トップ
>
孰
>
いづ
ふりがな文庫
“
孰
(
いづ
)” の例文
さては相見ての後のたゞちの短きに、戀ひ悲みし永の月日を恨みて三
衣
(
え
)
一
鉢
(
ぱつ
)
に
空
(
あだ
)
なる
情
(
なさけ
)
を觀ぜし人、
惟
(
おも
)
へば
孰
(
いづ
)
れか戀の
奴
(
やつこ
)
に非ざるべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
かく
孰
(
いづ
)
れかの一方に偏せるものは抽象的概念であつて、二者合一して初めて完全な具体的実在となるのである。(善の研究——四の三)
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
名前を調べてみると、
孰
(
いづ
)
れも皆広海氏なので、造船所の掛員は「あゝ、さうだつたか」と初めてあの叮嚀なお辞儀の
理由
(
わけ
)
が判つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
悠々たる天と、
邈々
(
ばく/\
)
たる地の間に
孰
(
いづ
)
れの所にか墳墓なる者あらんや、其の之あるは、人間の自から造れる者なり、国民の自から造れる者なり。
頑執妄排の弊
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『三
軍
(
ぐん
)
に
將
(
しやう
)
として
士卒
(
しそつ
)
をして
死
(
し
)
を
樂
(
たの
)
しましめ、
敵國
(
てきこく
)
をして
敢
(
あへ
)
て
謀
(
はか
)
らざらしむるは、
子
(
し
)
、
起
(
き
)
に
孰
(
いづ
)
れぞ』と。
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
子
(
し
)
に
如
(
し
)
かず』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
▼ もっと見る
清澄寺の山門まで來ると山稼ぎの女が樅板を負うたのや炭俵を負うたのが五六人で休んで居る。
孰
(
いづ
)
れも恐ろしい
相形
(
さうぎやう
)
である。
炭焼のむすめ
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
取つて二十七、少し虚弱で弱氣ですが、笛の方はなか/\の腕前で、もう一人の内弟子の、
鳩谷
(
はとや
)
小八郎と、
孰
(
いづ
)
れとも言はれないと噂されました。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
孰
(
いづ
)
れにしても、私達四人——大阪の嫂をも入れて——がその間近まで歩み寄つてゐることは確実であつた。でも兄は私より一まはり上であつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
これが各部皆いと強く輝きて高くかつみな同じ
状
(
さま
)
なれば、我はベアトリーチェがその
孰
(
いづ
)
れを選びてわが居る處となしゝやを知らじ 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
孰
(
いづ
)
れが
前
(
さき
)
に
出来
(
でき
)
たか、
穿鑿
(
せんさく
)
に
及
(
およ
)
ばぬが、
怪力
(
くわいりき
)
の
盲人
(
まうじん
)
の
物語
(
ものがた
)
りが二ツある。
同
(
おな
)
じ
話
(
はなし
)
の
型
(
かた
)
が
変
(
かは
)
つて、一ツは
講釈師
(
かうしやくし
)
が
板
(
いた
)
にかけて、のん/\づい/\と
顕
(
あら
)
はす。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
孰
(
いづ
)
れも古い
家屋
(
かをく
)
ばかりで、
此処
(
こゝ
)
らあたりの田舎町の特色がよく出て
居
(
ゐ
)
た。町の中央に、芝居小屋があつて、青い白い
幟
(
のぼり
)
が
幾本
(
いくほん
)
となく風にヒラヒラして
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
下の子二人は
孰
(
いづ
)
れもよく泣く子であつた。上二人の兄弟は恐る/\手を引き合つて表に出て往來を眺めてゐた。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
そして人はその
孰
(
いづ
)
れか棭斎にして孰れかたかなるを辨ずることを得なかつた。たかは歌を詠じ、文章を書いた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
孰
(
いづ
)
れか此両策の一を
取
(
と
)
りしなるべし、而るに後に聞く処に
拠
(
よ
)
れば、沼田近傍は
雨
(
あめ
)
常
(
つね
)
に
多
(
おう
)
かりしに、利根山中日々
晴朗
(
せいろう
)
の天気なりしは
不可思議
(
ふかしぎ
)
と云ふの外なし
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
既
(
すで
)
に前年の政変も
孰
(
いづ
)
れが是か非かソレは
差置
(
さしお
)
き、双方主義の相違で喧嘩をしたことである。政治上に喧嘩が起れば経済商売上にも同様の事が起らねばならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
如此
(
かくのごと
)
く
孰
(
いづ
)
れ
疎
(
おろそか
)
ならぬ
主
(
あるじ
)
と夫とを同時に
有
(
も
)
てる
忙
(
せは
)
しさは、盆と正月との
併
(
あは
)
せ来にけんやうなるべきをも、彼はなほ
未
(
いま
)
だ覚めやらぬ夢の
中
(
うち
)
にて、その夢心地には
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夫
(
そ
)
れは
孰
(
いづ
)
れも
取止
(
とりと
)
めの
無
(
な
)
き
取
(
とり
)
こし
苦勞
(
くろう
)
で
御座
(
ござ
)
りませうけれど、
何
(
ど
)
うでも
此樣
(
このやう
)
な
氣
(
き
)
のするを
何
(
なに
)
としたら
宜
(
よ
)
う
御座
(
ござ
)
りますか、
唯々
(
たゞ/\
)
心
(
こゝろ
)
ぼそう
御座
(
ござ
)
りますとて
打
(
うち
)
なくに
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
○さま/″\なる世に在りて、いづれを上手と定めんは、いと
難
(
かた
)
し。
孰
(
いづ
)
れを下手と定めんは、いと/\難し。上手を定めんよりも、下手を定めんは一層難き事なり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
夫
(
それ
)
から二三日して、かの患者の
室
(
へや
)
にこそ/\
出入
(
ではい
)
りする人の
氣色
(
けしき
)
がしたが、
孰
(
いづ
)
れも
己
(
おの
)
れの活動する
立居
(
たちゐ
)
を病人に遠慮する樣に、ひそやかに振舞つてゐたと思つたら
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
折節
(
おりから
)
孰
(
いづ
)
れも
途方
(
とほう
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
お
)
りましたから、
取敢
(
とりあ
)
へず
之
(
これ
)
を
遣
(
や
)
ツて
見樣
(
みよう
)
と
云
(
い
)
ふので、
父親
(
ちゝおや
)
が
子供
(
こども
)
の
兩足
(
りようあし
)
を
捕
(
とら
)
へて
中
(
ちう
)
に
釣
(
つる
)
し、
外面
(
そと
)
を
向
(
む
)
かして
膝
(
ひざ
)
で
脊髓
(
せきずい
)
を
撞
(
つ
)
きました、トコロガ
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
こちらがみやげも呉れず見すぼらしい樣子をしてゐるのを
孰
(
いづ
)
れも皆輕蔑してゐるやうであつた。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
お花は
孰
(
いづ
)
れも木綿の
揃
(
そろひ
)
の中に、
己
(
おの
)
れ
独
(
ひと
)
り
忌
(
いま
)
はしき
紀念
(
かたみ
)
の絹物
纏
(
まと
)
ふを省みて、身を縮めて
俯
(
うつむ
)
けり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
信一郎は、その
孰
(
いづ
)
れかゞ瑠璃子と呼ばれはしないかと、熱心に見詰めた。二人とも、死んだ青年の妹であることが、直ぐ判つた。兄に似て二人とも端正な美しさを持つてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
孰
(
いづ
)
れも
渋々
(
しぶ/\
)
食堂
(
しよくだう
)
に
下
(
お
)
りて、
例
(
れい
)
に
依
(
よ
)
つて
旨
(
うま
)
くも
何
(
なん
)
ともない
晩餐
(
ばんさん
)
の
卓子
(
テーブル
)
に
就
(
つ
)
く。
食事
(
しよくじ
)
がすんで
又
(
また
)
甲板
(
かんぱん
)
に
出
(
で
)
ると、
日
(
ひ
)
は
既
(
すで
)
にとツぷりと
暮
(
く
)
れて、やツとのことで
船
(
ふね
)
は
桟橋
(
さんばし
)
に
横
(
よこ
)
づけになつたらしい。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
「実にこれまで度々戦ひ候へ共、二合と戦ひ候者は稀に覚え候へ共、今度の敵多勢とは申しながら
孰
(
いづ
)
れも万夫不当の勇士、誠にあやふき命を助かり申候、先づは御安心下さるべく候……」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又
(
また
)
他
(
た
)
の
人
(
ひと
)
は
建築
(
けんちく
)
の
本義
(
ほんぎ
)
は「實」であると
云
(
い
)
ふかも
知
(
し
)
れぬ。
孰
(
いづ
)
れが
正
(
せい
)
で
孰
(
いづ
)
れが
邪
(
じや
)
であるかは
容易
(
ようい
)
に
分
(
わか
)
らない。
人
(
ひと
)
の
心理状態
(
しんりじやうたい
)
は
個々
(
こゝ
)
に
異
(
こと
)
なる、その
心理
(
しんり
)
は
境遇
(
きやうぐう
)
に
從
(
したが
)
て
移動
(
いどう
)
すべき
性質
(
せいしつ
)
を
有
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
事
(
こと
)
新
(
あた
)
らしく今更に道十郎が後家に
告口
(
つげぐち
)
なし此長庵が
命
(
いのち
)
を
縮
(
ちゞ
)
めさせたるは忝け
無
(
ない
)
共
(
とも
)
嬉
(
うれ
)
しいとも
禮
(
れい
)
が
言盡
(
いひつく
)
されぬ故今は
括
(
くゝ
)
られた身の
自由
(
じいう
)
成
(
なら
)
ねば
孰
(
いづ
)
れ
黄泉
(
あのよ
)
から
汝
(
おのれ
)
も直に取殺し共に
冥土
(
めいど
)
へ
連
(
つれ
)
て
行
(
ゆき
)
禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
〔評〕兵數は
孰
(
いづ
)
れか
衆
(
おほ
)
き、
器械
(
きかい
)
は孰れか
精
(
せい
)
なる、
糧食
(
りやうしよく
)
は孰れか
積
(
つ
)
める、この數者を以て之を
較
(
くら
)
べば、
薩長
(
さつちやう
)
の兵は固より幕府に及ばざるなり。然り而して
伏見
(
ふしみ
)
の一戰、東兵
披靡
(
ひび
)
するものは何ぞや。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
孰
(
いづ
)
れか
缺
(
か
)
けゆく
悔
(
くい
)
のあわだつとき
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『百
官
(
くわん
)
を
治
(
をさ
)
め、
萬民
(
ばんみん
)
を
親
(
した
)
しましめ、
(九一)
府庫
(
ふこ
)
を
實
(
み
)
たすは、
子
(
し
)
、
起
(
き
)
に
孰
(
いづ
)
れぞ』と。
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
子
(
し
)
に
如
(
し
)
かず』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
読者
孰
(
いづ
)
れも何となく奇異の観をなすと覚ゆ、要するに古藤庵の情熱、
自
(
おのづ
)
から従来の作者に異るところあればなるべし、悲曲としての価値は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
情熱
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
今の上流夫人の好くものは、お手製の西洋菓子と、オペラ
袋
(
バツグ
)
と、新音曲と——
孰
(
いづ
)
れもお上品で軽い物揃ひである。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
然
(
しか
)
し
孰
(
いづ
)
れも
發汗
(
はつかん
)
に
伴
(
ともな
)
うて
渇
(
かつ
)
した
口
(
くち
)
に
爽
(
さわや
)
かな
蔬菜
(
そさい
)
の
味
(
あぢ
)
を
欲
(
ほつ
)
しないものはない。
貧苦
(
ひんく
)
に
惱
(
なや
)
んでさうして
其
(
そ
)
の
蔬菜
(
そさい
)
の
缺乏
(
けつばふ
)
を
感
(
かん
)
じて
居
(
ゐ
)
るものは
勘次
(
かんじ
)
のみではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
功名朝露の如し、頼むべからず、人生
終
(
つひ
)
に奈何。
藐然
(
ばくぜん
)
として流俗の毀譽に關せず、優游自適其の好む所に從ふ、樂は即ち樂なりと雖も、蟪蛄草露に終ると
孰
(
いづ
)
れぞや。
人生終に奈何
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
右両説の
孰
(
いづ
)
れを
取
(
と
)
るも同じと雖も、
奈何
(
いかん
)
せん十日間の食糧を以て
探検
(
たんけん
)
の
目的
(
もくてき
)
を果さんとの心算なれば、途中如何なる
故障
(
こしやう
)
の
起
(
おこ
)
るありて一行
餓死
(
がし
)
の
憂
(
うれへ
)
あるやも計られず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
淨本は文化十三年六月二十九日に歿した人、了蓮は寛政八年七月六日に歿した人である。今
遽
(
にはか
)
に
孰
(
いづ
)
れを是なりとも定め難いが、要するに九代十代の間に不明な處がある。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
孰
(
いづ
)
れとも義雄の胸で取れたり、うち消されたりしてゐる間に、汽車出發の汽笛が鳴つた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
孰
(
いづ
)
れも只周圍の勢力に制せられて殆ど無我夢中で今日迄來た。鴨川堤を離れて吉田町に曲りかけた時、三藏は漸く我に歸つたやうな顏をして「山本君、叡山はどの山かい」と聞いた。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
此池
(
このいけ
)
の深さいくばくとも
測
(
はか
)
られぬ
心地
(
こゝち
)
に
成
(
なり
)
て、月は
其
(
その
)
そこの
底
(
そこ
)
のいと深くに住むらん物のやうに思はれぬ、久しうありて
仰
(
あふ
)
ぎ見るに空なる月と水のかげと
孰
(
いづ
)
れを
誠
(
まこと
)
のかたちとも思はれず
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
全国男女の気品を次第々々に高尚に導いて真実文明の名に
愧
(
はず
)
かしくないようにする事と、仏法にても
耶蘇
(
やそ
)
教にても
孰
(
いづ
)
れにても
宜
(
よろ
)
しい、
之
(
これ
)
を引立てゝ多数の民心を
和
(
やわ
)
らげるようにする事と
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
床の間には
何
(
ど
)
んな
素人
(
しろうと
)
が見ても
贋
(
にせ
)
と解り切つた
文晁
(
ぶんてう
)
の
山水
(
さんすゐ
)
が
懸
(
かゝ
)
つて居て、
長押
(
なげし
)
には
孰
(
いづ
)
れ飯山あたりの
零落
(
おちぶれ
)
士族から買つたと思はれる槍が二本、さも不遇を嘆じたやうに黒く
燻
(
くすぶ
)
つて懸つて居る。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
孤驛
(
こえき
)
既
(
すで
)
に
夜
(
よる
)
にして、
里程
(
りてい
)
孰
(
いづ
)
れよりするも
峠
(
たうげ
)
を
隔
(
へだ
)
てて七
里
(
り
)
に
餘
(
あま
)
る。……
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
の
道中
(
だうちう
)
の
錦葉
(
もみぢ
)
を
思
(
おも
)
つた、
霧
(
きり
)
の
深
(
ふか
)
さを
思
(
おも
)
つた、
霜
(
しも
)
の
鋭
(
するど
)
さを
思
(
おも
)
つた、
寧
(
むし
)
ろ
其
(
それ
)
よりも
早
(
は
)
や
雪
(
ゆき
)
を
思
(
おも
)
つた、……
外套
(
ぐわいたう
)
黒
(
くろ
)
く
沈
(
しづ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
孰
(
いづ
)
れともあらばあれ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
行
(
ゆ
)
いて頼朝の墓を鎌倉山に開きて見よ、彼が言はんと欲するところ何事ぞ。来りて西行の姿を「
山家集
(
さんかしふ
)
」の上に見よ。
孰
(
いづ
)
れか能く言ひ、執れか能く言はざる。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『
西河
(
せいが
)
を
守
(
まも
)
りて、
秦
(
しん
)
の
兵
(
へい
)
敢
(
あへ
)
て
東
(
ひがし
)
に
郷
(
むか
)
はず、
韓
(
かん
)
・
趙
(
てう
)
・
(九二)
賓從
(
ひんじう
)
するは、
子
(
し
)
、
起
(
き
)
に
孰
(
いづ
)
れぞ』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
大杉
栄
(
さかえ
)
と伊藤
野枝
(
のえ
)
とが例の恋愛事件に対する告白を読んで見ると、
孰
(
いづ
)
れも理屈ばかり
列
(
なら
)
べてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
孰
(
いづ
)
れにしてもおつぎの
心
(
こゝろ
)
には
有繋
(
さすが
)
に
微
(
かす
)
かな
不足
(
ふそく
)
を
感
(
かん
)
ずるのであつた。
勘次
(
かんじ
)
は
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
しの
襦袢
(
じゆばん
)
を
褌
(
ふんどし
)
一つの
裸
(
はだか
)
へ
引
(
ひ
)
つ
掛
(
かけ
)
て、
船頭
(
せんどう
)
が
被
(
かぶ
)
るやうな
藺草
(
ゐぐさ
)
の
編笠
(
あみがさ
)
へ
麻
(
あさ
)
の
紐
(
ひも
)
を
附
(
つ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此商人の家は水戸家の用達で、眞志屋と號した。しかし用達になつたのと、落胤問題との
孰
(
いづ
)
れが先と云ふことは不明である。その後代々の眞志屋は水戸家の特別保護の下にある。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その相談はどうせ小樽に着してからでなければ
孰
(
いづ
)
れとも定められない事情であつた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
久しうありて仰ぎ見るに、空なる月と水のかげと
孰
(
いづ
)
れを
誠
(
まこと
)
のかたちとも思はれず。物ぐるほしけれど箱庭に作りたる石一つ
水
(
みづ
)
の
面
(
おもて
)
にそと取落せば、さゞ
波
(
なみ
)
すこし分れて、これにぞ月のかげ漂ひぬ。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
孰
漢検1級
部首:⼦
11画
“孰”を含む語句
孰方
孰方道
孰與