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視
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なが
ふりがな文庫
“
視
(
なが
)” の例文
いつの間にか、トチトチトン、のんきらしい
響
(
ひびき
)
に乗って、駅と書いた本所
停車場
(
ステイション
)
の建札も、
駅
(
うまや
)
と読んで、白日、菜の花を
視
(
なが
)
むる心地。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つい、その
頃
(
ころ
)
、
門
(
もん
)
へ
出
(
で
)
て——
秋
(
あき
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
である……
何心
(
なにごころ
)
もなく
町通
(
まちどほ
)
りを
視
(
なが
)
めて
立
(
た
)
つと、
箒目
(
はゝきめ
)
の
立
(
た
)
つた
町
(
まち
)
に、ふと
前後
(
あとさき
)
に
人足
(
ひとあし
)
が
途絶
(
とだ
)
えた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
舌長姥 (時に、うしろ向きに乗出して、獅子頭を
視
(
なが
)
めつつあり)
老人
(
としより
)
じゃ、当
館
(
やかた
)
奥方様も御許され。見惚れるに無理はないわいの。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かとも思ったが、どちらを
視
(
なが
)
めても、何も
居
(
お
)
らず、どこに窓らしい薄明りも
射
(
さ
)
さなければ、一間開放した
筈
(
はず
)
の、
帷
(
カアテン
)
の
戦
(
そよ
)
ぎも見えぬ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっともね、はじめから聞えないのは覚悟だというように、顔を上げてね、人の顔を
視
(
なが
)
めてさ。目で承りましょうと云うんじゃないの。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
扉の方へうしろ向けに、
大
(
おおき
)
な
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
のこなた、
薬研
(
やげん
)
のような
破目
(
われめ
)
の入った
丸柱
(
まるばしら
)
を
視
(
なが
)
めた時、一枚
懐紙
(
かいし
)
の
切端
(
きれはし
)
に、すらすらとした
女文字
(
おんなもじ
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、気をつけて見ると、あれでもしおらしいもので、
路端
(
みちばた
)
などを
我
(
われ
)
は
顔
(
がお
)
で
伸
(
の
)
してる
処
(
ところ
)
を、人が参って、
熟
(
じっ
)
と
視
(
なが
)
めて御覧なさい。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姉が
熟
(
じっ
)
と
視
(
なが
)
めていたが、何と思ったか、栄螺と蛤を
旧
(
もと
)
へ直すと、入かわりに壇へ飾ったその人形を取って、俎の上へ乗せたっけ……
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と僧は心に——大方明も鐘撞堂から、この
状
(
さま
)
を、今
視
(
なが
)
めている夢であろう。何かの拍子に、その鐘が鳴ると目が覚めよう、と思う内……
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
撫子
(
なでしこ
)
。
円髷
(
まるまげ
)
、
前垂
(
まえだれ
)
がけ、床の間の
花籠
(
はなかご
)
に、黄の小菊と白菊の大輪なるを
莟
(
つぼみ
)
まじり投入れにしたるを
視
(
なが
)
め、手に
三本
(
みもと
)
ばかり
常夏
(
とこなつ
)
の花を持つ。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路
(
みち
)
も
纔
(
わずか
)
に通ずるばかり、枯れても
未
(
ま
)
だ
葎
(
むぐら
)
の
結
(
むす
)
ぼれた上へ、煙の如く降りかゝる
小雨
(
こさめ
)
を透かして、遠く其の
寂
(
さび
)
しい
状
(
さま
)
を
視
(
なが
)
めながら
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝはや藪の中央ならむと
旧
(
もと
)
来
(
き
)
し
方
(
かた
)
を
振返
(
ふりかへ
)
れば、真昼は藪に寸断されて点々星に
髣
(
さも
)
髴
(
に
)
たり。なほ
何程
(
なにほど
)
の奥やあると、及び腰に
前途
(
ゆくて
)
を
視
(
なが
)
む。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取巻いた
小児
(
こども
)
の上を、
鮒
(
ふな
)
、
鯰
(
なまず
)
、黒い頭、
緋鯉
(
ひごい
)
と見たのは赤い
切
(
きれ
)
の
結綿仮髪
(
ゆいわたかつら
)
で、幕の藤の花の末を
煽
(
あお
)
って、泳ぐように
視
(
なが
)
められた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奥路に名高い、例の須賀川の牡丹園の花の香が風に伝わるせいかも知れない、汽車から
視
(
なが
)
める、目の下に近い、
門
(
かど
)
、背戸、垣根。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふと心付いた
状
(
さま
)
して、
動悸
(
どうき
)
を鎮めるげに、襟なる
檜扇
(
ひおうぎ
)
の端をしっかと
圧
(
おさ
)
えて、ト
後
(
うしろ
)
を見て、
襖
(
ふすま
)
にすらり
靡
(
なび
)
いた、その下げ髪の丈を
視
(
なが
)
めた。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(じみなんですから
母
(
おっか
)
さん似合いますよ、)と嬉しそうにいう顔を
視
(
なが
)
めながら、お絹は手を通しつつ
振
(
ふり
)
沢山な裏と表を
熟
(
じっ
)
と見て
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美女
(
たをやめ
)
は、やゝ
俯向
(
うつむ
)
いて、
其
(
そ
)
の
駒
(
こま
)
を
熟
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
める
風情
(
ふぜい
)
の、
黒髪
(
くろかみ
)
に
唯
(
たゞ
)
一輪
(
いちりん
)
、……
白
(
しろ
)
い
鼓草
(
たんぽゝ
)
をさして
居
(
ゐ
)
た。
此
(
こ
)
の
色
(
いろ
)
の
花
(
はな
)
は、
一谷
(
ひとたに
)
に
他
(
ほか
)
には
無
(
な
)
かつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
煙
(
けむり
)
の
遠
(
とほ
)
いのは
人
(
ひと
)
かと
見
(
み
)
ゆる、
山
(
やま
)
の
魂
(
たましひ
)
かと
見
(
み
)
ゆる、
峰
(
みね
)
の
妾
(
おもひもの
)
かと
見
(
み
)
ゆる、
狩
(
か
)
り
暮
(
く
)
らし
夕霧
(
ゆふぎり
)
に
薄
(
うす
)
く
成
(
な
)
り
行
(
ゆ
)
く、
里
(
さと
)
の
美女
(
たをやめ
)
の
影
(
かげ
)
かとも
視
(
なが
)
めらるゝ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
寂然
(
しん
)
として、
果
(
はて
)
は目を
瞑
(
つむ
)
って聞入った旅僧は、夢ならぬ顔を上げて、
葭簀
(
よしず
)
から街道の
前後
(
あとさき
)
を
視
(
なが
)
めたが、日脚を仰ぐまでもない。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一頭
(
ひとつ
)
、ぬっと、ざらざらな首を伸ばして、長く
反
(
そ
)
って、汀を仰いだのがあった。心は、初阪等二人と
斉
(
ひと
)
しく、絹糸の虹を
視
(
なが
)
めたに違いない。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二筋
(
ふたすぢ
)
三筋
(
みすぢ
)
、
後毛
(
をくれげ
)
のふりかゝる
顔
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げて、
青年
(
わかもの
)
の
顔
(
かほ
)
を
凝
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
めて、
睫毛
(
まつげ
)
の
蔭
(
かげ
)
に
花
(
はな
)
の
雫
(
しづく
)
、
衝
(
つ
)
と
光
(
ひか
)
つて、はら/\と
玉
(
たま
)
の
涙
(
なみだ
)
を
落
(
おと
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雲から投出したような
遣放
(
やりぱな
)
しの空地に、西へ廻った日の赤々と
射
(
さ
)
す中に、大根の葉のかなたこなたに青々と伸びたを
視
(
なが
)
めて
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前に青竹の
埒
(
らち
)
を
結廻
(
ゆいまわ
)
して、その筵の上に、大形の古革鞄ただ
一個
(
ひとつ
)
……
眗
(
みまわ
)
しても
視
(
なが
)
めても、
雨上
(
あまあが
)
りの
湿気
(
しけ
)
た
地
(
つち
)
へ、
藁
(
わら
)
の
散
(
ちら
)
ばった
他
(
ほか
)
に何にも無い。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とばかりで重そうな
頭
(
つむり
)
を上げて、
俄
(
にわ
)
かに黒雲や起ると思う、
憂慮
(
きづか
)
わしげに仰いで
視
(
なが
)
めた。空ざまに目も
恍惚
(
うっとり
)
、
紐
(
ひも
)
を
結
(
ゆわ
)
えた
頤
(
おとがい
)
の震うが見えたり。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雛芥子
(
ひなげし
)
が散って実になるまで、風が誘うを
視
(
なが
)
めているのだ。色には、恋には、
情
(
なさけ
)
には、その咲く花の二人を
除
(
の
)
けて、他の人間はたいがい風だ。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅客も
杖
(
ステッキ
)
をたてかけて、さしむかいに背を
屈
(
かが
)
め、石を
掻抱
(
かいだ
)
くようにして、手をついて実を
視
(
なが
)
めたが、
眦
(
まなじり
)
を返して近々と我を迎うる
皓歯
(
しらは
)
を見た。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土地
(
とち
)
のものが、
其方
(
そなた
)
の
空
(
そら
)
ぞと
視
(
なが
)
め
遣
(
や
)
る、
谷
(
たに
)
の
上
(
うへ
)
には、
白雲
(
はくうん
)
行交
(
ゆきか
)
ひ、
紫緑
(
むらさきみどり
)
の
日影
(
ひかげ
)
が
添
(
そ
)
ひ、
月明
(
つきあかり
)
には、
黄
(
き
)
なる、
又
(
また
)
桃色
(
もゝいろ
)
なる、
霧
(
きり
)
の
騰
(
のぼ
)
るを
時々
(
ときどき
)
望
(
のぞ
)
む。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
別にハイそれを
視
(
なが
)
めるでもねえだ。美しい目水晶ぱちくりと、川上の空さ
碧
(
あお
)
く光っとる星い向いて、相談
打
(
ぶ
)
つような形だね。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰も、富士も三保の松も
視
(
なが
)
めちゃあいない。気まぐれに、舞を見るものも、ごま点と首ッぴきだから、天人の顔は
黒痘痕
(
くろあばた
)
さ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白泡のずぶずぶと、
濡土
(
ぬれつち
)
に
呟
(
つぶや
)
く蟹の、やがてさらさらと穂に
攀
(
よ
)
じて、
鋏
(
はさみ
)
に月を招くやなど、
茫然
(
ぼうぜん
)
として
視
(
なが
)
めたのであった。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店が一軒、色の黒い
皺
(
しな
)
びた婆さんが一人、真黒な犬を一匹、膝に
引
(
ひき
)
つけていて、じろりと、犬と
一所
(
いっしょ
)
に私たちを
視
(
なが
)
めましたっけ。……
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殺されたら死ぬ気でな、——大恩のある御主人の、この格子戸も見納めか、と思うようで、軒下へ出て振返って、
門
(
かど
)
を
視
(
なが
)
めて、立っているとな。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一軒の
門
(
かど
)
にこのくらい咲いた家は修善寺中に見当らねえだよ。——これを
視
(
なが
)
めるのは
無銭
(
ただ
)
だ。酒は
高価
(
たけ
)
え、いや、しかし、見事だ。ああ、うめえ。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二度目には雷神坂を、しゃ、雲に乗って飛ぶように、車の上から、見晴しの景色を
視
(
なが
)
めながら、口の
裡
(
うち
)
に小唄謡うて、
高砂
(
たかさご
)
で下りました、ははっ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこに立ってただ一人
視
(
なが
)
めていた婆さんがあった、その顔を見ると、
塞
(
ふさが
)
ったようになった細い目で、おや! といった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僅
(
わずか
)
に巡行の警官が見て見ぬ
振
(
ふり
)
という特別の慈悲を便りに、ぼんやりと寂しい街路の霧になって
行
(
ゆ
)
くのを
視
(
なが
)
めて、鼻の
尖
(
さき
)
を冷たくして待っておったぞ。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
祠は
立場
(
たてば
)
に遠いから、
路端
(
みちばた
)
の清水の奥に、
蒼
(
あお
)
く蔭り、朱に輝く、
活
(
い
)
けるがごとき大盗賊の
風采
(
ふうさい
)
を、車の上からがたがたと、横に
視
(
なが
)
めて通った事こそ。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うむ、」と
云
(
い
)
ふ。
中
(
なか
)
から
縁
(
ふち
)
へしがみついた、
面
(
つら
)
を
眞赤
(
まつか
)
に、
小鼻
(
こばな
)
をしかめて、
目
(
め
)
を
白
(
しろ
)
く
天井
(
てんじやう
)
を
睨
(
にら
)
むのを、
熟
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
めて
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
膝に
縋
(
すが
)
って
六歳
(
むッつ
)
ばかりの男の子が、指を
銜
(
くわ
)
えながら往来をきょろきょろと
視
(
なが
)
める
背後
(
うしろ
)
に、母親のその
背
(
せな
)
に
凭
(
もた
)
れかかって、
四歳
(
よッつ
)
ぐらいなのがもう一人。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はじめて心付くと、
先刻
(
さっき
)
視
(
なが
)
めた城に対して、
稜威
(
みいず
)
は高し、
宮居
(
みやい
)
の屋根。雲に連なる
甍
(
いらか
)
の棟は、玉を刻んだ峰である。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠は左右のものを見、上下のものを
視
(
なが
)
むるとき、さらにその顔を動かし、首を
掉
(
ふ
)
ることをせざれども、
瞳
(
ひとみ
)
は自在に回転して、随意にその用を弁ずるなり。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども人々は、ただ雲を
掴
(
つか
)
んで影を
視
(
なが
)
めるばかりなのを……謹三は一人その花吹く
天
(
そら
)
——雲井桜を知っていた。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と歎息するように
独言
(
ひとりごと
)
して、
扱
(
しご
)
いて
片頬
(
かたほ
)
を
撫
(
な
)
でた手をそのまま、欄干に
肱
(
ひじ
)
をついて、
遍
(
あまね
)
く境内をずらりと
視
(
なが
)
めた。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
引被
(
ひっかぶ
)
せてやりました夜具の襟から手を出して、
情
(
なさけ
)
なさそうに、銀の指環を
視
(
なが
)
める処が、とんと早や大病人でな。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と村の
小児
(
こども
)
は峠を
視
(
なが
)
める。
津幡川
(
つばたがわ
)
を
漕
(
こ
)
ぐ船頭は、(
笄
(
こうがい
)
さした黒髪が、空から水に映る)と申す、——峠の
婦人
(
おんな
)
は、里も村も、ちらちらと
遊行
(
ゆぎょう
)
なさるる……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……黒髪の
颯
(
さっ
)
と
捌
(
さば
)
けたのが烏帽子の金に裏透いて、さながら
金屏風
(
きんびょうぶ
)
に名誉の絵師の、松風を墨で流したようで、雲も竜もそこから湧くか、と
視
(
なが
)
められた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを透かして、写絵の楽屋のごとき、一筋のかんてらに、顔と姿の写るのを、わざと立淀んで、お孝が
視
(
なが
)
めて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜
(
よ
)
があけたわ、
顔
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
つたわ、
旅館
(
りよくわん
)
の
縁側
(
えんがは
)
から、
築山
(
つきやま
)
に
松
(
まつ
)
の
生
(
は
)
へたのが
幾
(
いく
)
つも
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
に
浮
(
う
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
大
(
おほき
)
な
池
(
いけ
)
を
視
(
なが
)
めて、いゝなあと
言
(
い
)
つたつて、それまでだ。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すた/\と
入
(
はひ
)
つて
来
(
く
)
ると、
棚
(
たな
)
を
視
(
なが
)
め、
席
(
せき
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひ、
大鞄
(
おほかばん
)
と、
空気枕
(
くうきまくら
)
を、
手際
(
てぎは
)
よく
取
(
と
)
つて
担
(
かつ
)
いで、アルコールの
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
を、
靴
(
くつ
)
で
半輪
(
はんわ
)
に
廻
(
まは
)
つて、
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くとて——
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト大様に
視
(
なが
)
めて、出刃を
逆手
(
さかて
)
に、面倒臭い、一度に間に合わしょう、と狙って、ずるりと後脚を
擡
(
もた
)
げる、
藻掻
(
もが
)
いた形の、
水掻
(
みずかき
)
の中に、
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
んだ爪がある。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“視”を含む語句
熟視
凝視
蔑視
監視
偸視
諦視
警視庁
環視
注視
邪視
巡視
斜視
正視
視力
睨視
仰視
顧視
幻視
瞻視
軽視
...