かは)” の例文
旧字:
かれに映じた女の姿勢は、自然の経過を、尤もうつくしい刹那に、捕虜とりこにして動けなくした様である。かはらない所に、ながい慰藉がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これがとまりくと、大形おほがた裕衣ゆかたかはつて、帯広解おびひろげ焼酎せうちうをちびり/\りながら、旅籠屋はたごやをんなのふとつたひざすねげやうといふやからぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「をばさん、おかはりもありませんの。ほんとに、ついうちが出にくいものですから、あれツきり御無沙汰ごぶさたしちまつて………。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
気の置けさうにない連中れんぢゆうだが、まだ馴染なじみが浅いので食堂で顔を合すばかり、僕は相かはらず二等室へ出掛けて日をくらして居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
はし段々だん/″\はいいてくとはらあたりかたまりがあつたから木と竹のはしでヅンと突割つきわるとなかから色もかはらず山吹色やまぶきいろ古金こきんが出るから、あはてゝ両方りやうはうたもとれながら。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
大久保おほくぼ出発前しゆつぱつぜんよりも一そうあせつてゐたが、おとづれたのは、やはり竹村たけむらであつた。かれはロンドン仕立じたて脊広せびろこんでゐただけで、一ねんまへかれすこしもかはつたところはなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「どうも此の界隈かいわいにや、渡辺国武だの、津田仙つだせんだの、矢野二郎だの、安藤太郎だのツてふうかはつた連中のお揃ひだナ」「いづれ麻布七不思議ツてなことになるのだろ、ハヽヽヽヽ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「どうも、この家は空気くうきが悪い。古くさ空気くうきがたまるのだ。家をかはらう。家を。」
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
ええ それは雪りやあらしがやつて来る前 お天気がかはりさうになるからです
天色てんしよく倏急にはかかは黒雲くろくもそらおほひければ(是雪中の常也)をつとそらを見て大に驚怖おどろき、こは雪吹ふゞきならんいかゞはせんと踉蹡ためらふうち、暴風はやて雪を吹散ふきちらす巨濤おほなみいはこゆるがごとく、つぢかぜ雪を巻騰まきあげ白竜はくりやうみねのぼるがごとし。
沖つ嶋荒磯ありその鴎こゑびて飛びあへぬかも風かはるらし
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
のたびにかはるかな
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何にかは
極楽とんぼ (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
はいなあにかはつたことでもござりませぬ、わし嬢様ぢやうさまのことはべつにおたづまをしませんから、貴女あなたなんにもふてはくださりますな。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんな事が、あらうはづがない。いくら、かはつたつて、そりやたゞとしつた丈の変化だ。成るべくかへつて三千代さんに安慰を与へてれ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長吉ちやうきち風邪かぜをひいた。七草なゝくさ過ぎて学校がはじまつたところから一日無理をして通学しために、流行のインフルヱンザにかはつて正月一ぱい寝通ねとほしてしまつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
へい/\。主「以前いぜんしかるべきおかたれのはてで、まア此時節このじせつかはつたから、当時いまういふ御身分ごみぶん零落おちぶれなさつたのだらうが、うもお気の毒なことで…。 ...
もとは大坂の町家ちやうかの娘で芝居のかはり目には両親ふたおやが欠かさず道頓堀へれてく程であつたが
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「私、こゝの家をかはりたい。ね、家をさがしてよ。私、もうこゝはきらひ。」
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
それごらん 天気のかはり目をちやんと知るのは天文学者もんがくしやよりえらいんだよ
凄きまでおもかはり、人と世を
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なんでも飛騨ひだゑん当時たうじかはつたこともめづらしいこともなかつたが、たゞ取出とりいでゝいふ不思議ふしぎは、医者いしやむすめで、うまれるとたまのやう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きみかはつたごとかはつちまつた。れちや仕方しかたがない。だから、もうすこし待つてたまへ」と答へて、平岡はわざとらしいわらかたをした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
耳元みゝもと近くからおそろしいきいろい声が、「かはるよ———ウ」とさけび出した。見物人が出口のはうへとなだれを打つてりかける。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自分の思郷病しきやうびやうます/\人目に附く迄はげしく成つた。其れで土地がかはれば少しは気の紛れる事もあらうと良人をつとに勧められて不順な天候の中に強ひて独墺及び和蘭陀ヲランダの旅を思ひ立つのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どうも誠に思ひけないことでおまへさんに邂逅あひました、だおにはからなかつたが、今度こんどはお眤近ちかづきにならう……まア此時節このじせつかはつて貴方あなた御零落ごれいらくになつて、んともひやうがない
神楽坂から外濠そとぼり線へ乗つて、御茶のみづるうちに気がかはつて、森川丁にゐる寺尾といふ同窓の友達を尋ねる事にした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
松川彼処かしこすまひてより、別にかはりしこともなく、二月ふたつき余も落着おちつけるは、いと珍しきことなりと、近隣きんりんの人はうはさせり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
吾妻橋あづまばしるやうになつてもきやくのつくことにはかはりがなく、つきすゑにはハンドバツグのなかれた紙入かみいれには百円札ひやくゑんさつ千円札せんゑんさつがいくら押込おしこまうとしても押込おしこめないほどであつた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
そらは又かはつてた。風が遠くから吹いてくる。広いはたけうへには日がかぎつて、見てゐると、寒い程淋しい。くさからあがる地意気ぢいき身体からだえてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いづれがさき出来できたか、穿鑿せんさくおよばぬが、怪力くわいりき盲人まうじん物語ものがたりが二ツある。おなはなしかたかはつて、一ツは講釈師かうしやくしいたにかけて、のん/\づい/\とあらはす。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
素人目しろうとめにも、こののぼり十五ちやう、五十六まがり十六けいまをして岩端いはばな山口やまぐち処々ところ/″\、いづれもかはる/″\、みづうみ景色けしきかはりますうちにも、こゝは一だんぞんじました。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだかはつたことには、ふなばたかすみつゝんで、ふつくり浮上うきあがつたやうなともまつて、五位鷺ごゐさぎ一羽いちは頬冠ほゝかぶりでもさうなふうで、のつとつばさやすめてむかふむきにチヨンとた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さわぐまい、時々とき/″\ある……深山幽谷しんざんいうこくへんじや。わかひとたれかほ姿すがたも、かはるかんねえだ! おどろくとくるふぞ、ふさいでせぐゝまれ、しやがめ、突伏つゝふせ、ふさげい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人間にんげん鳥獣てうぢゆう草木さうもくも、混虫類こんちゆうるゐみんなかたちこそかはつててもおんなじほどのものだといふことを。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大沼おほぬま刻限こくげんも、村里むらざとかはう、やがて丑満うしみつおもふ、昨夜ゆふべころ、ソレ此処こゝで、とあみつたが、ばんうへ引揚ひきあげるまでもなく、足代あじろうへからみづのぞくと歴然あり/\またかほうつつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)