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森影
太陽は、
東から
出て、
西に
沈みました。けれど、あの
黒い
森影から
上がって、あの
高い
雲の
光る
山のかなたに
沈むのではありませんでした。
三郎は、
怪しんで、
四辺を
見まわしましたけれど、
空色の
着物をきた
少年の
姿はどこにもなかったのです。
三郎は、
森影を
目あてに、その
日は
家へ
帰りました。
先のとがった
森影が、まぶしい
日の
光に
霞んでいて、
遠くの
地平線には、
白い
雲が
頭をもたげていました。