地平線ちへいせん)” の例文
そのかぜもなく、なみおだやかなであったから、おきのかなたはかすんで、はるばると地平線ちへいせん茫然ぼんやりゆめのようになってえました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ええ、ああ、あの大きなだいだいの星は地平線ちへいせんから今上ります。おや、地平線じゃない。水平線かしら。そうです。ここは夜の海のなぎさですよ」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さうだ、もうつき時分じぶんだな‥‥」と、しばらくしてわたしとほひがしはう地平線ちへいせんしらんでたのにがついてつぶやいた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
むこうを見れば、ちょうどいま地平線ちへいせんの上に姿をあらわしたお日さまが、しずかにのぼってきます。と見るまに、じゅうたんの穴や裂けめの下の鏡が、赤や金色に輝きはじめました。
てんいまだくらし。東方とうはう臥龍山ぐわりうざんいたゞきすこしくしらみて、旭日きよくじつ一帶いつたいこうてうせり。昧爽まいさうきよく、しんみて、街衢がいく縱横じうわう地平線ちへいせんみな眼眸がんぼううちにあり。しかして國主こくしゆ掌中しやうちうたみ十萬じふまんいまはたなにをなしつゝあるか。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、がまったくしずんで、そらいろがだんだんくらくなると、地平線ちへいせんなみあらわれて、くもいろえてゆくのをしんだのであります。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
新世界交響楽しんせかいこうきょうがくはいよいよはっきり地平線ちへいせんのはてからき、そのまっ黒な野原のはらのなかを一人のインデアンが白い鳥の羽根はねを頭につけ、たくさんの石をうでむねにかざり
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
こうおもうと、少女しょうじょには、はてしないあお海原うなばらがうかびました。そして、その地平線ちへいせん航海こうかいしている、汽船きせんかげえたのであります。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのときまっくらな地平線ちへいせんこうから青じろいのろしが、まるでひるまのようにうちあげられ、汽車の中はすっかり明るくなりました。そしてのろしは高くそらにかかって光りつづけました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、に、名残なごり地平線ちへいせんめていますのが、しだいしだいに、なみあらわれるように、うすれていったのでありました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてたったいまゆめであるいた天の川もやっぱりさっきの通りに白くぼんやりかかり、まっ黒な南の地平線ちへいせんの上ではことにけむったようになって、その右には蠍座さそりざの赤い星がうつくしくきらめき
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その地平線ちへいせんからがったようにふねいていて、くろはたがひらひらと二ほんのほばしらのうえにひるがえっていました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらの地平線ちへいせんをほどちかい、にぎやかなまち燈火ともしびが、ぽうとやみめているのをて、兵士へいしなかには、戦場せんじょうおもすものもあったでしょう。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
源吉げんきちは、茫然ぼうぜん台風たいふうっていったあとの、はるかの地平線ちへいせんをながめていると、緑色みどりいろそらから、龍夫たつおが、にっこりとわらって
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるとしあきも、やがて、こうとしていました。おき雲切くもぎれのしたそらると、地平線ちへいせんは、ものすごくくらかったのです。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かぜつよいて、なみ岩角いわかどしろく、ゆきとなってはねがり、地平線ちへいせんくろくうねうねとしてえるうみこいしくなりました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
太陽たいようは、あかく、がたになるとうみのかなたにしずみました。そのとき、ほのおのようにえるくも地平線ちへいせん渦巻うずまいていました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、どのみちあるいていっても、そのほうには、くろもりがあり、青々あおあおとしたはたけがあり、とお地平線ちへいせんには、しろくもがただよってえるのでありました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらいろ一面いちめん鉛色なまりいろおもく、くらく、にごっていて、地平線ちへいせんすみながしたようにものすごくえます。かぜさけごえをあげてあたまうえするどぎていました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白々しろじろとして、ぎんのペンセルのように、あまがわが、しんとした、よるそらながれて、そのはし地平線ちへいせんぼっしていました。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ、けると太陽たいようひがしほうからがりました。また、日暮ひぐがたになると、かなたの地平線ちへいせんほのおのようにえて、太陽たいよううみしずみました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、あかは、西にしやましずみかけていました。三にん少年しょうねんは、しばらくだまって、地平線ちへいせんをながめながら、おもおもいの空想くうそうにふけっていました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、そのとき、むら、また、まち、あちらの地平線ちへいせんからしろくのぞいた、うみをはじめてたのであります。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おもてわたすと、だんだんきたうみほうびるにしたがって、ひくくなっていました。そして、そのほう地平線ちへいせんは、夕暮ゆうぐがたになっても、あかるくありました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さきのとがった森影もりかげが、まぶしいひかりかすんでいて、とおくの地平線ちへいせんには、しろくもあたまをもたげていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その翌日よくじつは、あきにはめずらしいあたたかなでした。つよひかりに、くさはきらきらとかがやいて、ふゆなどはどこかとお地平線ちへいせんのかなたにしかないとかんがえられたのです。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたが、この野原のはらをひとりよがりにけまわっていなさるのも、わずかなあいだです。きたとお地平線ちへいせんのあちらへ、あなたは、やがてかえっていくではありませんか。
風と木 からすときつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、ちょうどなつのはじめであったが、いまは、はやあきすえになっていました。あちらは、じきゆきるころであろう。年雄としおは、きたとお地平線ちへいせんをながめました。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しずむころになると、毎日まいにちのように、海岸かいがんをさまよって、あおい、あおい、そして地平線ちへいせんのいつまでもくらくならずに、あかるいうみあこがれるものが幾人いくにんとなくありました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はやおおきくなろうとおもいました。みとめられたいばかりでなしに、地平線ちへいせん遠方えんぽうたかったからです。一ねんはたち、また一ねんはたつというふうにぎてゆきました。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
伯父おじさんは、だまって、とおくの地平線ちへいせんせていました。そのほうにはみだれた黒雲くろくもがものすごくれさがって、町々まちまちが、そのくものすそにつつまれようとしていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、一人ひとりおとこが、うまにまたがって、とお地平線ちへいせんからけてくるのがえます。正坊まさぼうは、あわててはなして、こうをると、どこにもそんなかげらしいものはなかった。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、たかくろのシルクハットをかぶって、くろ燕尾服えんびふくて、黒塗くろぬりの馬車ばしゃった皇子おうじまぼろしかんで、あちらの地平線ちへいせん横切よこぎるのが、ありありとえるのでありました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そればかりでない、青々あおあおとした野原のはらや、はなはたけなどをみぎひだりることができました。緑色みどりいろそらは、まるやかにあたまうえかって、とお地平線ちへいせんのかなたへがっています。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それが、たがいにいかけってでもいるように、きんや、ぎんや、あおや、あかほしがきらめいていた。そして、いつともなしにときがたつと、みんなかげ地平線ちへいせんのかなたにぼっしてゆく。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたすかぎり、くさ灌木かんぼくしげった平原へいげんであります。さおそらは、奥底おくそこれぬふかさをゆうしていたし、はるかの地平線ちへいせんには、砲煙ほうえんともまがうようなしろくもがのぞいていました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうどきりのかかったみなとあつまったふねともしびのように、もしくは、地平線ちへいせんちかそらにまかれたぬかぼしのように、あおいろのもあれば、あかいろのもあり、なかには真新まあたらしい緑色みどりいろのもありました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとかたまりとなって、たてがみをなびかせた金色きんいろのししの姿すがたとなったり、たかくかけあがる神馬しんめかたちをつくったりして、はるかの青々あおあおとした地平線ちへいせんざして、うごいていたのでした。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひるごろのこと、こまどりは、地平線ちへいせんのかなたにかびた、はなやかなまちました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらのそらには、ちぎれ、ちぎれのくもんで、あお水色みずいろやまが、地平線ちへいせんから、かおして微笑びしょうしています。秋雨あきさめったあと野原のはらは、くさいろづいて、とりこえもきこえませんでした。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きた地平線ちへいせんは、灰色はいいろねむっていました。まだ、そこにははるはきていなかった。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくれた、さむのことで、太陽たいようは、あか地平線ちへいせんしずみかかっていました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるか、あちらをると、まち屋根やね地平線ちへいせんがってえたのです。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてそのあかふねは、まったく姿すがた地平線ちへいせんのかなたにしてしまいました。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このときたちまち、そのとおい、寂寥せきりょう地平線ちへいせんにあたって、五つのあかいそりが、おなじほどにたがいにへだてをおいて行儀ぎょうぎただしく、しかもすみやかに、文字もんじにかなたをはしっていく姿すがたました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
そののことであります。このまちから火事かじて、おりしもつのった海風かいふうにあおられて、一軒けんのこらずきはらわれてしまいました。いまでも北海ほっかい地平線ちへいせんにはおりおりくろはたえます。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこここに、いつものように、あかはながさき、あおそらは、はてなくひろがって、地平線ちへいせんにつづき、なつおもわせる金色きんいろくもが、西にしほうからわきて、おとなく、あたまうえを、うごいていくのでした。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
は、こうしておおきくなりました。しかしあたまげて、地平線ちへいせんのぞんだけれど、あちらにやまいただきと、くろもりと、ぽつりぽつり人家じんかるだけで、けっして、そのはてをることはできませんでした。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、かれらは、たびをつづけていますと、あるのこと、はるかの地平線ちへいせんに、あおやま姿すがたをみとめたのであります。かれらは、どんなにうれしかったでありましょう。たちまち元気げんき恢復かいふくしました。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しものとけかけた、ちかちかとひかる、一筋ひとすじみちが、はるかかなたの、煙突えんとつや、木立こだちの、くろぼうきれをたてたごとくかすむ、地平線ちへいせんほうへとのびていました。おばあさんは、どこまでいくのであろうか。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)