顏色かほいろ)” の例文
新字:顔色
も/\若氣わかげ思込おもひこんだやうな顏色かほいろをしてつた。川柳せんりう口吟くちずさんで、かむりづけをたのし結構けつこう部屋へやがしらの女房にようばうしからぬ。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『いや今日こんにちは、おゝきみ今日けふ顏色かほいろ昨日きのふよりもまたずツといですよ。まづ結構けつこうだ。』と、ミハイル、アウエリヤヌヰチは挨拶あいさつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さいはひそのは十一時頃じごろからからりとれて、かきすゞめ小春日和こはるびよりになつた。宗助そうすけかへつたとき御米およねいつもよりえ/″\しい顏色かほいろをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だから横町よこてう野蕃漢じやがたら馬鹿ばかにされるのだとひかけてよわいをはづかしさうな顏色かほいろ何心なにごゝろなく美登利みどり見合みあはつまの可愛かわゆさ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つかはす夫にて皆々不肖ふせう致せと白洲の外に控へ居たる一人の男を呼出よびいだされしに久しく日の目を見ざりしと見え顏色かほいろあしけれ共よく肥太こえふとりたりイザ此者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君子きみこ不審いぶかしさに母親はゝおや容子ようすをとゞめたとき彼女かのぢよ亡夫ばうふ寫眞しやしんまへくびれて、しづかに、顏色かほいろ青褪あをざめて、じろぎもせずをつぶつてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しかるに、大佐たいさ言葉ことばと、その顏色かほいろとでさつすると、その心痛しんつうみなもとんでも其處そこおこつたらしい、わたくしいそげんをつゞけた。
めばむほど顏色かほいろあをざめてくのが、燭臺しよくだいのさら/\するなかに、すごいやうなかんじを玄竹げんちくあたへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
とうさんはその時分じぶんはまだ幼少ちひさくてなんにもりませんでしたが、そのきつねのついたといふ生徒せいとくちからあわし、顏色かほいろあをざめ、ぶる/″\ふるへてしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ロチスター氏は私の顏色かほいろを讀んで、私がさうしたことを見た。彼の憤激は最高潮に達した。次に何が來ようと、彼は暫くの間それに身をまかせなくてはならない。
今日けふわすれないでなさい如何どうじや大變たいへんかほいろわるいやうじやがそんな元氣げんきのない顏色かほいろをしててはなかわたれるものではない、一同いつしよをがんだも目出度めでたえんじや
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
と、をつとすこ顏色かほいろをあらためた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
顏色かほいろ蒼白あをじろく、姿すがたせて、初中終しよつちゆう風邪かぜやすい、少食せうしよく落々おち/\ねむられぬたち、一ぱいさけにもまはり、往々まゝヒステリーがおこるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たゞ金石間近かないはまぢかになつたとき甲板かんぱんはうなにらんおそろしいおとがして、みんなが、きやツ!とさけんだときばかり、すこ顏色かほいろへたぢや。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうして御米およね顏色かほいろは、宗助そうすけかゞみなかみとめたときよりも、さやかにはならなかつた。をつと役所やくしよからかへつてると、六でふてゐることが一二あつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此時このときさき端艇たんてい指揮しきして、吾等われら兩人りやうにんすくげてれた、いさましき虎髯大尉こぜんたいゐは、武村兵曹たけむらへいそうわたくしやうや平常へいじやうふくした顏色かほいろて、ツトすゝめた、微笑びせううかべながら
あゝくお辭義じぎをしてもらつてた、これはきく鬼姉おにねへさんがれたのとふ、はゝ顏色かほいろをかへて圖太づぶとやつめがれほどのふちんでだいぢめかたりぬとおもふか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
扨旅籠屋にて年頃としごろ十七八ばかり田舍に稀なる女ありと心をとめてみれば何か見覺みおぼえ有る樣にて彼の女も傳吉を見て不審いぶかし顏色かほいろなりけるがつれの男は湯に入らんと湯殿の方へいたりし折節彼の女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不平ふへいおも顏色かほいろは、ふねいつぱいにあふれてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたしおもひました。うね、一目ひとめて、をとこのいくらかへんだ、とことは、顏色かほいろわかりましたつけ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おのづから顏色かほいろあらはるれば、何取なにとりいそぐことでもい、よく思案しあんしてかなふたらば其時そのときこと、あまり欝々うつ/\として病氣びようきでもしてはらんから、すこしはなぐさめにもとおもふたのなれど
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ると、宛然まるで空々そら/″\しい無理むり元氣げんきして、ひて高笑たかわらひをしてたり、今日けふ非常ひじやう顏色かほいろいとか、なんとか、ワルシヤワの借金しやくきんはらはぬので、内心ないしんくるしくるのと、はづかしくところから
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちひさい折鞄をりかばんわきけて、落付おちつはらつた態度たいどで、慢性病まんせいびやう患者くわんじやでもあつかやうゆつくりした診察しんさつをした。そのせまらない顏色かほいろはたてゐた所爲せゐか、わく/\した宗助そうすけむねやうやをさまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見て置ばやとひそかに見回す折柄をりからかべの落たる那方にていとくるし氣なるせきなし苦聲うなるこゑの聞ゆるにぞかべあなよりさしのぞくに年の頃五十ばかりの男病耄やみほゝけて顏色かほいろあをざめ餘程長きわづらひにつかれたる樣子なり傳吉は此體を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、眞中まんなかゆはへたつゝみせる、とたびつて顏色かほいろかはよわいのを、やつこ附目つけめ
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すこ御新造ごしんぞ機嫌きげんかいなれど、目色めいろ顏色かほいろみこんで仕舞しまへばたいしたこともなく、結句けつくおだてにたちなれば、御前おまへ出樣でやう一つで半襟はんゑりはんがけ前垂まへだれひもにもことくまじ、御身代ごしんだい町内てうないだい一にて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
挨拶あいさつとともに番頭ばんとうがズイとてのひら押出おしだして、だまつて顏色かほいろうかゞつた、ぼんうへには、湯札ゆふだと、手拭てぬぐひつて、うへ請求書せいきうしよ、むかし「かの」とつたとくがごと形式けいしきのものが飜然ひらりとある。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なにしろみな顏色かほいろさをです
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)