何者なにもの)” の例文
半年ばかりたつ何者なにものとも知れず、はかあばいて石をぬすさつたものがある。子は手掛てがかりがないのでふことも出來ず其まゝにして二三日たつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其處そこ何者なにものかゞるに相違さうゐない、ひとか、魔性ましやうか、其樣そんことかんがへてられぬ、かく探險たんけん覺悟かくごしたので、そろ/\とをかくだつた。
さく三十七ねん十二ぐわつ某夜ばうやことなりき、れいごと灌水くわんすゐへてじよくねむりきしもなく、何者なにものきたりて七福しちふくあたふとげたりとゆめむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
「じゃア、何者なにものか、われわれの仲間なかまのものが、咲耶子さくやこをすくい、また、小太郎山こたろうざん雪辱せつじょくをしに、りこんでいったのだろうか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしだそれをひらきません』とつて白兎しろうさぎは、『だが、それは手紙てがみのやうです、囚人しうじんになつた、——何者なにものかにてた』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
地獄ぢごく夜叉やしゃ肉體からだには何者なにものませうとや? あんな内容なかみにあのやうな表紙へうしけたほんがあらうか? あんな華麗りっぱ宮殿きゅうでん虚僞うそ譎詐いつはりすまはうとは!
證據しようこ召捕めしとり候へと申わたされそれより瀬川せがは并に母おたけ請人うけにん君太夫きみたいふ松葉屋まつばや桐屋きりや以下いか呼出され瀬川の本夫をつとと云は何者なにものなるやと尋問たづねらるゝに瀬川はつゝしんでかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
では、如何いかんだらいゝかとへば、これも、多少たせうひとつてちがふかもれないが、かく何者なにものにもわづらはされずに、正直しやうぢき態度たいどむがいゝ。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「いったい、そのおせんの情人いろというのは、何者なにものなんだか、まっつぁん、はっきりあたしにおしえておくれ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おとこかおは、ますますあおくなりました。太郎たろうは、この不具者かたわは、いったい何者なにものだろうとかんがえましたから
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
襟頸ゑりくびつて引倒ひきたふす、何者なにものれずキチ/\といてわきしたをこそぐりける。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女子をなごはあたりを見廻みまはしてたかわらひぬ、其身そのみかげかへりみてたかわらひぬ、殿との我良人わがをつと我子わがこ、これや何者なにものとてたかわらひぬ、まへ散亂ちりみだれたるふみをあげて、やよ殿とのいまわかれまゐらするなりとて
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
らうことなら、自分じぶんだけ陰氣いんきくら師走しはすうち一人ひとりのこつてゐたいおもひさへおこつた。やうや自分じぶんばんて、かれつめたいかゞみのうちに、自分じぶんかげ見出みいだしたとき不圖ふと此影このかげ本來ほんらい何者なにものだらうとながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それはいてあげまいものでもないが、いったいおまえ何者なにものだ。」
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
此斥候このせつこう何者なにものであるかといふと、大地震だいぢしんのときにおこ地震波ぢしんぱである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
石器時代せききじだい器具きぐとて何者なにものすべて石を材料ざいれうとせしには非ず。獸類のほねにてつくりたる物、魚類ぎよるゐほねにて作りたる物等ものらまさしく石器時代の遺跡ゐせきより發見はつけんさるるなり。圖中石皿の右に在るは獸骨器の尖端せんたんなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
「いったい、君は何者なにものなんだね」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「スミスさんて何者なにものだい?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何者なにものだらうか?
此時このときにふと心付こゝろつくと、何者なにものわたくしうしろにこそ/\と尾行びかうして樣子やうす、オヤへんだと振返ふりかへる、途端とたんそのかげまろぶがごとわたくし足許あしもとはしつた。
扨も吉兵衞が宿やどりたる家の主人を何者なにものなると尋るに水戸中納言殿みとちうなごんどの御家老職ごからうしよくに藤井紋太夫もんだいふと云ふあり彼柳澤が謀叛むほんくみして既に公邊こうへんの大事にも及べき處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『して此等これら何者なにものか?』女王樣ぢよわうさま薔薇ばらまはりに平伏ひれふしてゐた三にん園丁えんていどもをゆびさしてまをされました、何故なぜふに、彼等かれら俯伏うつぶせにてゐるし
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
何者なにものにもと意味いみ世評せひやうとか、先輩せんぱいせつとか、女學校ぢよがくかう校長かうちやう意見いけんとか、さういふ他人たにん批判ひはんふのである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ふもとで待っている佐屋桑十くわじゅうは、主人の気持が知れなかった。竹中半兵衛何者なにものぞ、こんどはおれが行って、今日までの無礼を詰問なじってくれたい——などと腹を立てた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
モン長 このふる爭端さうたんをば何者なにものあたらしうひらきをったか? をひよ、おぬしは最初はじめからそばにゐたか?
「ああ、ねむいことだ。いいかぜが、そよそよとくので、ぐっすりねむってしまったが、おれこしたのは、何者なにものだ?」と、電信柱でんしんばしらは、不平ふへいをいわずには、いられなかったのです。
小鳥と兄妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くらい、何者なにものもはっきりえない部屋へやなかで、おせんはもう一、じっとかがみなか見詰みつめた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
なにが、何者なにものるんだ。』と雪枝ゆきえ苛立いらだつてひし詰寄つめよる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まあ、そのはちれ。何者なにものだかかおてやろう。」
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
義母おつかさんいま連中れんちゆふ何者なにものでしよう。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此時このとき不意ふゐに、車外しやぐわい猛獸まうじうむれ何者なにものにかおどろいた樣子やうすで、一時いちじそらむかつてうなした。途端とたん何處いづくともなく、かすかに一發いつぱつ銃聲じうせい
又默言と叱り付汝は何者なにものだととふにハイ組頭くみがしらで御座ります名は何と云うヘイ周藏と申しますと答ふるに理左衞門コリヤおのれにはたづねぬひかへて居れ不埓ふらちやつ白眼付にらみつける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし、ふしぎなことには、たったいま何者なにものかに投げられて、大鳥居おおとりいの下で気をうしなった燕作のからだが、どこへかたづけられたのか、そこに見えなくなっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行列ぎやうれつあいちやんと相對峙あひたいぢするまですゝんでときに、彼等かれらは一せいとゞまつてあいちやんを打眺うちながめました、女王樣ぢよわうさま嚴肅げんしゆくに、『こは何者なにものぞ?』と心臟ハート軍人ネーブにまでまをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このこえきつけて、何事なにごとによらず、友情深ゆうじょうぶかい、おたがいにたすうからすたちは、どこからともなく、たくさんこのはやしなかあつまってきました。そして、自分じぶんたちのてきは、何者なにものだろう……。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むゝ、侍童こわらはめがなにたとらせをる。いま/\しい、何者なにものであらう、今頃いまごろ此邊このあたり彷徨さまようて、おれ眞情まごゝろ囘向ゑかうをばさまたげをる。や、炬火たいまつってるわ!……よるよ、ちっとのおれつゝんでくれい。
たれつても何者なにものさわいでも、とてかれすくせない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おまえ何者なにものだ。」
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「したが、あなたはいったい、何者なにものでございますか、また、どうして屋根やねの上などから? ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「呂布、何者なにもの
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)