金春会の「隅田川」こんぱるかいの「すみだがわ」
僕は或早春の夜、富士見町の細川侯の舞台へ金春会の能を見に出かけた。と云ふよりも寧ろ桜間金太郎氏の「隅田川」を見に出かけたのである。 僕の桟敷へ通つたのは「花筐」か何かの済んだ後、「隅田川」の始まらない前のことである。僕は如何なる芝居を見ても …