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
翌曉
(
あくるあさ
)
小樽に着く迄は、腰下す席もない混雜で、私は
一晩
(
ひとばん
)
車室の隅に立ち明した。小樽で下車して、姉の家で朝飯を
喫
(
したゝ
)
め、三時間許りも
假寢
(
うたゝね
)
をしてからまた車中の人となつた。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
なんにも知らぬ新吉が見ても、象はたいへんよろこんでいることがわかりました。
昨夜
(
さくや
)
一晩
(
ひとばん
)
、同じ
貨車
(
かしゃ
)
の中ですごしたので、象は新吉を友だちのように思っている
風
(
ふう
)
なのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ゆふべ、
實
(
じつ
)
はこの
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
へ、れんげ
草
(
そう
)
を
摘
(
つ
)
みにと
思
(
おも
)
つて
來
(
き
)
た、その
自分
(
じぶん
)
が、あんまり
野
(
の
)
のなつかしさに、
家
(
いへ
)
へも
歸
(
かへ
)
らないで、つひ/\、そこで
一晩
(
ひとばん
)
寢
(
ね
)
て
暮
(
くら
)
したといふ
意味
(
いみ
)
です。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
よ、お
前
(
まへ
)
が
此樣
(
このやう
)
な
病氣
(
びやうき
)
になつてから、お
父樣
(
とつさん
)
もお
母樣
(
つかさん
)
も
一晩
(
ひとばん
)
もゆるりとお
眠
(
やすみ
)
になつた
事
(
こと
)
はない、お
疲
(
つか
)
れなされてお
痩
(
や
)
せなされて
介抱
(
かいはう
)
して
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さるのを
孝行
(
かう/\
)
のお
前
(
まへ
)
に
何故
(
なぜ
)
わからない
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
甚兵衛は家に
帰
(
かえ
)
って、その話を
猿
(
さる
)
にいってきかせ、
占
(
うらな
)
い
者
(
しゃ
)
の
言葉
(
ことば
)
を二人で考えてみました。
地獄
(
じごく
)
に
居
(
い
)
るが
訳
(
わけ
)
はないというのが、どうもわかりませんでした。二人は
一晩
(
ひとばん
)
中考えました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
外
(
ほか
)
の奴は皆船から出て行て、私一人で船の番をして居る。
爾
(
そ
)
うすると
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
とまっ
)
て、どいつもこいつもグデン/\に
酔
(
よっ
)
て陽気になって帰て来る。
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
るけれども何としても
仕様
(
しよう
)
がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それや、
一月
(
ひとつき
)
つていふのは、少し長すぎたけど、どうしても手の放されない患者だつたんですもの……。
一晩
(
ひとばん
)
、代りを頼んでと思つたこともあるわ。でも、やつぱり、気がとがめて……。
モノロオグ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
子家鴨
(
こあひる
)
は
疲
(
つか
)
れと
悲
(
かな
)
しみになやまされながらここで
一晩
(
ひとばん
)
を
明
(
あか
)
しました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
永
(
なが
)
の
一晩
(
ひとばん
)
猟
(
かり
)
をしてまわり
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「ああ、おばあさん。じつはこの
原
(
はら
)
の中で日が
暮
(
く
)
れたので、
泊
(
とま
)
る
家
(
うち
)
がなくって
困
(
こま
)
っている
者
(
もの
)
です。
今夜
(
こんや
)
一晩
(
ひとばん
)
どうかして
泊
(
と
)
めては
頂
(
いただ
)
けますまいか。」
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そしてその
黒
(
くろ
)
い
頭
(
あたま
)
をぺこぺこ
下
(
さ
)
げて、どうか
今夜
(
こんや
)
だけもう
一晩
(
ひとばん
)
ここに
泊
(
と
)
めておいてくれと
頼
(
たの
)
みました。しかし
若者
(
わかもの
)
たちは
承知
(
しょうち
)
をしなかったのです。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もう、バルフルールに着いたときは、夕方おそくなっていたので、ボブの兄弟はわたしたちによければ今夜
一晩
(
ひとばん
)
船の中でねて行ってもいいと言った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
霜月
(
しもつき
)
の
末頃
(
すゑごろ
)
である。
一晩
(
ひとばん
)
、
陽氣違
(
やうきちが
)
ひの
生暖
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、むつと
雲
(
くも
)
が
蒸
(
む
)
して、
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
そば
)
だと
半纏
(
はんてん
)
は
脱
(
ぬ
)
ぎたいまでに、
惡汗
(
わるあせ
)
が
浸
(
にじ
)
むやうな、
其
(
その
)
暮方
(
くれがた
)
だつた。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ニールスは、ほとんど
一晩
(
ひとばん
)
じゅう目がさめていました。あけがたになって、すこし
眠
(
ねむ
)
りましたが、そのとき、おとうさんとおかあさんの
夢
(
ゆめ
)
をみました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
きのふまで
小
(
ちひ
)
さな
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
だと
思
(
おも
)
つたのが、
僅
(
わづ
)
か
一晩
(
ひとばん
)
ばかりで、びつくりするほど
大
(
おほ
)
きくなつたのがあります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
豊臣家
(
とよとみけ
)
にはなんのしたくもなく、
見物
(
けんぶつ
)
にまじってぶらりとやってきた三名は、さしずめ、そこらの
樹
(
き
)
のしたに
蓙
(
ござ
)
でもしいて
一晩
(
ひとばん
)
明かすよりほかにしかたがない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其様
(
そん
)
な手紙は未だ見なかったのである。
来意
(
らいい
)
を聞けば、信州の者で、
一晩
(
ひとばん
)
御厄介
(
ごやっかい
)
になりたいと云うのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わざ/\電報を掛けて迄逢ひたがる妹なら、日曜の
一晩
(
ひとばん
)
や
二晩
(
ふたばん
)
を
潰
(
つぶ
)
したつて惜しくはない筈である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まあご
飯
(
はん
)
を食べよう。今夜
一晩
(
ひとばん
)
油
(
あぶら
)
に
漬
(
つ
)
けておいてみろ。それがいちばんいいという話だ」
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「みんなが
頭
(
あたま
)
をぺこぺこ
下
(
さ
)
げて、
今晩
(
こんばん
)
だけもう
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
と
)
めておいてくれいと
頼
(
たの
)
みました。」と、その
有
(
あ
)
り
様
(
さま
)
を
話
(
はな
)
しました。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
明
(
あ
)
くる日
保名
(
やすな
)
は目が
覚
(
さ
)
めてみると、
昨日
(
きのう
)
うけた
体
(
からだ
)
の
傷
(
きず
)
が
一晩
(
ひとばん
)
のうちにひどい
熱
(
ねつ
)
をもって、はれ
上
(
あ
)
がっていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
また、それだけに
釣
(
つり
)
がうまい。
素人
(
しろうと
)
にはむづかしいといふ、
鰻釣
(
うなぎつり
)
の
絲捌
(
いとさば
)
きは
中
(
なか
)
でも
得意
(
とくい
)
で、
一晩
(
ひとばん
)
出掛
(
でか
)
けると
濕地
(
しつち
)
で
蚯蚓
(
みゝず
)
を
穿
(
ほ
)
るほど
一
(
ひと
)
かゞりにあげて
來
(
く
)
る。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この作り話の
効
(
き
)
き
目
(
め
)
がいつもあるわけではなかったが、たまにそれが当たるといい
一晩
(
ひとばん
)
が
過
(
す
)
ごされた。そうだ、わたしはほんとにひつじの
乳
(
ちち
)
を
好
(
す
)
いていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「ここで
一晩
(
ひとばん
)
すごす気らしいな。」と、ニールスは思いながら、ガチョウのせなかからとびおりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
三
月
(
がつ
)
の
雪
(
ゆき
)
が
綿
(
わた
)
のように
町
(
まち
)
へ
来
(
き
)
て、
一晩
(
ひとばん
)
のうちに
見事
(
みごと
)
に
溶
(
と
)
けてゆく
頃
(
ころ
)
には、
袖子
(
そでこ
)
の
家
(
いえ
)
ではもう
光子
(
みつこ
)
さんを
呼
(
よ
)
ぶ
声
(
こえ
)
が
起
(
お
)
こらなかった。それが「
金之助
(
きんのすけ
)
さん、
金之助
(
きんのすけ
)
さん」に
変
(
か
)
わった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それとも
宿
(
やど
)
がなくなって今夜
一晩
(
ひとばん
)
とめてもらいたいと
云
(
い
)
うのか。バキチが頭を
掻
(
か
)
きやした。いやどっちもだ、けれども馬を盗むよりとまるよりまず
第一
(
だいいち
)
に、おれは何かが食いたいんだ。
バキチの仕事
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いま一遍は、愈新聞の方が
極
(
き
)
まつたから、
一晩
(
ひとばん
)
緩
(
ゆつく
)
り
君
(
きみ
)
と
飲
(
の
)
みたい。
何日
(
いくか
)
に
来
(
き
)
て呉れといふ平岡の
端書
(
はがき
)
が
着
(
つ
)
いた時、折悪く差支が出来たからと云つて散歩の序に断わりに
寄
(
よ
)
つたのである。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
声
(
こえ
)
をお
聞
(
き
)
きになると、
天子
(
てんし
)
さまはおひきつけになって、もうそれからは
一晩
(
ひとばん
)
じゅうひどいお
熱
(
ねつ
)
が出て、おやすみになることができなくなりました。
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その
船
(
ふね
)
は
沖
(
おき
)
に一
日
(
にち
)
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
と
)
まっていましたが、あくる
日
(
ひ
)
は、その
影
(
かげ
)
も
姿
(
すがた
)
もなかったのであります。そうしてその
日
(
ひ
)
から、
村
(
むら
)
に
薬売
(
くすりう
)
りがこなくなりました。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
殊
(
こと
)
に
此頃
(
このごろ
)
の
夜
(
よ
)
は
長
(
なが
)
し、
東京
(
とうきやう
)
を
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
から
一晩
(
ひとばん
)
の
泊
(
とまり
)
が
気
(
き
)
になつてならない
位
(
くらゐ
)
、
差支
(
さしつか
)
へがなくば
御僧
(
おんそう
)
と
御一所
(
ごいつしよ
)
に。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わたしはそれを思い切って聞けなかった。頭から足のつま先までわたしは
冷
(
ひ
)
やあせをかいていた。わたしはこのありさまでまる
一晩
(
ひとばん
)
置
(
お
)
かれた。にわとりが夜明けを知らせた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
僅
(
わづ
)
か
一晩
(
ひとばん
)
ばかりのうちに
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
はずんずん
大
(
おほ
)
きくなりました。
雀
(
すずめ
)
が
寢
(
ね
)
て
起
(
お
)
きて、また
竹
(
たけ
)
やぶへ
遊
(
あそ
)
びに
行
(
い
)
きますと、きのふまで
見
(
み
)
えなかつたところに
新
(
あたら
)
しい
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たのがあります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
捨
(
す
)
てられたお
人形
(
にんぎょう
)
は、
一晩
(
ひとばん
)
、ものさびしい
野原
(
のはら
)
の
中
(
なか
)
で、
露宿
(
ろじゅく
)
しました。
嵐
(
あらし
)
の
音
(
おと
)
をきいておそれていました。
気味悪
(
きみわる
)
く
光
(
ひか
)
る
星影
(
ほしかげ
)
を
見
(
み
)
ておののいていました。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつもは
一晩
(
ひとばん
)
ぐらいお
籠
(
こも
)
りになっても、
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
はきっとお
出
(
で
)
ましになって、みんなにいろいろと
尊
(
とうと
)
いお
話
(
はなし
)
をなさるのに、
今日
(
きょう
)
はどうしたものだろうと
思
(
おも
)
って
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
“一晩”の意味
《名詞・形容動詞》
日暮れから夜明けまでの間の一回ぶん。
ある晩。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
晩
常用漢字
小6
部首:⽇
12画
“一晩”で始まる語句
一晩中
一晩夜