トップ
>
益
>
ます/\
ふりがな文庫
“
益
(
ます/\
)” の例文
婚姻によりて実世界に
擒
(
きん
)
せられたるが為にわが理想の小天地は
益
(
ます/\
)
狭窄なるが如きを覚えて、最初には理想の牙城として恋愛したる者が
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
朝起きると、父は蒼ざめながらも、
眼
(
まなこ
)
丈
(
だけ
)
は
益
(
ます/\
)
鋭くなつた顔を、曇らせながら、黙々として出て行つた。玄関へ送つて出る瑠璃子も
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
大豆打
(
でえづぶち
)
にかつ
轉
(
ころ
)
がつた
見
(
み
)
てえに
面中
(
つらぢう
)
穴
(
めど
)
だらけにしてなあ」
剽輕
(
へうきん
)
な
相手
(
あひて
)
は
益
(
ます/\
)
惡口
(
あくこう
)
を
逞
(
たくま
)
しくした。
群衆
(
ぐんしふ
)
は
一聲
(
ひとこゑ
)
の
畢
(
をは
)
る
毎
(
ごと
)
に
笑
(
わら
)
ひどよめいた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さるほどに、
山
(
やま
)
又
(
また
)
山
(
やま
)
、
上
(
のぼ
)
れば
峰
(
みね
)
は
益
(
ます/\
)
累
(
かさな
)
り、
頂
(
いたゞき
)
は
愈々
(
いよ/\
)
聳
(
そび
)
えて、
見渡
(
みわた
)
せば、
見渡
(
みわた
)
せば、
此處
(
こゝ
)
ばかり
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
を、
雪
(
ゆき
)
が
封
(
ふう
)
ずる
光景
(
ありさま
)
かな。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一行
始
(
はじ
)
めて
団結
(
だんけつ
)
し
猛然
(
もうぜん
)
奮進に
决
(
けつ
)
す又足を水中に
投
(
とう
)
ずれば水勢
益
(
ます/\
)
急
(
きう
)
となり、両岸の岩壁
愈
(
いよ/\
)
嶮
(
けん
)
となり、之に従つて河幅は
頗
(
すこぶ
)
る
縮
(
ちぢま
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
▼ もっと見る
或
(
あるひ
)
は
飮食店
(
いんしよくてん
)
に
於
(
お
)
ける
揚物
(
あげもの
)
の
油
(
あぶら
)
、
或
(
あるひ
)
はせるろいど
工場
(
こうじよう
)
など、
世
(
よ
)
の
文化
(
ぶんか
)
が
進
(
すゝ
)
むに
從
(
したが
)
ひ、
化學藥品
(
かがくやくひん
)
にして
發火
(
はつか
)
の
原因
(
げんいん
)
となるものが、
益
(
ます/\
)
殖
(
ふ
)
えて
來
(
く
)
る。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
凡
(
すべ
)
てをキユビズムで
行
(
い
)
つた書斎も悪くない。
此
(
この
)
画風が装飾的にのみ意義と効果のある事が
益
(
ます/\
)
頷
(
うなづ
)
かれる。
其
(
その
)
次には織物や刺繍の図案が目を引く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此間
(
このあひだ
)
或
(
ある
)
雑誌で「力」といふ観念に
就
(
つい
)
て独仏両者を比較したパラントといふ人の文章を読んだ時、自分は
益
(
ます/\
)
其感を深くした。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
且
(
かつ
)
性來
(
せいらい
)
記憶力
(
きおくりよく
)
に
乏
(
とぼ
)
しき
余
(
よ
)
は、
此等
(
これら
)
の
病症
(
びやうしやう
)
の
爲
(
ため
)
に
益
(
ます/\
)
其
(
その
)
※退
(
げんたい
)
するを
感
(
かん
)
じ、
治療法
(
ちれうはふ
)
に
苦心
(
くしん
)
せる
時
(
とき
)
、
偶
(
たま/\
)
冷水浴
(
れいすゐよく
)
を
爲
(
な
)
して
神
(
かみ
)
に
祷願
(
たうぐわん
)
せば
必
(
かなら
)
ず
功驗
(
こうけん
)
ある
可
(
べ
)
しと
告
(
つ
)
ぐる
人
(
ひと
)
あり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
勝田君
(
かつだくん
)
が
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
く。『
彼奴
(
きやつ
)
だ/\』と、
皆
(
みな
)
くす/\
笑
(
わら
)
ふ。
自分
(
じぶん
)
のことを
笑
(
わら
)
つたのかと、
左
(
さ
)
なきだに
無愛想
(
ぶあいさう
)
な
顔
(
かほ
)
をしたモンゴリア
号
(
がう
)
の
事務長
(
じむちやう
)
は、
益
(
ます/\
)
むづかしい
顔
(
かほ
)
をする。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
これが又一層
不便
(
ふびん
)
を増すの料となつて、孫や孫やと、その祖父祖母の寵愛は
益
(
ます/\
)
太甚
(
はなはだ
)
しく、
四歳
(
よつ
)
五歳
(
いつゝ
)
、
六歳
(
むつ
)
は、夢のやうに
掌
(
たなごころ
)
の中に過ぎて、段々その性質があらはれて来た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
其尊嚴の
益
(
ます/\
)
尊嚴ならんことを祈り、其神聖の益神聖ならんことを願ひ、苟も全國の安寧を欲して前途の大計に注目する者は、容易に其尊嚴を示す勿れ、容易に其神聖を用る勿れ
帝室論
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
山田
(
やまだ
)
と
益
(
ます/\
)
親密
(
しんみつ
)
になるに
就
(
つ
)
けて、
遠方
(
ゑんぱう
)
から通ふのは
不都合
(
ふつがふ
)
であるから、
僕
(
ぼく
)
の
家
(
うち
)
に
寄宿
(
きしゆく
)
しては
奈何
(
どう
)
です、と
山田
(
やまだ
)
が
云
(
い
)
つてくれるから、
願
(
ねが
)
うても無き
幸
(
さいわひ
)
と、
直
(
すぐ
)
に
笈
(
きふ
)
を
負
(
をつ
)
て、
郷関
(
きやうくわん
)
を出た
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
自分は氣を
變
(
かへ
)
るためピアノを離れて、取寄せた外國の雜誌を開いたが、插繪の
景色
(
けいしよく
)
や流行服の廣告畫なぞ見ると、徒らに堪へ難い當時の追想に沈められるばかりで、
益
(
ます/\
)
現在の自分が情けなくなる。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
然るが故に粋は侠を待つて益〻粋に、侠は粋を頼みて
益
(
ます/\
)
侠に、この二者、隠然、宗教及び道教以外に一教門を形成したるが如し。
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
もし
震原
(
しんげん
)
が
直下
(
ちよつか
)
でなかつたならば、
震原
(
しんげん
)
に
對
(
たい
)
して
水平
(
すいへい
)
の
方向
(
ほうこう
)
にも
距離
(
きより
)
が
加
(
くは
)
はつて
來
(
く
)
るから、
距離
(
きより
)
は
益
(
ます/\
)
遠
(
とほ
)
くなるわけである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「
何處
(
どこ
)
らか
歩
(
ある
)
いて
來
(
き
)
たと
見
(
み
)
えて
足
(
あし
)
埃
(
ほこり
)
だらけだと」二三
人
(
にん
)
の
聲
(
こゑ
)
で
戯談
(
ぜうだん
)
を
返
(
かへ
)
した。
家
(
いへ
)
の
内外
(
うちそと
)
のむつとした
空氣
(
くうき
)
が
益
(
ます/\
)
ざわついた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
なぜなれば真の
貴女
(
きぢよ
)
は
是
(
これ
)
等多数の低級なる
而
(
さ
)
うして美質に満ちた婦人の間から将来
益
(
ます/\
)
発生する事を期待するからである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「さうすると、君の様な身分のものでなくつちや、神聖の労力は出来ない訳だ。ぢや
益
(
ます/\
)
遣
(
や
)
る義務がある。なあ三千代」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
我
(
わが
)
國民
(
こくみん
)
今後
(
こんご
)
の
責任
(
せきにん
)
は
益
(
ます/\
)
重大
(
ぢうだい
)
ならんとするの
時
(
とき
)
、
活動
(
くわつどう
)
の
根本機關
(
こんぽんきくわん
)
とも
言
(
い
)
ふ
可
(
べ
)
き
身體
(
しんたい
)
の
攝養
(
せつやう
)
には
尤
(
もつと
)
も
注意
(
ちゆうい
)
を
要
(
えう
)
す。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
日が、トツプリ暮れてしまつた頃から、嵐は
益
(
ます/\
)
吹き募つた。海は頻りに轟々と吼え狂つた。波は岸を超え、常には干乾びた砂地を走つて、別荘の
土堤
(
どて
)
の根元まで押し寄せた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
先人の
蹤
(
あと
)
をふみつゝ、
益
(
ます/\
)
その深奥な『自然』に面して勇しく進んで行かなければならない。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
然
(
しか
)
りと雖も
前途
(
ぜんと
)
嶮
(
けん
)
益
(
ます/\
)
嶮
(
けん
)
にして、人跡
猶
(
なほ
)
未到の
地
(
ち
)
、
果
(
はた
)
して予定に
違
(
ちが
)
はざるなきや、之を
思
(
おも
)
へば一喜一憂
交々
(
こも/\
)
到
(
いた
)
る、万艱を
排
(
はい
)
して
前進
(
ぜんしん
)
し野猪の
勇
(
ゆう
)
を之れ
貴
(
たつと
)
ぶのみと、一行又
熊笹
(
くまささ
)
の
叢中
(
さうちう
)
に頭を
没
(
ぼつ
)
して
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
彼等が明鏡の
裡
(
うち
)
に我が真影の写るを見て、
益
(
ます/\
)
厭世の度を高うすべきも、婚姻の歓楽は彼等を誠信と楽天に導くには力足らぬなり。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
疾風
(
しつぷう
)
は
其
(
そ
)
の
威力
(
ゐりよく
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
包
(
つゝ
)
んだ
焔
(
ほのほ
)
を
掻
(
か
)
き
退
(
の
)
けようとして
其
(
その
)
餘力
(
よりよく
)
が
屋根
(
やね
)
の
葺草
(
ふきぐさ
)
を
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
つた。
火
(
ひ
)
は
直
(
たゞち
)
に
其
(
そ
)
の
空隙
(
くうげき
)
に
噛
(
か
)
み
入
(
い
)
つて
益
(
ます/\
)
其處
(
そこ
)
に
力
(
ちから
)
を
逞
(
たくま
)
しくした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夜が更けたので次第に客は帰つて行つた。ムネ・シユリイを囲む僕等の一卓
丈
(
だけ
)
は
益
(
ます/\
)
話が
蕭
(
しめ
)
やかに進んだ。ムネ・シユリイは幾
度
(
たび
)
も
煙草
(
たばこ
)
を取つて皆に勧めた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、代助が
益
(
ます/\
)
頼
(
たの
)
むので、では云つて
上
(
あ
)
げませうと前置をして、代助の
何
(
ど
)
うかしてゐる例を挙げ出した。梅子は勿論わざと
真面目
(
まじめ
)
を装つてゐるものと代助を解釈した。
其中
(
そのなか
)
に
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勝彦の名が瑠璃子の唇を洩れると、勝平の巨きい顔は、
益
(
ます/\
)
苦り切つてしまつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
是
(
これ
)
にて
罪
(
つみ
)
は
成立
(
せいりつ
)
し、
第
(
だい
)
八
囘
(
くわい
)
以後
(
いご
)
はその
罪
(
つみ
)
によりていかなる「
罰
(
ばつ
)
」
精神的
(
せいしんてき
)
の
罰
(
ばつ
)
心中
(
しんちう
)
の
鬼
(
おに
)
を
穿
(
うが
)
ち
出
(
い
)
でゝ
益
(
ます/\
)
精
(
せい
)
に
益
(
ます/\
)
妙
(
めう
)
なり。
余
(
よ
)
は
多言
(
たげん
)
するを
好
(
この
)
まず。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
其
(
その
)
級友
(
きふいう
)
の
動作
(
どうさ
)
が
別
(
べつ
)
に
自分
(
じぶん
)
と
違
(
ちが
)
つた
所
(
ところ
)
もない
樣
(
やう
)
なのを
見
(
み
)
て、
彼
(
かれ
)
は
益
(
ます/\
)
馬鹿々々
(
ばか/\
)
しい
氣
(
き
)
を
起
(
おこ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾人
(
ごじん
)
の面目を
燎爛
(
れうらん
)
せんとするこそ
益
(
ます/\
)
面倒なれ、比較するだに
畏
(
かしこ
)
けれど、万乗には之を
崩御
(
ほうぎよ
)
といひ、
匹夫
(
ひつぷ
)
には之を「クタバル」といひ、鳥には落ちるといひ、魚には上がるといひて
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
遂に其宿因よりして却つて八英雄を得るに至らしめたる禍福の理法、
益
(
ます/\
)
明らかなり。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
はや三
尺
(
じやく
)
餘
(
あま
)
りの
長
(
なが
)
さになつたので、
其所
(
そこ
)
で
筆
(
ふで
)
を
擱
(
お
)
いたが、
公案
(
こうあん
)
に
苦
(
くる
)
しめられてゐる
事
(
こと
)
や、
坐禪
(
ざぜん
)
をして
膝
(
ひざ
)
の
關節
(
くわんせつ
)
を
痛
(
いた
)
くしてゐる
事
(
こと
)
や、
考
(
かんが
)
へるために
益
(
ます/\
)
神經衰弱
(
しんけいすゐじやく
)
が
劇
(
はげ
)
しくなりさうな
事
(
こと
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうち
雨
(
あめ
)
は
益
(
ます/\
)
深
(
ふか
)
くなつた。
家
(
いへ
)
を
包
(
つゝ
)
んで遠い
音
(
おと
)
が
聴
(
きこ
)
えた。
門野
(
かどの
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
少
(
すこ
)
し
寒
(
さむ
)
い様ですな、
硝子戸
(
がらすど
)
を
閉
(
し
)
めませうかと
聞
(
き
)
いた。
硝子戸
(
がらすど
)
を
引
(
ひ
)
く
間
(
あひだ
)
、
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
を
揃
(
そろ
)
えて
庭
(
には
)
の方を
見
(
み
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其内
(
そのうち
)
薄
(
うす
)
い
霜
(
しも
)
が
降
(
お
)
りて、
裏
(
うら
)
の
芭蕉
(
ばせう
)
を
見事
(
みごと
)
に
摧
(
くだ
)
いた。
朝
(
あさ
)
は
崖上
(
がけうへ
)
の
家主
(
やぬし
)
の
庭
(
には
)
の
方
(
はう
)
で、
鵯
(
ひよどり
)
が
鋭
(
する
)
どい
聲
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てた。
夕方
(
ゆふがた
)
には
表
(
おもて
)
を
急
(
いそ
)
ぐ
豆腐屋
(
とうふや
)
の
喇叭
(
らつぱ
)
に
交
(
まじ
)
つて、
圓明寺
(
ゑんみやうじ
)
の
木魚
(
もくぎよ
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
日
(
ひ
)
は
益
(
ます/\
)
短
(
みじ
)
かくなつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“益”の意味
《名詞》
人や世の中の役に立つこと。ためになること。
利益。もうけ。
(出典:Wiktionary)
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
“益”を含む語句
利益
無益
益々
益〻
益田
滝川一益
有益
益益
無益物
益城
益良夫
平等利益
利益配当
御利益
裨益
一益
貝原益軒
益子
益州
益満
...