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際
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きは
ふりがな文庫
“
際
(
きは
)” の例文
かのみたりの女、姿に
際
(
きは
)
のさらにすぐれて
貴
(
たか
)
きをあらはし、その天使の如き舞の
詞
(
しらべ
)
につれてをどりつゝ進みいでたり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
我が生ける間の「明」よりも、今ま死する
際
(
きは
)
の「
薄闇
(
うすやみ
)
」は我に取りてありがたし。暗黒! 暗黒! 我が行くところは
関
(
あづか
)
り知らず。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
夜陰に
轟
(
とどろ
)
く車ありて、一散に
飛
(
とば
)
し
来
(
きた
)
りけるが、
焼場
(
やけば
)
の
際
(
きは
)
に
止
(
とどま
)
りて、
翩
(
ひらり
)
と
下立
(
おりた
)
ちし人は、
直
(
ただ
)
ちに鰐淵が跡の前に尋ね行きて
歩
(
あゆみ
)
を
住
(
とど
)
めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一
際
(
きは
)
目に立つ豊満な肉付と、すこし
雀斑
(
そばかす
)
のある色の白いくゝり
頤
(
あご
)
の円顔には、いまだに
新妻
(
にひづま
)
らしい艶しさが、たつぷり其儘に残されてゐる。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
六
時
(
じ
)
が七
時
(
じ
)
になつても、
船
(
ふね
)
はひた/\と
波止場
(
はとば
)
の
際
(
きは
)
まで
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せて
居
(
ゐ
)
ながら、まだなか/\
著
(
つ
)
けさうにない。
其
(
そ
)
のうち
又
(
また
)
しても
銅鑼
(
どら
)
が
鳴
(
な
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
▼ もっと見る
お京は家に入るより
洋燈
(
らんぷ
)
に火を
点
(
うつ
)
して、火鉢を
掻
(
か
)
きおこし、吉ちやんやお
焙
(
あた
)
りよと声をかけるに己れは厭やだと言つて柱
際
(
きは
)
に立つてゐるを
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
草原を
貫
(
つらぬ
)
き、ヒースが道の兩側のすぐ
際
(
きは
)
まで蓬々と生ひ繁つてゐる。が、それでもふと通りすぎる旅の人があるかも知れない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さういふ
村落
(
むら
)
を
包
(
つゝ
)
んで
其處
(
そこ
)
にも
雜木林
(
ざふきばやし
)
が一
帶
(
たい
)
に
赭
(
あか
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る。
他
(
た
)
に
先立
(
さきだ
)
つて
際
(
きは
)
どく
燃
(
も
)
えるやうになつた
白膠木
(
ぬるで
)
の
葉
(
は
)
が
黒
(
くろ
)
い
土
(
つち
)
と
遠
(
とほ
)
く
相
(
あひ
)
映
(
えい
)
じて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
岸の
際
(
きは
)
丈
魚
(
うを
)
の鱗を蒔き散らしたやうに、ちら/\明るく光つてゐる、黒い海の水が、今まで話をしてゐた老人を呑んでしまつたかと思はれるやうに。
センツアマニ
(新字旧仮名)
/
マクシム・ゴーリキー
(著)
影も形もなき
妄念
(
まうねん
)
に惱まされて、しらで過ぎし日はまだしもなれ、迷ひの夢の醒め果てし今はの
際
(
きは
)
に、めめしき未練は、あはれ武士ぞと言ひ得べきか。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
『
姉
(
ねえ
)
さん、』と
仰向
(
あふむ
)
くと
上
(
うへ
)
から
俯向
(
うつむ
)
いて
見
(
み
)
たやうに
思
(
おも
)
ふ、……
廊下
(
らうか
)
の
長
(
なが
)
い、
黄昏時
(
たそがれどき
)
の
扉
(
ひらき
)
の
際
(
きは
)
で、むら/\と
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
が、
其時
(
そのとき
)
は
戦
(
そよ
)
いだやうに
思
(
おも
)
ひました。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
芝山の
際
(
きは
)
の狭路をすぎて二里大宰府にいたる。染川をすぎて境内に入る。染川まことに小流なり。天正年間すらすでにしかり。況や今にいたりてをや。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
銀杏が向ふの方で尽きるあたりから、だら/\坂に
下
(
さ
)
がつて、正門の
際
(
きは
)
に立つた三四郎から見ると、坂の向ふにある理科大学は二階の一部しか出てゐない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
連脈のうへに一と
際
(
きは
)
高い山が上部は密雲のなかに
塞
(
とざ
)
したまま、鼠色な腹を示しはじめた。この地方名うての靈山岩木山だなと、わたしは心のなかで
合點
(
うな
)
づいた。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
ずツと
昔時
(
むかし
)
芝
(
しば
)
の
金杉橋
(
かなすぎばし
)
の
際
(
きは
)
へ
黄金餅
(
こがねもち
)
と
云
(
い
)
ふ
餅屋
(
もちや
)
が
出来
(
でき
)
まして、
一時
(
ひとしきり
)
大層
(
たいそう
)
流行
(
はやつ
)
たものださうでござります。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殊にこの二人、即ちかし子とつね子とは、決してその思想に於て新しい女ではなく、ただ單に行爲の上に、慣習を破壞したあばずれが現れてゐる
際
(
きは
)
の女なのである。
貝殻追放:006 「八千代集」を読む
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
しかしこの
際
(
きは
)
どい
刹那
(
せつな
)
に侍従は半ば身を起すと、平中の顔に顔を寄せながら、恥しさうな声を出した。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
老
(
おい
)
を
知
(
し
)
らなければ
老
(
お
)
いず、
僕
(
ぼく
)
は
池上權藏
(
いけがみごんざう
)
は
死
(
し
)
ぬるまで
老
(
おい
)
ないだらうと
思
(
おも
)
ひます、
死
(
し
)
ぬる
今
(
いま
)
はの
際
(
きは
)
にも、
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
一段
(
いちだん
)
の
光明
(
くわうみやう
)
なる
生命
(
せいめい
)
を
望
(
のぞ
)
んで
居
(
ゐ
)
るだらうと
思
(
おも
)
ひます。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
額髪
(
ぬかがみ
)
の幼な
女童
(
めわらは
)
、そのごとく今も囲むに、早や老いて
含
(
ふふ
)
むものなし。子をなして
幾人
(
いくたり
)
の親、死なしめて
後
(
あと
)
のこる妻、
姦
(
かし
)
ましと世にいふ
際
(
きは
)
か、さて寄りて我にかくいふ。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
かう思ふと、お光は
身柱元
(
ちりけもと
)
がぞく/\するやうであつた。そこで早速返書を書いて、其の終りへ一
際
(
きは
)
力を入れて、「光は決して
孕
(
はら
)
みません」と確信の籠つた字を書いた。
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
四人——七平を加へて五人でやつた
細工
(
さいく
)
なら、成程手際よく運びもするでせうが、最後の
際
(
きは
)
に、七平の裏切と卯八の忠義で、惡者共の
企
(
たくら
)
みが喰ひ違つてしまつたのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
歌
(
うた
)
の
興味
(
きようみ
)
は、ごく
際
(
きは
)
どい
工夫
(
くふう
)
にあるので、
若菜
(
わかな
)
を
摘
(
つ
)
まうとしてゐた
心
(
こゝろ
)
に、
自然
(
しぜん
)
が
適
(
かな
)
つてくれないといふことを、
自分勝手
(
じぶんかつて
)
に、つごうよく
作
(
つく
)
り
直
(
なほ
)
したものであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
たち表の方へ出れば
垣根
(
かきね
)
の
際
(
きは
)
に野尻宿のお專
頭巾
(
づきん
)
を
眉深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
り立ち居たり傳吉は
密
(
ひそ
)
かに宅へ伴ひ
忍
(
しの
)
ばせて座中を
窺
(
うかゞ
)
はせたるに此中には其人なしと云ふ故傳吉は又々女房叔母を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
恨を受くる覺えなくとも、恨と迫る生死の
際
(
きは
)
人々覺悟と叫ぶや、直ちに血戰は開かれた。
古代之少女
(旧字旧仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
俺れはこの
際
(
きは
)
になつてもお前の心持ちにはどこか狂つた所があるやうに思ふがな、お前は今學術を生活するんだと云つたが、自然科學は實驗の上にのみ基礎を置くのが
立場
(
たちば
)
だのに
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
この入りつる格子はまだ
鎖
(
さ
)
さねば、
間
(
ひま
)
見ゆるによりて西ざまに見通し給へば、この
際
(
きは
)
にたてたる屏風も、端のかたおし畳まれたるに、
紛
(
まぎ
)
るべき
几帳
(
きちやう
)
なども、暑ければにや打掛けて
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何時
(
いつ
)
の間にか月がさして、
練絹
(
ねりぎぬ
)
を延べた様なロアル河は
直
(
す
)
ぐ前に白く、其れを隔てたツウルの街は
唯
(
たゞ
)
停車場
(
ステエシヨン
)
の
灯火
(
あかり
)
を一段
際
(
きは
)
やかに残した
丈
(
だけ
)
で、外は墨を塗つた様に黒く
静
(
しづか
)
に眠つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
死
(
しぬ
)
か
活
(
いきる
)
かの
際
(
きは
)
にいたりて此銭を何にかせん、六百にて弁当を
売
(
うり
)
玉へといふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
纔かに岩石の
際
(
きは
)
を穿ちて、禾穀を栽ゆるに過ぎざれば、從つて是を以て一年の貯食と爲すこと能はず、家々皆獸獵採樵してその生計を圖る云々、及び古昔平家の餘類、この山中に隱れたり云々
日光山の奥
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
斯く説き聞せられて、我はいつもながら氣
沮
(
はゞ
)
みて聲も
微
(
かすか
)
に、さらば君が友だちといふはあまり善き
際
(
きは
)
にはあらぬなるべしと答へき。ベルナルドオはこらへず。善き際にあらず、とは何をか謂ふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ホツ、ホツと
締
(
しまり
)
の無い笛を鳴らして、自動車が過ぎた。湯村の車が右に避けようとしたその車輪の
際
(
きは
)
どい間をくゞり、重い強い発動器の響を聞かせて、
砂埃
(
ほこり
)
の無い路を太いゴム輪が真直に
向
(
むかう
)
へ
馳
(
は
)
せた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
寢ざむればうすく眼に見ゆわがいのちの終らむとする
際
(
きは
)
の明るさ
樹木とその葉:20 貧乏首尾無し
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
それだのに彼はさう
際
(
きは
)
だつて、勉強してゐる樣子もなかつた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
子と言へばせめて命の
際
(
きは
)
ばかり膝をも
枕
(
ま
)
きて死なんとぞ思ふ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
寺の墓地の土塀の
際
(
きは
)
の一本松の根かたへいつた
故郷の花
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
わかるるせめての
際
(
きは
)
にそは何ゆゑ。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
われかの
際
(
きは
)
に辛うじて
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
我は盜人の中にて汝の
際
(
きは
)
貴
(
たか
)
き
邑民
(
まちびと
)
五人
(
いつたり
)
をみたり、我之を恥とす、汝もまた之によりて擧げられて大いなる譽を受くることはあらじ 四—六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
貫一は帽を打着て行過ぎんとする
際
(
きは
)
に、ふと
目鞘
(
めざや
)
の走りて、館の
賓
(
まらうど
)
なる貴婦人を一
瞥
(
べつ
)
せり。
端無
(
はしな
)
くも
相互
(
たがひ
)
の
面
(
おもて
)
は合へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
剛毛
(
こはげ
)
のブラッシュで髮を撫でつけ、前掛を脱がせると、階段の
際
(
きは
)
まで私をせき立てゝ、
朝食堂
(
ブレーク・フアスト・ルーム
)
で待つてゐるから、まつ直ぐ
降
(
お
)
りて行くようにと命じた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今川橋
(
いまがはばし
)
の
際
(
きは
)
に
夜明
(
よあか
)
しの
蕎麥掻
(
そばが
)
きを
賣
(
う
)
り
初
(
そめ
)
し
頃
(
ころ
)
の
勢
(
いきほ
)
ひは千
鈞
(
きん
)
の
重
(
おも
)
きを
提
(
ひつさ
)
げて
大海
(
たいかい
)
をも
跳
(
おど
)
り
越
(
こ
)
えつべく、
知
(
し
)
る
限
(
かぎ
)
りの
人
(
ひと
)
舌
(
した
)
を
卷
(
ま
)
いて
驚
(
おどろ
)
くもあれば、
猪武者
(
いのしゝむしや
)
の
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ず
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
第二の書牘は
頼杏坪
(
らいきやうへい
)
の関五郎に与へたもので、其文は極て短く、口上書と称すべき
際
(
きは
)
のものである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
代助は
辛
(
から
)
うじて、
今一歩
(
いまいつぽ
)
と云ふ
際
(
きは
)
どい所で、踏み
留
(
とゞ
)
まつた。帰る時、
三千代
(
みちよ
)
は玄関迄送つて
来
(
き
)
て
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それぢやア
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
せよう、
然
(
さ
)
うして
浅草
(
あさくさ
)
の
観音
(
くわんおん
)
さまへ
連
(
つ
)
れて
往
(
ゆか
)
う。と
是
(
これ
)
から
合乗
(
あひの
)
りで、
蔵前通
(
くらまへどほ
)
りから
雷神門
(
かみなりもん
)
の
際
(
きは
)
で
車
(
くるま
)
を
下
(
お
)
り、近「
梅喜
(
ばいき
)
さん、
是
(
これ
)
が
仲見世
(
なかみせ
)
だよ。梅「へゝえ
何処
(
どこ
)
ウ……。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其お方がお死にの
際
(
きは
)
に、深く/\思ひこまれた一人のお人が御座りまする。
耳面刀自
(
みゝものとじ
)
と申す大織冠のお娘御の事で御座ります。前から深くお思ひになつて居たと云ふでもありません。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
雨戸
(
あまど
)
の
中
(
うち
)
は、
相州
(
さうしう
)
西鎌倉
(
にしかまくら
)
亂橋
(
みだればし
)
の
妙長寺
(
めうちやうじ
)
といふ、
法華宗
(
ほつけしう
)
の
寺
(
てら
)
の、
本堂
(
ほんだう
)
に
隣
(
とな
)
つた八
疊
(
でふ
)
の、
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
い
置床
(
おきどこ
)
の
附
(
つ
)
いた
座敷
(
ざしき
)
で、
向
(
むか
)
つて
左手
(
ゆんで
)
に、
葛籠
(
つゞら
)
、
革鞄
(
かばん
)
などを
置
(
お
)
いた
際
(
きは
)
に、
山科
(
やましな
)
といふ
醫學生
(
いがくせい
)
が
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
(
ちひ
)
さな
身體
(
からだ
)
でありながら
少
(
すこ
)
し
鋭
(
するど
)
い
嘴
(
くちばし
)
を
持
(
も
)
つたばかりに、
果敢
(
はか
)
ない
雀
(
すゞめ
)
や
頬白
(
ほゝじろ
)
の
前
(
まへ
)
にのみ
威力
(
ゐりよく
)
を
逞
(
たくま
)
しくする
鵙
(
もず
)
が
小
(
ちひ
)
さな
勝利者
(
しようりしや
)
の
聲
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つてきい/\と
際
(
きは
)
どく
何處
(
どこ
)
かの
木
(
き
)
の
天邊
(
てつぺん
)
で
鳴
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
呼
(
よび
)
二
階
(
かい
)
へ上り三人
膝
(
ひざ
)
を
突合
(
つきあは
)
せしに彦三郎は
聲
(
こゑ
)
を
潜
(
ひそ
)
め御家内樣御聞下されても
相成
(
あひなり
)
申さずと
直
(
ずつ
)
と
壁
(
かべ
)
の
際
(
きは
)
へ寄り私は
大坂
(
おほさか
)
堂島
(
だうじま
)
の彦三郎と申者なるが
昨夜
(
さくや
)
御當地
(
ごたうち
)
へ
到着
(
たうちやく
)
致
(
いた
)
し
未
(
まだ
)
宿
(
やど
)
も取らず夜の明るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
死
(
しぬ
)
か
活
(
いきる
)
かの
際
(
きは
)
にいたりて此銭を何にかせん、六百にて弁当を
売
(
うり
)
玉へといふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
我等が
往方
(
ゆくて
)
を塞ぎたるは、極めて卑き
際
(
きは
)
の老若男女なりき。この人々は聖母のみほごらの前にて長き
圈
(
わ
)
をなし、老いたる
猶太
(
ユダヤ
)
教徒一人を取り卷きたり。身うち肥えふとりて、肩幅いと廣き男あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“際”を含む語句
交際
水際
際涯
際限
実際
額際
水際立
間際
際立
生際
空際
出際
人交際
手際
壁際
死際
分際
瀬戸際
山際
溝際
...