けもの)” の例文
新字:
うつくしいてて、たまのやうなこいしをおもしに、けものかはしろさらされたのがひたしてある山川やまがは沿うてくと、やまおくにまたやまがあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
どうかすると蘇生いきかへつたはちはれてされたといふひとはなしきました。さうなると鐵砲てつぱうをかついでけものちにくもおなじやうなものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
となりとなりうへしたならんで、かさなつて、あるひあをく、あるひあかく、あるひくろく、おようすほどの、へんな、可厭いやけものいくつともなくならんだ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それに私の考へでは、おばけといふものは、口のけないけものの身體を借りるかも知れないけれど、普通の人間の姿を借りることは到底出來ないのだ。
埃及えじぷとにはあたまとりだのけものだの色々いろ/\化物ばけものがあるがみな此内このうちである。この(一)にぞくするものはがいして神祕的しんぴてきたうとい。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
... ぐる所以ゆゑんかくごと而已のみ』と。孔子こうしつて弟子ていしつていはく、『とりわれぶをり、うをわれおよぐをり、けものわれはしるをる。 ...
日頃氣取つてばかり居る中年増のお袖も、譯のわからぬ事を歌ひ續け乍ら、あられもない双肌脱もろはだぬぎになつて、尻尾に火の付いたけもののやうに、船の中を飛び廻ります。
まるでけものの牙のやうな刀樹の頂きを半ばかすめて(その刀樹の梢にも、多くの亡者が纍々と、五體をつらぬかれて居りましたが)中空なかぞらから落ちて來る一輛の牛車でございませう。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆきおほはれたそのくづしの斜面しやめんに、けもの足跡あしあとが、二筋ふたすぢについてゐるのは、いぬなにかゞりたのであらう、それとも、雪崩なだれになつてころりてかたまりのはしつたあとでもあらうかと
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
知らぬけもの邂逅でつくわした山羊の樣な眼をして、女は卓子テーブル彼方むかうに立つた! 然しアノ眼に、俺を厭がる色がちつとも見えなかつた。然うだ、吃驚びつくりしたのだ。唯吃驚びつくりしたのだ。尤も俺も惡かつた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
聞時はしきりににくく思はれ他人ひとの事にても何分なにぶんすて置れぬ性質せいしつなり是犬はやうにして正直なるけものゆゑねこたぬき其外そのほか魔性ましやう陰獸いんじうを見る時は忽地たちまち噛殺かみころすが如しおのれせいはんして陰惡いんあくたくむものは陽正やうせいの者是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
心臟ハート王樣わうさま女王樣ぢよわうさまとがおちやくになり、玉座ぎよくざにつかせられましたとき多勢おほぜいのものどもが其周そのまはりにあつまつてました——骨牌カルタつゝみおなじやうな、小鳥ことりけもののこらず、軍人ネーブくさりつながれて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
樫いとどにほふ眞闇となりにけり夜ふけくるひたつとりけもののこゑ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
するどはらつておたかどのことばばかりはうれしけれど眞實まことやらなにやらこゝろまで芳之助よしのすけあやにくたず父御てゝごこゝろ大方おほかたれてあり甲斐性かひしよなしのいやになりてえんちどがさに計略三昧けいりやくざんまいかゝりし我等われらわなのうちのけもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
飢ゑてさまよふけものかととがめたまはめ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
けもののやうなはんの木が腕を突き出し
定本青猫:01 定本青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
花百合のなかにけものをりは見ゆ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
つどへよけものつらなりて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
山のけものはそんな日に
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
これおもふと……いしげた狂人きちがひふのも、女學生ぢよがくせいれたくろばあさんの行列ぎやうれつも、けもののやうに、とりのやうに、つた、けたとうちに、それみな
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みゝづくはとらふづくのるいで、けもののようなかほで、みゝのようなものがつてゐます。しかしこれはみゝたぶではなく、じつつてゐるだけなのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
前達まへたちきなお伽話とぎばなしほん雜誌ざつしなかるやうな、とりけものまで幼少ちひさ時分じぶんとうさんにはお友達ともだちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はまるで、私が打つか押しのけるかしたけものが、人間の眼をして私を見上げ、人間の聲で私を呪つてゐるやうな恐しさを感じた。——水を持つて來ておくれ! あゝ、早くして!
武家はちよいとこはい顏をして居るが、よく/\見ると顏の造作の刻みが深いといふだけのことで、まことに人相に毒がねえ、——きばのあるけものに角がなく、角のある獸に牙がねえのと同じ理窟りくつ
あやめしが如くまだ生々なま/\しきあぶらういて見ゆればさすがに吉兵衞は愕然ぎよつとして扨ても山賊の住家なりかゝる所へ泊りしこそ不覺ふかくなれと後悔こうくわいすれど今は網裡まうりの魚函中かんちうけものまた詮方せんかたなかりければ如何はせんと再びまくらつきながらも次の間の動靜やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けものかと跫音あしおと忍びかへり來ぬ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つどへよけものつらなりて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
我れは醜きけものにして
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
まをさばそのこゝろうらみなり父樣とゝさま惡計わるだくみそれおあそばすにおこたへのことばもなけれどそのくやしさもかなしさもおまへさまにおとることかは人知ひとしらぬ家具やぐえり何故なにゆゑにぬるゝものぞなみだいろのもしあらば此袖このそでひとつにおうたがひはれやうものひとあなけものとはあまりのおほせつもりても御覽ごらんぜよつながれねど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くもくらし、くもくらし、曠野あらの徜徉さまよかり公子こうしが、けものてら炬火たいまつは、末枯うらがれ尾花をばな落葉おちばべにゆるにこそ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
登山者とざんしやくまにぶつかるなどといふことは、さう/\あるものではないのです。しかし、本州ほんしゆう四國しこく九州きゆうしゆうやまにわたつてくま、ゐのしゝ、しか、かもしかなどおほきなけものんでゐるのは事實じじつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
鈍き音、——あやしけもの
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あくるあさいのちみづまうとすると、釣瓶つるべ一杯いつぱいきたなけものいてあがる……三毛猫みけねこ死骸しがい投込なげこんであつた。そのことわられたものの口惜くやしまぎれの惡戲いたづらだらうとふのである。——あさことで。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つゞいて、どのけものつらみなわらつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)