洋服ようふく)” の例文
「どこのボタンだろうな、洋服ようふくについていたんだね。はなかたちか、いや、くるまかたちかな。」と、こう一もやってきて、あたまをかしげていました。
金色のボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
洋服ようふくをきればすぐ人にあやしまれて、追いまわされるし、ぼくは、もっとあたたかい地方へいってしまいたいと思って、この港町みなとまちへきたのだ
ゆうべ光吉こうきちにああはいったものの、母もあのつぎだらけの洋服ようふくで、わが子をはれがましい式場しきじょうだんの上に立たせたくなかった。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
糟谷は役所着やくしょぎのままで東京へいくつもりであるから、洋服ようふくをぬごうともせず、子どもをいたまま老人と対座たいざした。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
となりには黒い洋服ようふくをきちんとたせいの高い青年がいっぱいに風にかれているけやきの木のような姿勢しせいで、男の子の手をしっかりひいて立っていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
たゞこの成長おほきうならんことをのみかたりて、れい洋服ようふくすがた美事みごとならぬつとめに、手辨當てべんたうさげて昨日きのふ今日けふいでぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一通ひとゝほりの挨拶あいさつをはつてのち夫人ふじん愛兒あいじさしまねくと、まねかれてをくするいろもなくわたくし膝許ひざもとちかすゝつた少年せうねん年齡としは八さい日出雄ひでをよし清楚さつぱりとした水兵すいへいふう洋服ようふく姿すがたで、かみ房々ふさ/″\とした
また車丁等には、上、中、下等の客というこころなくして、彼は洋服ようふくきたれば、定めてありがたき官員ならん、此は草鞋わらじはきたれば、定めていやしき農夫ならんという想像そうぞうのみあるように見うけたり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「だって、ぼく、わるいおてんだと、あたらしい洋服ようふくなどていって、ずかしいんだもの。」と、二郎じろうちゃんは、きまりわるそうに、いいました。
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「はい。」と返事をして立ちあがると、光吉こうきちは手早くその新しい洋服ようふくを着た。着てしまうとへんにからだを動かしてはわるいような気がした。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
此人このひとはじめは大藏省おほくらしやう月俸げつぽうゑん頂戴ちようだいして、はげちよろけの洋服ようふく毛繻子けじゆす洋傘かうもりさしかざし、大雨たいうをりにもくるまぜいはやられぬ身成みなりしを、一ねん發起ほつきして帽子ぼうしくつつて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さいごに食堂しょくどうをかけぬけて、ベッドの売場うりばから洋服ようふくダンスのならんでいるところへ逃げこんで、そのかげで、着ているものをすっかりぬぎすてて、もとの透明とうめい姿すがたになって
先生も何だかわからなかったようだが漁師りょうしかしららしい洋服ようふくふとった人がああいるかですとった。あんまりみんな甲板かんぱんのこっちがわへばかり来たものだから少し船がかたむいた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
友人というのは、某会社ぼうかいしゃ理事りじ安藤某あんどうぼうという名刺めいしをだして、年ごろ四十五、六、洋服ようふく風采ふうさいどうどうとしたる紳士しんしであった。主人は懇切こんせつおくしょうじて、花前の一しんにつき、いもしかたりもした。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かあさんは、これから勉強べんきょうするなら、しからないとお約束やくそくをして、あたらしい洋服ようふくせて、二郎じろうちゃんをおしになりました。
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ぼく、お正月の洋服ようふくをちゅうもんしにいったんだよ。そしたら、洋服屋ようふくやのおじさんめ、『四年生かね。』ときくのさ、いやになっちゃった。」
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
ふさ帽子ぼうしおももちゆたかに洋服ようふくかる/″\と花々敷はな/″\しきを、ぼつちやんぼつちやんとて此子このこ追從ついしようするもをかし、おほくのなか龍華寺りうげじ信如しんによとて、千すぢとなづる黒髮くろかみいまいくとせのさかりにか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一人のへんはなとがった、洋服ようふくてわらじをはいた人が、鉄砲てっぽうでもないやりでもない、おかしな光る長いものを、せなかにしょって、手にはステッキみたいな鉄槌かなづちをもって、ぼくらの魚を
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
二郎じろうは、また、砂山すなやましたを、かおまで半分はんぶんかくれそうに、帽子ぼうし目深まぶかにかぶって、洋服ようふくひとが、あるいているのをました。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今歳ことしきてお客樣きやくさま數多かずおほく、午後ごゞよりとの招待状せうたいじよう一つもむなしうりしはくて、ぐるほどのにぎはひは坐敷ざしきあふれて茶室ちやしつすみのがるゝもあり、二かい手摺てすりに洋服ようふくのお輕女郎かるじよろう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せい一のおかあさんは、よくこのみせへきて、せい一の洋服ようふく修繕しゅうぜんをおたのみになりました。ちょうど、その晩方ばんがたのことです。
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のみめづらしいとはおもひませぬけれど出際でぎは召物めしものそろへかたがわるいとて如何いかほどびても聞入きゝいれがなく、其品それをばいでたゝきつけて、御自身ごじゝん洋服ようふくにめしかへて、あゝ私位わしぐらゐ不仕合ふしあはせ人間にんげんはあるまい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しょうちゃんは、まだ、鉄道てつどうのおじさんの洋服ようふくのボタンをたことがないとおもいました。せいちゃんも、こうちゃんも、まだっていなかったのでしょう。
金色のボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
洋服ようふくのポケットや、前垂まえだれのポケットのなかにいれて、チャラ、チャラとらしていましたが、いつのまにか、ヨシさんの姿すがたえなくなりました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、小舎こやぐちったのは、やぶれた洋服ようふくをきて、かばんをかたにかけ、手風琴てふうきんったいろくろおとこでした。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたり電車でんしゃにのって、かいこをもらいにかけました。蚕糸試験所さんししけんじょもんのところには、きんボタンのついた洋服ようふくをきたおじいさんがこしかけていました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
しん一は、もう洋服ようふくかえていました。だれがなんといっても自分じぶんは、いかなければならぬというかた決心けっしんをようすにみせて、二かいからりました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この二人ふたりのおじさんは、いずれもじてんしゃにのってきました。カチカチのほうは、くろがねをかけ、せびろの洋服ようふくをきてパッチをはき、くつでありました。
もののいえないもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、いつかゆめたことのある理髪店りはつてん主人しゅじんよりは、もっと、おそろしいかおつきをして、くろ洋服ようふくた、たかおとこが、ふいに少女しょうじょをむちでなぐりました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くろ洋服ようふくたおじさんが、こしのまがったおばあさんのりようとするのをしんせつに世話せわしていました。
金色のボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、みつばちが、先刻せんこくいった学者がくしゃたちの一こうであります。そのうちしろ洋服ようふくて、眼鏡めがねをかけた一人ひとりは、とこなつのはないているまえあゆりました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小山先生こやませんせいこそ、いままでおもしていた、やさしい先生せんせいでありました。れつ先頭せんとうになっていく先生せんせいは、たかく、くろ洋服ようふくて、うつむいてあるいていられます。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つきひかりで、よくそのじいさんの姿すがた見守みまもると、やぶれた洋服ようふくて、ふるくなったぼろぐつをはいていました。もうだいぶのとしとみえて、しろいひげがびていました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうも、ありがとう。」と、いって、おねえさんにおれいをいいました。そして、それをさっそく洋服ようふくのポケットにして、おともだちにせようとあそびにました。
小さな弟、良ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、あちらのみちあるいてくる人影ひとかげました。よく、ると、洋服ようふくた、一人ひとり紳士しんしでした。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、そして、明日あした桜草さくらそう二鉢ふたはちばかりとどけてもらおうか。」と、洋服ようふく主人しゅじんがいいました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これをていらっしゃい。よごすのでありませんよ。」と、おっしゃいました。二郎じろうちゃんの、いままでていた洋服ようふくはよごれて、ところどころつくろってあります。
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
その翌日よくじつ洋服ようふくおとこひとが、やはりみせのものといっしょに、この温室おんしつなかはいってきました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある晩方ばんがたのこと、そこに、くろい、みじか洋服ようふくて、あかいえりをした、二人ふたりむすめって、ガラスまど内側うちがわをのぞいていました。乗合自動車のりあいじどうしゃ女車掌おんなしゃしょうでありました。
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このはなは、ここにしておいてだいじょうぶだろうか?」と、洋服ようふく主人しゅじんはいいました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、しばらくすると、あかふね姿すがたはうすれ、洋服ようふくひと姿すがたもうすれてしまいました。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かげで、大事だいじ洋服ようふくが、ずっぷりぬれてしまったから、明日あしたかあさんにしてもらいます。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、ふえあななかからびだして、まぼろしなかわらったりねたりした、異様いような、帽子ぼうし目深まぶかにかぶった洋服ようふくおとこも、ほんとうに、砂山すなやましたをてくてくとあるいているのでした。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
洋服ようふくのボタンが一つれて、ひじのあたりがやぶれている具合ぐあいまでが、無頓着むとんちゃくで、なおしてあげるといってもめんどうくさがる、おとうさんのようすを彷彿ほうふつさせて、どくのようにも
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まれにあることです。かぜか、なにかで、種子たねんできたのですね。」と、しろ洋服ようふくおとここたえました。そして、をさしべて、とこなつのはなもとからきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきのこと、このむら洋服ようふくて、じゅうかたにしたおとこが、猟犬りょうけんをつれてとおりました。ごろおそろしいものらずの金持かねもちのとりは、いぬかって不意ふいびつきましたので、いぬおこりました。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうちゃんは、ひとり、きて、洋服ようふくかえると、二かいからりてきました。
お母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
きんボタンの洋服ようふくをきて、ぼうしをかぶったおじいさんは
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、あのふとった、洋服ようふくおんな先生せんせいも?」
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)