ぼん)” の例文
ぼんは、たがいにあたまって、かなたのまちほうていました。天気てんきのいいには、しろけむりや、くろけむりのぼっていました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
夫程表にはい日があたつてゐる。手洗水てあらひみづそばに南天がある。是も普通よりはが高い。三ぼん寄つてひよろ/\してゐる。葉は便所の窓のうへにある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
裏の山から出て、わたしの村の中ほどをよこぎつて、湖水へ流れこむ川を、千ぼんがはといひました。千本木川——どうして、そんな名まへがついたのでせう。
千本木川 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
こうなると、つねの怯者きょうしゃ勇士ゆうしになるものだ。伊部熊蔵いのべくまぞうはカッといかって、中断ちゅうだんされたなわのはしから千ぼんびさしくさりにすがって、ダッ——と源氏げんじへ飛びこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やまといた牛肉ぎうにく鑵詰くわんづめが三ぼん菓子くわしでもあるかとおもちひさな紙包かみづゝみかためた食鹽しよくえんの四つ五つとがた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
翌日よくじつ牛込改代町うしごめかいたいちやうたふさふらふせつは、ぜに貫文くわんもん海苔鮨のりずしぼんそれより午過ひるすぎ下谷上野町したやうへのまちたふさふらふせつたゞきう
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのとき藤太とうだはふとおもいついたことがあって、三ぼんめのを口にくくんで、つばでぬらしました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
また、すやきのおおきなかめをってきて、しちりんのかわりにし、をどんどんおこして、そのなかへ、とっくりを三ぼんも四ほんれて、うちわでバタバタあおぎました。
幼い頃見た写真がすぐ思出おもひだされた。けれど想像とはまるで違つてゐた。野梅やばいの若木が二三ぼん処々ところ/\に立つてるばかり、に樹木とてはないので、なんだか墓のやうな気がしなかつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
これが非常ひじやう有効ゆうかうであつたので、(勿論もちろん先輩中せんぱいちうすで小萬鍬せうまんぐわもちゐてひとつたさうだが、それは三ぼんづめの、きはめてせうなるものまへ鍛冶屋かじやに四ほん大形おほがたのを別誂べつあつらへするなど
前後ぜんごあしぼんでのそりとまつて、筑波つくばやま朝霞あさがすみに、むつくりとかまへながら、一ぽん前脚まへあしで、あの額際ひたひぎはからはなさきをちよい/\と、ごとくちのやうにけて、ニタ/\わらひで
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふた月を歌にただある三ぼん加茂川千鳥恋はなき子ぞ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
はじめは、ほそえだが、二ほんしかなかったのが、たちまちのうちに、三ぼんになり、四ほんとなり、こまかながたくさんついたのであります。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ダーターフアブラ、沙翁シエクスピヤの使つた字数じかずが何万字だの、イブセンの白髪しらがかずが何千ぼんだのと云つてたつて仕方がない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「うまい、うまい、もう一ぽんで千ぼんだぞ。おしまいに一ばんいいかたなってやりたいものだ。」
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そうづくりのいただき、四ほう屋根やね、千ぼんびさし垂木たるき勾欄こうらん外型そとがたち、または内部八じょう書院しょいん天井てんじょうまどなどのありさま、すべて、藤原式ふじわらしきの源氏づくりにできているばかりでなく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしもつてあんせう、自分じぶんはたけのがは一目ひとめりやわかりあんすから」ういつて被害者ひがいしや蜀黍もろこしを二三ぼんつて村落むらもどつた。巡査じゆんさ其處そこ此處ここらと二三げんあるいて勘次かんじにはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いてえ、なにをするんだ。妻「あんま向脛むかうずねの毛が多過おほすぎるから三ぼんぐらゐいたつていや、痛いと思つたらちつたアしやうくだらう。亭「アいてえ。妻「痛いと思つたら、女房にようばうよろしくてえのを思出おもひだすだらう。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うたのぼんんだだけでも一寸ちよつと意氣いきだ、どうしてわるくない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ながれのほとりに、三ぼんのぶなのっていました。ふゆあいだえだについた北風きたかぜにさらさらとらしつづけていました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから二ほん、三ぼん、四ほんと、もらってはべ、もらってはべ、とうとううま背中せなかにのせた百ぽんあまりの大根だいこんを、のこらずべてしまうと、もうとっぷり日がれてしまいました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ふり仰ぐと、堂閣の千ぼんびさしに、びた金色の仏龕ぶつがんが、ほの明るく廻廊を照らしている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しか大抵たいてい家々いへ/\ではにはとりでさへいへうちではるのを許容ゆるさないので、うしろにはたけで三ぼんあしつくつてそれへ鍋蔓なべつるけたほどであつたから、ねこころすことがおそろしい罪惡ざいあくのやうにられたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あかふねや、しろふねや、くろふねマストの三ぼんあるもの、また二ほんあるもの、ながふねやあまりながくないのや、いろいろありました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
名越尾張守は、その本軍七千余騎のうえに、“三ぼんからかさ”の旗のぼりをみせて
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれもかたなを千ぼんそろえよう。みやこへ出てあつめたら、千ぼんくらいわけなくできる。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
露子つゆこはつばめに、そのふねあかすじはいったふねで、三ぼんたかいほばしらがあることから、自分じぶん記憶きおくのままを、いちいちかたかせたのであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れいによっておくれをとらぬ木隠龍太郎こがくれりゅうたろう、ばらばらと多宝塔たほうとうすそにかけよったかと見るまに、一階の欄干らんかんにひらりと立って、えいッとさけんだ気合いもろとも、千ぼんびさし瓔珞ようらくにとびついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たからはなんでも千というかずをそろえてつものだそうた。奥州おうしゅう秀衡ひでひらはいいうまを千びきと、よろいを千りょうそろえてっている。九州きゅうしゅう松浦まつうら太夫たゆうゆみを千ちょうとうつぼを千ぼんそろえてもっている。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
むらひとたちは、三にん坑夫こうふうえあわれにおもいました。その死骸しがいやまにうずめて、ねんごろにとむらい、そこへ、三ぼんのなしのえたのでありました。
おんなひとは、まえのむしろのうえせてあったはさみのなかから、一つのはさみをって、自分じぶんのほおのあたりにれかかった、かみを二、三ぼんって、それをば
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここの運動場うんどうじょうにも、さくらが、二ほんも三ぼんもあって、したしろく、はなりはじめていました。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼんは、かお見合みあわせて、こんなはなしをしていました。そのうち一人ひとりわる疫病えきびょうにかかりました。
しかし、三にんのなしのは、びて、おおきくなりました。そして、はあちらのうみが、えるほどのたかさになったとき、はじめて、三ぼんともしろはなをつけたのであります。
むすめは、あかいろうそくを、自分じぶんかなしいおも記念きねんに、二、三ぼんのこしていったのであります。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼんは、その北風きたかぜこえわせて、いつになくかなしいうたをうたったのであります。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどとおくへだたっていますので、ただあかすじと、ひらひらひるがえっているはたと、ふと煙突えんとつと、その煙突えんとつからのぼくろけむりと、たかい三ぼんのほばしらとがえたばかりであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あねは、いもうとわかれて、ひときたほうあるいていきました。そこは、一だんひくくがけとなっています。がけのしたにはさびしいがあって、そこには、二、三ぼん憂鬱ゆううつ常磐木ときわぎそらにそびえていました。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌年よくねんはるになると、このちいさな山吹やまぶきもとから、あたらしいやぶって、あたまばしました。しかも、二ほん、三ぼんといっしょに、そのは、気持きもちのいいほど、ぐんぐんとびたのであります。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いいかい、三ぼん勝負しょうぶだよ。」と、せいちゃんが、いいました。
仲よしがけんかした話 (新字新仮名) / 小川未明(著)