ゆす)” の例文
新字:
あるときは、隣室りんしつてゐるKの夫人ふじんゆすおこされてましたが、彼女かのぢよにはそれがたんゆめとばかり、すことができなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
公爵夫人こうしやくふじんそのだいせつうたも、えず赤子あかごひどゆすげたりゆすおろしたりしたものですから、可哀相かあいさうちひさなのがさけぶので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
唯吉たゞきちは、襟許えりもとから、手足てあし身體中からだぢうやなぎで、さら/\とくすぐられたやうに、他愛たわいなく、むず/\したので、ぶる/\とかたゆすつて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
看護婦の腕の下から寢臺の上に見えるものは、何だか小さな肉塊やうのもので、それを醫員がしきりんだりゆすつたりしてゐるのであつた。
嘘をつく日 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さるを今は王土のそとヴェルデの岸邊きしべに雨に洗はれ風にゆすらる、彼せる燈火ともしびをもてこれをかしこに移せるなり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
見𢌞して置いて、肩をゆすツて、「だが、此の位のことが解らんやうぢや、諸君の頭はノンセンスだ。」といふ。これがひどく學生等の疳癪かんしやくに觸ツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「お起き遊ばせ! お起き遊ばせ!」私は叫んだ——そしてゆすぶつた、が彼は唯呟いて寢返りをしたきりであつた。煙が彼の知覺をにぶらしたのだ。
搖上ゆりあ搖下ゆりおろ此方こなたたゞよひ彼方へゆすれ正月四日のあさこくより翌五日のさるこくまで風は少しもやま吹通ふきとほしければ二十一人の者共は食事しよくじもせす二日ふつか二夜ふたよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「遲かれ早かれ、かうならはるにはきまつてるんやさかい、どうやつてもいかんのなら、早い方がなア。」と、いつもの通り兩方の肩をゆすり/\言つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
東隣ひがしどなりにはからは大勢おほぜいそろつて連枷ふるぢむぎつてひゞきが、もりとほしてそれからどろり/\とゆすつてきこえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
踏切ふみきりのちかくには、いづれもすぼらしい藁屋根わらやね瓦屋根かはらやねがごみごみと狹苦せまくるしくてこんで、踏切ふみきばんるのであらう、ただりうのうすしろはたものうげに暮色ぼしよくゆすつてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
中から、二度三度、激しく雨戸はゆすぶられましたが、どうしたことか、それはビクともせず、あわやと思ふ間もなく、今度は男の手で、反對側の窓の格子を、内から叩きます。
ふとつたをとこ一應いちおう容體ようだいいて、口中こうちゆう檢査けんさして、宗助そうすけいたいと一寸ちよつとゆすつてたが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其の女が私の感覺をゆする美妙な刺㦸の主である當然の事實をも忘れてしまつて、戀とか愛とか呼ぶものよりも、一層深く廣くて、又不確定な限られない自由なる空想に溺れてしまふ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
荒い自然のゆすぶりも、今は吾れには唯だ唄とのみなる……
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
木をゆす
聖三稜玻璃:02 聖三稜玻璃 (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
いきくやうに、一度いちどんで、しばらくぴつたとしづまつたとおもふと、いとゆすつたやうにかすかたのが、たちまち、あの大地震おほぢしんであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつたは重相おもさう風呂敷包ふろしきづゝみをうんと脊負しよつてむねむす兩手りやうてけてつゝみすわりをくするために二三ゆすつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まる咽喉のどほねでもつかへてゐるやうだ』とつてグリフォンは、其背中そのせなかゆすつたりいたりしはじめました。つひ海龜うみがめこゑなほりましたが、なみだほゝつたはつて——
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ゆすりかけ候ゆゑよんどころなく大勢を打散して逃參にげまゐりし所に早くも惡漢わるもの共大勢徒黨とたうして此の如く危き目に出遭であひなり夫と申も實は親類より金子五十兩を預り居候故此金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「リツィオなんかつまらない!」と彼女は叫ぶと、捲毛まきげの頭をゆすつてピアノの方へ歩いて行つた。「私、琴彈者ことひきのデヴィッドは面白くない人間だつたに違ひないと思ひますわ。 ...
その癖路地の外まで筒拔つゝぬけ、十四五の可愛らしい娘が、それを聽かされて今更逃げもならず、袖を頬に當てたり、肩をゆすぶつたり、惱ましい所作しよさを續けて居たことは言ふ迄もありません。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
貴方あなた一寸ちよつときてください」とゆすつてゐたので、半分はんぶん夢中むちゆう
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
言訖いひをはツて、輕く肩をゆすツて、こゝろよげに冷笑せゝらわらふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
おれ達をゆす
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
これを二碗にわんかたむけた鄰家りんか辻井つじゐさんはむか顱卷はちまき膚脱はだぬぎの元氣げんきつて、「さあ、こい、もう一度いちどゆすつてろ。」とむねたゝいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
言掛るかたりなりとて一同立掛り打擲ちやうちやくして表へ突出つきいだしければ大聲揚て泣出なきいだし如何にも皆々疑はるゝは是非なけれど私しはゆすかたりをする樣な者にては決して之なしと種々いろ/\申し譯を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
五月蠅うるさいね』とつて公爵夫人こうしやくふじんは、『そんなことかまつてはられない!』そこ夫人ふじんふたゝ其子供そのこどもちゝませはじめました、一しゆ子守歌こもりうたうたひながら、一ふしへるとは其子そのこゆすげて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
平次はその部屋を見せて貰つて、念のため格子をゆすぶりました。嚴重に釘付けになつてゐて、こいつは容易にはづれさうもなく、こゝまで來ると、平次もお葉の抗辯に負けるほかはなかつたのです。
さびしいわびしいうたこゑ——ゆきも、小兒こども爺婆ぢいばあけました。——かぜ次第しだいに、ぐわう/\とながらやまゆすりました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お六の手はツイ伸びて、平次の膝をゆすぶります。
するとかたはらから、またその光景やうすむすめふのには、「その巡査おまはりさんがね、洋刀サアベルを、カチヤ/\カチヤ/\ゆすぶつてわらつてた。」とします。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次の好奇心もかなりゆすぶられます。
身體からだゆすり、下駄げたにて板敷いたじき踏鳴ふみならすおとおどろ/\し。そのまゝ渡場わたしばこゝろざす、石段いしだん中途ちうとにて行逢ゆきあひしは、日傘ひがささしたる、十二ばかりの友禪縮緬いうぜんちりめん踊子をどりこか。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うしますと、ばうさんが、蒼黄色あをきいろに、鼠色ねずみいろ身體からだゆすつて、つば一杯いつぱいめたやうな、ねば/\としたこゑ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さつと吹雪ふゞきであります。さつとくあとを、ぐわうーとる。……次第しだいいへごとゆするほどにりましたのに、なん寂寞さびしさだか、あの、ひつそりと障子しやうじおと
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
で、一搖ひとゆすかたゆすつて、無雜作むざふさに、左右さいう遣違やりちがへに、ざくりと投掛なげかける、とこしでだぶりとうごく。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩方りやうはうかた兩袖りやうそで一所いつしよ一寸ちよつとゆすつて、内懷うちぶところ紙入かみいれから十圓じふゑんなり、やつぱり一錢いつせんいたゞいた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、かたたれたまゝ、みぎびつこくろどのは、夫人ふじん白魚しらうをほそゆびに、ぶらりとかゝつて、ひとツ、トまへのめりにおよいだつけ、ゐしきゆすつたちんかたちで、けろりとしたもの、西瓜すゐくわをがぶり。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこへ、門内もんない植込うゑこみ木隱こがくれに、小女こをんながちよろ/\とはしつてて、だまつてまぜをして、へいについて此方こなたへ、とつた仕方しかたで、さきつから、ござんなれとかたゆすつて、あし上下うへした雀躍こをどりしてみちびかれる
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かほはらよこゆすつて、まんちやんの「折合をりあへません」がえる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むづがゆくつてたまらないので、もさ/\身體からだゆすりました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)