いは)” の例文
ここおいせいぐんものをして、(五三)萬弩ばんどみちはさんでふくせしめ、(五四)していはく、『くれがるをともはつせよ』
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
の時に疾翔大力、爾迦夷るかゐに告げていはく、あきらかに聴け諦に聴け。これを思念せよ。我今なんぢに梟鵄もろもろ悪禽あくきん離苦りく解脱げだつの道を述べんと。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
フランソア・ザビエル師ノいはク、予ノ見ル所ヲ以テスレバ、善良ナル性質ヲ有スルコト日本人ノ如キハ、世界ノ国民ノウチ甚ダ稀ナリ。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「淺黄の手拭にいはくがあるだらうと思つて、一本持つて來ましたよ。さうでもなきや、親分は何時まで番頭とやり合つて居るか解らねえ」
一にいはく、やはらぎを以て貴しとし、さかふこと無きをむねと為せ。人皆たむら有り、またさとれる者少し。これを以て、或は君父きみかぞしたがはずして隣里さととなりたがふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
古人こじんいはく近きをはかればたらざるが如く遠きに渡れば乃ち餘り有りと爲す我國わがくに聽訟ちやうしようを云ふ者大概おほむね青砥藤綱あをとふぢつな大岡忠相おほをかたゞすけの兩氏が明斷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
声をつらね筆をそろへて一斉いつせいに之を讒謗ざんばう攻撃していはく「軍国多事のげきに乗じて此事をなすづ売国の奸賊をちゆうして征露軍門の血祭ちまつりせざるべからず——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
自ら知るの明あるものすくなしとは世間にて云ふ事なり、われは人間に自知の明なき事を断言せんとす、之を「ポー」に聞く、いはく、功名眼前にあり
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
吾人は断言せんと欲す、いはく、世に罪過なくして不幸の末路に終るものは之れなしと。人あるひは曰はん、キリストは罪過なくして無惨の死を遂げたりと。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
万国の上には立法の君主が無ければ、国と国との曲直のあらそひそもそたれの手で公明正大に遺憾無いかんなく決せらるるのだ。ここに唯一つ審判の機関がある、いはたたかひ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いはく、宗教にして、し、万世不易ふえきの形を取り、万人の為め、あらかじめ、劃然かくぜんとしてそなへられたらむには、精神界の進歩は直に止りて、いとふべき凝滞はやがてきたらむ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
黒羽二重の小袖は、私にとつてないにひとしかつたと云つても、過言ではない。これは、すぐ次に起つた最後のいはくを知つたなら、君も認めない訳には行かないだらう。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そしてその最上禪とは何かと云ふに、壇上で興行師の樣に一かつして見せ、いはく云ひがたしだ。——
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
此身このみ雲井くもゐとりがひ自由じゆうなる書生しよせい境界けうがいいましばしはあそばるゝこゝろなりしを、きの故郷ふるさとよりの便たよりにいはく、大旦那おほだんなさまこと其後そのご容躰ようだいさしたること御座ござなく候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其所そこへ、周布神奈川縣知事すふかながはけんちじる。橋本警務長はしもとけいむちやうる。田中代議士たなかだいぎし樋口郡長ひぐちぐんちやういはなにいはなにういふときには肩書かたがき必用ひつようえる。高等野次馬かうとうやじうまかず無慮むりよ餘名よめいちうせられた。
下りて七合目に至る、霜髪のおきな、剛力の肩をも借らず、杖つきて下山するに追ひつく、郷貫きやうくわんたゞせば関西の人なりといふ、年歯ねんしを問へば、すなはこたへていはく、当年八十四歳になります!
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
こうわたとき蛟龍かうりようふねを追ふ、舟中しうちゆうひとみなおそる、天を仰いで、嘆じていはく、われめいを天にく、力を尽して、万民を労す、生はなり、死はなりと、りようを見る事、蜿蜓えんていの如く、眼色がんしよくへんぜず
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
互ひにうち驚き、いかにしてかかる山にはゐるかと問へば、女のいはく、山に入りて恐ろしき人にさらはれ、こんな所に来たるなり。逃げて帰らんと思へど、いささかの隙もなしとのことなり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
いはく学問の勧め、曰く文明論概略、曰く民間経済論、曰く時事小言、福沢君の著述が如何いかばかり世間を動かしたるよ。吾人の郷里に在るや、かつて君の世界国尽しを読んで始めて世界の大勢を知りたりき。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
碧梧桐へきごとう来て謡曲二番うたひ去る。いは清経きよつね曰く蟻通ありどおし。(六月十二日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「大変ないはくがつきますわね。でもそんなら妾描いて頂くわ、」
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
ふたゝいはく、その原因の如きはもとより心を置くにあらずと。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「どうも素的すてきな香だ、何でもいはつきの物に相違ない。」
博士いはく、「油絵にく女だね。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ふさげない事になつてにもにもまぬかれぬ弊風へいふうといふのが時世ときよなりけりで今では極点きよくてんたつしたのだかみだけはいはつて奇麗きれいにする年紀としごろの娘がせつせと内職ないしよくの目も合はさぬ時は算筆さんぴつなり裁縫さいほうなり第一は起居たちゐなりに習熟しうじよくすべき時は五十仕上しあげた
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
論者ろんしやいは
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その信號しんがういは
闔廬かふろいはく、『こころみに婦人ふじんもつてすきか』と。いはく、『なり』と。ここおいこれゆるす。宮中きうちう美女びぢよいだし、百八十にんたり。
の時に疾翔大力しっしょうたいりき爾迦夷るかゐに告げていはく、あきらかに聴け、諦に聴け。これを思念せよ。我今なんぢに、梟鵄けうしもろもろ悪禽あくきん離苦りく解脱げだつの道を述べんと。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
いはく、ひだりよ。羿げいすなはちゆみいてて、あやまつてみぎにあつ。かうべおさへてぢて終身不忘みををはるまでわすれずじゆつや、ぢたるにり。
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これが何んのいはくもなかつた日にや、あつしは髷節まげぶしでも切るか、十手捕繩を返上しなきやなりませんよ。兎に角ちよいと覗いてやつて下さい
いはく社会党は祖国に取つて不倶戴天ふぐたいてんの仇敵なり、一挙にして之れを全滅せざるべからずと、多謝す、アヽ独逸皇帝よ、汝の努力によつて我独逸の社会党は
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そんな思をしつつ何為なぜしてゐるか! いは言難いひがたしで、精神的にひどきずつけられた反動と、思召おぼしめして下さいまし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
劇烈欝勃うつぼつの行為を描き、其主人公はおほむね薄志弱行なりし故に、メルクは彼をいましめていはく、かくの如き精気なく誠心なき汚穢をわいなる愚物は将来決ツして写すなか
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
皇子みこたち共にこたへていはく、理実ことわり灼然いやちこなり。則ち草壁皇子尊づ進みて盟ひていはく、天神あまつかみ地祇くにつかみ、及び天皇すめらみことあきらめたまへ、おのれ兄弟長幼、あはせて十余のみこおのおの異腹ことはらよりづ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
彼常に「不感無覚」を以て称せらる。世人ややもすれば、この語を誤解していはく、高踏一派の徒、あまんじて感情を犠牲とす。これ既に芸術の第一義を没却したるものなり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
ひやういはく此嘉川家一でうは大岡殿大いに御心勞しんらうなされしは第一貳千五百石の御旗本をうしなはん事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この身は雲井の鳥の羽がひ自由なる書生の境界けうがいに今しばしは遊ばるる心なりしを、先きの日故郷ふるさとよりの便りにいはく、大旦那さまことその後の容躰ようだいさしたる事は御座なくさうらへ共
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
尚書しやうしよいはく、農は国の本、本固ければ国安しとありて、和漢とも、農を重んずる所以ゆゑんなり。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
柴野栗山先生讚嘆さんたんしていはく「独立原無競、自為衆壑宗しゆうかくのそう」まとことに不二なくんば人に祖先なく、山に中心なけむ、甲斐の諸山水を跋渉ばつせふしての帰るさ、東海道を汽車にして、御殿場に下り
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
いはくは、この舟へ乗つたそもそもからあつたのだから。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
韓王かんわうはじもちひず、きふなるにおよんですなはりてしん使つかはす。秦王しんわうこれよろこび、いま信用しんようせず。李斯りし姚賈えうかこれこれそしつていは
の時に疾翔大力しっしょうたいりき爾迦夷るかゐに告げていはく、あきらかに聴け、諦に聴け、これを思念せよ、我今なんぢに、梟鵄けうしもろもろ悪禽あくきん離苦りく解脱げだつの道を述べん、と。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
婦人の婚姻に因りてる処のものはおほむね斯の如し。しかうして男子もまた、先人いはく、「妻なければたのしみ少く、妻ある身にはかなしみ多し」
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「若い娘が、ゐても起つても、といふほどおびえてゐるのは、何にかいはくのあることだらう。精々氣をつけて居るが宜い」
今日こんにちの人才をほろぼす者は、いはく色、曰く高利貸ぢやらう。この通り零落おちぶれてをる僕が気毒と思ふなら、君の為になやまされてをる人才の多くを一層不敏ふびんと思うて遣れ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この詩を広く人生にして解せむか、いはく、凡俗の大衆は眼低し。法利賽パリサイの徒と共に虚偽の生を営みて、醜辱汚穢おわいの沼に網うつ、名や財や、はた楽欲ぎようよくあさらむとすなり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
時人いはく、安然は東岳の唇舌を以て西天の音韻に通ず、才宏劉くわうりうなるかなと。都率超曰く、しかり、師は顕密の博士なりと。又曰く、公し我が門に入らざれば秘教地に墜つ可しと。
いはく松島自身の披露、曰く軍人社会の輿論よろんしかして之を言ふものは、現に陸軍中尉の妻女
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)