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雖
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いへど
ふりがな文庫
“
雖
(
いへど
)” の例文
大略なりと
雖
(
いへど
)
も、予が連日連夜の苦悶は、卿等必ずや善く了解せん。予は本多子爵を殺さざらんが為には、予自身を殺さざる可らず。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
間斷
(
かんだん
)
なく
消耗
(
せうまう
)
して
行
(
ゆ
)
く
肉體
(
にくたい
)
の
缺損
(
けつそん
)
を
補給
(
ほきふ
)
するために
攝取
(
せつしゆ
)
する
食料
(
しよくれう
)
は一
椀
(
わん
)
と
雖
(
いへど
)
も
悉
(
こと/″\
)
く
自己
(
じこ
)
の
慘憺
(
さんたん
)
たる
勞力
(
らうりよく
)
の一
部
(
ぶ
)
を
割
(
さ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
百姓町人と
雖
(
いへど
)
も、身のたしなみに一應の武技は心得て置くべきであるといふ建前で、門人の半分以上は町の若い者達に、無祿の浪人共
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし
將來
(
このさき
)
これを
幸
(
さいはひ
)
であつたと
知
(
し
)
る
時
(
とき
)
と
雖
(
いへど
)
も、たしかに
不幸
(
ふかう
)
であると
感
(
かん
)
ずるに
違
(
ちが
)
いない。
僕
(
ぼく
)
は
知
(
し
)
らないで
宜
(
よ
)
い、
唯
(
た
)
だ
感
(
かん
)
じたくないものだ。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
伯夷
(
はくい
)
・
叔齊
(
しゆくせい
)
、
賢
(
けん
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七三)
夫子
(
ふうし
)
を
得
(
え
)
て
名
(
な
)
益〻
(
ますます
)
彰
(
あら
)
はれ、
顏淵
(
がんえん
)
、
篤學
(
とくがく
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七四)
驥尾
(
きび
)
に
附
(
ふ
)
して
行
(
おこなひ
)
益〻
(
ますます
)
顯
(
あら
)
はる。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
▼ もっと見る
道法とは
謂
(
いは
)
く聖法なり。言ふこころは、聖法を
能
(
よ
)
くすと
雖
(
いへど
)
も、亦俗法の中に凡夫の事を現じて、機に
随
(
したが
)
ひて物を化するを乃ち真宴と名づく。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
看
(
み
)
給
(
たま
)
へ、
露西亜
(
ロシヤ
)
帝国政府の
無道擅制
(
ぶだうせんせい
)
は、露西亜国民の敵ではありませんか、
然
(
さ
)
れ
共
(
ども
)
独り露西亜政府のみでは無いです、各国政府の政策と
雖
(
いへど
)
も
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
第三
酒
(
さけ
)
茶
(
ちや
)
菓子
(
かし
)
の
類
(
るゐ
)
は
食時
(
しよくじ
)
の
節
(
せつ
)
少々
(
せう/\
)
用
(
もち
)
ゐて
飮食
(
いんしよく
)
の
消化
(
せうくわ
)
を
扶
(
たす
)
くるは
害
(
がい
)
なしと
雖
(
いへど
)
も、その
時限
(
じげん
)
の
外
(
ほか
)
退屈
(
たいくつ
)
の
時
(
とき
)
用
(
もちゆ
)
る
等
(
とう
)
は
害
(
がい
)
ある
事
(
こと
)
。
養生心得草
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
一、休業中と
雖
(
いへど
)
も、金銭の支出は、毎月の予算を超過せざること、但し、炊事停止による
丼物
(
どんぶりもの
)
の勘定は、この限りにあらず
世帯休業
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
其の様を見るに三尺児と
雖
(
いへど
)
も
猶
(
なほ
)
弁ずべきを、頑然首を差伸べて来る。古狸
巧
(
たくみ
)
に人を
誑
(
たぶらか
)
し、其極終に昼出て児童の獲となること、古今の笑談なり。
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
平民的短歌の作者も一種の
理想派
(
アイデアリスト
)
となりて、さぞ満足なることならんと
雖
(
いへど
)
も、実を忘れ、肉を忘れ、天外高く飛び去り
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
今
(
いま
)
三十
隻
(
せき
)
の
一等戰鬪艦
(
いつとうせんとうかん
)
をもつて
組織
(
そしき
)
されたる
一大
(
いちだい
)
艦隊
(
かんたい
)
と
雖
(
いへど
)
も、
日
(
ひ
)
出
(
い
)
でゝ
鳥
(
とり
)
鳴
(
な
)
かぬ
内
(
うち
)
に、
滅盡
(
めつじん
)
する
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るであらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
いで、
戰場
(
せんぢやう
)
に
臨
(
のぞ
)
む
時
(
とき
)
は、
雜兵
(
ざふひやう
)
と
雖
(
いへど
)
も
陣笠
(
ぢんがさ
)
をいたゞく。
峰入
(
みねいり
)
の
山伏
(
やまぶし
)
は
貝
(
かひ
)
を
吹
(
ふ
)
く。
時節
(
じせつ
)
がら、
槍
(
やり
)
、
白馬
(
しろうま
)
といへば、モダンとかいふ
女
(
をんな
)
でも
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
がひと
通
(
とほ
)
り。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奴隷関係と自由契約関係とあり、現時の自由労働制度と
雖
(
いへど
)
も実は仮定に過ぎず。労働者の自由は死活問題を伴ひ、資本家の自由は単なる損益問題なり。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
自分
(
じぶん
)
の
好運
(
かううん
)
衰勢
(
すゐせい
)
にだらしなく
感情
(
かんじやう
)
を
動亂
(
どうらん
)
させるなどは
甚
(
はなは
)
だしばしば
僕
(
ぼく
)
のお
眼
(
め
)
に
掛
(
か
)
かることだが、そして、
僕
(
ぼく
)
と
雖
(
いへど
)
も
敢
(
あ
)
へてそれが
全然無
(
ぜんぜんな
)
いとは
言
(
い
)
はないが
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「
凡
(
およ
)
ソ物ニ先天アル事、人ニ
資禀
(
しひん
)
アルガ如シ。人ノ性下愚ナル者ハ、孔孟
之
(
これ
)
ヲ教フト
雖
(
いへど
)
モ無益也。物ノ性
良
(
よろ
)
シカラズバ、
易牙
(
えきが
)
之ヲ
烹
(
に
)
ルト雖モ無味也……」
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
素
(
もと
)
より戯曲には種々の規則あり、罪過を以つて唯一の規則となすは不可なるべしと
雖
(
いへど
)
も、
之
(
これ
)
が為めに罪過は不用なりと言ふあらば
亦
(
ま
)
た
大
(
おほい
)
に不可なるが如し。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
一、申すに及ばず候と
雖
(
いへど
)
も、輝元、元春、隆景、
深重如在
(
しんちようじよさい
)
を存ぜず、われら
進退
(
しんたい
)
にかけて見放し申すまじき事。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
トルストイ伯の人格は訳者の
欽仰
(
きんぎよう
)
措
(
お
)
かざる者なりと
雖
(
いへど
)
も、その人生観に就ては、根本に於て既に訳者と見を異にす。
抑
(
そもそ
)
も伯が芸術論はかの世界観の一片に過ぎず。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悉皆
(
のこりなく
)
呼出
(
よびだ
)
され村井長庵は
兩度
(
りやうど
)
の
拷問
(
がうもん
)
にても
白状
(
はくじやう
)
せざる事故
身體
(
しんたい
)
勞
(
つか
)
れ
果
(
はて
)
かゝる
惡人
(
あくにん
)
なりと
雖
(
いへど
)
も
天
(
てん
)
定
(
さだま
)
りて人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
放ち、諸の聖衆と
倶
(
とも
)
に来つて、引接し擁護したまふなり。惑障相隔てて見たてまつること
能
(
あた
)
はずと
雖
(
いへど
)
も、大悲の願疑ふべからず。決定して此の室に来入したまふなり。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
然れ共、勢の迫るところ、早晩此世界にも大恐慌の来るべきは、何人と
雖
(
いへど
)
も
預察
(
よさつ
)
し得る所なり。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
されば路地は細く短しと
雖
(
いへど
)
も趣味と変化に富むこと恰も長編の小説の如しと云はれるであらう。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
介の維幾、息男為憲を教へずして、兵乱に及ばしめしの
由
(
よし
)
は、伏して過状を弁じ
了
(
をは
)
んぬ。将門本意にあらずと
雖
(
いへど
)
も、一国を討滅しぬれば、罪科軽からず、百県に及ぶべし。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今、これをこの群山の間に見る、髣髴と
雖
(
いへど
)
もわが心いかでかこれに向つて
馳
(
は
)
せざらんや。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「その事實の證人があります。その人の證言はあなたと
雖
(
いへど
)
も抗辯なさらないでせう。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
然
(
しか
)
し彼等が
其
(
その
)
平和の必要条件として、それとは全く両立しがたい腕力の二字を常に念頭に置くべく
強
(
し
)
ひられるに至つては、彼等と
雖
(
いへど
)
も今更ながら天のアイロニーに驚かざるを得まい。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
是れ絶對は之を
納
(
い
)
るるを以てなり。逍遙子は是なりと
雖
(
いへど
)
も之を
崇
(
あが
)
めず。是を以て衆理想の
奴
(
ど
)
となることなし。衆理想は皆非なり。是れ絶對はいづれの理想にも掩はれざるを以てなり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
日本
(
にほん
)
に
取
(
と
)
つては
大正
(
たいしやう
)
六
年
(
ねん
)
以來
(
いらい
)
の
問題
(
もんだい
)
、
又
(
また
)
之
(
これ
)
を
世界
(
せかい
)
から
見
(
み
)
ると、
世界
(
せかい
)
何
(
いづ
)
れの
國
(
くに
)
と
雖
(
いへど
)
も
金解禁
(
きんかいきん
)
は
已
(
すで
)
に
決行
(
けつかう
)
されて
居
(
を
)
つて
只
(
たゞ
)
日本
(
にほん
)
だけが
取殘
(
とりのこ
)
されて
居
(
ゐ
)
るからして、
何時
(
いつ
)
日本
(
にほん
)
は
金
(
きん
)
の
解禁
(
かいきん
)
をするか
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
○さりとも志を棄てんは惜しき時、一策あり、
精々
(
せい/″\
)
多く志を仕入れて、
処
(
ところ
)
嫌はず之を振廻さん事なり。成功を見ずと
雖
(
いへど
)
も、附け届けを見ん。
脊負
(
しよひ
)
切れざる程なるをもて、志の妙となす。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
好色一代男に、『雷の鳴る時は、近寄りて頭まで隠せしこと』云々といふところがあるから、一方当時の読者と
雖
(
いへど
)
も、西鶴のこの一句から様々の冒険の心を
湧
(
わ
)
かしたかも知れないのである。
雷談義
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
為
(
た
)
めに一人も
中毒
(
ちうどく
)
に
逢
(
あ
)
ひしものなし、此他
飯
(
めし
)
の如き如何なる下等米と
雖
(
いへど
)
も如何なる
塵芥
(
じんかい
)
を
混
(
こん
)
ずると雖も、其味の
佳
(
か
)
なる山海の
珍味
(
ちんみ
)
も及ばざるなり、余の小食家も
常
(
つね
)
に一回凡そ四合を
食
(
しよく
)
したり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
往来に打水して町の軒並に蚊柱の立つ松山の町はその基調には、たとへ、旧お城下といふ燻しがかゝつて居るとは
雖
(
いへど
)
、決して酸性の刺戟を伴はぬ明るい四国の町の黄昏の一である事を否み能はぬ。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
(演説の調にて)法相
真如
(
しんによ
)
といふと
雖
(
いへど
)
も之れ仏陀乃至伝教等沙門の頭を写したる幻の塔、夢の伽藍、どうせ人の頭より出たるほどのもの故、学んで悟られぬ筈はおりない。悟といふは
益
(
やく
)
ない徒労。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
彼らと
雖
(
いへど
)
も労働者の子供たちであつた。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
怒濤を
繞
(
めぐ
)
らす半島と
雖
(
いへど
)
も
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
「鴎で仕合せだ、——此間は馬に笑はれましたぜ。親分の前だが、馬の笑ふのを見た者は、日本廣しと
雖
(
いへど
)
も、たんとはあるめえ」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤もこの旅人は痩せたりと
雖
(
いへど
)
も、尋常一様の旅人ではない。隅田川の渡りを求めに来た、寂しい何人かの旅人を一身に代表する名誉職である。
金春会の「隅田川」
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世
(
よ
)
に
傳
(
つた
)
はる
攝養法
(
せつやうはふ
)
に
種々
(
しゆ/″\
)
ありと
雖
(
いへど
)
も、
余
(
よ
)
の
實驗
(
じつけん
)
に
由
(
よ
)
れば、
尤
(
もつと
)
も
簡易
(
かんい
)
にして
尤
(
もつと
)
も
巧驗
(
こうけん
)
あるものは
冷水浴
(
れいすゐよく
)
の
他
(
た
)
にあらざる
可
(
べ
)
し。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
晏嬰
(
あんえい
)
乃
(
すなは
)
ち
田穰苴
(
でんじやうしよ
)
を
薦
(
すす
)
めて
曰
(
いは
)
く、『
穰苴
(
じやうしよ
)
は
田氏
(
でんし
)
の
(四)
庶孽
(
しよげつ
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
然
(
しか
)
れども
其人
(
そのひと
)
、
文
(
ぶん
)
は
能
(
よ
)
く
衆
(
しう
)
を
附
(
つ
)
け、
武
(
ぶ
)
は
能
(
よ
)
く
敵
(
てき
)
を
威
(
おど
)
す。
願
(
ねが
)
はくは
君
(
きみ
)
之
(
これ
)
を
試
(
こころ
)
みよ』
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
異常
(
いじやう
)
な
勞働
(
らうどう
)
によつて
報酬
(
はうしう
)
を
得
(
え
)
ようとする一
方
(
ぱう
)
に一
錢
(
せん
)
と
雖
(
いへど
)
も
容易
(
ようい
)
に
其
(
そ
)
の
懷
(
ふところ
)
を
減
(
げん
)
じまいとのみ
心懸
(
こゝろが
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
園
(
その
)
は、
今更
(
いまさら
)
ながら、
瞬時
(
しゆんじ
)
と
雖
(
いへど
)
も、
心
(
こゝろ
)
の
影
(
かげ
)
が、
其
(
そ
)
の
熱
(
ねつ
)
に
堪
(
た
)
へないものゝ
如
(
ごと
)
く、
不意
(
ふい
)
のあやまちで、
怪我
(
けが
)
をさした
人
(
ひと
)
に
吃驚
(
びつくり
)
するやうに、
銀
(
ぎん
)
の
蓋
(
ふた
)
を、ぱつと
取
(
と
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕
(
ぼく
)
は
直
(
す
)
ぐ
支度
(
したく
)
して
先生
(
せんせい
)
の
宅
(
うち
)
に
駈
(
か
)
けつけました、それが
朝
(
あさ
)
の
六時
(
ろくじ
)
、
山野
(
さんや
)
を
歩
(
ある
)
き
散
(
ち
)
らして
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たのが
夕
(
ゆふべ
)
の
六時
(
ろくじ
)
でした、
先生
(
せんせい
)
は
夏期休業
(
なつやすみ
)
と
雖
(
いへど
)
も
常
(
つね
)
に
生徒
(
せいと
)
に
近
(
ちかづ
)
き
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
危岸、険崖なくんば可なり、
柔櫓
(
じうろ
)
声中、夢を載せて、淀川を下る旅客を学ぶも差支なしと
雖
(
いへど
)
も、若
夫
(
そ
)
れ我文明の中に
疾
(
やまひ
)
を存し、光れる中に腐敗を蔵するを見ば
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
一、足尾の鉱毒が渡良瀬河岸被害の一原因たることは、試験の結果に依りて之を認めたりと
雖
(
いへど
)
も、此被害たる、公共の安寧を
危殆
(
きたい
)
ならしむる如き性質を有せず。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
歐米諸國
(
をうべいしよこく
)
は
寸尺
(
すんしやく
)
の
土地
(
とち
)
と
雖
(
いへど
)
も
自己
(
じこ
)
の
領分
(
りようぶん
)
となさんと
競
(
きそひ
)
爭
(
あらそ
)
ひ、
若
(
も
)
し
茲
(
こゝ
)
に、
一個
(
いつこ
)
の
無人島
(
むじんとう
)
でもあつて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
物皆時あり、至醜のものと
雖
(
いへど
)
も小美の時無くばあらず。西のは之を談ぜるなり。両諺共に佳。
東西伊呂波短歌評釈
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
日本語に之を
重訳
(
ちようやく
)
して罪過と
謂
(
い
)
ふは
稍々
(
やゝ
)
穏当ならざるが
如
(
ごと
)
しと
雖
(
いへど
)
も、世にアイデアル、リアルを訳して理想的、実写的とさへ言ふことあれば、是れ
亦
(
また
)
差して
咎
(
とが
)
むべきにあらず。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
これでは如何に幕府打倒といきり立つてゐる薩長と
雖
(
いへど
)
も文句がつけられないのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彼
(
かれ
)
は
先
(
ま
)
づ
現在
(
げんざい
)
の
自分
(
じぶん
)
が
許
(
ゆる
)
す
限
(
かぎ
)
りの
勇氣
(
ゆうき
)
を
提
(
ひつ
)
さげて、
公案
(
こうあん
)
に
向
(
むか
)
はうと
決心
(
けつしん
)
した。それが
何
(
いづ
)
れの
所
(
ところ
)
に
彼
(
かれ
)
を
導
(
みち
)
びいて、どんな
結果
(
けつくわ
)
を
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
持
(
も
)
ち
來
(
きた
)
すかは、
彼
(
かれ
)
自身
(
じしん
)
と
雖
(
いへど
)
も
全
(
まつた
)
く
知
(
し
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
雖
漢検1級
部首:⾫
17画
“雖”を含む語句
雖然
猿雖
煩悩障眼雖不見
田乎婆雖作
荒野二者雖有
輅斉雖入地獄受苦
雖不知
雖千万人吾往矣
雖生於戎羯
雖称
雖老
雖辺土未清余妖尚梗而
雖近而不見