るい)” の例文
猛狒ゴリラるいこのあな周圍しうゐきばならし、つめみがいてるのだから、一寸ちよつとでも鐵檻車てつおりくるまそとたら最後さいごたゞちに無殘むざんげてしまうのだ。
「ちょっと伺っておきますが、朗読会と云うと何か節奏ふしでも附けて、詩歌しいか文章のるいを読むように聞えますが、一体どんな風にやるんです」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
燧石ひうちいし黒曜石こくようせきや、安山岩あんざんがんるいつくつたものがおほいのでありますが、ときには水晶すいしよう瑪瑙めのうのような綺麗きれいいしつくつたものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのうちに、皇子おうじのほうからは、たびたび催促さいそくがあって、そのうえに、たくさんの金銀きんぎん宝石ほうせきるいくるまんで、おひめさまにおくられました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この時近処の人が大勢集あつまって来た。門内には王九媽と藍皮阿五のるい、門外には咸亨の番頭さんやら、赤鼻の老拱やらであった。
明日 (新字新仮名) / 魯迅(著)
そこからうへふたゝ落葉濶葉樹らくようかつようじゆのかばるいとかはんのきるいとか、うつくしいはなくしゃくなげなどちひさくひく植物しよくぶつ生育せいいくしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
アンセルムスは、るい概念を実在であると見る立場に基づいて、三位さんみ畢竟ひっきょう一体の神であるという正統派の信仰を擁護した。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
彼は古い美くしい本さえも引張出して中から金のるいを切取った。しかしそれで他の部分には正直に手をつけんと思うておったようなわけですじゃ
その証拠は海底の水が暖かくて、熱帯地帯の海にいる美麗なる魚介のるいが棲息している、それらが採取されてここの魚市場に出るとのことである。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
私は和蘭陀オランダ語かと思った。おこしのるいで、細く小切こぎりにした、かりかりと歯にあたって、気品のある杏仁水きょうにんすいの風味がある。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
抽斎の好んで読んだ小説は、赤本あかほん菎蒻本こんにゃくぼん黄表紙きびょうしるいであった。おもうにその自ら作った『呂后千夫りょこうせんふ』は黄表紙のたいならったものであっただろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
索引さくいんは五十おんわかちたり、読者どくしゃ便利べんり正式せいしき仮名かなによらず、オとヲ、イとヰ、のるいちかきものにれたり
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かわ草摺くさずり、旗差物はたさしものまく裁縫さいほう鎧下着よろいしたぎ、あるいはこまかいつづれにしき、そのほか武人ぶじん衣裳いしょうにつく物や、陣具じんぐるいをつくるものばかりがみ、そして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軽く手をつや、そのくらに積めるままなるかぶ太根だいこ人参にんじんるい、おのずから解けてばらばらと左右に落つ。駒また高らかに鳴く。のりつけほうほう。——
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとえば大きなひつ長持ながもちるい、なかにはいった物をかたむけたり曲げたりしてはならぬ場合、ことに清浄せいじょうをたもって雑人ぞうにんの身に近づけたくない品物などは
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
げん土器どき底面中ていめんちうには網代形あじろかたあと有るもの有り、土器形状模様もよう中には明かに籠の形をしたるもの有り、コロボックルが籠のるいを有せし事は推知すいちし得べきなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ですから、二年ばかりたちますと、そこにはコケるいえてきました。秋にはや枯れ草が落ちかかり、春にはくずれ落ちた石やじゃりがたまりました。
出雲人いづもびとつくつた、幾重いくへにもまはす、屏風びようぶとばりるいよ。われ/\、あたらしく結婚けつこんしたものをつゝむために、幾重いくへかこひをつくつてあることよ。あゝ、その幾重いくへ屏風びようぶとばりよ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「何しろお父さんはるいのない怠け者だからね、こんなに構えを張っていても、とても苦しいんだよ」
怪談のうちでも、人間が死ぬ断末魔だんまつま刹那せつなに遠く離れてる、親しい者へ、知らせるというのは、決して怪談というべきるいでは無かろうと思う、これは立派な精神的作用で
テレパシー (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
で、小説のるいあま寄稿者きかうしやが無かつたので、おも山田やまだ石橋いしばしわたしとのをせたのです、三人さんにん以外いぐわい丸岡九華まるおかきうくわふ人がありました、この人は小説も書けば新躰詩しんたいしも作る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いつでしたか、夜分やぶんになって尋ねましたら、おねえさんはお留守です。まだ小さかったるいさんは病気で寝ていました。ちょっと話していますと、電話のベルがしきりに鳴ります。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
末寺まつじながら上野では幅の利いた高徳、外に寺男の弥十老人と、小坊主が二人、それに檀家から預かっているおるいという年増女が一人、——年増というとあだっぽく聞えますが
この魔人国へ、はいったからには、二度とふたたび、しゃばには出られないのだから、きみには何もかも話してきかせるが、ここは世界にもるいのないりっぱな美術館なんだぜ。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この道さいわいにして年と共にあまねく世人の喜び迎ふる処となりしが、その調ちょうはその普及と共にようやく卑俗となり、こと天保てんぽう以降に及んでは全く軽口地口かるくちじぐちるいえらぶ処なきに至れり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その子分として用いた者が多くは無学の熊公くまこう八公はちこうるいであったから、かくのごとき紋切形コンヴェンションもうけ、これによりて統御とうぎょ便べんはかったのも、あるいは止むを得なかったことであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人声がにぎやかなので、往って見ると、ひささんの家は何時いつの間にか解きくずされて、すすけたはり虫喰むしくった柱、黒光りする大黒柱、屋根裏の煤竹すすたけ、それ/″\るいを分って積まれてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何かしらんと、月光つきあかりを透して行手ゆくての方を見詰めると、何も見えない、多分犬か狐のるいだろう、見たらこの棒でくらわしてやろうと、注意をしながら、四五歩前に出ると、またガサガサ
怪物屋敷 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
凡そ冊数にして千五百冊ばかりもあって、中には随分世間にるいの少ない本もある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ここおいて私の考えておりましたとおり至道の死去は、その実普通の死去でありませんので、前に申しました漢の李少君りしょうくんや、我国の白箸翁しろはしおうるいで、全く屍解しかい仙去せんきょであったことが明白になりました。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
現世げんせ人達ひとたちかられば、というものはなにやら薄気味うすきみのわるい、なにやら縁起えんぎでもないものにおもわれるでございましょうが、わたくしどもかられば、それは一ぴきまゆやぶってるのにもるいした
御殿女中とは真赤まっかな偽りでござろう、もっとも衣類かんざしるいう似てるが、髪のふうが違いますぞ、これはお旗下か諸役人しゅの女中の結い方、御城中並びに御三家とも少しずつ区別があると申す事ゆえ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さあ、これでほかにるいのないいろとりになった。」
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
るいのないお姿の前へ
これはたいてい赤貝あかがひるい貝殼かひがらゑぐき、その周圍しゆういばかりをのこして前腕まへうでにはめむでのでありまして、石器時代せつきじだい墓場はかばから人骨じんこつ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
いいえ、旅の人が喉が渇いて一つぐらい取って食べても、うちの方では泥棒の数に入れません。見張が要るのは貛猪いのしし、山あらし、土竜のるいです。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
みゝづくはとらふづくのるいで、けもののようなかほで、みゝのようなものがつてゐます。しかしこれはみゝたぶではなく、じつつてゐるだけなのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
猛狒ゴリラや、獅子しゝや、とらるい數知かずしれずんでつて、わたくしやう無鐵砲むてつぽう人間にんげんでも、とてもおそろしくつてけぬほどだから、誰人たれだつて足踏あしふみ出來できませない。
やはり、駄菓子だがしやおもちゃのるいに、そのほか子供こどもきそうなものをならべていました。あやは、べつにそれまではなにもほしいとはおもいませんでした。
海ほおずき (新字新仮名) / 小川未明(著)
一方にはまた連尺商いや歩荷というるいの、これを専業にした人々と接する折がなかったら、そう容易にはこの改良をかんがえ出すこともできなかったろう。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ゆうべ何もかも過ぎ去ったように思ったのは、おこりの発作ののちに、病人が全快したように思うるいではあるまいか。又あのなぞの目が見たくなることがありはすまいか。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それから北村きたむらのおかねさん、それから駄菓子屋の、何といったっけね、そうそう、おるいさん。そらね、この一町内で三人もあったじゃないか。だから、流れ月なんだよ、今月は」
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いわゆる花鳥風月かちょうふうげつだけしか解さない堂上の人とはすこしるいことにしているようである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天明年代に至るや北尾政美きたおまさよしが『江戸名所鑑えどめいしょかがみ』(三巻)鳥居清長の『物見ものみおか』(二巻)喜多川歌麿の『江戸爵えどすずめ』(三巻)北尾重政の『吾妻袂あずまからげ』(三巻)のるい続々として出板せられたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
来らざるものは和楽わらくの扇にさしまねく風をいとうて、寒き雪空におもむ鳧雁ふがんるいである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
落葉木らくようぼく悉皆すっかり若葉から青葉になった処で、かしまつすぎもみしい等の常緑樹ときわぎたけるいが、日に/\古葉ふるはを落しては若々しい若葉をつけ出した。此頃は毎日いても掃いても樫の古葉が落ちる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
プデンるい 冬付録 病人の食物調理法の「第八十三 カスタープデンの一」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私が長崎に居るとき塩酸亜鉛あえんがあれば鉄にもすずを附けることが出来ると云うことをきいしって居る。れまで日本では松脂まつやにばかりを用いて居たが、松脂ではあかがねるいに錫を流して鍍金めっきすることは出来る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「だってほかるいのないいろといえば、これだよ。」
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
まづ石器せつきおなじような刃物はものるいをやはりほねつのつくるのでありますが、もっともこれをつくるには石器せつきもちひたのでありませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)