てき)” の例文
一、 最初さいしよ一瞬間いつしゆんかんおい非常ひじよう地震ぢしんなるかいなかを判斷はんだんし、機宜きゞてきする目論見もくろみてること、たゞしこれには多少たしよう地震知識ぢしんちしきようす。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
樹木じゆもくには、それ/″\日陰地ひかげちにもよくそだや、また日陰ひかげ日陽ひなた中間ちゆうかんのところをこのなど種類しゆるいによつて、土地とちてき不適ふてきがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
はまぐりの如き貝殼かいがらは自然に皿形さらがたを成し、且つ相對あひたいする者二枚を合する時ふたと身との部さへそなはるが故に物をたくふる器とするにてきしたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
紫陽花あぢさゐはなのだん/\調とゝのつてくありさまが、よくんであります。そのうへに、いかにも紫陽花あぢさゐてきした氣分きぶんてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
元来意見があつて、ひとがそれにのつとるのぢやない。ひとがあつて、其人そのひとてきした様な意見がるのだから、ぼくの説はぼく丈に通用する丈だ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この渓谷けいこくの水が染物そめものによくてきし、ここの温度おんどかわづくりによいせいだというか、とにかく、おどしだに開闢かいびゃくは、信玄以来しんげんいらいのことである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみのようなやいばのついてゐる一寸いつすんぐらゐのちひさい石斧せきふもありますが、これは石斧せきふといふよりも、石鑿いしのみといつたほうてきしてゐるようにおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これを一読するにおしむべし論者は幕末ばくまつ外交の真相しんそうつまびらかにせざるがために、折角せつかくの評論も全く事実にてきせずしていたずらに一篇の空文字くうもんじしたるに過ぎず。
然れども「想」あり此に「形」なきを得ず、新詩形豈むべけんや。唯何を以て新体詩の標準となさん乎に至つては未だてきとして依る所なきを見る也。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
けだし廃藩以来、士民がてきとしてするところを失い、或はこれがためその品行をやぶっ自暴自棄じぼうじき境界きょうがいにもおちいるべきところへ、いやしくも肉体以上の心を養い
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かん支那しな建築けんちく木材もくざいせんいしとの混用こんようであるが、これもにおける木材もくざい比較的ひかくてき貧少ひんせうであるのと、石材せきざいおよせんてきする材料ざいれう豊富ほうふであるがためである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「それどころですか、ダイアナ、あの方が私に申し込をなすつたたゞ一つのお考へは、あの方の印度での仕事にてきした働き仲間を得ようとなさるからなんです。」
ものをかんがえるには、こうしてくらみちあるくのがてきしたばかりでなしに、せっかく、たのしい、かすかな空想くうそういと混乱こんらんのために、ってしまうのがしかったのです。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
伸一先生しんいちせんせい柔和にうわにして毅然きぜんたる人物じんぶつは、これ教訓けうくん兒童こどもこゝろむにてきしてたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
木曾きそのやうに山坂やまさかおほいところには、その土地とちてきしたうまがあります。いくら體格たいかく立派りつぱうまでも、平地へいちにばかりはれた動物どうぶつでは、木曾きそのやうな土地とちにはてきしません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かれ風呂敷包ふろしきづゝみからつゝあつた金錢きんせん些少すこしのものであつたが、それはときとしてかれこはばつたしたてきした食料しよくれうあるものもとめるほかに一部分ぶぶん與吉よきちちひさなおとされるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこで金太郎は、二三米先へ歩いていつて自轉車を起すと、またそれにまたがつて、今度はペタルから足をはなさぬ樣に注意し、てき當に速さを加減しながら坂の下へおりていつた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
品川しながは住居じうきよからとほくもあらぬきりむら其所そこ氷川神社ひがはじんじや境内けいだいに、たきぶも如何いかゞであるが、一にちしよけるにてきして靜地せいちに、清水しみづ人造瀧じんざうたきかゝつてるので
御存ごぞんじのかたは、武生たけふへば、あゝ、みづのきれいなところかとはれます——みづかねきたへるのにてきするさうで、かまなべ庖丁はうてう一切いつさい名産めいさん——むかしは、きこえた刀鍛冶かたなかぢみました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
信州御岳参みたけまゐり七回の経験けいけんあるをき衆皆之をさうとす、此峠をぐれば字上ヶ原の大平野あり、広袤こうばう凡一万町歩、みづあり良草りやうさうあり以て牧塲ぼくじやうとなすにてきす、今之を不毛にるは遺憾いかんと云ふべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
てきせざる
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もしみぎのような性質せいしつ心得こゝろえてゐると、こゝろ落着おちつき出來できるため、危急ききゆう場合ばあひ機宜きゞてきする處置しよち出來できるようにもなるものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
以上いじようはなししたのは、つゞめていふとあつ𤍠帶ねつたいからだんおんかんといふふうにその各地方かくちほうてきしてよくそだ森林しんりん區域くいきと、そのたい特徴とくちようとでした。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
獸骨器のみぎゑがきたるは魚骨器なり。上端じやうたんの孔は糸を貫くにてきしたり。おもふに此骨器はあらき物をひ合はする時にはりとして用ゐられしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
宗助そうすけ自分じぶん境遇きやうぐうやら性質せいしつが、夫程それほど盲目的まうもくてき猛烈まうれつはたらきあへてするにてきしないことふかかなしんだ。いはんや自分じぶんこのやまらすべきすでかぎられてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くもにしようか。」と、おおもいになりました。くもは、はてしもない大空おおぞらを、毎日まいにち、あてもなくただよっているのですから、おじいさんのようなものぐさものには、いちばんてきしていました。
ものぐさじじいの来世 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこでてき當な人はゐないかと周圍しういながめ始めた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
海岸かいがんには、えだぶりのうつくしいくろまつがつらなりえたりしてゐます。おなまつでもあかまつはやまてきしてゐますが、くろまつは潮風しほかぜもつとつよです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
余は既に土器の中に湯水ゆみづを飮むにてきしたる椀形わんがたのもの有る事を述べしが、別に急須形きうすがたのもの有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
普通ふつう住宅じゆうたくならば椅子いす衣類いるい充滿じゆうまんした箪笥たんす火鉢ひばち碁盤ごばん將棊盤しようぎばんなど、すべ堅牢けんろう家具かぐならばせるにてきしてゐる。これ適例てきれい大地震だいぢしん度毎たびごとにいくらも見出みいだされる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そのなかに、かれとしはしては複雜ふくざつ實用じつようてきしないあたまつてゐながら、としよりもわか單純たんじゆん性情せいじやう平氣へいきあらはす子供こどもぢやないかといふ質問しつもんがあつた。宗助そうすけはすぐそれを首肯うけがつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また有珠山うすさん明治四十三年めいじしじゆうさんねん噴火ふんか數日前すうじつぜんから地震ぢしん先發せんぱつせしめたので、とき室蘭警察署長むろらんけいさつしよちよう飯田警視いひだけいし爆發ばくはつ未然みぜんさつし、機宜きゞてきする保安上ほあんじよう手段しゆだんつたことは特筆とくひつすべき事柄ことがらである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)