青々あおあお)” の例文
すがすがしい天気てんきで、青々あおあお大空おおぞられていましたが、その奥底おくそこに、ひかったつめたいがじっと地上ちじょうをのぞいているようなでした。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
虫ばんだが一段高く、かつ幅の広い、部厚ぶあつ敷居しきいの内に、縦に四畳よじょうばかり敷かれる。壁の透間すきま樹蔭こかげはさすが、へりなしのたたみ青々あおあおと新しかった。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
霜にめげぬは、青々あおあおとした大根の葉と、霜で甘くなる漬菜つけなたぐいと、それから緑のしまを土に織り出して最早ぼつ/\生えて来た大麦小麦ばかりである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おかみさんはあんな青々あおあおした、あたらしいべたら、どんなにうまいだろうとおもうと、もうそれがべたくって、べたくって、たまらないほどになりました。
うしおのように近づいてきたかと思うと、やがて青々あおあおとした草のなみから、おなじ年頃としごろの少年ばかりが二十人ほど、まっ黒になって、竹童ちくどうのほうへなだれてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからそのこうに青々あおあおかすんでいる御所ごしょ松林まつばやしをはるかにおがんだにちがいありません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
災害の来た一日はちょうど二百十日にひゃくとおかの前日で、東京では早朝からはげしい風雨を見ましたが、十時ごろになると空も青々あおあおとはれて、平和な初秋はつあきびよりになったとおもうと、ひるどきになって
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そのあとにははやくも青々あおあおとした蘇苔こけ隙間すきまなくしてるのでした。
はるかぜは、青々あおあおれたそらわたっていました。そして木々きぎ小枝こえだは、かぜかれて、なにかたのしそうに小唄こうたをうたっていたのです。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
勿論もちろん、根を抜かれた、肥料こやしになる、青々あおあおこなを吹いたそら豆の芽生めばえまじって、紫雲英れんげそうもちらほら見えたけれども。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青々あおあおれた大空おおぞらの上に、ぽつん、ぽつんと、白い点々てんてんのようにえていた、仲間なかま少女おとめたちの姿すがたも、いつのにか、その点々てんてんすらえないほどのとおくにへだたって、あいだにははるかすみ
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
大地が始終真白まっしろになって居るではなし、少し日あたりのよい風よけのある所では、寒中かんちゅうにも小松菜こまつな青々あおあおして、がけの蔭ではすみれ蒲公英たんぽぽが二月に咲いたりするのを見るのは、珍らしくない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わしはよるとなく、ひるとなく、幾日いくにちか、きたたびをしました。砂漠さばくえ、やまえ、りくえて、青々あおあおとしたうみうえんでゆきました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そら青々あおあおがって、おにわにはさくらはなみだれていました。
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おとこは、こちらの石油せきゆかんのふたをりました。青々あおあおとした、強烈きょうれつ香気こうき発散はっさんする液体えきたい半分はんぶんほどもかんのなかになみなみとしていました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
工場こうじょうだね。」と、友吉ともきちが、ぎてから、いいました。いつしか、二人ふたり自転車じてんしゃは、青々あおあおとした、麦畑むぎばたけあいだみちはしっています。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひるまえいていたかぜがやんで、そらは、一ぺんくももなく、青々あおあおとして、のように、かがやく太陽たいようのやけつくあつさだけでした。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほら、あのがそうよ。」と、とみさんがいいました。そこには、青々あおあおとした、一ぽんが、夕日ゆうひひかりびていました。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
かぜくと、が、せわしそうにうごきました。そらいろ青々あおあおとして、あきがしだいにふかくなりつつあるのがかんじられます。
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
まれてはじめて、ひろい、青々あおあおとしたはたけたので、みいちゃんは、なにをてもめずらしかったのです。はなびらが、かぜかれてんできても
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたまうえそらは、青々あおあおとして、ちょうどガラスをふいたようにさえていました。あちらこちらには、たこがあがって、とうおとこえていました。
雪だるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、どのみちあるいていっても、そのほうには、くろもりがあり、青々あおあおとしたはたけがあり、とお地平線ちへいせんには、しろくもがただよってえるのでありました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
広々ひろびろとしたはらっぱには、一かく屋敷跡やしきあとのようなところがあって、青々あおあおとした梅林ばいりんには、がたくさんっていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
光治こうじけて少年しょうねんのそばにってますと、青々あおあおとしたみずいろや、そのみずうえうつっている木立こだちかげなどが
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちゃんは、おかあさんや、いもうとのたつさんと汽車きしゃまどから、青々あおあおとしたそと景色けしきをながめていますと、とお白雲はくうんなかで、ぽかぽかといなづまがしていました。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ながい、くらい、ふゆからぬけて、はないた野原のはらや、青々あおあおとしたおかることは、どんなにうれしいことであるかしれないといわれたのでした。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかのいろいろな野菜やさいおおきくなりましたが、いつしかきゅうりのつるは、その垣根かきねにいっぱいにはいまわって、青々あおあおとした、あつみのある、そして
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、青々あおあおとしていたそらをしだいに征服せいふくして、いつしか太陽たいようひかりすら、まったくさえぎってしまったのです。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかかられば、ずっとあたたかでありました。それですから、とこなつのはなは、いつも青々あおあおとしていました。
小さな赤い花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はたしてほどなくくもり、そしてっていたあめれてしまいました。あとには、すがすがしい夕空ゆうぞら青々あおあおみずのたたえられたようにんでえました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
金持かねもちは、うちっていって二、三にちは、かず、そのはなをながめていましたが、そのうちに、だんだん青々あおあおとしたが、よわって、はながしおれてきました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はたして、やますと、もうゆきはなかった。そこには、すでに、はるがきているように、はたけには、青々あおあおとして、去年きょねんが、あたらしいしていました。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おつねさんなんか、こんなにぎやかなところはらないのだ……。」とおもうと、青々あおあおとした田圃たんぼなかっている、ともだちの姿すがたがありありとられました。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある光子みつこさんはにわうえをあおぐと、青々あおあおとしたうめえだに二ひきのはちがをつくっていました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、さむい、さむふゆのことでありました。そらは、青々あおあおとして、がれたかがみのようにんでいました。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
四、五にん子供こどもたちは、てらたけやぶへたけりにゆきました。やがて、てんでに、ごろの青々あおあおとした、のついているたけったり、ったりしてきました。
真坊と和尚さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきからふゆへかけ、そらは、青々あおあおれていました。まちのはずれへて、むこうをると、や、もりをこえて、はるかに山々やまやまかげが、うすくうきがっていました。
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
少女しょうじょは、ひとりで、うみへいってみたのであります。かぎりもなく、海原うなばらは、青々あおあおとしてかすんでいました。太陽たいようひかりは、うららかに、なみうえらしていました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらにはまちがあって、屋根やねつよひかりにかがやいています。こちらには、青々あおあおとした田圃たんぼがあって、野菜やさいはなが、しろ黄色きいろに、いているのがられました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青々あおあおとしたうみには白帆しらほかげが、白鳥はくちょうんでいるようにえて、それはそれはいいお天気てんきでありました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おまえは、この青々あおあおとした松林まつばやしきよ谷川たにがわながれよりほかにてはならない。もし、わたしのいうことをまもれば、おまえはいつまでもわかく、うつくしいともうしました。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えだができあがりますと、親鳥おやどりはひなどりをつれて、あるときは青々あおあおとした大空おおぞらんでうみほうへ、あるときは、またやまえてまちのあるほうへとゆきました。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くるとしはる、またりんごのはなしろゆきのごとくきました。そして、なつには、青々あおあおみのりました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこは、あつくにでありました。ひかりつよく、青々あおあおとしている木立こだちや、おかうえらしていました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、木々きぎかげうつる、かがみのような青々あおあおとした、いけ故郷こきょうこいしくおもいました。しかし、盤台ばんだいなからえられていては、もはや、どうすることもできなかったのです。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昼間ひるま、もうだいぶ青々あおあおびた麦圃むぎばたけとおっている時分じぶんにも、ただならぬかぜのけはいを予知よちしたのであるが、れてから、いっそうその不安ふあんくなってきたのでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちりょうがわに、いえっていました。それらのなかには、店屋みせやがまじっていました。そして、ところどころあるあきはたけとなって、むぎや、ねぎが、青々あおあおとしげっていました。
かたい大きな手 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ほそいかごのから、とおそらなどをながめていますうちに、小鳥ことりはどうかして、ひろて、自由じゆうに、あの青々あおあおとしたそらんでみたいものだとおもったのであります。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ、わたし皮膚ひふには、あのはやしなかにあったころをおもわせるような、あお部分ぶぶんのこっている。じつに、あのはやしなかにあった時分じぶんは、なんという、青々あおあおとしたからだであったろう……。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もう、じきにトロッコがきますよ。」と、レールは、ねむっているはちをこしてやったこともあります。はちは、りました。そらいろ青々あおあおとしてれていました。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)