しよ)” の例文
かれ自分じぶんが一しよときたがひへだてが有相ありさうて、自分じぶんはなれるとにはかむつまじさう笑語さゝやくものゝやうかれひさしいまえからおもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しよめしなぞべると、かれはいつでもこゝろ空虚くうきようつたへるやうな調子てうしでありながら、さうつてさびしいかほ興奮こうふんいろうかべてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
とうさんの田舍ゐなかでは、夕方ゆふがたになると夜鷹よたかといふとりそらびました。その夜鷹よたか時分じぶんには、蝙蝠かうもりまでが一しよしました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しよかうとしたときに、あいちやんは王樣わうさま小聲こゞゑで、一たい仲間なかまものどもにはれるのをきました、『みん放免はうめんする』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
背広せびろかるいセルのひと衣にぬぎかへて、青木さんがおくさんと一しよにつましやかなばんさんをましたのはもう八ちかくであつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
今日は日曜だから、お前と一しよ何處どこへか出掛けやうと思ツてゐたんだが、これぢや仍且やつぱりうち睨合にらみあひをしてゐるしかないな。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
まへ彼処あつちなくなつたのは、だれきなひとができて、一しよになつたからだとおもつてゐたんだ。こんなところかせぎにてゐるとはらなかつたヨ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
外交の事漸くしよに就くに至れり、各国の商賈しやうこは各開港塲に来りて珍奇実用の器物をひさげり、チヨンマゲは頑固といふ新熟語の愚弄ぐろうするところとなれり
少し理由わけがあつて旅をするとふと、弟子でしなにかが一しよきたがるが、弟子でしでは少し都合つがふの悪いことがある。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼女かのぢよが、戀人こひびと片山かたやまと一しよ生活せいくわつしたのは、わづかかに三ヶげつばかりだつた。かれがそのぞくしてゐるたう指令しれいのもとに、ある地方ちはう派遣はけんされたのち彼等かれら滅多めつた機會きくわいもなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
しよに參候人々の内、品川へ足ぶみ致は壹人にて御座候、是位に續人つゞくひとは無御座候得共、とろけは不仕候、御察可下候、かば直八、至極の御丁寧に而、定御供じやうおともに相加候處
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
三四郎は此一節のもたらす意味よりも、其意味の上にひかゝる情しよかげうれしがつた。三四郎は切実に生死の問題を考へた事のない男である。考へるには、青春の血が、あまりにあたゝぎる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あくまであざむく長庵が佞辯ねいべん奸智かんち極惡ごくあくたとふるに物なしと後にぞ思ひ知られけり十兵衞はあに長庵がたくみのありとは少しも知らず然樣さやうならば頂戴いたゞきますとおのれが出たる三兩を再び胴卷どうまきの金と一しよ仕舞込しまひこむ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
またすぐみんなと一しよになりますからね
「うむ、一しよにしてくろ」とおつたはやはらかにいつた。勘次かんじふたつを等半とうはんぜてそれからまたおほきな南瓜たうなすつばかり土間どまならべた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひながら、とうさんは蝙蝠かうもりと一しよになつてあるいたものです。どうかすると狐火きつねびといふものがえるのも、むら夕方ゆふがたでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
みん仕方しかたなしに一しよたんだ』と海龜うみがめひました、『どんなかしこさかなでも、海豚いるかれなくては何處どこへもけやしないもの』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
或る日は又田舎から出て来た次兄夫婦や姉とも一しよになつて、下で晩飯を食べた。そこで蓄音器を聴いたりした。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
道子みちこ小岩こいは色町いろまち身売みうりをしたとき年季ねんきと、電話でんわ周旋屋しうせんやと一しよくらした月日つきひとをむねうちかぞかへしながら
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
成程なるほどハー左様さやうかね、それぢやうちおいてもつまらぬからもつてつてれ、ついで其所そこに大きなかめがあるぢやらう、誠に邪魔じやまになつてかぬからそれも一しよもつくがい。
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、三四年前に半年あまり一しよはぎじゆんだんの高弟(?)となつておほいに切琢磨たくましたのだが、二人とも一こう力がしん歩しない所までてゐるのだから、いさゝ好敵こうてきぎるきらひもある。
が其他の点に於ては、尋常以上に情しよの支配を受けるべく余儀なくされてゐた。取次とりつぎ門野かどの足音あしおとてゝ、書斎の入口いりぐちにあらはれた時、血色けつしよくのいゝ代助のほゝかすかに光沢つやうしなつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
四方へ走らせてかくと告るに町内の行事ぎやうじ其外家主中いへぬしちう名主なぬし書役しよやくに至る迄たちまちに寄集よりつどひしかば知らせし兩人も一しよに行て死骸を怕々こは/″\ながら後よりのぞき見て各々方おの/\がた御苦勞成ごくらうなりと云つゝ兩人は通り過んとする處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのたびに、榎木えのきと一しよになつて、パラ/\パラ/\ちてましたが、どれもこれも、まだあをくてべられないのばかりでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たまや、さう/\、おまへも一しよればかつたね!空中くうちゆうにはねずみないだらうけど、蝙蝠かうもりならつかまへられる、それはねずみてゐるのよ。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
勘次かんじ醫者いしやと一しよかへるからさういつておしな安心あんしんさせてれといつて醫者いしやもんたゝいた。醫者いしや丁度ちやうどそつちへついでつたからと悠長いうちやうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
え……本当なればわたしかゝあを追ひ出しちまひます、へえ鎧橋よろひばし味噌漉提みそこしさげよりわるいてえひどい顔で、ぐにさらけだしちまひます、あなたと三でもいから一しよいね。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぬいだ上衣をハンドバツグと一しよに小脇に抱へ、鼠色のスカートに白い毛糸のスヱーターを着てゐたので、ぶとりの身體の殊に張出した胸の形がそのまゝはつきり思ひやられます。
畦道 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
なにしろ腕力わんりよくがあるからかなひませんね。それに兇器きようきももつてゐるやうです。洋行やうかうするときの護身用ごしんようにとつたものです。一しよにあるいてゐると、途中とちう時々とき/″\ぬかれるんでね。あの無気味ぶきみです。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
何程いくらいふても此方こつちが知らぬ事なればかまいは無けれど御かみ御前ごぜんをつとの手前私しは面目めんぼくないぞへと云へば長庵大聲おほごゑあげ此女め今と成て御上の前夫の手前のはゞかるもよく出來できつれにげくれろの一しよに殺して呉ろのと言た事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのまゝ食事も一しよ、つかれて蚊帳の中にうと/\するのも亦一しよであつた。
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
エヽいてります…おくの二番へ御案内ごあんないまうしなよ。客「エヽ此莨入このたばこいれ他人ひとからの預物あづかりものですから其方そつちへおあづかりなすつて、それから懐中ふところちつとばかり金子かねがありますが、これも一しよにおあづかりなすつて。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
洗濯もワイシヤツくらいなら一しよに洗つてあげやうとさへ言ふのであつた。
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
席開せきびらきといふので、わたくしもおまねきにあづかつたが、其時そのとき是非ぜひ伊豆屋いづやさんなんぞと一しよに、参席あがつもりでございましたが、残念ざんねんな事には退引のつぴきならぬ要事ようがあつて、到頭たうとう参席あがりませぬでしたが……。