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振
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ぶ
ふりがな文庫
“
振
(
ぶ
)” の例文
と、ちょろりと舌を出して
横舐
(
よこなめ
)
を、
遣
(
や
)
ったのは、
魚勘
(
うおかん
)
の小僧で、赤八、と云うが青い
顔色
(
がんしょく
)
、岡持を
振
(
ぶ
)
ら下げたなりで道草を食散らす。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが皆わざおぎの所作ではなくて、神の実在を信じたあるじ
振
(
ぶ
)
りであったことは、ちょうど我々の盆の
魂祭
(
たままつり
)
の後先ともよく似ている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と
御相談
(
ごそうだん
)
をおかけになりました。この
乳母
(
うば
)
は
大
(
たい
)
そうりこう
振
(
ぶ
)
った女でしたから、
相談
(
そうだん
)
をかけられると、とくいらしく
鼻
(
はな
)
をうごめかして
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
伊豆は死よりも冷酷な
厭世家
(
えんせいか
)
振
(
ぶ
)
って、小笠原の自殺した現場へも告別式へも出なかったので、誰に逢うこともなかったのである。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
夜汽車
(
よぎしや
)
で
新橋
(
しんばし
)
へ
着
(
つ
)
いた
時
(
とき
)
は、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
叔父
(
をぢ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
たが、
夫婦
(
ふうふ
)
とも
灯
(
ひ
)
の
所爲
(
せゐ
)
か
晴
(
は
)
れやかな
色
(
いろ
)
には
宗助
(
そうすけ
)
の
眼
(
め
)
に
映
(
うつ
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
遊ぶ金がほしさに、ただ出鱈目にカンヴァスに絵具をぬたくって、流行の勢いに乗り、もったい
振
(
ぶ
)
って高く売っているのです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
乗合自動車は停留所ごとに人溜まりを呑んで、身じろぎも出来ないほど詰め込んだ胃袋を
揺
(
ゆ
)
す
振
(
ぶ
)
りながら、ごとごと走った。
指と指環
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
練習コオスは流れる
淀
(
よど
)
み、オォルがねばる、気持よさです。久し
振
(
ぶ
)
りに、はりきった、清さんの号令で、艇は
船台
(
ランディング
)
を
離
(
はな
)
れ、下流に向いました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それを大急ぎで
食卓
(
てーぶる
)
の上へ持って行って
直
(
す
)
ぐ食べてもらわないと縮まっていけません。その代り二つ
振
(
ぶ
)
りの玉子で四人前のお菓子が出来ます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
僕は作家として曲りなりにも生活が出来るやうになつてから、この床屋を久し
振
(
ぶ
)
りに訪問し、主人の好きな酒を贈つた。
世に出る前後
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りであなたにお目にかゝつてそのお
酌
(
しやく
)
で
頂
(
いたゞ
)
くのはお
祖師様
(
そしさま
)
の
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せでございませう、イエたんとは
頂
(
いたゞ
)
きません。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
怖
(
こわ
)
がるこたァねえから、
後
(
あと
)
ずさりをしねえで、
落着
(
おちつ
)
いていてくんねえ。おいらァ
何
(
なに
)
も、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
会
(
あ
)
った
妹
(
いもうと
)
を、
取
(
と
)
って
食
(
く
)
おうたァいやァしねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
断じてそうではなかったらしいかつて作者は「私の見た大阪及び大阪人」と題する篇中に大阪人のつましい生活
振
(
ぶ
)
りを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長袖
(
ながそで
)
の
足
(
あし
)
にも
肉刺
(
まめ
)
の
出來
(
でき
)
ることはあるまいと
思
(
おも
)
つて、
玄竹
(
げんちく
)
は
殆
(
ほと
)
んど二十
年
(
ねん
)
振
(
ぶ
)
りで
草鞋
(
わらぢ
)
を
穿
(
は
)
いたのであつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
良人
(
おっと
)
と
顔
(
かお
)
を
合
(
あ
)
わせるのも
気
(
き
)
まりがわるいが、それよりも一
層
(
そう
)
恥
(
はず
)
かしいのは
神
(
かみ
)
さまの
手前
(
てまえ
)
でした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りの
妾
(
せふ
)
が帰郷を
聞
(
きゝ
)
て、親戚ども
打寄
(
うちよ
)
りしが、母上よりは
却
(
かへつ
)
て
妾
(
せふ
)
の顔色の常ならぬに驚きて、
何様
(
なにさま
)
尋常
(
じんじやう
)
にてはあらぬらし、医師を迎へよと口々に
勧
(
すゝ
)
め呉れぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
往来を見廻すと、牛は、お通を背に乗せたまま、重い体を
揺
(
ゆ
)
さ
振
(
ぶ
)
って、彼方へ駈出しているではないか。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
厭味
(
いやみ
)
たっぷりの文句や人を
陥
(
おとしい
)
れる言い
振
(
ぶ
)
り、人に
無礼
(
ぶれい
)
する語を用いることはなはだ
慎
(
つつし
)
むべきことである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
するとアダはレデイ
振
(
ぶ
)
って、右足を後に引いて心もち腰をかがめる犬の真似をした。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
講釈師
見山
(
けんざん
)
が、田宮坊太郎の先祖を「北朝の忠臣」なんて臆面もなくやったり、浪花節の
燕月
(
えんげつ
)
が「テームス河の上流に於て、海の藻屑と消え果てたり」なんて、新人
振
(
ぶ
)
ってうなるのを聴いて
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
と、少し
面
(
おもて
)
をあげて鬚をしごいた。少し兄分
振
(
ぶ
)
っているようにも見えた。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今日は久し
振
(
ぶ
)
りに晴れた。空には一片の雲なく、日は
晶々
(
あかあか
)
として美しく照りながら、寒暖計は八十二三度を
越
(
こ
)
えず、涼しい
南風
(
みなみ
)
が朝から晩まで水の流るゝ様に
小止
(
おやみ
)
なく吹いた。
颯々
(
さっさつ
)
と鳴る庭の松。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今一人が
眞向
(
まつかう
)
よりざツくり切たる
一太刀
(
ひとたち
)
に二言と云はず死してけり二人は血刀
押拭
(
おしぬぐ
)
ひ先久し
振
(
ぶ
)
りの
山吹色
(
やまぶきいろ
)
と懷中へ手を入れてヤアないはコリヤどうぢやと二人は
不審
(
ふしん
)
晴
(
はれ
)
やらず猶も懷中を
掻探
(
かきさぐ
)
り
財布
(
さいふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
女5 そう
勿体
(
もったい
)
振
(
ぶ
)
らないで、おっしゃい。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
久し
振
(
ぶ
)
りにて汽車に乗りしに。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに石油を一升買った。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
傷
(
い
)
た
振
(
ぶ
)
るる、
苦患
(
くげん
)
の声か。
哀詩数篇
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
まつとは
云
(
い
)
はず
杉原
(
すぎはら
)
さまはお廿四とやお
歳
(
とし
)
よりは
老
(
ふ
)
けて
見
(
み
)
え
給
(
たま
)
ふなり
和女
(
そなた
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
ふぞとて
朧氣
(
おぼろげ
)
なこと
云
(
い
)
ふて
見
(
み
)
る
心
(
こゝろ
)
や
流石
(
さすが
)
に
通
(
つう
)
じけんお
八重
(
やへ
)
一日
(
あるひ
)
莞爾
(
にこ
)
やかに
孃
(
じよう
)
さまお
喜
(
よろこ
)
び
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
あり
當
(
あ
)
てゝ
御覽
(
ごらん
)
じろと
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りの
戯
(
たはふ
)
れ
言
(
ごと
)
さりとは
餘
(
あま
)
りに
廣
(
ひろ
)
すぎて
取
(
と
)
り
處
(
どころ
)
が
分
(
わか
)
らぬなりと
微笑
(
ほゝゑめ
)
ば
左
(
さ
)
らば
端
(
はし
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
朝靄
(
あさもや
)
を、
微風
(
びふう
)
が
吹
(
ふ
)
いて、さざら波のたった海面、くすんだ緑色の島々、
玩具
(
おもちゃ
)
のような
白帆
(
しらほ
)
、
伝馬船
(
てんません
)
、久し
振
(
ぶ
)
りにみる故国日本の姿は
綺麗
(
きれい
)
だった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こんどの
戦
(
いくさ
)
は
前
(
まえ
)
の
時
(
とき
)
に
劣
(
おと
)
らず
随分
(
ずいぶん
)
苦
(
くる
)
しい
戦争
(
せんそう
)
でしたけれど、三
年
(
ねん
)
めにはすっかり
片付
(
かたづ
)
いてしまって、
義家
(
よしいえ
)
はまた
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
都
(
みやこ
)
へ
帰
(
かえ
)
ることになりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
全体なら
沸立
(
にた
)
っている牛乳一合へ今の白身三つ
振
(
ぶ
)
りを入れると牛乳が半分ほど白身へ吸い込まれて大きく膨れます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「久し
振
(
ぶ
)
りだから、何か御馳走しませうか」と
聞
(
き
)
いた。さうして
心
(
こゝろ
)
のうちで、自分の斯う云ふ態度が、幾分か此女の慰藉になる様に感じた。三千代は
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
面
(
めん
)
も
頭
(
かしら
)
も、お
製作
(
こしら
)
へに
成
(
な
)
つたんですか。……あゝ、いや、
鷺
(
さぎ
)
のお
手際
(
てぎは
)
を
見
(
み
)
たので
分
(
わか
)
る。
軒
(
のき
)
に
振
(
ぶ
)
ら
下
(
さが
)
つた
獅子頭
(
しゝがしら
)
や、
狐
(
きつね
)
の
面
(
めん
)
など、どんな
立派
(
りつぱ
)
なものだつたか
分
(
わか
)
らない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
併し、馬は、暫く荷を張られなかったので、荷を積んで曳き出すと、一脚ごとに鞍を
揺
(
ゆ
)
す
振
(
ぶ
)
った。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
左様
(
さやう
)
でございますか、
私
(
わたし
)
は
久
(
ひさ
)
しい
以前
(
いぜん
)
二の
酉
(
とり
)
の時に
一人
(
ひとり
)
伴
(
つれ
)
があつて
丸屋
(
まるや
)
に
上
(
あが
)
り、あなたが出て
下
(
くだ
)
すつて親切にして
下
(
くだ
)
すつた、
翌年
(
よくねん
)
のやはり二の
酉
(
とり
)
の時に
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
丸屋
(
まるや
)
へ
上
(
あが
)
ると
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨年の夏、私は十年
振
(
ぶ
)
りで故郷を見た。その時の事を、ことしの秋四十一枚の短篇にまとめ、「帰去来」という題を附けて、或る季刊冊子の
編輯部
(
へんしゅうぶ
)
に送った。その直後の事である。
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
俺
(
わし
)
は、この
娘
(
こ
)
がいよいよ
眼
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ますのを
待
(
ま
)
ち、
服装
(
ふくそう
)
などもすぐに
御国
(
みくに
)
振
(
ぶ
)
りの
清
(
きよ
)
らかなものに
改
(
あらた
)
めさせ、そしてその
姿
(
すがた
)
で
地上
(
ちじょう
)
の
両親
(
りょうしん
)
の
夢枕
(
ゆめまくら
)
に
立
(
た
)
たせ、
自分
(
じぶん
)
は
神
(
かみ
)
さまに
仕
(
つか
)
えている
身
(
み
)
であるから
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
障子
(
しょうじ
)
を
漏
(
も
)
れる
光
(
ひかり
)
さえない
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
は、
僅
(
わず
)
かに
隣
(
となり
)
から
差
(
さ
)
す
行燈
(
あんどん
)
の
方影
(
かたかげ
)
に、
二人
(
ふたり
)
の
半身
(
はんしん
)
を
淡
(
あわ
)
く
見
(
み
)
せているばかり、三
年
(
ねん
)
振
(
ぶ
)
りで
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
った
兄
(
あに
)
の
顔
(
かお
)
も、おせんははっきり
見極
(
みきわ
)
めることが
出来
(
でき
)
なかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
土手に若葉をゆす
振
(
ぶ
)
ッている
血櫧
(
あかがし
)
の木立を楯にして、顔を焼きそうな対岸を眺めますに、燃え
熾
(
さか
)
ッている火の手はちょうど
宿
(
しゅく
)
の
上町
(
かみまち
)
辺で、炎は人家の建てこんでいる、下へ下へと延びている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駕籠
(
かご
)
に
乘
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
かうかと
思
(
おも
)
つたけれど、それも
大層
(
たいそう
)
だし、
長閑
(
のどか
)
な
春日和
(
はるびより
)
を、
麥畑
(
むぎばたけ
)
の
上
(
うへ
)
に
舞
(
ま
)
ふ
雲雀
(
ひばり
)
の
唄
(
うた
)
を
聽
(
き
)
きつゝ、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
旅人
(
たびびと
)
らしい
脚絆
(
きやはん
)
の
足
(
あし
)
を
運
(
はこ
)
ぶのも
面白
(
おもしろ
)
からう、
何
(
な
)
んの六
里
(
り
)
ぐらゐの
田舍路
(
ゐなかみち
)
を
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
夫の体
掻
(
か
)
きむしるように
揺
(
ゆ
)
さ
振
(
ぶ
)
りました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日本人のコックさんが、広島弁丸出しの
奥
(
おく
)
さんと
一緒
(
いっしょ
)
に、すぐ、久し
振
(
ぶ
)
りの
味噌汁
(
みそしる
)
で、昼飯をくわしてくれました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
草鞋
(
わらじ
)
の新しいのが、上り口にある。さっき婆さんが
振
(
ぶ
)
ら下げてたのは、大方これだろう。自分は
素足
(
すあし
)
の上へ草鞋を
穿
(
は
)
いた。
緒
(
お
)
を
踵
(
かかと
)
へ通してぐっと引くと
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この粉と焼粉を
篩
(
ふる
)
って例の通りザット黄身の方へ混ぜてそれから五つ
振
(
ぶ
)
りの白身をよくよく泡立ててバラバラと粉を振りかけながら
幾度
(
いくど
)
にも混ぜて行って
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
今日
(
きょう
)
は
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りでごちそうだったなあ。
大根
(
だいこん
)
もうまかった。
馬
(
うま
)
もうまかった。あれでうっかりしていて、
馬吉
(
うまきち
)
に
逃
(
に
)
げられなければ、なおよかったのだけれど、
残念
(
ざんねん
)
なことをした。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と
突放
(
つきはな
)
されて、安兵衞も伊兵衞も悦びまして、栗林の間へ逃げ込みましたが、吉原土手で仙太郎に逢った侍は心有るものゆえ、
振
(
ぶ
)
ッ
払
(
ぱら
)
って逃げましたが、国分の束は心がないから
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兇器
(
きょうき
)
が手を離るゝのを
視
(
み
)
て、局は
渠
(
かれ
)
が
煙草入
(
たばこいれ
)
を探す
隙
(
すき
)
に、そと身を起して、
飜然
(
ひらり
)
と一段、天井の雲に
紛
(
まぎ
)
るゝ如く、廊下に
袴
(
はかま
)
の
裙
(
すそ
)
が
捌
(
さば
)
けたと思ふと、
武士
(
さむらい
)
は
武
(
む
)
しや
振
(
ぶ
)
りつくやうに
追縋
(
おいすが
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
四箇月
振
(
ぶ
)
りで夫と
逢
(
あ
)
った時、夫の笑顔がどこやら卑屈で、そうして、私の視線を避けるような、おどおどしたお態度で、私はただそれを、不自由なひとり暮しのために、おやつれになった
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「女には、誰にだって、いけない性分が沢山あるものよ。ただそれを、あたしみたいに、正直にうわべに出しているか、おしとやか
振
(
ぶ
)
って、うまく包んでいるかの違いしかありやしないものよ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九時が過ぎてから、
何方
(
どちら
)
かが玄関をがちゃがちゃと
揺
(
ゆ
)
す
振
(
ぶ
)
った。
秋草の顆
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“振”を含む語句
振舞
振返
身振
振鈴
素振
振向
武者振
振廻
男振
羽振
手振
振顧
振切
立居振舞
一振
振子
頭振
言振
棒手振
振下
...